おすすめの生命保険の選び方とは?主な種類や保障金額の決め方も

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保険の基礎知識
おすすめの生命保険の選び方とは?主な種類や保障金額の決め方も
生命保険にはさまざまな種類があり、自分に合っている保険の種類はライフステージや支払能力などによって異なります。自分に合っている生命保険を選ぶには、まず加入する目的を整理し、必要な保障内容と保障期間を考えましょう。また、受け取れる保険金に比例して保険料負担も高くなるため、保険金額設定をどの程度にするか、といった点も重要です。 この記事では、生命保険の種類や特徴、生命保険を選ぶときのポイントや保障金額の決め方、ライフステージ別の生命保険の選び方を解説します。また、保障を手厚くできる各種特約についても説明します。

1. 生命保険とは?主な種類も

生命保険とは、死亡・高度障害をはじめとしたリスクを保障する保険の一種です。契約者が保険料を負担することで、万が一の事態が発生した際に生命保険会社から保険金や給付金を受け取れます。 生命保険は万が一のことがあった際に、多くの方が公平に負担した保険料から、保険金や給付金などが分配されるという仕組みで成り立っています。生命保険文化センターの全国実態調査では、生命保険の世帯加入率は89.8%です。日本の大半の世帯がいずれかの生命保険に加入していることが分かります。

【生命保険の世帯加入率】

全生保 民保 簡保 JA 県民共済・生協等
2021年 89.8% 80.3% かんぽ生命 11.8% 7.4% 9.5% 31.6%

引用:(公財)生命保険文化センター「2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査」より引用日2023/05/12

以下は、生命保険の説明や契約でよく使用される基礎用語です。
契約者 保険契約を結び、保険契約上の権利を持ち、保険料の支払いを負担する方です。
被保険者 保険の保障を受ける方、または保険の対象になる方です。契約者と同一人物の場合もあります。
受取人 保険金を受け取る方です。
保険料 保険契約を維持するために契約者が保険会社に支払うお金です。
保険金・給付金 万が一のことがあったときや満期を迎えたときに、受取人が生命保険会社から受け取るお金です。
保険事故 保険契約において、保険金や給付金の支払いが発生する事故を指します。
生命保険には大きく分けて、保障期間が決まっている「定期型」と、加入してから一生涯にわたり保障期間が続く「終身型」の2種類があります。

2. 定期型の生命保険

定期型の生命保険は、一定の期間や特定の年齢に達するまでの間だけ、保障を受けられるタイプの生命保険です。期間満了後も保障を受けたい場合、同じ契約を更新できるタイプと、新たに加入し直すタイプに分かれます。 基本的に途中解約での払戻金がなく掛け捨てであり、保障期間が限られているため、終身型に比べ保険料負担が軽く設定されています。保障期間が過ぎると保険金は受け取れません。 代表的な定期型生命保険である、定期型死亡保険と収入保障保険について解説します。

2-1. 定期型死亡保険

定期型死亡保険とは、契約期間内に、被保険者が死亡したときや、指定された疾病が発生した場合に保険金を受け取れる生命保険です。保険期間が過ぎると保険金の支払い対象外となります。そのため、保険料は終身保険に比べて低価格で設定されています。全期型死亡保険は契約を更新できず、更新型は更新する度に保険料が上がる傾向にある商品が多い点に注意が必要です。

【定期型死亡保険が向いている方】

  • 子どもが成人するまでなど、一定期間だけ手厚い死亡保障が欲しい方
  • 保険料負担を抑えたい方
  • ライフステージの変化に合わせて保険を逐次見直したい方

2-2. 収入保障保険

収入保障保険とは、被保険者が死亡、もしくは病気や怪我などで働けなくなった際、保険期間満了まで年金形式で保険金が受け取れる生命保険です。被保険者が若ければ支払う保険料と受け取れる保険金の金額が大きくなり、年齢を重ねるほど少なくなるのが一般的です。 保険金を一括で受け取る場合、年金形式で受け取るよりも受取総額は少なくなります。一定期間の保障となるため、終身型と比べて保険料負担は軽めに抑えられるケースが大半です。

