何かと反社会的なイメージを喚起しがちな入れ墨・タトゥー。和彫り、宗教画、エスニックなど、ソリッドなものからアーバンなものまでモチーフは多彩を極めていますが、少なくとも現代日本では自らの身体に墨を入れたその時から「公衆浴場法」という法律の定めのもとに、海水浴場、市民プール、スーパー銭湯などには足を踏み入れることができなくなります。
しかし、入れ墨・タトゥーをしたことによって入れなくなるのは、何もそれだけではありません。実は生命保険や医療保険に加入しづらくなるのはご存知でしょうか。「え? なんで?」と疑問に思われたかもしれません。そこで、ここでは、その理由について分かりやすくお伝えしていきます!
1.タトゥーがあっても保険に入れるの?
入れ墨・タトゥーを入れている人が保険に加入できない理由を見ていく前に、簡単に保険の大前提について確認しましょう。
そもそも保険とは、多くの人たちがお金を出し合って、病気やケガなど万が一のことが起こったときに、その集めたお金から保険金を支払うことで生活の安定を図るという、相互扶助の精神にもとづいた仕組み。ここでポイントになるのは、お金を出す人たちの健康やモラルに関するリスクは、おおよそ等しくないといけない点です。
というのも、お金を出し合う人たちのなかで、病気やケガをしやすい人や保険金の不正取得を目論む人がいれば、その人だけ保険金を受け取れる可能性が高くなり、制度的に不公平になってしまうからです。
そこで、すべての保険は、加入者同士のバランスを保つために「公平性の原則」にもとづいて運営されています。その具体的な方法の1つとして、多くの保険に設けられているのが「審査」です。
審査とは、健康状態や職業にもとづいて、加入希望者を保険に入れても良いかどうかを公平性の原則などに照らしながら判断すること。その結果次第では、保険に加入できないこともありえます。少し先取りして言えば、入れ墨・タトゥーが入っていると保険に加入することが難しいのは、この審査を通過しないことが多いためなのです。
2.入れ墨・タトゥーを入れていると生命保険に加入しにくい2つの理由とは!?
先ほど入れ墨・タトゥーを入れている方は、保険の審査に通過しづらく、その結果として生命保険や医療保険に加入できないことも少なくないと述べました。ではいったい、入れ墨・タトゥーの何が審査に引っかかるのでしょうか。
2-1 健康上の理由! 入れ墨・タトゥーを入れていると○○○に罹りやすい!?
実際に入れ墨・タトゥーを彫る場合、専門のタトゥー・スタジオを利用するにしても、自らの手で悪戯彫りをするにしても、針などの器具で皮膚を刺して墨を入れていくという基本的な工程/スタイルに変わりはありません。そこで重要になってくるのが、針や器具などに衛生管理がしっかり行き届いているかどうかです。
施術ごとに針を使い捨てにするところであれば問題ないのですが、彫り師や施設の中には施術をまたいで消毒した針を使い回すところも皆無ではありません。その場合、それが血液を経路にして感染症に罹るキッカケを与えてしまうことも考えられます。
そのため、入れ墨・タトゥーのある人は、保険の審査でB型肝炎、C型肝炎、HIVといった感染症に罹患してしまうリスクが高いと判断され、生命保険や医療保険に加入できないケースが出てくるのです。
2-2 モラル・社会的な理由! 入れ墨・タトゥーを入れていると○○○の可能性が!?
多くの生命保険会社や損害保険会社の保険では、暴力団、暴力団員、暴力団準構成員、暴力団関係企業など「反社会的勢力」に属する人は原則的に加入することができません。その理由は、取り扱う保険商品の保険金や給付金の悪用・不正取得などの道徳的な危険(モラルリスク)が高いからです。
そのため、保険会社の審査においては、入れ墨やタトゥーが入っている方は反社会的勢力だと見なされ、生命保険や医療保険に加入できないことがあるのです。
3.タトゥーがあっても生命保険に入れる会社はある?
入れ墨やタトゥーがある方が生命保険や医療保険に加入できない理由を述べてきましたが、必ずしもすべての保険に加入できないわけではありません。
もちろん、実際に反社会的勢力に属しているのであれば、加入は厳しいと言えます。しかし、今では「ファッション・タトゥー」という言葉もあるように、アートやファッションの一環として入れ墨やタトゥーを取り入れて楽しむ文化も定着しており、入れ墨やタトゥーを入れているからといって反社会的勢力だとは限りません。
そのような場合、保険会社によっては審査次第で加入が認められるところもあります。通常よりも保険料が割増しになったり、感染症については保障の対象外になったり、様々な条件が付くこともあるかもしれませんが、加入できる可能性はゼロではないのです。
保険に加入するときには、基本的に自らの健康状態を申告する健康告知があるので、その際に入れ墨やタトゥーがある方は、その事実を正直に話してみると良いでしょう。
4.入れ墨・タトゥーを入れている事実を隠して保険に加入したら……?
入れ墨やタトゥーがあることによって保険に加入しにくいのであれば、そもそも入れ墨・タトゥーがある事実そのものを隠して加入手続きを進めれば良いのではないか。中には、そのように思われた方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、それは後々トラブルに繋がりかねないので、絶対にやめましょう。場合によっては、保険金や給付金が支払われなかったり、途中で契約を解除されてしまったりすることも考えられます。あくまで健康告知は正直にありのまま行うことが大切です。
まとめ:タトゥーがあると入れる保険が制限されるので注意!
いかがでしたか?
この記事では、入れ墨やタトゥーを入れることによって入れなくなるのは、市民プールやスーパー銭湯だけではないことをお伝えしてきました。これまで述べてきたような理由で、生命保険や医療保険にも入りづらくなってしまうのです。すでに入れ墨・タトゥーを入れている方も、これから入れようかなと考えている方も、この点には注意を払うようにしましょう!