モバイル保険とは? スマホ画面が割れてしまったときなどの修理代をカバー

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保険の基礎知識
モバイル保険とは? スマホ画面が割れてしまったときなどの修理代をカバー

もはや所有していない人のほうが珍しくなったスマートフォン。近年は高性能なだけでなく、本体価格が高額な端末も数多く販売されていますね。

スマホを購入したものの「落として壊れたらどうしよう」と不安を抱きながら使用している方も多いのではないでしょうか? 故障した場合はメーカー保証を利用できますが、保証期間が限られている場合や故障の事由が保証の対象外であるケースもあります。

スマホやノートPCなどの高額なモバイル端末を所有している方は、モバイル保険に加入するという方法があります。モバイル保険に加入していると、端末を壊してしまってメーカー保証が受けらない場合でも修理費を補償してもらえるのです。

今回は、モバイル保険の内容や選び方について詳しく解説していきます。読んでいただくことでモバイル保険への理解が深まり、自分にとって必要かどうか判断できるようになりますので、ぜひご一読ください。

1.モバイル保険とはどんな保険?

モバイル保険とは、スマホやノートPCなど持ち運びできる電子機器を壊してしまった場合の修理費用を補償してくれる保険。例えば、スマホを落として壊してしまい、修理のための費用が発生した場合に保険金が支払われる仕組みです。

最近のモバイル端末は本体代金が高額なため、故障した場合の修理費用も高額になる場合があります。モバイル保険に加入し、端末が故障して修理した場合に保険金を受け取ることで、修理費が高額になっても自己負担する金額を抑えることが可能です。

このモバイル保険は少額短期保険という種類の保険で、通常の損害保険と比較して補償額が少ないなどの違いがあります。

1-1 モバイル保険が誕生した背景

モバイル保険が誕生した背景には、高額なモバイル端末を所有し持ち歩く人の増加があります。

スマホは、通話やメールだけでなく「ニュースを見る」「電子書籍を読む」「音楽を聞く」など幅広く利用されています。総務省の調査によると、2020年時点のスマホの世帯所有率は86.8%(下図)で、個人所有率は69.3%(通信規格が5G以外。*1)。もはやスマホは生活必需品と言えるレベルまで普及していると言っても過言ではありません。

情報通信機器の世帯保有率の推移

スマホが普及する以前に多くの方が利用していた従来型の携帯電話、いわゆるガラケーの本体価格は、2万円~3万円ほどと安価でした。しかし現在のスマホは、本体価格が10万円を超えるものも珍しくありません。

さらに近年は、働き方の多様化によりテレワークを導入する企業や、喫茶店などオフィス以外のさまざまな場所で仕事をするノマドワーカーとして働くフリーランスが増えたため、ノートPCを持ち歩く人も増えました。また、健康管理のデバイスとしてスマートウォッチなどのウェアラブル端末を身に着けている人も増えています。

このように、時代の変化によって多くの方が高額なモバイル端末を所有し持ち運ぶ時代となったため、端末を壊してしまうリスクも高まり、モバイル保険が販売され始めたのです。

2.モバイル保険の補償内容は? メーカー保証とどう違う?

ここからはモバイル保険の具体的な補償内容や、メーカー保証との違いを解説していきます。

2-1 モバイル保険の補償内容

たとえば、さくら少額短期保険が販売しているモバイル保険では、所有しているモバイル機器を壊してしまった場合に、年間最大で10万円までの修理費を負担してくれます。

補償の対象となるのは、破損水没だけでなく盗難まで幅広いです。ただし、バッテリーの消耗などの自然劣化は補償の対象外であるため注意しましょう。加えて、地震や水災による損害、台風などの風災によって屋外で損害を受けた場合も補償されません。

補償対象の機器は、Wi-FiやBluetoothにつながるスマホ、スマートウォッチ、携帯音楽プレイヤーなどで、3台まで登録が可能です。そして、補償対象の機器を登録するときは主端末と副端末を指定する必要があり、以下のように補償金額が異なります(*2)。

モバイル保険の補償金額

保険料は月額700円で、補償期間は1年間です。ただし、契約終了の意思表示をしなければそのまま1年間の自動更新となり、保険料を支払っている限り補償期間は続きます。

また、端末を修理する場合は、モバイル保険と提携している店舗に持参することで、支払いを立て替えずに保険会社から修理業者に対して直接保険金を支払ってもらうことも可能です。