【収入保障保険が向いている方】

  • 自営業者やフリーランスで、会社員や公務員と違い厚生年金が無い分、遺族年金が心配な方
  • 世帯の主な収入源となっている方
  • 子どもが独立したり住宅ローンが完済した等のタイミングであれば、保険金が減っても問題ないとお考えの方

3. 終身型の生命保険

終身型の生命保険とは、加入から死亡するまで一生涯保障が受けられるタイプの生命保険です。定期型と違い、契約が終わることがないため、解約をしない限り必ず保険金を受け取れます。 また、基本的に一度契約した保険料が途中で上がることはありません。ただし、定期型に比べて保険料が高めに設定されるケースが大半です。一定期間が経過した後に解約した場合は解約払戻金が受け取れるため、保険機能のほかに貯蓄機能も兼ね備えています。 終身型生命保険として代表的な、終身型死亡保険・低解約返戻金型終身保険と個人年金保険・学資保険について解説します。

3-1. 終身型死亡保険

終身型死亡保険とは、被保険者が死亡するまで保障期間が継続する生命保険です。保険金は契約時に指定された受取人に支払われます。 また、一定期間加入後に解約した場合に「解約返戻金」が受け取れる契約を含んだ、貯蓄性を備えた終身型死亡保険もあります。契約者の存命中は保険料の支払いが続く終身払い型と、保険料払込回数が指定されており追加費用が発生しない有期払い型があります。

【終身保険が向いている方】

  • 一生涯の保障が欲しい方
  • 保障も貯蓄機能も欲しい方
  • 相続時に保険金の非課税枠を使いたい方

3-2. 低解約返戻金型終身保険

低解約返戻金型終身保険とは、保障は一生涯続きますが、通常の終身型死亡保険と違い保険料払込期間中は解約返戻金が少ないか、全くないタイプの保険です。保険料払込期間中の解約返戻金を低く設定することで保険料負担が抑えられ、また保険料払込期間が満了すると支払った保険料の総額よりも多く解約返戻金を受け取れる場合があります。そのため、元本割れを起こしてしまわないよう、途中で契約を解除されないよう注意する必要があります。

【低解約返戻金型終身保険が向いている方】

  • 保険料負担をなるべく抑えたいが、一生涯の保障が欲しい方
  • 途中解約の可能性が低い方
  • 保障も貯蓄機能も欲しい方
  • 相続時に保険金の非課税枠を使いたい方

3-3. 個人年金保険

個人年金保険とは、保険料の支払い期間が終了した後に一定期間または生涯にわたって保険金を受け取ることができる私的年金の1つです。年金の受取期間によって、終身年金・有期年金・確定年金の3種類に大別でき、自助努力により老後の生活資金を確保する手段の1つとなります。 一括受取も可能なものの、年金方式で受け取ったほうが受取総額が多くなるケースが一般的です。保険金の受取開始前や、受取期間中に被保険者が死亡した場合、年金受取前であれば支払った分の保険料を、年金受取期間中であれば残りの年金を遺族が受け取れます。

【個人年金保険が向いている方】

  • 公的年金だけでは不安な方(公的年金の上乗せ給付が欲しい方)
  • 退職から年金支給開始までに間が空く方
  • 個人年金保険料控除を利用したい方

3-4. 学資保険

学資保険とは、子どもの教育資金を積み立てられる貯蓄機能を持つ、生命保険です。一定の期間にわたって保険料を払い込み、子どもの進学時期などに応じて保険金を受け取れます。契約者が死亡した場合、残りの保険料の支払いが免除され、保険金を受け取れる「保険料払込免除特約」が付いていることが多いです。

【学資保険が向いている方】

  • 子どもの教育資金を計画的に積み立てたい方
  • 死亡後に子どもの進学資金で苦労をかけたくない方
  • 教育費以外にも、何かあったときの子どものための生活費もカバーしたい方

