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その道のプロに聞く

保険業界に少なからず関連している業界のプロに、その業界だからこそ見えてくる貴重な話を伺ってきました。

目標は漢方を武器とした地域密着の相談薬局

富士薬局薬剤師 高橋 信泰(39歳)

元会社員の薬剤師。漢方薬や健康食品などをメインとした相談薬局を目指す。6歳のお子さんの父親でもある。

富士薬局薬剤師 高橋 信泰(39歳)

1 「病気」を診るのではなく「その人」を診る

こちらの薬局はいつからあるのですか?
高橋信泰(以下、高橋)富士薬局は49年前に薬剤師だった父が開いたのですが、父が亡くなり、後を継ぐことになりました。実は私は、6年前までサラリーマンをしていたんです。
昔からいつかは薬剤師になろうと考えていたのですか?
高橋いずれは実家の薬局を継ぐつもりでしたので、東京理科大学の薬学部に入りましたが、大学院ではがん細胞の遺伝子などを扱う研究をしていました。修士課程修了後は、製薬メーカーに入社し、4年間勤務させていただきました。漢方はいずれ薬剤師としての武器になると思い、当時から漢方の研修会などによく参加していました。
製薬メーカー退職後は、漢方薬の処方箋を扱う機会が多い「調剤薬局」に勤務し、その一方で、中医学を学べる大学に3年間通い、国際中医専門員の認定をもらいました。33歳のときに「相談薬局」を開局しましたが、父の容態も悪くなり、38歳のときに実家の薬局を継ぎました。
なぜ漢方が武器になると思ったのですか?
高橋私は父の影響もあって、調剤薬局ではなく、地域密着の相談薬局をやりたいと思っていたんです。
「医薬分業」(※)や規制緩和により、かつては栄養ドリンクですら薬局でなければ買えませんでしたが、今ではコンビニやインターネットで薬が買える時代になりました。結果、町の相談薬局のほとんどが調剤薬局やドラックストアに変わりました。昔は病気になれば薬局へ相談に来てくれましたが、相談薬局がない今は自分で調べるか病院に行くしかありません。ですが、自分で調べるにもネットの情報は危ういですし、病院に行くにしてもなかなか腰を据えて話をすることができません。ですから、地域の健康の窓口として気軽に悩みを話せる相談薬局は、今後、見直されていくと思います。
相談薬局において、なぜ漢方が好まれるかというと、漢方の考え方が相談薬局のスタイルに合うからです。現代の医療は、何でも基準値を決めて、そのラインから外れたら病名がつき、決まった薬を出しています。例えば、ある症状に対して60%の有効率の薬があったとします。60%の人を良くできれば優れた薬だと言えますが、残り40%の人は救われません。漢方では、同じ症状を訴えている人でも、その人の持つ体質によって、その人に合った漢方があるはずと考えます。
このように漢方の考え方は、その人の症状、体質を聞き、一人ひとりの不調や悩みに向き合っていきましょうというものなので、相談薬局というスタイルに合うんです。そもそも医療とは、そういうものだと思います。
※医師が診察して処方箋を出し、薬剤師は薬の処方と説明に専念するしくみのこと。医薬分業によって、薬剤師の意義や価値が出てきた一方で、処方箋どおりに調剤するだけになりがちです。
漢方はどんな人におすすめですか?
高橋アトピーの人や体質改善をしたい人、内臓脂肪が気になる人、家系的に病気が心配な人、同じ病気で長年通院している人などに、漢方は力になれると思います。漢方は、あくまでも身体に症状が出てきた場合に飲むものなので、基本的には普段から飲む必要はありません。
大事なのは来てくれた人の体調が良くなることですから、病院に行ったほうがいいときはそうすすめます。病院に行って改善できない場合の、次の手段として漢方を考えていただいても構いません。
例えば、病院では治らなかったけど、漢方で改善できた例などありますか?
高橋吹き出物がひどく、あごのまわりが湿疹のように赤くなっていた若い男性なんですが、結婚式までになんとかきれいにしたいという相談で来られました。そこで、血液の循環を良くしつつ、解毒作用のある漢方を飲んでいただいたところ、1週間ほどで効果が出始めました。最終的には2~3ヵ月ですっかり良くなって、たいへん喜んでもらえました。
若い女性の肌荒れやニキビの悩みは多いですね。ほかにも、慢性的な蓄膿症や顔面神経痛、アトピーの症状改善、不妊の方がお子様を授かることができたなど、漢方では珍しいことではありません。

