保険の無料相談で商品券やプレゼントがもらえるってホント?

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保険の基礎知識
保険の無料相談で商品券やプレゼントがもらえるってホント?

「商品券やプレゼントがもらえる保険の無料相談ってないかな?」

今まさにこの文章を読んでいるアナタ、このように考えてこのページを開いたのではありませんか? たしかに1時間程度の保険の無料相談をして、ギフト券やプレゼントがもらえたら誰でも嬉しいですよね。保険についてアドバイスがもらえるうえにオマケまでついてくるわけですから、一見して良いことづくしだと言えそうです。

しかし、すぐに次のような疑問が浮かんでこないでしょうか?

「本当にギフト券やプレゼントはもらえるのかな……?」
「なにかウラがあるんじゃないかな……?」
「商品券とかプレゼントを提供するのは法律違反って聞いたけど……?」
「そういうキャンペーンをしているサイトを利用しても問題ないのかな……?」

この記事では、そんな誰もが感じる疑問についていろいろな側面から考えていきたいと思います。特にギフト券や商品券を入口に無料保険相談をしようとしていた方は、是非ご一読ください。

1.保険相談で商品券やプレゼントがもらえることがある!?

無料保険相談をすると商品券や商品がもらえる。それも、数千円分などというように、サイトによってはかなりの高額だったりします。保険相談を受ける側も、無料で相談にのってくれるうえにプレゼントまでもらえるので、大いにメリットがあると言えそうです。そして、「どうせならプレゼントをもらえるところで相談したい!」と思うのは当然なのかもしれません。

お互いWIN-WINの関係なので、一見なんら問題が無いように思えますが、このような保険相談者特典としての商品券や商品のプレゼントは、法令上やモラル上の問題はないのでしょうか。

1-1 相談者特典として商品券をプレゼントするのはルール違反

保険の募集や販売は「保険業法」という法令でいろいろな規制がかけられています。そして、保険会社や保険代理店には、この法令を守ることが義務付けられています。

この保険業法の第300条第1項第5号には、「保険契約の締結等に関する禁止行為」として以下のような規定があります(*1)。

5 保険契約者又は被保険者に対して、保険料の割引、割戻しその他特別の利益の提供を約し、又は提供する行為

保険業法 第300条(保険契約の締結等に関する禁止行為)

この規定に対する指針として、保険業界の監督官庁である金融庁は「保険会社向けの総合的な監督指針」を策定しました(*2)。以下は、今回のテーマに関する部分の抜粋です。

II-4-2-2 保険契約の募集上の留意点
(8)法第300条第1項第5号関係
①保険会社または保険募集人が、保険契約の締結または保険募集に関し、保険契約者または被保険者に対して、各種のサービスや物品を提供する場合においては、以下のような点に留意して、「特別利益の提供」に該当しないものとなっているか。
ア.当該サービス等の経済的価値および内容が、社会相当性を超えるものとなっていないか。
イ.当該サービス等が、換金性の程度と使途の範囲等に照らして、実質的に保険料の割引・割戻しに該当するものとなっていないか。

金融庁『保険会社向けの総合的な監督指針』

そして、上記の「保険会社向けの総合的な監督指針」を受けて、生命保険協会では「保険募集人の体制整備に関するガイドライン」を作成しています(*3)。

本ガイドラインでは、「監督指針」のイ.にある「換金性の程度と使途の範囲等に照らして、実質的に保険料の割引・割戻しに該当するもの」として、現金はもちろん、ポイントサービス、金券類でも、実質的な保険料の割引・割戻しになっているものは「特別利益」に該当するとしています。

さらに、換金性が高くなくても、前払いでお金を支払った形で物品やサービスを購入できるものも、実質的に現金と同じ機能を持っているので保険料の割引・割戻しに該当するとしています。具体的な例としては、下記が挙げられています。

  • ●電子マネー、ID、商品券・ギフト券、ビール券、お米券、ギフトカード、ネット上で使用できるプリカ、カタログギフト券、テレホンカード 等

また、換金性が高くなく、前払い式支払いでもないものの、大型ショッピングモール内で利用可能なポイントや、大型の量販店や通販サイト内で利用可能なポイント、幅広い商品と交換できるカタログギフト等も、「使途の範囲」が広いと認められることから「特別利益」に該当するとされています。

ただし、クレジットカードなどでの「毎月の保険料の収納」で獲得できるポイントは、「特別利益」には該当しないと考えられています。

このように、商品券やギフトカード、クオカードなどの特典は、すでに明確なルール違反という解釈が一般的となっています。

1-2 商品そのもののプレゼントだったら大丈夫なの?

