介護保険の選び方~自分に合った保険を選ぶ6つのポイント~

Column

保険の基礎知識
介護保険の選び方~自分に合った保険を選ぶ6つのポイント~

「超高齢化社会がやってくる!」

皆さんも、そのようなメディアの報道を耳にしたことがあるかもしれません。実際、日本では65歳以上の高齢者が占める割合は2021年時点で29.1%(*1)で、2036年には33.3%と3人に1人となり、さらに2058年には38%になるという予想が立てられています(*2)。

急速な高齢者の増加は社会問題だと言えますが、それにともない高齢者の方が健康かつ安全に日々を過ごせるようにする為の「介護」が大きな課題になりつつあります。

日本では2000年から公的介護保険制度がスタートしました。これにより介護を必要とする方々が、それまでよりも少ない自己負担額で介護サービスを受けられるようになりましたが、必ずしもそれですべてをカバーできるわけではありません。

そこで、公的介護保険制度だけではカバーしきれない部分を補う方法として注目を集めているのが「民間の介護保険」です。しかしながら、医療保険や死亡保険などと比較して歴史の浅い介護保険は、保険会社や保険商品によって保障内容や支払基準がバラバラなのが現状です。

「介護保険に興味はあるけど、どのような基準にそって選べばいいのか分からない……」

介護保険に対して、そのような感想を持たれている方も多いのではないでしょうか? そこで、ここでは民間の介護保険の選び方について、6つのポイントに分けて簡単にお伝えしていきます。皆さんの介護保険選びの参考にして頂ければ幸いです。

なお、ここでいう「介護保険」とは「公的介護保険制度」ではなく「民間の介護保険」を指しています。特別な断りがない限り、民間の介護保険のことだとお考えください。

1.介護保険の2つのタイプ、「積み立てタイプ」と「掛け捨てタイプ」はどっちがいい?

介護保険には大きく分けて2つのタイプが存在します。「積み立てタイプ」「掛け捨てタイプ」です。

それぞれの特徴を簡単に解説したうえで、どのような基準で選べばいいのかを見ていきましょう。

1-1 死亡保障も併せて準備したい方は「積み立てタイプ」

加入後の保険料が一切上がることなく、介護への備えができる介護保険が「積み立てタイプ」です。

基本的に積み立てタイプの場合、死亡保障がセットになっており、介護状態になったときだけではなく、万が一のときや、解約や満期の段階でまとまった保険金を受けることもできます。なので、介護が必要になったとき以外にも、万が一のことが起こったときや、介護以外で大きな資金が必要になったときなど、何かしらの形で自分もしくは家族が保険金を受け取ることができます。

ただし、積み立て機能を備えているので、月々の保険料は掛け捨てタイプに比べて割高になりますし、解約時に受け取れる解約返戻金は、それまでに支払った保険料を大きく下回ってしまう可能性もありますので注意が必要です。

介護保障と併せて、亡くなった時の死亡保険や、急な出費にも備えたい方は、積み立てタイプの介護保険がマッチしていると言えます。

1-2 介護保障のみを用意したい方は「掛け捨てタイプ」

手頃な保険料で介護の備えを用意できる介護保険が「掛け捨てタイプ」です。

満期保険金や解約時の解約返戻金が受け取れない代わりに、積み立てタイプに比べて割安な保険料で介護状態に備えることができる保険だと言えます。しかしながら、保障内容は介護保障のみの商品が多く、所定の介護状態にならない限り支払っていた保険料が無駄になってしまう可能性があります。

すでに死亡保険や急な支出に対応するための資産形成などは別で準備しており、あくまで割安な保険料で介護保障のみを必要としている方は、掛け捨てタイプの介護保険が適しています。

2.受け取りの方法は「介護年金」と「介護一時金」どっちがいい?

民間の介護保険で支払要件に該当したとき、保険金の受け取り方は大きく分けて「介護年金」「介護一時金」があります。

それぞれどのような特徴があるのでしょうか。選ぶ基準も併せて簡単に見ていきましょう。

2-1 月々の費用重視なら「介護年金」

介護年金は1年に一度、まとまった保険金を受け取れる保障です。介護一時金と比べて、長期間にわたって保障を受けることができますが、1回に受け取れる保険金額は小さくなります。

介護年金のメリットとしては、介護がいつまで続くか分からない中で、介護状態が続く限り継続して保険金を受け取れる点です。ですが、逆にもし介護期間が短期間だった場合、保険金の受取額が想定よりも少なくなってしまうことも考えられます。

もし、介護の初期費用(住宅の増改築、施設への入居費など)よりも、月々の介護サービス費や生活費といった継続的にかかる費用に重点を置きたいのであれば、介護年金が適していると言えるでしょう。

2-2 初期費用重視なら「介護一時金」

介護一時金は、介護状態になった時点で、まとまった保険金を受け取れる保障です。介護年金と比べて、保険金を受け取れるのは1回きりですが、そのぶん保険金額は大きくなります。

介護一時金のメリットは、介護期間に関わりなく一括して手厚い保険金を受け取れるところです。しかし、もし介護期間が長期間になった場合、「介護年金を選んでいた方が大きな保険金を受け取れていたのに!」という事もあるかもしれません。

もしも月々の介護サービス費や生活費といった継続してかかる費用よりも、介護用品購入費、住宅の改修費、施設入所費といった初期費用の備えに重点を置きたいのであれば、介護一時金がマッチしていると言えるでしょう。

3.保険金額はいくらにすればいい?

