医療保険はこう選べ!商品を比較する前に知っておきたい3つのこと

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保険の基礎知識
医療保険はこう選べ!商品を比較する前に知っておきたい3つのこと

医療保険は複雑です。いざ医療保険を選ぼうと思っても、入院給付金、手術給付金、先進医療特約などなど……、かなりたくさんの保障があって、パッと見ただけでは何をどう選んで良いか全然分かりません。

「こんなに複雑なら医療保険なんてもういいや!」

しばらく医療保険のパンフレットとにらめっこして、一つ一つの保障について考えていく面倒臭さから、こんなふうに途中で医療保険の見直しを投げ出された方も多いのではないでしょうか?

そこで、この記事ではどこよりも具体的に分かりやすく医療保険を選ぶうえでのポイントをお伝えしていきます。最後まで読んで頂ければ、「医療保険ってこうやって選ぶのか!」とヒザを打つこと請け合いです!

1. 医療保険の主契約はどうすれば良い?

1-1 入院給付金日額は「5,000円」と「10,000円」のどっちが良い?

現在の医療保険の入院給付金日額は、1日につき5,000円もしくは10,000円のタイプが一般的です。たとえば、入院給付金日額が5,000円のタイプなら、10日間入院した場合、50,000円の給付金を受け取れます。

では、もしも病気やケガで入院・手術をしたときには、どのくらい入院給付金日額に設定すれば良いのでしょうか。

基本的に医療保険の入院給付金日額としては、5,000円あれば安心だと言えます。日本には医療費が高額になったとき、一定の金額を超えた部分については国から払い戻しされる高額療養費制度と呼ばれる仕組みがあります。

高額療養費制度を利用すれば、一般の方は多くの場合、1か月の治療費の最大自己負担額は8~9万円程度にとどまります。治療費が1か月9万円だとすれば、1日当たりの自己負担額は3,000円程度になりますから、5,000円の入院給付金日額でも十分にまかなえることが分かります。

ただし、注意したいのは「差額ベッド代(病院の個室の費用)」「健康保険が適用されない治療の費用」「食事代」「お見舞いにきた家族への交通費」などで、これらは基本的に全額自己負担となります。

たとえば、「入院したときには個室で落ち着いて治療に専念したい!」「お見舞いにきた人の交通費くらい出してあげたい!」といった希望があり、そうした公的な制度が利用できない部分まで医療保険でまかないたいということであれば、10,000円の入院給付金日額を用意しておいたほうが良いと言えるでしょう。

1-2 入院給付金の支払い限度日数は何日あれば良い?

医療保険の1入院あたりの入院給付金の支払い限度日数は、60日タイプ、120日タイプ、180日タイプ、360日タイプなど多くのバリエーションがあります。たとえば、支払い限度日数が120日の医療保険であれば、「1回の入院で最大120日間までは入院給付金が支給されます」ということになります。

では、医療保険への加入するにあたって、どのくらいの支払い限度日数があれば十分なのでしょうか。

原則的には、医療保険の支払い限度日数は60日タイプで問題ないと言えます。厚生労働省が発表している「平成29年 患者調査」によれば、病気やケガでの平均入院日数は29.3日とされています(*1)。ですから、基本的には医療保険の支払い限度日数は60日タイプで十分にカバーできると言えそうです。

以前の医療保険では、180日タイプ、360日タイプなども多かったのですが、それは病気やケガによる入院日数が長かったからです。入院が短期化している今、そこまで長い支払い限度日数は必要ありません。

ただし、脳卒中、急性心筋梗塞、うつ病など、今も入院が長期化しやすい病気もあるので、保険料との兼ね合いではありますが、特定の病気に対しては支払い限度日数が延長される特約の付加は検討してみても良いかもしれません。

また、古いタイプの医療保険だと、入院してから5日、10日など、一定期間が経過してからでないと入院給付金を受け取れないものも存在します。入院が長かった時代はそれでも良かったのですが、前述したように今は短期入院も少なくありません。

現在の医療保険は入院初日から保障の対象になるものがほとんどですが、「この医療保険はちゃんと初日から保障が受けられるかどうか?」という点にも念のため注意したほうが良いでしょう。

1-3 手術給付金は「倍率一律タイプ」と「倍率変動タイプ」のどっちが良い?