4. 養老保険

養老保険とは、契約者の生死に関わらず保険金を受け取れる保険です。一定期間生存していたら満期保険金として、契約者が途中で死亡した場合は死亡保険金として遺族が受け取れます。万が一に備えながら、貯蓄機能もある保険です。 ただし、養老保険の満期保険金は、支払った保険料の総額と同額、または下回る金額に設定されているケースが多くあります。解約返戻金も同様です。また、同じ保険期間・保障額の定期保険と比較すると、養老保険の保険料負担は大きく設定される傾向にあります。 加えて、契約期間満了にともなって満期保険金を受け取ると、死亡保障がなくなる点にも注意が必要です。一生涯の死亡保障を確保したい方や元本割れを避けたい方には、養老保険はあまり向かないかもしれません。

【養老保険が向いている方】

  • 一定期間の死亡保障を持ちながら、貯蓄を希望する方
  • 計画的に資産形成をしたい方
  • 継続的に保険料の支払いが可能な方

5. おすすめの生命保険の選び方・ポイント

生命保険を選ぶ際は、家族のライフステージや保障の必要性、家計の状況などを考慮し、自分や家族に合った商品を選ぶことが重要です。ただし、数多くの保険商品が存在する中でどれを選べばよいか分からない方もいるでしょう。生命保険を選ぶ際のポイントを3つ紹介します。

5-1. 加入する目的を考える

生命保険への加入目的を明確にすることは、自分や家族に合った保険を選ぶ重要なステップです。保険が必要となる理由は人それぞれであり、「遺された家族のため」「将来の安定した生活のため」「子どもの教育費用のため」など、多岐にわたります。 生命保険への加入を検討する際は、まず「何のために・誰のために保険へ入るのか」を明確にしておきましょう。目的を明確にすることで、必要な保障内容や保険期間を具体的に見極められるようになり、不必要な特約の付帯や保障の重複などを避けられます。 生命保険の加入目的と、目的に応じた保険の例は、以下です。
生命保険加入目的 保険の種類(一例)
家族のため(自分が死んだ時のため)に、子どもが独立するまでは手厚い保障を確保したい
  • 定期型死亡保険
  • 収入保障保険など
家族のために、自分の葬式費用などを遺したい
  • 終身型死亡保険
  • 低解約返戻金型終身保険など
公的年金だけでは心配なので、老後の生活資金を確保したい
  • 低解約返戻金型終身保険
  • 個人年金保険など
また、加入目的によっては複数の保険を組み合わせたり、特約をつけたりすることで、より適切な保障を得られる場合があります。

5-2. 必要な保障内容を考える

生命保険を選ぶ際に、必要な保障の内容を明確にするのも重要です。自分や家族が直面する可能性のあるリスクを洗い出し、どのような保障があれば乗り切れるかを検討しましょう。 例えば、自分が世帯の主な収入源の場合、下記のような金銭的リスクが想定できます。

【生命保険】万が一の際の遺族保障や死亡整理資金、生活立て直し資金

【医療保険】病気やケガをした際の治療費や入院・手術費用

【就業不能保険】病気やケガなどで長期間働けなくなることによる経済的な負担

また、下記のようなライフイベントに備えた準備なども必要になるかもしれません。

【個人年金保険】老後の生活資金の準備

【学資保険】子どもの教育費の準備

【介護保険】介護に備えた準備

必要な保障内容を把握しておくことは、保険の比較や選択においても大きく役立ちます。複数の保険商品を検討する際、保険料の金額だけでなく、その保険で得られる保障内容が何かを考えれば、費用対効果を比較しやすくなるでしょう。 複数の保険商品に加入する場合は、保障内容の重複を避けやすくなる点でも有効です。ライフステージの変化とともに必要な保障内容も変わるため、定期的に見直すとよいでしょう。

