認知症保険とは? 保障内容から、加入条件、選び方まで徹底解説!

Column

保険の基礎知識
認知症保険とは? 保障内容から、加入条件、選び方まで徹底解説!

最近、さまざまな保険会社から相次いでリリースされ、テレビやインターネットでも良く見聞きするようになった「認知症保険」。認知症になったときに保障を受けられるという漠然としたイメージは持っていても、実際にどんな保険なのかはイマイチ良く知らないという方も多いのではないでしょうか?

そこでこの記事では、認知症保険に関する基本を分かりやすく解説していきます。最後まで目を通していただければ、認知症保険がどのようなものなのかイメージをつかめるはずです。

高齢化社会と言われて久しい日本。認知症は、その原因が主に「加齢」だとされていますから、誰しもが将来的にかかるかもしれないのです。決して他人事ではありえません。認知症に不安を感じている方にとって必見の内容になっていますので、是非最後までお付き合いください。

1.認知症保険が登場した背景とは?

近年、多くの保険会社から発売されている認知症保険。認知症保険は新しいタイプの保険ですが、なぜ最近になって登場してきたのでしょうか。まずはその社会的な背景から簡単に確認していきましょう。

1-1 日本は高齢化社会!

「100年人生」と言われているように、日本は高齢化社会となっています。実際に平均寿命は男性81.64歳、女性87.74歳に達しています(*1)。

また、2021年現在、日本の総人口において65歳以上の高齢者が占める割合は29.1%にも及んでいます(*2)。さらに、この高齢化の傾向は時間とともにますます進行し、2040年には全人口のうち65歳以上の高齢者の割合は35%を超えるそうです(*2)。

1-2 認知症にかかる方は増加の一途をたどる!?

高齢化にともなう大きな問題としてピックアップされているのが「認知症」。認知症は、さまざまな原因により脳の記憶力や認知機能を司る部位がダメージを被り、日常生活を送るうえで支障を来たしている状態(症状)のことです。

認知症に罹患した場合、物事を覚えられなくなったり、家電やATMが使えなくなったり、時間・場所の感覚がなくなったりして、やがて他人の助けを借りなければ生活を営むことが困難になってしまいます。

重要なポイントは、認知症の主な原因が「加齢」だというところ。誰しも齢を重ねるにつれて、認知症にかかるリスクは高まっていくのです。

それを裏付けるように、厚生労働省の調査によれば、2020年時点で65歳以上の高齢者のうち認知症患者数は約600万人とされています。さらに、日本社会の高齢化の進行にともない認知症患者数は2025年には約700万人まで増加するとされています(*3)。

このように、認知症は決して特別な病気ではなく、私たちにとって身近な病気だと考えたほうが適切でしょう。

⇒そもそも認知症って病気なの? 認知症について正しい知りたい方はこちら!

1-3 認知症にかかったときの医療費と介護費はいくら?

認知症にかかったときのリスクとしては、本人や家族の精神的な負担もちろんですが、経済的な負担も見過ごせません。治療のために通院したり入院したりすることもあるでしょうし、自宅や施設で介護を受けたりすることも十分に想定できるケースでしょう。

それでは、認知症の治療や介護の費用は具体的にどのくらいなのでしょうか。厚生労働省の研究調査によれば、次のようになっています(*4)。

  • ■認知症の医療費
  • 1人あたりの入院医療費:344,300円/月
  • 1人あたりの外来医療費: 39,600円/月

  • ■認知症の介護費
  • 介護サービス利用者の1人あたりの在宅介護費:約219万円/年
  • 介護サービス利用者の1人あたりの施設介護費:約353万円/年

かなりの金額ではないでしょうか。単純計算ですが、認知症患者が在宅介護をされながら通院治療を受けているとしたら、219万円(年間の在宅介護費用)+39,600円(月間の医療費)×12ヶ月=約267万/年ということになります。

日本では公的医療保険や公的介護保険が敷かれているので、この医療費と介護費すべてを自己負担するわけではありません。しかし、それでも経済的なダメージは大きく、家計への負担は避けられないと言えるでしょう。

1-4 認知症保険の登場

ここまでお伝えしてきたのは、①認知症は主な原因が加齢なので、高齢化社会の日本においては将来的に誰しもがかかる可能性のある身近な病気、②認知症にかかったときには医療費や介護費が大きな負担となる経済的なスクが懸念される、ということでした。

