火災保険の選び方が分からない? そんなときは6つのステップで考えればOK!

Column

保険の基礎知識
火災保険の選び方が分からない? そんなときは6つのステップで考えればOK!

火災保険は、私たちの住まいや生活を守るとても大切な保険。火災や水災を始めとして、補償範囲の設定次第ではそれ以外のリスクについても手広くカバーしてくれます。住まいが賃貸であっても、マイホームであっても、火災保険に加入していないという方はほとんどいないのではないでしょうか。

そんな私たちが安心して日常を過ごすうえで欠かせない火災保険ですが、残念ながらすべての方が“自分に合った火災保険”をキチンと選べているかは疑問が残ります。中には、「不動産屋に言われるがまま加入した」「内容は良く分からないけど、とりあえず入った」というケースもあるようです。

確かに火災保険は複雑です。専門的な言葉が多いですし、保険の対象や補償の範囲もややこしくなっています。一般の方が火災保険を難しく感じるのも無理はありません。でも、実はちょっとしたポイントさえ掴めば、意外にもカンタンに“自分に合った火災保険”を選べるようになるのはご存知でしょうか?

この記事では、火災保険を選んでいく手順をご紹介しています。難解だと思われがちな火災保険選びを、具体的に6つのステップに分解し、誰でも自分に合った火災保険を選べるように工夫しました。ぜひ皆さんの火災保険選びにお役立てください。

火災保険を選ぶための6つのステップ

<第1ステップ>「保険の対象」を決める

まず、「保険の対象」を何にするのかを決めていきましょう。

保険の対象とは、補償される対象物のことを言います。火災保険では「建物のみ」「家財のみ」「建物+家財の両方」の3種類から選ぶようになっています。

「建物」は、建物本体や、それに付属する門、塀、物置、車庫など「建物に付帯していて動かせないもの」を指しています。その一方で「家財」は、家具、テレビ、冷蔵庫、洋服、カーテンなど「建物の中にあり動かせるもの」です。保険会社によっても建物と家財の定義は微妙に異なるので注意は必要ですが、おおよそこのイメージで捉えて間違いありません。

確認しておきたいのは、持ち家の住宅か、賃貸住宅かによって、選べる保険の対象は異なることです。持ち家の場合は、「建物のみ」「家財のみ」「建物+家財の両方」の3種類から選ぶことになります。賃貸の場合は、建物に対する火災保険は大家などが契約しているので、入居者は「家財のみ」の1種類だけなのが一般的です。

ですから、保険の対象で悩みのポイントとなるのは、持ち家のときに3つの選択肢の中からどれを選ぶのか、ということになりそうです。

保険の対象をどれにすれば良いかを迷ったときには、保険会社から送ってもらう見積書を見て、保険の対象物と保険料の兼ね合いを見つつ決めていくのも良いでしょう。

<第2ステップ>「構造級別」を確認する

続いて、保険会社が保険料を決めるために、保険の対象となる建物の構造を確認する必要があります。

というのも、火災保険の保険料は、補償の対象となる建物が燃えやすいか・燃えにくいかによって変動します。火災のリスクが高い建物だと保険料は高くなり、火災のリスクが低い建物だと保険料は安くなる、というわけです。では、保険会社はこの建物の燃えやすさをどのように判断するのでしょうか。その基準となるのが「構造級別」です。

構造級別は、建物がどのような素材で作られているかの指標で、火災リスクの大小を示しています。 具体的に言えば、住宅物件の構造級別は、「M構造」「T構造」「H構造」に分けることができます。M構造はマンション構造、T構造は耐火構造(鉄骨造住宅など)、H構造は非耐火構造(木造住宅など)のそれぞれ頭文字をとっています。

耐火性の強さの順番で言えば、①M構造、②T構造、③H構造です。火災保険では、建物が燃えにくく火災リスクが低いほど、保険料は割安に設定されます。なので、保険料の金額の高さの順で言えば、①H構造、②T構造、③M構造となります。このように、構造級別を確認することで、耐火性や保険料について、おおよその目安をつけることができるのです。

構造級別は火災保険の保険料を算出するうえで必須の項目なので、しっかりと確認しておきましょう。分からない場合は、建物や住宅の仕様書で確かめられることがあるので、施工メーカーなどに連絡を取ってみると良いでしょう。

<第3ステップ>「補償の範囲」を設定する

次に補償範囲について考えていきたいと思います。

現在の火災保険の多くは、補償範囲を細かくカスタマイズすることが可能です。したがって、火災保険を選ぶときには、どんな災害に対する補償を付けるのか、もしくは付けないのか、といった形で補償の範囲を設定していくことになります。

それでは、具体的に火災保険の補償の範囲はどのように決めていけば良いのでしょうか。 まず、火災保険の主な補償内容を確認してみましょう。保険商品によっても変わってきますが、おおよそメインとオプションで次のように分けることができます。