それならば、換金性が高くなく、前払い式支払いでもなく、使途の範囲が限定されている商品そのもののプレゼントだったらルール違反にならないのでしょうか。

じつは商品プレゼントについては、先ほどご紹介した「保険募集人の体制整備に関するガイドライン」には具体例として記載されていません。したがって「商品プレゼントはルール違反にならない」と解釈できるかというと、単純にそうとも言えないのです。

ふたたび金融庁の「監督指針」に戻ってみると、ア.に「経済的価値および内容が、社会相当性を超えるものとなっていないか」とあります。この項目についてガイドラインでは、社会相当性は個人の価値観や保険料の水準によって異なるため基準を設けることは困難であり、個別事例に基づき総合的に判断するとしています。

そして、社会的儀礼として行われる慶弔関係(香典・結婚祝い・中元・歳暮・祭りの寄付など)や、カレンダーの配布などについては、保険業法の禁止事項には当たらないとしています。

つまり、個別に判断するとしながらも、一般的な儀礼の金額の範囲を超えるようならば「特別利益」に当たるので法令違反になる、という解釈ができるのではないでしょうか。ですので、商品プレゼントは現時点では「完全にクロ」とはされていない一方で、金額によっては「完全にシロ」とも断定できない状態にあると言えそうです。

2.商品プレゼントを目当てに保険に加入しても問題ない?

ここまでご説明したところで、「保険業法は保険を売るほうの規制だから、保険に加入する立場の自分たちは関係ない」と考える方もいらっしゃるかもしれません。たしかにプレゼントをもらうほうは法令で規制されているわけではありません。

それならば、こういうプレゼント付きの保険相談を利用しても問題ないのでしょうか。

2-1 豪華プレゼントを常に提供しているところはどういう会社か見極めが必要

まず、商品券やギフト券の提供はルール違反とされていますので、いまだに「保険相談で○○円の商品券プレゼント!」と大々的に謳っているところはやめておいたほうがいいと思われます。

ルール違反が発覚すればそれなりの処分が科されますし、法令を知らないで運営しているとは考えにくいので、実際には商品券ではなくルールに抵触しないものしかもらえないか、もしかしたら何ももらえない可能性もあります。

明確なルール違反となる商品券などではなく、商品そのものを相談者特典としている場合はどうでしょうか。

高額商品を常にプレゼントしているところは、「一般的な儀礼の金額の範囲を超えている」と判断される可能性が高いので、コンプライアンス(企業の法令順守)的に健全ではないと考えられます。もしかしたら、そのようなところにはそのうち監督官庁などの指導が入るかもしれませんので、あまりオススメできません。

反対に、数百円程度のささやかなプレゼントや、プレゼント無しで保険相談を受けているところはどうでしょう。相談にのってくれるFP(ファイナンシャルプランナー)や取り揃えている保険商品のクオリティに自信があるところとも言えるかもしれません。

また、ガイドラインに則した運営を続けているということは、お客様の満足度が高いためリピーターとして保険相談に複数回訪れてもらえたり、口コミなどの評判が高いため多くのお客様が来店していたりするという理由も考えられます。

このように、豪華なプレゼントを提供していない理由も考えてみることで、その会社のサービスのあり方も見えてくるのではないでしょうか。

2-2 そもそも保険はプレゼント目当てで加入するべきではない

それでも、高額プレゼントについつい目がくらんでしまうということもあるとは思います。ここはひとつ、冷静に考えてみてください。

保険相談でもっとも大切なことは、相談を受ける方にとって本当に必要とする保障内容の保険をご案内することです。そして、たくさんの保険の中から、いかに相談者の希望にかなった商品を提案できるかどうかが、保険のプロであるFPのウデの見せどころではないでしょうか。

そもそもご自分の人生において想定されるリスクに対する保障として加入する保険、とくに死亡保険や医療保険は、数年~数十年という長い期間にわたって継続する大きな買い物です。

最初の保険相談でもらう高額プレゼントよりも、将来にわたって支払う保険料のほうがはるかに大きい金額なのです。毎月の保険料が数百円安いだけで、20年~30年の長い目で見ると数万円から数十万円の違いが出てきます。数千円のプレゼントどころではありませんね。

また、もしかしたら豪華なプレゼントがあるぶん、相談者に必要ではない保障を上乗せするなどして保険料が割高になってしまっているかもしれません。保険会社や保険代理店の戦略によって、相談者の意向に沿わない保険商品が販売されることは大きな問題です。

もちろん、プレゼントをもらえるところでも、相談者の立場に立って親身に相談にのってくれるところはあるはずです。その結果、自分に合った保険に加入できるならば、お互いがハッピーとなり、それはそれで問題ないと言えるでしょう。

要は、プレゼント有る無しに関係なく、自分に必要な保障と保険料のバランスに注目して保険商品の良し悪しを判断できるようであればいいのです。そのためには、信頼のおける保険ショップやFPを見つけることが保険選びを成功に導く最大のポイントと言えるでしょう。

まとめ:プレゼントの有無にとらわれず、保険相談は信頼のおけるところで

いかがでしたか?
ここでは、無料保険相談の利用者特典について、その問題点と注意すべきことなどを考えてみました。「プレゼントがもらえるなら利用してみようかな」と迷っている方は、ぜひ参考にしてみてください。

保険というものは、将来起こりうるリスクを回避あるいは軽減するための保障をお金で購入するものです。その際には、ご自分の年齢、健康状態、職業、家族構成、ライフプランなどを鑑みながら、備えておくべき保障内容と、それに見合った保険料を総合的に判断することが求められます。

そのためには、利用者特典の有無よりも、親身になって相談にのってくれる、本当に信頼できる保険ショップやFPに巡り合うことが重要になってきます。

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