そのように考えていくと、何かしらの方法で認知症に対する経済的な備えはしておきたいところでしょう。そんな背景とニーズに応えて登場してきたのが認知症保険なのです。

認知症保険は、認知症の経済的なリスクをカバーすることに特化した保険だと言えます。なので、認知症のリスクをカバーする方法として加入を検討している方も少なくないようです。

では、具体的に認知症保険とはどのような保険なのでしょうか。次章以降で詳しく見ていきましょう。

2.認知症保険とは?

前章では認知症保険がリリースされた社会的な背景についてご説明してきました。この章でお伝えするのは、具体的に認知症保険がどのような保険なのかというポイントです。保障内容、保険金を受け取れる条件、加入条件の3つのパートに分けて、それぞれ細かく見ていきましょう。

2-1 保障内容

先述したように、認知症保険は「認知症にかかったときの経済的なリスクをカバーする保険」だと言えます。それでは、そのためにどのような保障を備えているのでしょうか。

メインとなるのは大きく分けて「認知症一時金」「認知症年金」となります。どちらか一方のみしか備わっていないタイプもあれば、両方備わっているタイプもあるようです。

■認知症一時金
認知症一時金は、認知症で所定の状態になったときに、一時金としてまとまった保険金を受け取れる保障です。基本的に一時金の金額は、保険会社や保険商品によって30万円~300万円など幅広く、ニーズに合わせてボリュームを選べるようになっています。

介護が必要になった場合、住宅改修や施設入居などで特に初期費用が大きくかかるとされています。そうした一時的な費用負担に対して重点的に備えをしたい方にとって、認知症一時金は心強い保障だと言えるでしょう。

■認知症年金
認知症年金は、認知症で所定の状態になったときに、一定期間もしくは一生涯にわたって毎年、一定額の保険金を受け取れる年金形式の保障。認知症年金の金額は、10万円~60万円程度の幅から10万円単位で選べることが多く、なかには体の状態(要介護認定、日常生活自立度判定など)に応じて給付金額が増減するタイプも見られるようです。

認知症は完治が難しく、治療や介護が長期間に及ぶことも少なくありません。そのため、細く長く受け取れる認知症年金があれば、大いに生活の助けになると言えそうです。

■その他の保障
認知症保険には、認知症の保障以外にも、介護保障、医療保障、死亡保障などを特約として付けられる場合があります。その反対に、これらの保障がベースとなっていて、その特約として認知症に対する保障を付加できるタイプも存在します。

さまざまなリスクに対して手広い保障を備えている保険は、一見して安心できる心強いもののように思えるかもしれません。しかし、カバーする範囲が広い分、保険料が高額になるケースもありえるので、注意を払いましょう。

2-2 保険金を受け取れる条件(給付条件)

次に認知症保険で保険金を受け取れる条件について見ていきましょう。

「普通に認知症になったときに受け取れるんじゃないの?」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。しかし、必ずしも「認知症と診断される=認知症保険から保険金を受け取れる」というわけではないのです。そうではなくて、認知症で保険会社の定めた“所定の状態”に該当したときに、保険金を受け取れると覚えておきましょう。

そして、認知症保険の場合に注意しなければならないのが、“所定の状態”が各保険会社によって大きく異なっている点です。認知症保険というジャンル自体が新しいので、まだ各保険会社ともに商品内容が手探りの状況にあり、医療保険や死亡保険のように保険会社共通の給付条件のスタンダードが定まっていません。

とはいえ、当然ながら全く無秩序ということはありません。やや強引に整理するのであれば、次の5項目のうち任意の2項目が給付条件として設定されていることが多いようです。

  • ■器質性の認知症かどうか
  • ■見当識障害があるかどうか
  • ■認知症の状態が一定期間続いているかどうか
  • ■要介護1以上に認定されているかどうか
  • ■認知症高齢者の日常生活自立度判定がⅢ~Mに当たるかどうか