5-3. 必要な保障期間を考える

生命保険を選ぶ際は、保障が必要となる期間を考えることも重要となります。保険の種類やプランによって保障内容や保険期間などが異なる上、保険料の支払い総額にも差が生じるのが理由です。 前述したとおり、生命保険でも終身型と定期型では、保障期間や保険料も大きく異なります。自分や家族が直面する可能性のあるリスクがどういった場面で起こりやすいか、ライフステージごとにどういったリスクが予測されるか、などを考えることが重要です。 必要な保障期間を考える際には、自分や家族がお金を必要とするタイミングを予測しましょう。例えば、子どもの教育費を準備する保険であれば、一般的には入学金や授業料など大きな金額が必要となる大学入学ごろまでに、まとまった金額の準備をします。他には、自分の死亡や怪我により家族が経済的困難に直面しないための保険であれば、子どもが独り立ちするまでや、定年退職の予定時期までを保障期間とします。

6. 生命保険の保障金額の決め方

生命保険への加入目的を考え、必要な保障内容と保障期間を把握したら、次は必要保障金額を計算しましょう。必要保障金額とは、「将来受け取る保険金額設定をいくらにすればよいか」の目安です。大半の保険商品では、受け取れる保険金が多くなれば多くなるほど、保険料の支払総額も大きくなります。そのため、家計に無理なく、かつ万が一の際に困窮せずに済む保険金額を算出しなければなりません。 必要保障金額の考え方は、次の計算式が基本となります。
死亡後に必要となる費用(支出)-死亡後に受け取れる金額(収入)=死亡保険で準備しておきたい金額
上記の計算式は、契約者が死亡した際に家族が直面する経済的な負担を見積もり、不足分を補うのに必要な保険金額を算出するためのものです。計算式自体は単純ですが、自分や家族にふさわしい数字をはじき出すには、それぞれのライフステージや経済状況に合わせて各項目を正確に評価しなければなりません。 適切な保障金額の見積りに必要な費用・金額を算出するポイントを解説します。

6-1. 死亡後に必要な費用を計算する

死亡後に必要な費用は、大きく分けて遺族の生活費や住宅費用、子どもの教育費、葬儀関連費用などが考えられます。それぞれの費用を計算する大まかな方法は、以下の通りです。
遺族に必要な生活資金の総額
生活費は現在の月々の支出額をもとに考えます。

①現在の生活費から、被保険者が亡くなった後は不要になる費用を引きます。

②「必要な保障額」を12ヶ月(1年)にし、設定期間分を掛けます。

【設定期間の例】

  • 末子が独立するまで
  • 契約者が定年退職する予定の年まで
  • 遺族が老齢年金を受け取れる65歳まで
  • 配偶者や遺族が死亡するまで

②で計算した結果が、必要な生活資金の総額となります。

ここから、後述する遺族年金などの「死亡後に受け取れる金額」などを引いていきます。
住宅費用
持ち家のローンが残っている場合、返済の残高を必要な費用に含めなければなりません。持ち家の場合、団体信用生命保険に加入していれば、団体信用生命保険の加入者が死亡すると残りの住宅ローン支払いは免除されます。しかし、賃貸住まいの場合は、賃料や更新料を生活費に含める事になります。契約状況によっては、転居費用も必要です。
子どもの教育費
大学までの学費など、将来の教育に必要な費用を計算します。公立か私立かによっても必要な費用は大きく異なります。また、学費には給食費や修学旅行の積立金、塾や習い事の費用も含めて考えることがあります。
葬儀関連費用
葬儀代や墓地の購入・管理・維持費を合わせて考える必要があります。
以上の各項目を計算して合計した金額が、死亡後に必要となる費用の目安となります。

6-2. 死亡後に受け取る金額を計算する

死亡後に受け取れる金額は、遺族の給与所得、年金、弔慰金・死亡退職金などが考えられます。それぞれの金額を計算する大まかな目安は、以下の通りです。
遺族の給与所得
遺族が働ける場合、その年間収入を受け取れる金額に加えます。また、遺族本人が受給する年金額も同様です。
遺族基礎年金
支給要件

