自動車保険のノンフリート等級制度とは?

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保険の基礎知識
自動車保険のノンフリート等級制度とは?

自動車保険は、契約者が安全運転であればあるほど、保険料が安くなる仕組みになっています。イメージとしては、医療保険の保険料が、持病がある人に比べて健康な人の方が安いことと一緒です。

しかし、ここで一つの疑問が浮かびます。 ある人が健康かどうかは健康診断の結果を見ればおおよそ見当がつきますが、安全運転かどうかはどうやって分かるのでしょうか。

実は自動車保険においては、「ノンフリート等級制度」という20段階に分かれたクラスに沿って、契約者の安全運転のレベルを格付けしています。そして、その等級に応じて、自動車保険の保険料が割引・割増されるのです。

ここでは、そんなノンフリート等級制度が具体的にどういったものなのかを分かりやすく解説していきます。

1.そもそもノンフリート等級制度ってなに?

「ノンフリート等級制度」という言葉をみて、何か少し引っかかりを感じませんでしたか?
「等級制度」は何となく理解できます。「何かを格付けしているルール」くらいのおおよそのイメージが湧くでしょう。

しかし、頭についている「ノンフリート」というのは、一体どういう意味でしょうか。皆目見当がつきません。まずはノンフリートが何かという点から見ていきましょう。

1-1 フリート契約とノンフリート契約の違い

自動車保険の契約は、大きく分けて「フリート契約」「ノンフリート契約」の二つに分けることができます。

●フリート契約
フリート契約は、10台以上の車に一括して自動車保険をかける契約のことを指します。「え、10台以上車を持っている人なんて見たことないけど……」と思うかもしれませんが、フリート契約は主に個人ではなく法人を想定しています。運送会社やタクシー会社が自社の車にかける保険契約といえば、少しイメージしやすいでしょうか。

●ノンフリート契約
それに対してノンフリート契約は、「ノン・フリート契約」すなわち「フリート“ではない”契約」を意味しています。先ほど見てきたように、フリート契約が車10台以上まとめての契約でしたから、逆にノンフリート契約は車9台以下の契約です。相当なお金持ちや車マニアでもない限り、個人で10台以上の車を保有している方は稀なので、個人で加入する自動車保険のほとんどはノンフリート契約ということになります。

1-2 結局、ノンフリート等級制度ってなに?

自動車保険では、フリート契約とノンフリート契約の別を問わず、割引・割増の制度が用意されています。とはいえ当然、その二つの契約においては、割引・割増の基準は異なります。

ですから、これまでの話を踏まえて正確に言うならば、ノンフリート等級制度とは、「ノン・フリート契約(フリート契約“ではない”)の自動車保険において割引率もしくは割増率を決めるための等級制度」ということなのです。

2.ノンフリート等級制度の具体的な中身

では、続いてノンフリート等級制度の具体的な内容を見ていきましょう。

2-1 ノンフリート等級制度の内容

シンプルにいえば、ノンフリート等級制度は、各ドライバーの等級(安全運転度)に応じて、自動車保険の保険料を割引したり割増したりするための制度です。

等級は、1等級から20等級までの20ランクに分かれており、20等級が文句なしの優良ドライバー、1等級が事故を起こして保険にお世話になりがちなドライバーだと言えます。

もちろん等級が高いほど割引率も高く、保険料は安くなります。反対に等級が低いほど割引率も低くなります。さらに一定の等級を下回ると割引どころか割増が適用されてしまい、保険料はより一層高くなります。

また一部例外を除いて、等級は保険会社を変えたとしても、そのまま継承されます。

2-2 ノンフリート等級制度のルール

ノンフリート等級制度が、ドライバーの等級によって自動車保険の保険料を割増・割引する制度だということが分かりました。

では次に、その等級がどのように決まるのか見ていきましょう。

2-2-1 最初は6等級からスタート

初めて自動車保険の契約をする場合であれば、6等級からのスタートになっています。ここから1年ごとに事故を起こしたかどうか(保険を使用したかどうか)によって、等級が上がったり下がったりするのです。

ただし、2台目以降の車で新たな自動車保険の契約を結ぶとき、ケースによっては7等級からスタートする例外もあります。2台目以降の車で自動車保険の加入を検討する際には、気を配りたいポイントの一つです。

2-2-2 1年間事故がなく保険を使わなければ次年度から等級は1UP

1年間無事故で、保険を使うことがなければ、等級は一つ上がります。また、後ほど詳しく述べますが、事故の種類によっては保険を使っても、等級が上がるケースも考えられます。

2-2-3 事故を起こし保険を使えば次年度から等級がDOWN

もしも自動車事故を起こして保険を使用した場合、基本的に3等級ダウンしてしまいます。ただし、事故の状況などによっては、1等級ダウンで済んだり、等級がダウンしなかったりするケースもあります。

ノンフリート等級制度では、自動車事故を「3等級ダウン事故」「1等級ダウン事故」「ノーカウント事故」の三つに分けているので、それぞれ簡単に見ていきましょう。

  • ■3等級ダウン事故
  • ・他人にケガを負わせてしまい、対人賠償保険金が支払われた事故
  • ・他人の車や物を壊してしまい、対物賠償保険金が支払われた事故
  • ・建物やガードレールに車をぶつけてしまい、車両保険金が支払われた事故
  • ■1等級ダウン事故
  • ・車が盗まれてしまい、車両保険金が支払われた事故
  • ・車体に落書きされたり傷を付けられたりなどイタズラに遭い、車両保険金が支払われた事故
  • ・台風、洪水、飛び石などで車が壊れてしまい、車両保険金が支払われた事故
  • ■ノーカウント事故
  • ・自分や搭乗者が自動車事故でケガを負い、人身傷害保険金や搭乗者傷害保険金のみが支払われた事故
  • ・原付の事故でファミリーバイク特約の保険金が支払われた事故
  • ・愛犬が他人に噛みついてケガを負わせてしまい、個人賠償責任特約の保険金が支払われた事故

2-3 等級ごとにどのくらい割引・割増される?