それぞれ具体的にどのような条件なのか、1つずつ詳しく見ていきましょう。

■器質性の認知症かどうか
認知症を種類分けするとしたら、さまざまな基準がありますが、そのうち1つが「器質性か? 機能性か?」というものです。器質性の認知症とは、脳の変化によって引き起こされる認知症で、具体的な病名としては「アルツハイマー型認知症」「脳血管性認知症」などがあります。対して、機能性の認知症は、脳には変化が見られない認知症です。主に認知症保険で保障の対象となるのは器質性の認知症となっています。基本的に機能性の認知症は対象になりません。

■見当識障害があるかどうか
見当識障害とは、認知症患者に共通して現れる、いわゆる「中核症状」の一つです。見当識障害になると、時間、場所、人物といった自分が置かれている状況を正しく把握することができなくなります。この見当識障害が見られることが、認知症保険では保険金の給付条件の1つとなっていることも少なくありません。

■認知症の状態が一定期間続いているかどうか
認知症保険では、保険金の給付条件の1つとして「認知症の状態が一定期間にわたって続いていること」があります。たとえば、がん保険などは「がんと診断確定された時点で保険金を受け取れる」といったタイプも見られますが、認知症保険では認知症と診断確定されるだけでなく、その状態が一定期間続かないと保険金を受け取れないことが一般的です。その「一定期間」は保険会社や保険商品によって違いがありますが、おおよそ90日~180日のタイプが多いようです。

■要介護1以上に認定されているかどうか
要支援・要介護認定とは、公的介護保険制度で定められている「どの程度の介護が必要なのか」を示した基準です。心身の状況に応じて要支援1~2、要介護1~5の7段階に分かれており、その認定は市町村から受けることになります。認知症保険のなかには、この要支援・要介護認定において「要介護1以上」に認定されることを給付条件の1つに設定しているものもあります。

■認知症高齢者の日常生活自立度判定がⅢ~Mに当たるかどうか
日常生活自立度判定は、「認知症高齢者がどのくらい自立して日常生活を送れるか」を判断する基準です。この基準は地域や施設で認知症高齢者の状態を客観的かつ短時間で判定するために設けられました。ランクは、Ⅰ、Ⅱ(Ⅱa/Ⅱb)、Ⅲ(Ⅲa/Ⅲb)、Ⅳ、Mの7段階に分かれていて、後ろにいくほど症状は重くなっていきます。認知症保険では、日常生活自立度判定がⅢ~Mに当たるかどうかを保険金の給付条件の1つにしている場合もあるようです。

2-3 加入条件

認知症保険の加入条件には、大きく分けて健康な方向けの「標準体タイプ」と、持病や入院歴をお持ちの方向けの「引受基準緩和タイプ」が見られます。

一言でいえば、この2つのタイプの違いは、保険への申込みのしやすさです。通常、生命保険に加入するときには、加入希望者が告知した健康状態をもとに保険会社による「審査」が行われます。それによって保険会社は引受けの可否を判断しているのです。この引受け条件が比較的に厳しいのが「標準体タイプ」、比較的に緩くなっているのが「引受基準緩和タイプ」となっています。

認知症保険も標準体タイプと引受基準緩和タイプの2種類に分けることができます。基本的には健康な方なら標準体タイプ、持病や入院歴があるなら引受基準緩和タイプを見ていくようにしましょう。ただし、過去に通院や入院があったとしても、現在の健康状態が良好であれば、標準体タイプに加入できることもあります。自分自身の健康状態を考慮しながら、各保険会社の告知や引受け目安をチェックして自分に合う商品を探すのが大切です。

2-4 認知症保険を選ぶときの4つの注意点

前節では認知症保険の保障内容について見てきましたが、実際に認知症保険を選ぶときにはどのようなポイントに注意すれば良いのでしょうか。ここでは、認知症保険を選ぶ際に必ず押さえておきたい4つのポイントをお伝えします。

■給付条件はどうなっているか?
先ほどお伝えしたように、認知症保険で保険金が支払われる給付条件は保険会社によっても異なります。医療保険であれば「入院・手術をしたとき」、死亡保険であれば「亡くなったとき」など給付条件はシンプルなのですが、まだ保険会社も試行錯誤している最中の新しい認知症保険ではやや複雑になっています。加入した後に「思っていたものと違った!」とならないように、しっかりと事前に給付条件は確認しておくと良いでしょう。