国民年金を加入期間の3分の2以上の期間納付している、

  • 国民年金の被保険者
  • 国民年金の被保険者であった60歳以上65歳未満の方で、日本国内に住所を有していた方
あるいは、

保険料納付済期間、保険料免除期間および合算対象期間を合算した期間が25年以上ある、

  • 老齢基礎年金の受給権者
  • 老齢基礎年金の受給資格を満たした方
が死亡したとき
支給対象者

死亡した方に生計を維持されていた以下の遺族

  1. 配偶者
  2. 子(18歳になる年度の3月31日まで、もしくは20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態にある)
支給額
  • 67歳以下の配偶者は年額795,000円
  • 68歳以上の配偶者は年額792,600円

また、子どもがいる場合は以下の金額が加算

  • 子ども2人目までは年額228,700円
  • 3人目以降は年額76,200円

出典:日本年金機構「遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)」

遺族厚生年金
支給要件

国民年金を加入期間の3分の2以上の期間納付している、

  • 厚生年金の被保険者
  • 1級・2級の障害厚生(共済)年金を受けとっている方
  • 厚生年金の被保険者期間中に病気やけがで初診し、5年以内にその怪我や病気が原因で死亡した方
あるいは、

保険料納付済期間、保険料免除期間および合算対象期間を合算した期間が25年以上ある、

  • 老齢基礎年金の受給権者
  • 老齢基礎年金の受給資格を満たした方
が死亡したとき
支給対象者

死亡した方に生計を維持されていた以下の遺族のうち、優先順位が高い方

  • 子(18歳になる年度の3月31日まで、もしくは20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態にある)
  • 夫(死亡当時に55歳以上である)(※1)
  • 父母(死亡当時に55歳以上である)(※2)
  • 孫(18歳になる年度の3月31日まで、もしくは20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態にある)
  • 祖父母(死亡当時に55歳以上である方)(※2)

※1:受給開始は60歳から。ただし、遺族基礎年金をあわせて受給できる場合に限り、55歳から60歳の間であっても遺族厚生年金を受給可能。

※2:受給開始は60歳から。
支給額
  • 死亡した方の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3の額(※3)
あるいは、65歳以上で老齢厚生(退職共済)年金を受け取る権利がある方の場合、以下のどちらか高いほうの金額
  • 死亡した方の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3の額
  • 死亡した方の老齢厚生年金の報酬比例部分の2分の1の額+自身の老齢厚生(退職共済)年金の額の2分の1の額

加えて、以下の場合は中高齢寡婦加算として、40歳から65歳になるまでの間、年額596,300円が加算

  • 夫が亡くなったとき、40歳以上65歳未満で、生計を同じくしている子がいない
  • 遺族厚生年金と遺族基礎年金を受けていた子のある妻が、子が18歳到達年度の末日に達した(障害の状態にある場合は20歳に達した)などのため、遺族基礎年金を受給できなくなった
※3:厚生年金の被保険者期間が300月(25年)未満の場合は、300月とみなして計算

出典:日本年金機構「遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)」

弔慰金・死亡退職金
勤務先や勤続年数、勤務状況により異なるため、勤務先への問い合わせが必要となります。受取方法は一般的には一括形式です。
死亡者が国民年金の第1号被保険者だった場合、一定の条件をクリアすれば、寡婦年金や死亡一時金を受け取れます。また、受給条件の多くは、「生計を維持されていた」ことが前提となるなどの要件がある点に注意が必要です。詳細および最新情報は、日本年金機構公式サイトの各ページをご参照ください。

7. 【ライフステージ別】おすすめの生命保険の選び方

自分や家族に最適な生命保険の選び方は、ライフステージの移り変わりによって大きく異なります。生命保険に加入する目的や必要な保障内容・加入期間・金額は、結婚や子育て、退職といった生活状況によっても変化するためです。 主なライフステージ別に、保険選びのポイントを解説します。

