傷病手当金とは、病気やケガで仕事ができなかった期間、健康保険から手当金が支給される制度です。
仕事を休むと収入が減ってしまうためありがたい制度ですが、支給条件*に該当した方は何日間、どれくらいの金額を受け取れるのか把握しておきたいものです。
この記事では、傷病手当金が受け取れる期間や金額、申請方法、そしてそもそも傷病手当金が受け取れないケースについてご説明します。
*傷病手当金の支給条件については以下の記事をご覧ください。
⇒傷病手当金とは?支給される4条件ともらえないケースを徹底解説
1.傷病手当金の支給期間と支給額
傷病手当金は、病気やケガで仕事ができなくなったときの経済的負担を軽減する制度ですが、注意しなければならないのは給与と同額を受け取れるわけではないことです。
まずは、支給期間と支給額の算出方法を確認しておきましょう。
1-1 傷病手当金が支給される期間は?
2022(令和4)年1月より、傷病手当金が支給される期間の計算方法が変わりました。
これまでは支給を開始した日から「最長1年6ヶ月」で、その期間中に病状が軽快して出勤したことで給与が発生した日があったとしても、こういった不支給日も1年6ヶ月のなかに含まれる扱いでした。
この規定が2022年より、支給開始日から「通算1年6ヶ月」に変わりました。
つまり、支給期間の途中に就労するなどして傷病手当金が支給されない期間がある場合には、支給開始日から起算して1年6ヶ月を超えても「通算で1年6ヶ月」になるまで繰り越して支給されるということです。
ただし、この措置は2021(令和3)年12月31日時点で支給開始日から起算して1年6ヶ月を経過していない=2020(令和2)年7月2日以降に支給が開始された傷病手当金が対象で、支給を開始した日がそれ以前の場合には、これまでどおり支給期間は支給開始日から最長1年6ヶ月です。
1-2 傷病手当金はいくらもらえる?
休業中の貴重な収入源となる傷病手当金ですが、どの程度の金額を受け取ることができるのでしょうか。
正確に記すと、傷病手当金の1日当たりの支給金額は、支給開始日以前の継続した12ヶ月間の各月の標準報酬月額を平均し、それを30日で割った金額の2/3となります。
標準報酬月額の計算方法は複雑になるのでここでは割愛しますが、おおよそ過去12ヶ月間の給与をベースにして日給を計算し、その2/3の金額を受け取れると考えれば良いでしょう。
- 【傷病手当金の支給額の計算式】
(支給開始前の過去12ヶ月の各月の標準報酬月額を平均した額)÷ 30日 × 2/3 = 傷病手当金の支給日額
では、実際に計算してみましょう。
- 【標準報酬月額の平均が36万円だった場合】
36万円÷30日×2/3=8,000円
おおよその金額感がお分かりいただけたでしょうか。
しかし、たとえ1日8,000円が支給されるとしても、収入が途絶えるなかでふだんの生活費に加えて療養費もかかるので、この金額では心もとない……と感じる方も多いと思います。
こういったときの備えとして、民間の医療保険や就業不能保険に加入しておくと安心と言えるでしょう。
⇒傷病手当金が支給される4つの条件とは?
2.傷病手当金の手続き・申請方法
傷病手当金を受給するためには、自分が加入している公的医療保険(健康保険)の保険者に支給申請書を提出する必要があります。
2-1 申請書を取り寄せる
まずは加入している公的医療保険(健康保険組合など)の窓口に問い合わせし、支給申請書を取り寄せましょう。
保険者によってはウェブサイト上からダウンロードできるところもあるようです。
2-2 申請書の記入手順
基本的に支給申請書は以下の3ブロックに分かれています。
- ・本人が記載する部分
- ・会社が記載する部分
- ・医師が記載する部分
手元に書類が用意できたら、「本人が記載する部分」に本人情報、手当金の振込先口座、申請内容などの必要事項を記入していきましょう。
次に「会社が記載する部分」に関して、勤務状況や給与体系などを勤務先の会社に記載してもらいます。
そして、最後に「医師が記載する部分」について、病名や働けない期間、病気の原因などについて医師に記入してもらえば書類は完成です。
その完成した書類を保険者へ提出すれば手続きは完了となります。
3.職業によっては傷病手当金がないことも!?
日本では国民皆保険制度のもと、誰もが何かしらの公的医療保険に加入しています。
ここまでご紹介してきた傷病手当金についても、その保障の1つだと言えます。
しかし注意したいのは、私たちは全員が同じ公的医療保険に加入するわけではないことと、加入する公的医療保険によっては傷病手当金が設けられていないことです。
代表的な公的医療保険でいえば、自営業や専業主婦の方が加入する「国民健康保険」、中小企業に勤務する方やその家族が加入する「全国健康保険協会(協会けんぽ)」、大企業に勤務する方やその家族が加入する「組合健保」、公務員・私立学校の教員やその家族が加入する「共済組合」などがあります。
このうち、基本的に国民健康保険には、そもそも傷病手当金が備わっていません。言い換えれば、自営業やフリーランスの方は公務員やサラリーマンとは違い、病気やケガで仕事を休むことになっても傷病手当金を受け取れないのです。
その点に対しては貯蓄や民間保険で何かしらの備えをしておいたほうが良いと言えるでしょう。
⇒自営業やフリーランスに保険は必須!? 知らないとヤバイ、公的制度の落とし穴とは?
まとめ:仕事ができないときのの備えは大丈夫?
この記事では傷病手当金が支給される期間、支給される金額の計算方法、そして申請方法についてお伝えしました。
カウント方法が変わった受給期間の考え方と、ご自身の給与から算出したおおよその金額を把握いただけたのではないでしょうか。
また、加入している公的医療保険によっては傷病手当金が備わっていないことにも触れました。
このような方は、もし入院などで長期仕事ができなくなってしまった場合に備えて、何かしらの準備をしておきたいところです。
公的保障以外の民間の保険加入については保険のプロに聞いてみるのも1つの方法です。小さなことでも1つ1つ親切に教えてもらうことができます。
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