  • ●メインの補償
    火災、落雷、破裂・爆発、風災、雹災などの補償
  • ●オプションの補償
    水災、盗難による盗取・損傷・汚損、騒擾・集団行動等に伴う暴力行為、漏水などによる水濡れ、建物外部からの物体の落下・飛来・衝突などの補償

メインは火災保険に加入したら必ず付いてくるベースとなる補償です。一方、オプションを付けるかどうかは任意となっていますが、それ単体で契約を結ぶことはできません。したがって、火災保険の補償の範囲を決めていくことは、「どのオプションを付加するのか/付加しないのか?」を判断する作業になります。

もちろん補償の範囲は手広いほうが安心を得られますが、そのぶん保険料は高くなってしまいます。やはり大切なのは、自分にとって必要な補償を見極めて、適切な補償の範囲を設定していくことでしょう。

具体的なオプションの選択については、それぞれの住環境に応じて変わってくるので一概には言えません。しかし、考え方としては、住居を取り巻くリスクから逆算して決めていくことが基本だと言えます。

いくつか例を挙げてみましょう。たとえば、自動車の往来が激しい大通りに面した場所なら家に車が突っ込んでくるかもしれません。「外部からの物体の衝突」のオプションは付加しておきたいところでしょう。あるいは、川辺に近い場所であれば大雨や台風のときに水災に見舞われることも想定できます。「水災」に関するオプションをしっかり用意しておくと安心です。

ちなみに、国土交通省が公開している「ハザードマップ」(*1)では、それぞれの地域がどのような被害に遭いやすいのかを簡潔にまとめてあります。これを活用しながらリスクを明確にし、その部分をカバーするオプションを優先的に検討するというやり方も良いかもしれません。

<第4ステップ>「保険金額」を決める

次に、保険金額の決め方についてみてみましょう。

火災保険の保険金額は、保険の対象となる建物や家財の価値を金銭的に評価した数値(保険価額)をもとに決めていくことになります。この保険価額には2通りの考え方があり、それが「新価」「時価」です。火災保険の保険金額については、このうちどちらかをベースにして設定することになります。

それでは、具体的に新価と時価は、どのようなものなのでしょうか。

まず新価とは、同等の物を建築したり購入したりするときに必要となる金額のことです。別名“再取得価額”または“再調達価額”とも言われます。もし、建物や家財が損害を被ったときに新しく同等のものを建築・購入するとなった際に必要となる金額だと考えましょう。

次に時価とは、新価から「時間経過による価値の減少+使用による消耗分」をマイナスした現在の価値分の金額のことです。ですから、基本的には新価よりも低い金額になります。

火災保険の保険金額は、新価をベースにして設定する方法が主流になっています。火災で建物や家財を失ったときに、それらと同等のものを自身で費用負担することなく、新たに建築もしくは購入できるようにするためです。時価を基準にして保険金額を設定するよりも保険料は割高になりますが、もしものときには心強いと言えます。

ただし、火災のリスクを恐れるあまり、新価以上の保険金額に設定することは避けましょう。一見して手厚い補償を受けられるので保険料さえ許すなら悪くない選択に思えます。しかし、注意を払いたいのは、火災保険の補償の上限額が新価になっていることです。

つまり、建物や家財がどんなに損害を負ったとしても、結局のところ新価を超えた補償を受けることはできないので、その超過部分の保険金額に対する保険料がムダになってしまうのです。これは「超過保険」とも呼ばれており、火災保険の保険金額を考えるうえで必ず気を配りたいポイントだと言えます。

その一方で、時価を基点として保険金額を設定する方法もありますが、比較的に保険料はリーズナブルに済むものの、補償の手厚さという点にはやや不安が残ります。この場合、火災保険からおりる保険金のみで今までの住環境を再現することはできません。損害を受けた建物や家財と同等のものをそろえ直すためには、自身で費用負担する必要があることは認識しておくべきでしょう。

火災保険の保険金額を新価と時価のどちらを基準にするのか。この点は、補償と保険料のボリュームのバランスのなかで個々に検討していきましょう。

<第5ステップ>「保険期間」と「保険料払込方法」を決める

次に、「保険期間」と「保険料払込方法」を決めていきましょう。

火災保険の保険期間については、現在は基本的に1年~最長10年までの間で設定することができます。火災保険商品の中には、保険期間を長く設定すればするほど、保険料の割引を受けられるタイプもあり経済的です。できるだけ合理性を重視しながら節約したいということであれば、1年契約よりも長期契約のほうが適している場合が多いと言えます。

なお、損害保険料率算出機構は2021年5月に火災保険参考純率の変更に関する届出を行っています(*2)。これによると、近年の自然災害リスクの増加による保険料の引き上げとともに、長期的なリスク評価が難しくなっていることで最長の保険期間が5年に短縮されます。改定時期は2022年度中と見られています。

また、火災保険で長期契約を選択した場合、主な保険料払込方法としては、「長期払い(毎月保険料を払う方法)」「長期年払い(毎年1回まとめて保険料を払う方法)」「長期一括払い(すべての保険料を一括して払う方法)」の3つが挙げられます。

