シニア世代を中心に話題のエンディングノート。病気や事故、認知症などで意思表示ができなくなったり判断能力が低下したりした場合に備え、健康なうちに家族や周囲の人に伝えておきたいことを記すのが主な目的です。
現役世代にとっては、親の老後に向けて話し合い、記入しながら確認できる点でとても役立つアイテムです。
この記事では、2世代、3世代にわたる家族の「安心」に備え、夢を叶えるためのライフプランニングノートとしての活用をご紹介します。何を書いたらいいかお悩みの方はぜひ参考にしてみてくださいね。
どう選ぶ?エンディングノートの選び方
市販のエンディングノートは、デザイン、内容、構成、価格も様々です。自分や家族が何を目的に書きたいのかを意識して、下記ポイントを参考に活用しやすいものを選びましょう。
- 備忘録として日常的に活用できるもの
- 現役世代のライフプランに役立つもの
- 相続関連の法律や制度に沿う構成のもの
- FPなどお金の専門家が監修したもの
- 自分史や家族へのメッセージ性が高いもの
- 最小限の項目で構成されたシンプルなもの
ここからは、エンディングノートに具体的に何を書いたらよいかを紹介していきます。
財産・相続・遺言書の書き方例
財産の管理、贈与や相続の履行がスムーズになるように、財産の種類・登記などの情報を整理して記載し、全体が把握できるようにしましょう。
また、ネットバンクやネット証券のオンライン口座のログイン情報も記載しておく必要があります。クラウドストレージに保存しているデータ、メール、SNSなどのアカウント情報も整理をしておくとよいです。ただし悪用を防ぐため安全に保管しましょう。
1.財産
- ●目録を作って財産を把握
- ●預貯金に関わる情報
- ●生命保険
- ●有価証券・株式
- ●その他(自動車・貴金属など)
銀行口座や加入している保険のことは分かるようにしておきましょう。
2.相続
- ●不動産(土地・建物)
- ●相続登記について
- ●遺言
家や土地はどうすればいいか、家族がわかるように情報を残しておきましょう。
3.遺言書
- ●遺言書の有無
- ●遺言書を預かっているのは誰かを明確に
- ●遺言書の保管方法、保管場所について
4.ペット
- ●遺されたペットのこと
ペットの里親にもお金を遺したい場合は、その旨を記載しておきましょう。
介護・告知・治療の書き方例
病気の告知や治療方法の選択、介護に関する希望などをエンディングノートに記しておけば、認知症になったり万が一のことが起きたりした場合でも、自分の意思が尊重され家族や周囲の人々も、判断に迷うことがなく安心できます。
介護や医療、終末期の希望を明確にしておくと、もしもの時に家族の迷いや負担を軽減できます。ただし、エンディングノートを納得できる内容に書き上げることができても、その保管場所を家族が知らなければ活用できません。安心できる保管方法を家族で了解し合っておきましょう。
1.介護
- ●介護を受けたい場所(自宅か施設か)
- ●介護をしてほしい人(家族の名前など)
- ●介護資金について
- ●介護をしてくれる人への支払い・財産分与について
- ●その他の希望
自身が要介護状態になったらどうしたいかを記載しておきましょう。
2.告知
- ●病名・余命の告知についての希望
- ●告知を希望しない場合は誰に判断を委ねるか
- ●臓器提供・献体についての意思
- ●知らせたい人や会いたい人(氏名・連絡先・関係など)
例えば「もしがんになったらどうしたい?」など具体的に書くとよいです。
3.治療
- ●持病・服用中の薬・既往歴
- ●かかりつけ医療機関名・医師名
- ●終末医療(苦痛の緩和)についての希望
- ●終末期や最期をどこで迎えたいか
その他、サブスク契約をしているならそのリストをエンディングノートに記載しましょう。契約は自動更新のため解約手続きをしなければ料金の支払いが続きます。
契約者の死亡で銀行口座が凍結され引落しができなくなっても、家族が契約自体を知らなければ解約されず、滞納分を請求されることもあります。
エンディングノートは遺言書の代わりになる?
たとえ相続について自身の意思を記入しても、エンディングノートには遺言書のような法的効力はありません。相続をめぐるトラブルを避けるためにも遺言書が必要です。
エンディングノートはライフプランを見つめ直すきっかけに!
親の老後は子ども世代の生活に大きく影響します。エンディングノートは、親が介護状態となったり万が一の場合に何を希望し何を伝えたいか、老後資金は足りているかなどを親子で確認し合うきっかけにもなります。
ビジネスケアラーの負担軽減、スムーズな相続につなげるためにもぜひエンディングノートを活用しましょう。
自分や家族にはどんな内容のエンディングノートが適しているのか、どんな項目が必要なのか判断できなくて迷っているなら、お金・保険・相続などの専門知識を持つ専門家に相談し、一緒に書いていきましょう。親世代の老後と、自身の家族の未来に向けたライフプランニングを具体的に進めることができますよ。