介護保険を選ぶうえで重要なのが、保険金額をどのくらいに設定するのかです。もちろん、それぞれの家族構成や貯蓄額などによっても大きく変わりますが、やはり何かしらの目安は欲しいところです。

そこで、ここでは「介護にかかる金額」をもとに必要となる保険金額を考えてみましょう。

3-1 介護にはどのくらいの費用がかかる?

生命保険文化センターの調査(*3)によれば、介護にかかる費用と期間の平均は次のようになっています。

●介護にかかる費用と期間
・月々にかかる介護費用:月8.3万円
・介護にかかる期間:61.1か月(5年1か月)

上記の結果を参考にし、介護にかかる費用の平均を計算すると下のような結果が導かれます。

●介護にかかる平均費用
 8.3万円×61.1か月=約507万円

さらに、介護を始めるにあたっては、通常は住宅改造や介護用ベッドの購入などの一時費用がかかり、これらの初期費用の合計は74万円という結果が出ています。したがって、介護にかかる総費用としては平均581万円ということになります。

3-2 介護年金と介護一時金で保険金額はちがう!

では、この介護費用に対する備えとして、どのように介護保険の保険金額を設定すれば良いのでしょうか。

前述したように、介護保険金の受け取り方には、継続して1年に一度保険金を受け取れる「介護年金」と、支払要件に該当した場合にまとまった保険金を一括で受け取れる「介護一時金」があります。

まず介護年金の場合、保険金を受け取れるのは1年に一度ですから、「1年間に必要な介護費用をカバーすること」を目的に保険金額を決めていきます。介護費用の平均は月間8.3万円ですから、年間では平均99.6万円かかることになります。そう考えると、介護年金の保険金額は、100万円前後に設定しておくと良いでしょう。

次に介護一時金の場合、保険金を受け取れるのは支払要件に該当した時点1回のみです。先ほど見たように、介護費用の平均総額は581万円でした。すなわち、介護一時金の保険金額は、500~600万円を目安に用意しておけば安心と言えそうです。

ただし、介護にかかる費用のすべてを介護保険でまかなう必要はありません。たとえば、介護が必要になっても面倒を見てくれるご家族がいたり、あるいは貯蓄で十分に介護費用をまかなえたり、そうした場合には上記の保険金額よりも少額に見積もっても良いかも知れません。

あくまでお伝えした保険金額は1つの目安として考えつつ、自身の状況と照らし合わせながら適切な金額を用意しましょう。

4.保険期間は「終身型」と「定期型」のどっちがいい?

多くの保険と同じように、介護保険の保険期間も、一生涯の保障が続く「終身型」と、一定期間のみ保障される「定期型」の2種類に分けられます。

終身型については、いっさい保険料が上がることなく、保障は一生涯続きます。そのぶん、加入時の保険料は定期型よりも高く、途中で見直しをする機会を持てない点には注意が必要です。

定期型に関しては、手頃な保険料で、保障は一定期間です。保険料は定期的な更新(1年ごと、5年ごと、10年ごと等)を迎えるたびに保険料は高くなっていきますが、その更新を改めて自分の保険を見直すタイミングとして捉えることもできます。

「終身型か、定期型か」という点については、基本的に年齢によって決めていきます。

4-1 65歳以上の方は「終身型」!

65歳以上の方が介護保険に加入する場合であれば、終身型を選んだ方が良いでしょう。

高齢になってから加入する保険の場合、一般的にはそれ以降の見直しは想定せずに、一生涯持ち続けるのが基本です。もし加入後に見直しを検討したいと思った時に、年齢や健康状態によっては新たな保険に加入することができなかったり、見直し時の保険料が高額になってしまう懸念があるからです。

4-2 65歳未満の方は「定期型」!

それに対して65歳未満の方であれば、定期型を選んだほうが良いでしょう。

保険の保障内容は医療事情や介護事情に応じて、時間とともに変化していきます。たとえ現時点では自分にとって最良の保障内容だと思える保険であっても、将来的にその保障はあまり役に立たなくなってしまう可能性もありえます。ですから、若い方の場合、まずは定期型に加入し、節目ごとに見直しをしていくのが良いのではないでしょうか。

加えて、医療保険や死亡保険と比べて、介護保険はまだまだ発展途上の保険です。本格的な高齢化社会に突入し、市場の介護ニーズが高まった時に、さまざまな新しい保障が出来てくることも十分に考えられます。そのときにフットワーク軽く見直しができるように、やはり若い方が介護保険に加入するとしたら定期型が良いと言えそうです。

5.保険金の支払条件はどうすればいい?