■保険金はどのタイミングで給付されるのか?
先述したように、認知症保険では認知症になったら、すぐに保険金が支払われるわけではありません。認知症にかかって、かつ所定の条件を満たしたときに保険金が給付されます。その所定の条件のなかには、「認知症の症状が一定期間にわたって継続すること」というものが入っているケースがあります。多くの場合、そうした条件が設けられている認知症保険では、認知症の症状が90日~180日続いたら保険金が支払われます。このような、認知症にかかってから保険金の支給までタイムラグがあるケースを認識し、認知症保険を選ぶ基準の1つにすると良いかもしれません。

■保険金は一時金タイプか? それとも年金タイプか?
大きく分けて、認知症保険の保険金の受け取り方は、一括で受け取る「一時金タイプ」と、毎年1回継続して受け取る「年金タイプ」があります。認知症保険を選ぶときには、保険金の使い道として、一括で受け取り治療費や介護の初期費用に充てたいのか(一時金タイプ)、あるいは継続的に受け取り介護サービス費用などに充てたいのか(年金タイプ)を基準にしみても良いでしょう。自分の年齢、貯蓄、ライフプランなどを参考にしながら考えてみましょう。

■すでに加入している保険との保障の重複は無いか?
保険会社や保険商品によって違いはありますが、認知症保険は認知症に係わる保障のほかに、医療保障や死亡保障が付いていることがあります。そういった認知症保険を検討する場合には、すでに加入している医療保険や死亡保険と保障に重複がないかどうかはチェックしましょう。

まとめ:認知症保険の情報はプロからGET!

いかがでしたか?
認知症保険が登場してきた背景から、認知症保険の内容や選び方にいたるまで、総合的に解説してきました。ここまで読んでいただいた方は、認知症保険の概要はご理解いただけたのではないかと思います。

改めてポイントを振り返っておくと、次のようになります。

  • 【この記事のポイント】
  • ・2020年時点で65歳以上の高齢者のうち認知症患者は約600万人。2025年には約700万人になる見通し
  • ・認知症になった場合、医療費は入院で約34万円/月、通院で約4万円/月。介護費は在宅介護で約219万円/年、施設介護で約353万円/年
  • ・認知症保険の保障内容は主に「認知症一時金」「認知症年金」
  • ・認知症保険の保険金の給付条件は次の5つのうち任意の2つが一般的。「器質性の認知症かどうか」「見当識障害があるかどうか」「認知症の状態が一定期間続いているかどうか」「要介護1以上に認定されているかどうか」「認知症高齢者の日常生活自立度判定がⅢ~Mに当たるかどうか」
  • ・認知症の加入条件は健康状態に応じて分かれており、比較的に条件が厳しい「標準体タイプ」と、比較的に条件が緩い「引受基準緩和タイプ」がある
  • ・認知症保険を選ぶときのポイントは、①保険金の給付条件はどうなっているか、②保険金が支給されるのはどのタイミングか、③メインの保険金は一時金タイプと年金タイプのうちどちらか、④すでに加入している保険と保障の重複はないか

とはいえ、ここでお伝えしたことは認知症保険に関する基本的な知識に過ぎません。特に認知症保険の場合、各保険会社が次々に新たな商品を販売し、より一層バリエーションが多彩になっています。その1つ1つの保険の特徴を把握して、自分に合った保険を見つけるのは大変な作業です。

「認知症保険を選ぶのって面倒くさそうだな……」

少しでもそのように思われた方は、保険のプロのアドバイスを参考にするのも1つの手かもしれません。認知症保険は新しいタイプの商品になるので、実際に選んでいくときには最新の商品情報が重要になります。その点、常に保険の最新動向をチェックしている保険のプロの話は、保険を選んでいくうえで大いに役立つはずです。

保険見直し本舗でも、知識と経験が豊富なプロとして、コンサルティングアドバイザーによる「無料相談サービス」を行っています。お客様一人ひとりのご意向をお伺いしたうえで、それに沿ったオーダーメイドのご提案をしており、多くの喜びの声を頂戴しています。

小さな疑問でも構いません。丁寧にご対応させていただきますので、まずは皆さんの悩みを聞かせてください。心よりお待ちしております。

⇒無料保険相談を上手に活用するための厳選ポイントはこちら