7-1. 独身の方向けの選び方

独身の方の場合、自分の健康状態の急変や急病、事故などへの備えとして保険を選ぶケースが一般的です。加入を検討する年代としては20代から30代初めにかけてが多く、遺族への保障の準備をしない方が多いため、死亡保険の重要度は低くなります。 ただし、将来的に結婚や子育てなどのライフイベントが見込まれる場合は、それらに備えた保障を選ぶことも重要です。一方、高齢の両親がいる場合は、介護に対応する保険も選択肢となります。

【一般的におすすめされる保険の一例】

医療保険、がん保険 病気や怪我による治療費用をカバーする
就業不能保険 働けなくなったときの生活費をカバーする
介護保険 自分または両親の介護費用を補償する
※世帯状況により異なります。

7-2. 結婚した方向けの選び方

結婚し、パートナーや子どもがいる、特に30代から40代前半に多いライフステージの方が生命保険を選ぶ場合、家族の生活保障を重視しましょう。自分が突然死亡したり高度障害状態になったりした場合、遺される家族が経済的に困窮しないように配慮することが大切です。 また、生活費だけでなく、子どもが成人するまでの教育費の保障も考える必要があるでしょう。家庭の主な収入源となる人が1人の場合、その人が収入を得られなくなった場合のリスクをカバーする保険がおすすめです。ただ、共働き家庭であったとしても家事負担の軽減などのため、外部サービスを使うことによる出費も考えた方がよいかもしれません。

【一般的におすすめされる保険の一例】

死亡保険 遺族の生活費などを保障する
医療保険、がん保険 病気や怪我による治療費用をカバーする
学資保険 子どもの教育費用を保障する
就業不能保険 働けなくなったときの生活費をカバーする
団体信用生命保険 (住宅購入時のみ)住宅ローンの残債が免除される
※世帯状況により異なります。

7-3. 子どもが独立した方向けの選び方

子どもが独立した後は、生命保険の選び方も変わる時期となります。50代から70代の方に多いこのライフステージでは、自分とパートナーの老後の生活保障や医療費、介護費用などを考慮しましょう。 自分の死後に遺された家族が、経済的に困らないようにする保険を検討することも重要です。一方で、子どもの養育費・生活費を保障するために入っていた保険は解約・変更するといった整理も必要になるかもしれません。

【一般的におすすめされる保険の種類】

高齢者向けの医療保険 高齢期に起こりやすい疾病やがんにかかる費用をカバーする
終身保険 遺されたパートナーの生活費を保障する
介護保険 介護が必要になったときの経済的負担を軽減する
養老保険 定年退職後の生活費を補填する

8. 生命保険の保障を手厚くできる特約とは?

生命保険を選ぶ際には、「特約」と呼ばれるオプションに注目すると、保障内容をより自分や家族のニーズに合った形に調整できます。特約とは、主契約の生命保険に加えて、さらに特定の状況や疾病、事故に対する補償を強化することを目的とした付加保障です。 ただし、どの保険に対してどの特約をつけられるかは保険会社によって異なるため、注意が必要です。また、基本的に特約のみでの契約はできません。下記では、保険会社の取扱いの多い特約を6つ解説します。

8-1. 死亡保障を手厚くする特約

死亡保障を手厚くする特約は、以下の3つが代表的です。
定期保険特約
死亡や高度障害のときに保険金が受け取れます。保険金額が固定の定額タイプ、契約後に保険金額が徐々に減少する逓減タイプ、増加する逓増タイプがあります。満期保険金はありません。
収入保障特約(生活保障特約)
死亡や高度障害のときに年金形式で保険金を受け取れます。あらかじめ受け取る年金の回数が決まっているタイプと、契約時に定めた満期まで年金が受け取れるタイプの2種類があります。
特定疾病(三大疾病)保障特約
がん・急性心筋梗塞・脳卒中といった特定の疾病で一定の状態になった、あるいは死亡・高度障害になったときに保険金が受け取れます。状態の定義は生命保険会社により異なるため、確認が重要です。