先述したとおり、ノンフリート等級によって自動車保険の保険料は割増・割引されます。しかし、どのくらい割引・割増されるかは等級のみで決まるわけではありません。等級とは別に「無事故係数/事故有係数」と呼ばれる基準があります。

たとえば、同じ10等級の2人、AさんとBさんがいたとしましょう。Aさんは無事故のまま10等級になったのに対して、Bさんは長年無事故で一時は13等級まで上がったものの、3等級ダウン事故を起こし10等級に下がってしまったのです。

その場合、Aさんには無事故係数、Bさんには事故有係数がかかります。たとえ同じ等級であっても、係数によっては保険料の割引/割増率に差が出てきます。

つまり、ノンフリート等級制度における割引率・割増率は、等級および事故に関わる係数で決まる仕組みなのです。それぞれの等級および係数ごとに具体的な割引率・割増率は下の図表にまとめましたので、是非参考にしてみてください。

なお、事故有係数の適用期間は、3等級ダウン事故で3年、1等級ダウン事故で1年となっています。適用期間中に再び事故を起こしたら、合計最長6年を限度に適用が延長されてしまうので注意が必要です。

自動車保険の等級による割引・割増率

3.ノンフリート等級制度に関する注意点

最後に、ノンフリート等級制度に関連して、是非とも注意して頂きたいポイントを2つご紹介します。

3-1 契約途中の自動車保険の乗り換えは要注意!

先ほどノンフリート等級制度上、1年のあいだ事故なく保険を使わなければ等級が1つ上がることをお伝えしました。ですが、実はその条件を満たしていたとしても、等級が上がらないケースがあります。自動車保険の保険期間は基本的に1年更新になっていますが、その更新前に別の保険会社の自動車保険に乗り換えた場合です。

たとえば、ある自動車保険へ加入して10ヶ月後、更新を待たずに別の保険会社の自動車保険に乗り換えを行ったとします。この場合、乗り換えるまでの10ヶ月間を無事故で過ごしていたとしても、その無事故期間は一旦リセットされてしまいます。等級を上げるためには、新しい自動車保険の契約がスタートしてから改めて1年間、無事故(保険を使用しない)で過ごさなければならないのです。

ですので、もし現在の契約があと少しで更新や満期を迎えるようなときには、すぐに別の保険会社に乗り換えるのではなく、更新や満期のタイミングまで待つことも視野に入れたほうが良いでしょう。

3-2 少し等級制度が違う場合も!?

原則的にノンフリート等級は、20段階に分かれていることはすでにお話しました。しかしながら、共済の自動車保険のなかには等級が20段階ではなく22段階のものも存在します。

もし共済で加入している21~22等級の自動車保険を民間の自動車保険へ切り替えた場合、切り替え後の等級は20等級になります(切り替え前に無事故の場合)。

まとめ:まずは自分の等級の確認から!

いかがでしたか? ここまで、

  • ・ノンフリート等級制度は自動車保険の保険料の割引率/割増率を決めるための制度
  • ・ノンフリート等級は20段階に分かれており、等級が高いほど割引率が高く、等級が低いほど割引率が低い
  • ・1年間、無事故で保険を使わなかったら、1等級はUP
  • ・事故を起こしたら、基本的に3等級ダウン。事故の状況によっては、1等級ダウンで済んだり、等級がダウンしないことも
  • ・自動車保険を乗り換えるときは更新もしくは満期の時期に
  • ・共済の等級制度には要注意

といったことについてお話してきました。すでに自動車保険に加入している方の中にも、自分の等級を把握されていない方もいらっしゃるのではないでしょうか。

「自動車保険の保険料を安くしたいなぁ」
「自動車保険を自分に合った内容に見直したいなぁ」

そのように考えて別の保険会社で見積もりをしてもらうとき、現時点の自分の等級はかならず必要になってきます。もしもご自身の等級が分からないようであれば、保険証券や更新の案内に明記されているはずなので、まずはしっかりと確認してみましょう。

そして、そのうえで是非いまの自動車保険の内容もチェックし、本当に自動車保険が今のままで良いのかどうか改めて考えてみてください。もしかしたら自動車保険を見直すことで、今まで以上に保険料負担が軽くになったり、自分にあった補償を備えることができたりするかも知れません。

しかし、「自動車保険は複雑で自分一人ではどうやって見直せば良いのか分からないよ……」という方もいらっしゃるかも知れません。少しでもそう思われたなら、是非保険見直し本舗にご相談をお寄せください。保険見直し本舗には生命保険から損害保険まで、さまざまな保険に精通したプロフェッショナルが多く籍を置いています。

保険について小さなことでも構いません。ぜひ保険見直し本舗へご相談ください。保険のプロとして、コンサルティングアドバイザーがご対応いたします。心よりお待ちしております。