死亡保険の平均保障額はいくら?必要な保障額の相場も解説

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保険の基礎知識
死亡保険の平均保障額はいくら?必要な保障額の相場も解説

生命保険の被保険者が死亡した場合は、死亡保険金が支払われます。この死亡保険金は、「必要保障額」に応じて決めることが基本です。

必要保障額は、死亡保険の加入目的やライフステージなどによって大きく異なります。万一に備えて終身保険や定期保険に加入する際は、保険加入者に万一の事態が発生した場合に必要となる金額をしっかりと試算し、無駄なく設定することが大切です。

そこで今回は、死亡保険の平均保障額を年齢別・ライフステージ別・年収別に詳しく紹介します。加えて、死亡保険の必要保障額の考え方や計算方法も説明しているため、「万一に備えて家族に十分な保障を遺したい」「適切な生命保険選びがしたい」と考えている方はぜひ参考にしてください。

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1.死亡保険の保障額は平均いくら?

公益財団法人 生命保険文化センターが公表する「2022(令和4)年度 生活保障に関する調査」によると、普通死亡保険金の平均保障額は全体で957万円でした。しかし、一家の大黒柱を担うのは主に男性であることから、男性と女性とでその額に大きな違いがあることも特徴です。

【死亡保険金の平均額】

男性 女性 全体
200万円未満 7.6% 17.3% 24.9%
200万~500万円未満 15.8% 24.4% 40.2%
500万~1,000万円未満 16.0% 20.2% 36.2%
1,000万~1,500万円未満 13.2% 11.1% 24.3%
1,500万~2,000万円未満 3.4% 2.6% 6.0%
2,000万~3,000万円未満 8.9% 3.4% 12.3%
3,000万~5,000万円未満 9.0% 1.2% 10.2%
5,000万円以上 3.8% 0.9% 4.7%
平均金額 1,373万円 647万円 957万円

出典:公益財団法人 生命保険文化センター ホームページ「2022(令和4)年度 生活保障に関する調査」

※18~79歳までの男女3,643人を対象に集計

男性の死亡保険の保障額は「500万~1,000万円未満」の割合が最も高かったことに対し、女性は「200万~500万円未満」の割合が最も高いという結果となっていました。 また、2,000万円以上の死亡保障額を受け取れる男性は20%以上を超える一方で、女性は5.5%と、金額が上がれば上がるほど男女で大きな差が開くことも実情です。

 

1-1.【年齢別】死亡保険金の平均額

「2022(令和4)年度 生活保障に関する調査」によると、死亡保険金額の最大値は、男性の場合30歳代で2,065万円、女性は40歳代で807万円となっていました。

下記は、性別・年齢別の死亡保険の金額を示す表です。

【年齢別・死亡保険金の平均額】

年代 男性 女性
20代 1,001万円 751万円
30代 2,065万円 768万円
40代 1,883万円 807万円
50代 1,629万円 737万円
60代 1,071万円 507万円
70代 582万円 395万円

出典:公益財団法人 生命保険文化センター ホームページ「2022(令和4)年度 生活保障に関する調査」

男性は社会人になりたての20代から定年を迎える60代まで、すべて1,000万円を超えていることが分かります。働き盛りの30代では、2,000万円を超える結果となっていました。一方で、女性は1,000万円を超える死亡保険金を受け取るケースが珍しく、男性と比較すると金額が低いです。

男性・女性いずれも30~40代における死亡保険の平均保障額が高まることには、仕事はもちろん、子育てといった理由が挙げられます。特に「子育て期間中は万一の場合に備えたい」という方は、保障額を高く設定する傾向があります。

 

1-2.【ライフステージ別】死亡保険金の平均額

「2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査」によると、世帯主の死亡保険平均金額が最大になるのは末子が小・中学生の世帯であり、平均金額は2,093万円でした。

また、配偶者の死亡保険平均金額が最大になるのは末子が乳児の世帯であり、平均金額は944万円となっています。このように死亡保険金の平均額は年齢だけでなく、ライフステージによっても異なることが特徴です。

【ライフステージ別・死亡保険金の平均額】

ライフステージ 世帯主の死亡保険金の平均額 配偶者の死亡保険金の平均額
夫婦のみ(40歳未満) 1,282万円 701万円
夫婦のみ(40~59歳) 1,326万円 645万円
末子乳児 1,945万円 944万円
末子幼稚園児・保育園児 1,961万円 885万円
末子小・中学生 2,093万円 904万円
末子高校・短大・大学生 1,709万円 639万円
末子就学修了 1,112万円 621万円
高齢夫婦有職(60歳以上) 873万円 619万円
高齢夫婦無職(60歳以上) 577万円 384万円

出典:公益財団法人 生命保険文化センター ホームページ「2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査」

ライフステージ別の死亡保険金の平均額は、「子どもの教育費に対する備え」が軸となっています。特に、末子が小・中学生のときはすでに教育費の負担が大きくなっている、または近い将来に負担が大きくなることが見込まれており、「教育費に対するリスクにきちんと備えたい」という方は保障額を高く設定する傾向があります。

 

1-3.【年収別】死亡保険金の平均額

「2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査」によると、世帯年収の増加に伴って、死亡保険金の平均額も増加することが分かっています。下記は、年収別の死亡保険金の平均額です。

【年収別・死亡保険金の平均額】

年収 加入金額の平均額
200万円未満 952万円
200万~300万円未満 990万円
300万~400万円未満 1,280万円
400万~500万円未満 1,575万円
500万~600万円未満 1,977万円
600万~700万円未満 2,253万円
700万~1,000万円未満 2,493万円
1,000万円以上 3,731万円

出典:公益財団法人 生命保険文化センター ホームページ「2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査」

上記のデータを見ると、死亡保険金の平均額は年収帯を問わず、世帯年収の3~4倍となっていることが分かります。一般的に高年収世帯は生活費の負担も大きい傾向があるため、現状以下の生活水準とならないよう、保障金額も年収に比例して高く設定する傾向があります。

 

2.必要な死亡保険の保障金額はいくら?