8-2. 事故による死亡・障害状態に備える特約

事故による死亡・障害状態に備える特約は、以下の2つが代表的です。
災害割増特約
不慮の事故や特定の感染症が原因で死亡、または高度障害状態になった場合に有効です。事故日から180日以内に該当の状態になった場合、主契約の死亡保険金や高度障害保険金に加えて、災害死亡保険金や災害高度障害保険金を受け取れます。
傷害特約
不慮の事故や特定の感染症により死亡した場合、主契約の死亡保険金に追加して災害死亡保険金が受け取れます。事故が原因で一定の障害状態になった場合にも、障害の程度に応じた障害給付金を受け取ることが可能です。

8-3. 病気・怪我の治療に備える特約

病気・怪我の治療に備える特約は、以下の7つが代表的です。
疾病入院特約
病気での入院時は入院給付金が、特定の手術を行った場合には手術給付金が受け取れます。
災害入院特約
不慮の事故による怪我での入院が対象です。
通院特約
病気や怪我の治療のための通院時に通院給付金が受け取れます。生命保険会社によっては入院前後の通院も保障範囲です。
総合医療特約
災害・事故・病気のいずれかで入院したときに給付金が受け取れます。特定の手術や放射線治療を受けた場合も給付金の受け取りが可能です。
入院一時金特約
入院した際に一時金が受け取れます。特約によっては対象となる疾病が限定的です。
長期入院特約
病気や事故で長期の入院を行ったときに給付金が受け取れます。対象となる入院日数は保険会社によって異なり、125日以上や180日以上が一般的です。
就業不能保障特約
病気やケガで一定期間以上就業できない場合、一時金や年金が受け取れます。給付条件は各保険会社の規定以外に、公的な障害等級を基準としているケースもあります。

8-4. 特定の病気に備える特約

特定の病気に備える特約は、以下の5つが代表的です。
生活習慣病(成人病)入院特約
がん・脳血管疾患・心疾患・高血圧性疾患・糖尿病などで入院や手術を行った場合に、給付金が受け取れます。
女性疾病入院特約
女性特有の疾病(子宮や乳房の病気・甲状腺の障害など)での入院や手術が対象です。
がん入院特約
がんでの入院や手術を行った場合に、給付金が受け取れます。
特定損傷特約
不慮の事故による骨折・関節脱臼・腱の断裂の治療が対象です。
先進医療特約
厚生労働省に認められた先進医療に該当する治療を受けた場合、技術料相当額の給付金が受け取れます。

8-5. 保険料の払い込みを免除する特約

特定の条件になると、保険料の支払いが免除される特約として、保険料払込免除特約があります。一般的な支払い免除の条件は、三大疾病(がん・急性心筋梗塞・脳卒中)に罹患し、所定の状態になった場合です。 生命保険会社によっては、「三大疾病+要介護+障害」「生活習慣病+就労不能+要介護」「がん」など、複数種類あることもあります。ただし、保険会社によって定義や支払免除になる条件が異なる点には注意が必要です。 例えば、保険料免除の対象となるがんは「悪性新生物」のみで、「上皮内がん」は含まれないと言った条件が定められているケースもあります。特約を比較する際は、資料やパンフレットなどを確認しましょう。

8-6. 個人年金保険料控除を受けるための特約

「個人年金保険料税制適格特約」は、個人年金保険契約者が「個人年金保険料控除」を受けるための特約です。一般生命保険料控除とは別枠で税負担が軽減されるものの、以下の条件をすべて満たす必要があります。
  • 年金受取人が契約者か配偶者である
  • 年金受取人と被保険者が同一人物である
  • 保険料払込期間が10年以上である
  • 年金受取開始が60歳以上で受取期間が10年以上である

出典:国税庁ホームページ「No.1141 生命保険料控除の対象となる保険契約等」

また、特約付加後の契約内容変更には制限があり、特約単体の解約はできません。配当金や返戻金がある場合でも、契約期間中は支払われない点にも注意が必要です。

まとめ

生命保険には定期型と終身型の保険に加えて養老保険があり、それぞれ保険料や保障額、保障期間、保険金や返戻金の有無などが異なります。家族のライフステージや保障の必要性、家計の状況などを考慮して、自分に合った生命保険を選択しましょう。