海外旅行へ行くときに忘れてはならないのが海外旅行保険。
もちろん何事もなく無事に帰国できることが一番ですが、環境の変化で体調を崩したり、貴重品を盗まれてしまったりといったトラブルに巻き込まれることも考えられます。
また、海外では日本の健康保険を使うことはできませんから、現地の病院で病気やケガの治療を受けることになったら、治療費は高額になってしまうケースも少なくありません。
そのようなリスクに備えるのが海外旅行保険の役割です。海外旅行保険は、インターネット上から簡単に申し込めるものもありますから、面倒がらずに旅行前に必ず準備をしておきましょう。
しかし、そうはいっても「そもそも海外旅行保険ってどういう保険?」「海外旅行保険に入りたいけど、どうしたらいいの?」という方もいらっしゃると思います。
そこで、ここでは海外旅行保険の押さえておくべき基本的なポイントについて分りやすく解説していきます。是非この記事を読んで、海外旅行保険をしっかり準備し、心置きなく楽しい旅行を満喫してください!
1.海外旅行保険ってそもそも何?~基本的な補償内容~
海外旅行保険とは、外国への旅行中に起こった予期せぬアクシデントによって発生した経済的な負担をカバーしてくれる保険です。 旅行中に病気やケガをしたときの治療費、他人や他人の物に損害を与えてしまったときの賠償責任、衣服や貴重品など持ち物が盗難にあったときの補填、といったものを主な補償対象としています。 また、商品によっては、飛行機の遅延や欠航によって発生した思わぬ宿泊代や食事代、飛行場で預けた荷物が行方不明になったときの身の回り品の購入費、旅行中の家族の不幸で急に帰国しなくてはならなくなったときの費用など、海外旅行のリスクを幅広くカバーしてくれるタイプもあるようです。 では、海外旅行保険はこれらのリスクをカバーするために、どういった補償を備えているのでしょうか。海外旅行保険の補償は「旅行先で病気やケガをしたときの補償」「旅行先で他人や他人の物を傷つけてしまったときの賠償責任の補償」「飛行機や交通機関のトラブル等により発生した費用の補償」の三つに大きく分けることができます。 それぞれ具体的に見ていきましょう。1-1 旅行先で病気やケガをしたときの補償
先に少し触れたように、旅行先の環境の変化で病気にかかったり、ケガを負ったりすることがあります。旅行先では日本国内と同じように健康保険が使えるわけではないので、もしも病院にかかったら治療費は高額になることも十分に考えられます。こうした費用に対して備えるのも海外旅行保険の役割の一つだと言えます。 そのため海外旅行保険には、次のような補償が備わっています。- 【旅行先で病気やケガをしたときの補償】
- ○治療費用補償:旅行先で入院・手術をした場合に、一定の限度額の範囲内で実際にかかった治療費をカバーしてくれる補償
- ○救援者費用補償:遺体や病人の移送・搬送にかかる費用をカバーしてくれる補償
- ○疾病/傷害死亡補償:旅行先で病気(疾病)やケガ(傷害)を原因に亡くなったときに保険金を受け取れる補償
- ○傷害後遺障害補償:ケガを原因として後遺障害が残ったときに保険金を受け取れる補償
1-2 他人や他人の物を傷つけたときの賠償責任の補償
旅行先で他人や他人の物を傷つけてしまうことがないとも限りません。 たとえば、海外でスキーをしているときに他人にぶつかってケガをさせてしまったり、ホテルの部屋のスプリンクラーを壊し水浸しにしてしまったり、子供がうっかりお店の物を壊してしまったりなど、他人や他人の物を傷つけて賠償責任を負うこともあるでしょう。ケースによっては、賠償責任を負ったことによる賠償金は数千万円にも及ぶことがありますから、しっかり備えをしておきたい補償の一つだと言えます。 海外旅行保険では、そのような賠償責任補償もついていることが一般的です。- 【他人や他人の物を傷つけたときの賠償責任の補償】
- ○賠償責任補償:他人や他人の物に損害を与え、賠償責任を負ったときに保険金を受け取れる補償
1-3 携行品や交通機関のトラブルにあったときの補償
海外旅行をしていると、交通機関の想定外のトラブルに巻き込まれることがあります。たとえば、飛行場で預けた荷物の到着が遅れ現地で身の回り品を買わなければいけなくなったり、飛行機が遅延・欠航して余計に宿泊費や飲食代がかかったりするケースです。 海外旅行保険には、そうした携行品や交通機関のトラブルによって発生した費用をカバーする補償も付いています。- 【携行品や交通機関のトラブルにあったときの補償】
- ○携行品損害補償:旅行中に自分が所有している、もしくは他人から無償で借りている携行品(カメラ、バッグ、衣類など)が盗難・火災・破損といった偶発的な事故により損害を受けときに保険金を受け取れる補償
- ○航空機寄託手荷物遅延等費用補償:飛行場で預けた荷物の受取りが遅れたことにより発生した予定外の費用をカバーする補償