ここで押さえておきたいポイントは、長期年払いや長期一括払い等まとめて保険料を支払う方法を選べば、さらに保険料の割引を受けられるタイプが存在することです。この払込方法は一時的な出費が大きくなりに家計に大きな負担がかかりますが、長期的な経済性に魅力を感じるのであれば、無理のない範囲で検討してみましょう。

ただし注意を促したいのは、保険期間や保険料払込期間に応じた割引がどこの保険会社でも行われているとは限らないことです。この点については、火災保険の加入前に確認しておくと良いでしょう。

<第6ステップ>地震保険も加入するか決める

最後に、地震保険にもセットで加入するかを考えていきましょう。

地震保険とは、地震・噴火またはこれらによる津波を原因とする火災・損壊・埋没・流失による損害を補償する地震災害専用の保険のことです。

基本的に火災保険では、地震等による火災を原因とした損害の補償は対象外です。このリスクもカバーしたいのであれば地震保険に加入する必要があります。ただし、地震保険は単独では契約できない仕組みになっているため、火災保険に付帯する形で加入することになります。

地震保険の保険金額については、一般的に火災保険の保険金額の30%~50%の範囲内で決めるルールがあります。それに加えて、保険金額の上限としては、建物5,000万円、家財1,000万円に設定されています。また、実際に支払われる保険金額は、建物・家財の損害状況に応じて、それぞれ定められています。具体的には以下の表を参照してください(*3)。

地震保険における保険金額と損害

地震保険にもセットで加入するかどうかは難しいところですが、もしも地震が起こり建物や家財に損害を受けたときに経済的に厳しくなりそうな人は検討の余地があるのではないでしょうか。たとえば、持ち家のローンがまだまだ残っている人、貯蓄が十分ではなく心もとない人、地震が起こると収入が途絶えてしまう職業の人などは、地震保険をセットにしておくと安心です。

まとめ:複雑な火災保険にこそプロを活用しよう!

いかがでしたでしょうか?
ここでは火災保険の選び方の手順について、具体的にご紹介してきました。改めてポイントを振り返っておくと、以下の通りになります。

  • <第1ステップ>「保険の対象」を決める
  • ・「建物のみ」「家財のみ」「建物+家財の両方」の3種類の中から選ぶ。
  • ・保険の対象をどれにするか迷う場合は、それぞれ見積書をもらい、保険料も含めて検討する。
  • <第2ステップ>「構造級別」を確認する
  • ・保険の対象である建物が、M構造、T構造、H構造など、どの構造になっているのかを確認する。
  • ・どの構造になっているか判らない場合は、建物の設計書や仕様書、または施工メーカーへ確かめる。
  • <第3ステップ>「補償の範囲」を設定する
  • ・火災保険でオプションになっている補償のうちどれを付帯するか、自分が住まう建築や地域を含む環境のリスクを考えながら決めていく。国土交通省の「ハザードマップ」などを活用してみるのも一つの手。
  • <第4ステップ>「保険金額」を決める
  • ・火災保険の保険金額は、保険価額をもとに決められる。保険価額には「新価」と「時価」の2つがあり、基本的には新価をベースにして保険金額を設定しておくのが主流。
  • <第5ステップ>「保険期間」と「保険料払込方法」を決める
  • ・保険期間は1年~10年(5年に改定予定)、保険料払込方法は①長期払い(毎月保険料を払う)、②長期年払い(年に1回まとめて保険料を払う)、③長期一括払い(すべての保険料を一括し払う)から選べるのが一般的。基本的に保険期間は長く、一括で保険料を払うほど、保険料の割引を受けられる。
  • <第6ステップ>地震保険も加入するか決める
  • ・地震等による火災を原因とした損害も補償対象に含めたいなら、火災保険とセットで地震保険に加入するのが良い。

この記事に目を通して頂いたことで、火災保険の選び方について大まかなイメージは掴んで頂けたのではないかと思います。これで自分にどのような火災保険が合うのかは明確になるはずです。

しかし、実際に火災保険を選んでいくときに悩みがちなポイントが「どこの保険会社の火災保険にするか?」というところ。現在、多くの損害保険会社が火災保険を発売しています。その数ある火災保険の中には、自分の希望に沿っていそうなものは恐らくいくつも存在します。そこから、各商品の細かい部分にも注意しながら、ベターな保険を選んでいくのは時間も手間もかかる大変な作業です。

そんなときは、保険無料相談サービスを活用するのも一つの手です。私たち保険見直し本舗では、知識も経験も豊富な保険のプロが多数在籍しており、皆様の保険のお悩みについてアドバイスをさせて頂く無料相談サービスを行っています。保険のお悩みであれば、小さなことでも一つ一つ丁寧にお答えさせて頂きます。複雑な火災保険だからこそ、先ずはお気軽に保険のお悩みをお聞かせ下さい。スタッフ一同、心よりお待ちしております。

⇒無料保険相談を上手に活用するための厳選ポイントはこちら