2 組合わせによる漢方の妙

西洋医学の薬と漢方の違いは?
高橋病気を治すことを目的とした西洋医学の薬に対して、自然治癒力を上げるというのが漢方の特徴です。また、「身体を温める」という概念も、漢方の大きな特徴のひとつとなります。
例えば打撲で患部が炎症したときに、貼り薬や痛み止めを使ったとします。その結果、痛みが引いたとしても、一時的な処置であって治っているわけではありません。炎症を早く治すには、身体を温めて血流を良くすることが重要なんです。ほかにも、「むくみ」や「めまい」「胃腸の調子が悪い」「精神的な不安定さ」といった症状は冷えから来ることが多いので、冷えがなくなるだけでかなり改善されるはずです。
漢方の種類はどのくらいあるのですか?
高橋無限にあると思います。「日本薬局方」(※)に記載されている生薬(漢方薬の原料となるもの)だけで100種類以上ありますが、それらの生薬を何種類も組み合わせて漢方を作るので、組合わせは何通りにもなります。ですが、薬局で出すことのできる漢方は、日本薬局方により200種程度と決められております。
生薬は、何種類もたくさん入れればいいというものではありません。例えば、風邪や関節痛の治療などに使われる「麻黄(マオウ)」という草には、身体を温める作用がありますが、発汗作用はほとんどありません。ですが、麻黄を「桂皮(ケイヒ)」と組み合わせることで、すごく汗が出てきます。また、麻黄を「石膏(セッコウ)」と組み合わせると、汗を引かせる効果が出てくるんです。このように、組合わせによって生薬の相乗効果を狙うのが、漢方の妙でもあります。
※厚生労働大臣が定めた医薬品の規格基準書。日本で汎用されている医薬品の情報を中心に記載されています。
漢方は自然の物なので、副作用の心配はないのでしょうか?
高橋自分の体質に合った漢方を使わないと、副作用が出てしまうことがあります。例えば、最近ではドラッグストアやインターネットでも買える「防風通聖散」。これは、内臓脂肪に効くと言われていますが、汗をかきにくく、便秘の人向けの漢方なんです。汗かきでお腹が弱い人が飲むと、脱水症状になってしまう可能性があります。
また、多くの人に風邪薬として知られている「葛根湯」も、体質を選ぶことがあります。代謝のいい人だと、汗を一気にかいて疲れてしまうことがありますし、寝つきの悪い人は余計に眠れなくなってしまうこともあります。
漢方は、体質によって服用を確認しないといけませんね。
高橋今では漢方を、薬剤師を介さずに手に入れることができますが、一人ひとりの体質を細かく聞けない売り方は、漢方にそぐわないんですよ。
食事、運動、生活習慣に気を付けて、その人に本当に合った漢方を飲み続けることで、漢方は効果を最大限に発揮することができます。漢方を始めたいという方は、一度薬剤師に相談してみてほしいですね。
漢方の基本的な飲み方は?
高橋植物の根っこや葉っぱ、実などをブレンドしたものを煮出して、「煎じ薬」として飲むのが漢方の基本的なスタイルです。漢方は、継続して飲むことがとても重要です。毎日煎じるのは手間ですが、煎じ薬はとても効果的な方法となりますのでおすすめしたいですね。中には当薬局のように、薬局内で漢方を煎じ、1回分ずつ小分けの状態にパックして受け取れるところもあります。
また、煎じた薬を濃縮した顆粒状の「エキス剤」を、お湯に溶かして飲んでいただく方法もあります。

3 家族の将来と備えについて

高橋さんは保険に入っていらっしゃいますか?
高橋実はあまり真剣に考えたことがなくて…。といっても、健康に自信があるわけではなく、保険の必要性は理解しているつもりです。
医療費は貯蓄があれば大丈夫という考えではありますが、将来に向けてきちんと蓄えることができるか心配です。何も問題なければ、漢方も保険も必要ないと思いますが、そううまくいくとは限りませんからね。現在は、妻が安いという理由で決めた共済に入っていますが、一度保険を見直してみたいと思っています。
薬剤師であったお父様の影響は受けていますか?
高橋薬剤師としての一面というよりは、お客様とのコミュニケーションにおいて、良くも悪くも影響を受けたと思います。父は話すのが大好きで、病気や薬の相談を受けているのかと思いきや、自分の好きなことや健康に関する情報を仕入れては、あらゆる人に発表しているような感じでした。私はあまりしゃべるタイプではないので、そんな父を昔は苦手に感じていました。
そんな思いもあり、一度社会に出てサラリーマンをやってみたのですが、とてもいい経験となりました。今考えると、父に対して半分憧れのような部分があったんだと思います。
お子さんにも店を継いでほしいと思いますか?
高橋それは全然ありませんね。自分の好きなことをしてくれればと思っています。私は小さいころから父の仕事を見ていましたので、いつかは背中に赤ちゃんを背負って、自分の薬局で働きたいと大学時代から夢見ていました。
ですが、実際に子供をお店に連れて営業していたら、泣き声がうるさいとお客様に言われてしまったことがあります(笑)。
最後に、漢方について高橋さんの思いを聞かせてください。
高橋最近では、西洋医学の医師が漢方を見直して使うようになってきました。薬剤師は医師とは違って、健康保険が使える処方を出せませんので、同じステージで戦うことができません。しかし、日々研鑽しておりますので、そのへんの医者と漢方の知識で負けることはありませんし、身近に病気や体調のことが相談できてすぐ対応できる、漢方薬局としての薬剤師の価値は今後もあると思います。
いずれにせよ、漢方は今後ますます見直されていくと思います。というのも、「テーラーメイド医療」(※)という言葉を聞くような時代になり、漢方を扱いたいと思う医師や薬剤師は確実に増えているからです。 身体について何か悩んでいる人は、お近くの相談薬局に行ってみてください。私は漢方だけで治すと言っているわけではありません。漢方に限らず、その人に合せた必要なものをおすすめいたします。
※患者の遺伝子や体質などを考慮し、患者ごとに有効な薬剤や治療法を選択する医療方法のこと。

「富士薬局」について

健康に関する悩みを話すことができる地域密着の相談薬局です。日常の食事や生活習慣などを分析し、健康的な生活を送るためのアドバイスと、それぞれの症状に合わせ漢方薬を中心に、健康食品・サプリメントなどを提供・販売しています。

【住所】
東京都江東区東陽4-2-4
【TEL】
03-3644-2359
【営業時間】
平日8:00~20:00 土曜日8:00~18:00
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