介護保険法の改正で何が変わるの?
社会全体で介護を必要とする方を支えることを目的に施行された「介護保険制度」。2000年にスタートして以降、定期的に見直しが行われています。2024年度施行の法改正で、何が変わったのか、その内容について紹介していきます。
本記事では、大きく変わった点・見送られた点と、今後どう変わりそうかについても解説します。
【2024年度】介護保険法の改正で大きく変わった点
2024年度施行の法改正で大きく変わって点は主に4つあります。
詳細な財務諸表の報告を義務化
すべての介護事業者に対し、定期的に財務諸表などの経営情報の報告が義務化され、その情報は「介護サービス情報公表システム」で公開されるようになります。情報の「見える化」によって、要介護者やその家族は、健全な業者を選べるようになります。
介護情報を管理する基盤の整備
これまで、介護に関する情報は介護事業者がそれぞれ独自に管理していましたが、共通システムにより電子化され、一元管理するようになります。それによって要介護認定情報やケアプラン情報などを、自治体や介護事業者、医療機関などが共有でき、協力し合って要介護者を支える仕組みが整います。
介護予防支援の許認可の拡大
介護予防支援とは、要支援1・2の認定を受けた方が、自宅で介護予防のための介護サービスを適切に利用できるようにケアプランの作成などを行う制度のことです。地域包括支援センターのみで行われていましたが、居宅介護支援事業所でも可能になります。
65歳以上の介護保険料の多段階化
65歳以上の介護保険料は、所得に応じた段階性を取っています。従来の9段階に上位所得区分を付け足して13段階にし、高所得者(420万円以上)の保険料がアップします。最上位の標準負担額は基準額の2.4倍になります。
一方、低所得者の保険料は引き下げられます。
今回の改正では見送られた点
訪問介護とデイサービスを組み合わせた「複合サービス」の新設、「ケアプランの有料化」については今回の改正で見送られています。
※現在、在宅サービスのケアプランの作成は全額が保険給付なので利用者の負担はありません。
今後どう変わりそう?
介護保険利用時、1割負担に該当する方の基準を見直し、2割負担の対象者を増やす案があります。