- ○航空機遅延費用補償:飛行機の欠航・遅延により予定外に発生した宿泊費・飲食代などをカバーする補償
1-4 海外旅行保険のその他の付帯サービス
海外旅行保険には、これまでご紹介してきた補償のほかに、“いざというとき”に役立つ付帯サービスとして電話対応のサービスがついているタイプも見られます。 基本的に海外旅行保険に付いている電話サービスは、24時間365日で日本語対応してくれるので、いざというときに安心です。実際のサービスとしては、キャッシュレスで治療を受けられる近くの病院の紹介・予約・通訳の手配などはもちろん、荷物が盗難・紛失にあったときにも対応方法を丁寧に教えてくれます。 さらに、緊急時に電話で通訳をしてくれたり、航空券・宿泊施設の予約・手配の代行をしてくれたりといった、様々なサポートが用意されていることも多いようです。 海外でトラブルに見舞われ、その解決に言葉も通じにくいなか一人で対応しなければならない、といった状況になれば誰でも心細いでしょう。そうしたときに頼れるものがあれば、気持ち的にもずいぶん助かるのではないでしょうか。2.2種類の海外旅行保険
2-1 クレジットカード付帯の海外旅行保険
海外旅行保険はクレジットカードに付帯されていることがあります。クレジットカード付帯の海外旅行保険の良いところは、お手軽なところでしょう。旅行に行くたびに面倒な申込み手続きをする必要がありませんし、回数制限も特に設けられていません。 また、保険会社の海外旅行保険の補償期間が旅行の間のみなのに対して、クレジットカード付帯の海外旅行保険の補償期間は1回の旅行につき90日間など長期間のものが多いので、海外旅行が好きな人にとっては手軽で魅力的だと思います。クレジットカードの年会費などが無料であれば、保険料も実質的にゼロ円です。 とはいえ、クレジットカード付帯の海外旅行保険で注意したいのは、必ずしも補償が手厚いわけではないことです。 たとえば、病気やケガの治療費をカバーするための「治療費用補償」ですが、クレジットカード付帯の海外旅行保険の場合、限度額がおよそ50万~200万円になっています。 「それだけあれば十分じゃないの?」と感じるかもしれません。しかし、前述したように海外では日本の健康保険を使うことができません。したがって、病気やケガの程度によっても違いはありますが、治療費がかなりの高額になることも考えられます。その観点からいえば、治療費用補償はもう少し手厚いほうが安心だと言えそうです。 また、賠償責任を負ったときの費用をカバーする「賠償責任補償」についても同じことが言えます。 通常の海外旅行保険の場合、賠償責任補償は1億円以上のものがほとんどですが、クレジットカード付帯の海外旅行保険では、賠償責任補償が2,000~5,000万円というタイプが多いようです。 賠償責任リスクは、1億円近くの賠償責任を負う可能性がないとも言い切れませんから、少なくとも補償額は1億円以上あったほうがいいでしょう。この点は、クレジットカード付帯の海外旅行保険だけだと、やや心許ないと言えます。 さらに、クレジットカードの種類によっても変わってきますが、クレジットカード付帯の海外旅行保険では、旅先で保険金の支払い事由に該当したとしても、その費用を一旦立て替えないといけないことが多い、という点にも注意が必要です。もちろん帰国後に所定の手続きをすれば保険金を受け取ることができますが、一時的にではあれ、高額な治療費を肩代わりすることになったら決して負担は軽くないでしょう。 クレジットカード付帯の海外旅行保険は、手軽にコンパクトな補償を準備できるところが魅力ですが、「本当にこれだけで補償は十分なのか?」という点はしっかりと吟味するべきだと言えそうです。逆に言えば、通常の海外旅行保険に加入した方は、「上乗せ」として活用することもできるでしょう。2-2 保険会社の海外旅行保険
海外旅行保険に加入するのなら、保険会社から販売されている単体の商品を選ぶ方法もあります。 保険会社の海外旅行保険の長所としては、充実した補償が挙げられます。クレジットカード付帯の海外旅行保険と比べて、病気やケガをしたときの補償は手厚く設定されています。 治療費補償や救援者費用補償では、あらかじめ決められている保険金額を上限として病気やケガで入院・手術をしたときにかかった実際の費用が補償されますが、基本的に保険会社の海外旅行保険の保険金額の上限は「無制限」になっています。賠償責任補償についても、上限は1億円以上のタイプが多く、しっかり充実しています。 また、保険会社の海外旅行保険には付帯サービスがあります。24時間・年中無休の日本語での対応窓口があり、“いざというとき”に次のようなサポートを受けることができます。- 【保険会社の海外旅行保険の代表的な付帯サービス】
- 〇電話による医療通訳サービス
- 〇医療機関の紹介・手配
- 〇医療情報の提供
- 〇弁護士の紹介・手配
- 〇パスポートやクレジットカードの再発行援助
- 〇飛行機や宿泊施設の紹介・手配