「2022(令和4)年度 生活保障に関する調査」によると、万一に際して必要と考える死亡保険金の平均額は、全体で1,662万円でした。うち男性の平均は2,247万円、女性の平均は1,145万円と、男性は女性の2倍程度となることも分かっています。

出典:公益財団法人 生命保険文化センター ホームページ「2022(令和4)年度 生活保障に関する調査」

適切な死亡保険の保障金額を設定するためにも、万一の際に必要となる費用をあらかじめ把握しておくことが不可欠です。ここからは、死亡時に必要となる具体的な金額相場を解説します。

 

2-1.葬儀やお墓にかかる費用の相場

自身が死亡した場合、まず初めに工面しなければならない費用が、葬儀費用やお墓の購入費用です。

経済産業省が公表する「特定サービス産業動態統計調査」によると、葬儀を執り行うのに必要な金額は平均で約113万円となっています。ここには火葬場使用料や式場使用料が含まれているものの、飲食や返礼品にかかる費用は含まれていないため、これらを加えるとさらに多額の費用が必要となるでしょう。

出典:経済産業省ウェブサイト「15.葬儀業」

加えて、お墓の建立費用については下記の通りとなっています。

■墓地取得費用を除いた墓石の購入金額は、100万円~200万円台が最も多く48.6 %と半数近くを占めます。次いで、50万円~100万円が21.2%、200万円~300万円が18.2%でした。

■次に平均購入価格を計算してみると、全国平均で169.3万円となり、昨年の160.1万円よりも9.2万円のアップになりました。。平均価格は、この10年間はほぼ160万円台で推移しています。(2020年157.0万~2016年170.4万)

引用:全国優良石材店の会「第35回(2022)全国統一 全優石 お墓購入者アンケート調査結果発表」

引用日2023/7/23

墓石の平均購入費用は、169.3万円です。墓地を取得するための永代使用料を加えると、250万円以上の費用がかかることもあるでしょう。

 

2-2.遺された方のための生活費の相場

「2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査」によると、世帯主が万一に際した場合、必要となる家族の生活資金平均額は末子が乳児の世帯で最大(8,332万円)となることが分かっています。

下記は、各ライフステージにおける家族の必要生活資金の平均額です。

【家族の必要生活資金の平均額】

ライフステージ 万一の場合の必要生活資金総額平均額
夫婦のみ(40歳未満) 7,082万円
夫婦のみ(40~59歳) 6,326万円
末子乳児 8,332万円
末子幼稚園児・保育園児 7,743万円
末子小・中学生 6,863万円
末子高校・短大・大学生 6,114万円
末子就学修了 4,929万円
高齢夫婦有職(60歳以上) 4,721万円
高齢夫婦無職(60歳以上) 3,536万円

出典:公益財団法人 生命保険文化センター「2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査」

末子が乳児や園児のときは、今後発生し得る医療費や教育費、さらに介護費などあらゆる不安がつきまとうライフステージでもあります。しかし、世帯主が万一の事態に陥っても安心して生活するためには、子どもの有無や年齢にかかわらず3,500万円以上の生活資金が必要となることを覚えておきましょう。

 

3.必要な保障額の計算方法

死亡保険の必要保障額を高く設定すれば、月々の生命保険料負担も大きくなります。家計を圧迫しない範囲で必要な保障を受けるためにも、「必要保障額積み上げ方式」を用いて必要保障額を適切に試算してみましょう。

必要保障額積み上げ方式とは、万一に際して必要となる遺族の生活資金や別途必要資金から、遺族年金や預貯金などの収入・資産を差し引いて算出された不足分を必要保障額の目安とする方式です。

必要保障額積み上げ方式による必要保障額の算出方法
末子独立までの遺族の必要生活費 + 末子独立後の配偶者の必要生活費 + 別途必要資金 - 収入見込 = 死亡保障の不足額(必要保障額)

なお、末子独立までの遺族の生活費は現在の生活費の約70%、末子独立後の配偶者の生活費は現在の生活費の約50%を目安とします。今後のライフステージもしっかりと予測した上で、無駄なく必要な死亡保険金を設定しましょう。

 

まとめ

死亡保険の契約者が万一に際したときは、必要保障額に応じた死亡保険金が支払われます。普通死亡保険金の平均額は全体で957万円ですが、主に世帯主となる男性は女性よりも必要保障額を高く設定する傾向にあり、働き盛りの30代男性であれば2,000万円を超えるケースも珍しくありません。

死亡保険の必要保障額を高く設定すれば確かな保障を受けられる一方で、保険料負担も大きくなります。万が一のリスクに備えるつもりが、家計を圧迫してしまっては意味がありません。なお、保険料は保障内容だけでなく、家族構成や保険期間などさまざまな要素によって左右されます。今後のライフプランもしっかりと予測した上で、適切な生命保険会社と保険商品を選ぶことが大切です。

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