2-2 申し込み方法と保険金申請方法

モバイル保険の申し込みは、インターネット経由で名前や生年月日、住所、支払い方法、主端末と副端末の機種などを入力するだけで簡単に行えます。

保険金の申請方法は、以下のような状況に応じた必要書類を用意するとともに破損した機器の写真撮影を行い、保険金の請求ページにアップロードすることで請求が可能です(*3)。

モバイル保険の保険金申請時の必要書類

上記の申請書類は、修理日や修理した端末の機種名、修理内容が記載されてないと申請書類として認められない場合があります。また、申請用の写真を撮影するときは、事故端末の損害状況が分かるように撮影しましょう。

2-3 機器に付帯するメーカー保証などとの違い

スマホなどを購入するときには、機器のメーカー保証や販売しているキャリアの保証を案内されることがあります。モバイル保険は、これらの保証と似ている部分もありますが、以下のように異なる点も多数存在します。

モバイル保険とメーカー保証・キャリア保証との違い

メーカー保証やキャリア保証は、会社によって異なります。高額なモバイル端末を購入するときは、メーカーやキャリアの保証内容を確認したうえで、モバイル保険への加入が必要かどうか判断しましょう。

3.モバイル保険の必要性は?

モバイル端末を持っているからといってモバイル保険への加入が必須であるとは限りません。それでは、どのような方にモバイル保険は適しているのでしょうか? ここでは、モバイル保険に加入する必要性が高い人と低い人をそれぞれ説明していきます。

3-1 モバイル保険の必要性が高い方

モバイル保険の必要性が高い方は、以下のような方です。

  • ●高額なモバイル端末を所有している
  • ●複数のモバイル端末を利用している
  • ●出先でモバイル端末を利用する頻度が高い

とくに10万円を超えるようなモバイル端末を所有している人で、高額な修理費用を支払うと家計や生活に大きな影響が出てしまう方は、モバイル保険の必要性が高いと言えるでしょう。

端末が高額である場合、ローンや分割払いを利用して購入している人も多いです。ローンや分割払いを利用している人が端末を壊してしまうと、残債がある状態で新しい端末を購入しなければならなくなり、二重に債務を抱えてしまうリスクがあります。

そして、自己のモバイル端末を仕事で利用している方や、複数のモバイル端末をよく持ち歩くという方、さらにアウトドアが趣味でよく外出する方などは、モバイル機器を破損させるリスクが高くなります。そういった方にはモバイル保険への加入をおすすめします。

3-2 モバイル保険の必要性が低い方

一方で、モバイル保険の必要性が低いのは、以下に該当する方々です。

  • ●モバイル端末が破損しても貯蓄で修理できる
  • ●モバイル端末が破損するリスクがあまりない
  • ●所有しているモバイル端末が安価かつ3台未満

上記のうち最もモバイル保険の必要性が低いのは、端末が破損しても自分の貯蓄で修理できる方や、修理代金を支払った場合でも家計に大した影響が出ない方です。

保険に加入する目的は「自分の資産だけでは対処できない経済的なリスクに備えるため」です。自動車保険や火災保険は、数千万円~数億円などの自分ではとても払いきれない賠償や損害が発生するリスクに備えて加入しますよね。しかし、モバイル端末の修理代は多くても数万円~十数万円程度。無理に保険に加入せずとも貯金で支払える可能性も充分にあるでしょう。

また、モバイル保険の保険料は月額制ですので、年間8,400円、10年間で84,000円などといった保険料負担となります。モバイル端末をあまり持ち歩かない人や、モバイル端末を1台しか所有していない人のような破損するリスクが低い方は、保険料の支払いが無駄になる可能性もあるかもしれません。

まとめ:自分のモバイルライフに合わせて保険への加入を考えよう

モバイル保険は、スマホやPCなど高価なモバイル端末を破損させてしまった場合の修理費用を補償してくれるものです。加入することで端末が破損したときの経済的な負担を抑えられます。高価なモバイル端末を所有している方や、複数のモバイル端末を所有している方、外出先でモバイル端末をよく利用する方にとっては必要性の高い保険と言えるでしょう。

ただし、高価なモバイル端末を所有していない方や、外出先ではあまりモバイル端末を使用しない方などにとっては、必要性が低い場合があります。所有しているモバイル端末やライフスタイルも含めて入念に検討しましょう。