介護保険の支払条件は大きく分けて「公的介護保険連動型」と「独自基準型」があります。原則的に、保険金の支払条件が厳しければ月々の保険料は安く、その逆に支払条件が甘ければ月々の保険料は高くなります。

それぞれの特徴を理解した上で、加入時にはしっかりと自分に合ったものを選ぶようにしましょう。

5-1 公的介護保険連動型とは?

公的介護保険連動型とは、保険金の支払要件が公的介護保険の「要介護認定」と連動している介護保険です。

要介護認定は、市区町村から「介護が必要な状態だと認められること」です。要介護認定には、身体の状態などに応じて、軽度な要介護1から、重度な要介護5まで、5段階の区分が設けられています。公的介護保険連動型の介護保険の場合、いずれかの要介護認定に該当したときに、保険金が支払われます。

ですが、注意したいのは公的介護保険連動型だからといって、支払要件が一律ではないということです。

その支払要件は、保険会社や保険商品によって、要介護1で保険金が支払われるものから、要介護5にならないと保険金が支払われないものまで、多くのバリエーションが存在します。加入時にしっかりと確認しておくことが大切でしょう。

公的介護保険連動型のメリットは、独自基準型と比較して、支払要件が公的介護保険の要介護認定に沿っているので明確で分かりやすいところです。しかし、もしも要介護認定の事務手続きに時間がかかったりした場合、それまでの間は保険金を受け取れない点には注意が必要でしょう。

5-2 独自基準型とは?

独自基準型とは、保険会社が独自に定めた支払要件に該当した場合に保険金が支払われるタイプの介護保険です。

その支払要件に該当した場合、スムーズに保険金を受け取ることができますが、保険会社が独自に設けている基準のため、どのうような状態になった場合に保険金が受け取れるのか、その内容は細かく確認をすべきでしょう。

6.特約はどうすればいいか?

介護保険の代表的な特約として挙げられるのは、「認知症特約」と「保険料免除特則」です。自身の状況を踏まえたうえで、保険料に無理がなければ特約の付加を検討してみても良いかも知れません。

6-1 認知症特約とは?

認知症を理由に介護が必要な際、主契約の介護保険金とは別に上乗せで保険金を受け取れる特約です。

認知症の場合、身体は健康なケースも多く、家の外や中を歩き回ると言った行動が見られることもあります。それゆえ、できるだけ1人にしたくないという思いから、通常よりも長時間の介護サービスを利用し、介護費用の負担は大きくなりがちです。

そうした認知症の介護による費用負担を軽減するのが認知症特約と言えます。

6-2 保険料免除特則とは?

保険料免除特則は、所定の介護状態に該当したときに、保障はそのままに保険料の支払いを免除される特約です。

もし介護状態になったとしたら、介護費用を負担しながら、さらに毎月の保険料も支払っていかなければなりません。保険金が受け取れるとはいえ、今までより経済的に苦しい生活になることが想定されます。そのときに保険料を支払うことができず、生命線のひとつである介護保険からの保険金さえ途絶えてしまっては大変です。

そうした事態に備えて、所定の介護状態になった段階で保険料の支払いを免除される特約が保険料免除特則なのです。

まとめ:介護保険は6つのポイントを基準に選ぶ!

いかがでしたか? ここまで、

  • ・介護保険は「積み立てタイプ」と「掛け捨てタイプ」のどっちにするか?
  • ・介護保険の受け取りの方法は「介護年金」と「介護一時金」のどちらにするか?
  • ・保険金額はいくらに設定するか?
  • ・保障期間は「終身型」と「定期型」のどちらにするか?
  • ・介護保険の受け取り要件は「公的介護保険制度連動型」と「独自基準型」のどちらにするか?
  • ・特約はどうするか?

以上の6つのポイントに沿って、お客様1人ひとりに合った介護保険の選び方をお伝えしてきました。

ですが、「介護保険を選ぶポイントは分かったが、その1つ1つを自分で考えてジャストフィットした保険を選べるだろうか……?」と不安に思われた方もいらっしゃるかも知れません。

もしそう思われた方は保険のプロの力を借りるのも1つです。私たち保険見直し本舗には多くの保険のプロが在籍しており、皆様の保険のお悩みについてどんな小さなことでも丁寧にご対応させて頂きます。

先ずはお気軽に保険のお悩みをお聞かせ下さい。心よりお待ちしております。

⇒無料保険相談を上手に活用するための厳選ポイントはこちら