医療保険の手術給付金は、基本的に入院給付金日額に連動しており、その連動の仕方によって「倍率一律タイプ」「倍率変動タイプ」の2種類に分けられます。

「なんか難しそう……」と思われたかもしれませんが、そんなことはありません。倍率一律型は「手術の種類に関わりなく手術給付金が一定」で、倍率変動型は「手術の種類によって手術給付金が変わる」とだけ覚えておきましょう。

倍率一律タイプの手術給付金は、手術を受けたら一律で入院給付金の20倍の保険金を受け取れる、といった形になっています。たとえば、入院給付金日額10,000円で手術給付金が倍率一律型なら、手術を受けたときの保険金は20万円で固定です。

対して、倍率変動タイプの手術給付金は、重い手術ほど給付金が大きくなり、軽い手術ほど給付金が小さくなるのが一般的です。

基本的に倍率変動タイプでは、手術を受けた場合、所定の手術の区分に応じて、入院給付金日額の10倍・20倍・40倍のいずれかの手術給付金を受け取れる、といった形になっています。もし入院給付金日額10,000円であれば、手術の種類によって手術給付金は10万円、20万円、40万円といったように変わるイメージです。

手術給付金については、「重い手術には手厚く、軽い手術には手薄に」というふうに理にかなっていることから、倍率変動タイプを選ばれる方も多いようです。ただし、保険料は、倍率一律型よりも倍率変動タイプのほうがやや割高になっています。

とはいえ、手術給付金のタイプは医療保険を選ぶうえで決定的な重みを持っているものではありません。この手術給付金のタイプの違いは「同じような二つの医療保険で悩んだときに手術給付金が倍率変動型のほうを選ぶ!」くらいに軽く捉えておくのがちょうど良いかもしれません。

2. 保険料の支払い方法と保険期間はどうすれば良い?

2-1 支払い方法は「短期払い」と「終身払い」のどっちが良い?

終身タイプの医療保険の保険料の支払い方法には、大きく分けて「終身払い」「短期払い」の2つがあります。

終身払いは、保障と同じように保険料の支払いも亡くなるまで継続していく支払い方法です。短期払いは、60歳や65歳、もしくは10年や15年など、一定期間のうちに保険料の支払いを済ませる方法です。短期払いの場合、保険料の支払いを終えたあとも、保障は一生涯続いていきます。医療保険に加入するときに、これら2つの方法のうちどちらを選べば良いのでしょうか。

まず、終身払いの良いところは、短期払いと比べて、毎月の保険料の負担が軽いことです。ただし、終身払いにしたら亡くなるまで支払いは続きますから、長生きしたときに保険料の支払い総額が大きくなることは覚えておきましょう。

また、終身払いについては、働いているうちは問題ないにしても、老後になってからも保険料を払い続けていけるかどうかは不安が残る、という声もあるようです。

一方、短期払いの良いところは、終身払いと比べて支払う保険料の総額が安く済む可能性が高いことが挙げられます。同じ医療保険の終身払いと短期払いで、平均寿命を基準にして保険料の試算をすると、短期払いの方が支払う保険料の総額が安いケースが多いようです。

また、短期払いの場合、保険料の支払いを終えたあとも保障はしっかり残りますから、「設定次第で経済的にゆとりの少ない老後に保険料なしで保障だけ持てる」という部分も安心感があると言えます。

ただし、終身払いと比べて毎月の保険料は割高になるので、払い込みが終わるまで無理なく支払っていけるかどうかは、じっくり家計と相談しましょう。

終身払いか短期払いかを選ぶうえでのポイントは、新たに加入する医療保険を一生涯続けていくつもりなのか、それとも将来的に見直しをするつもりなのか、という点です。

もし新たに加入する医療保険を一生涯続けていくのなら、支払い方法は保険料の総額が小さくなる可能性が高い短期払いを選んだほうが良いでしょう。逆に将来的に見直しを想定しているのであれば、支払い方法は毎月の負担が軽い終身払いがオススメです。

2-2 保険期間は「定期タイプ」と「終身タイプ」のどっちが良い?

医療保険は保険期間で、「定期タイプ」「終身タイプ」の2つに分けることができます。

その名前の通り、定期タイプは保険期間が限定されており、「一定の期間で保障が終わるタイプの医療保険」だと言えます。保険料は、終身タイプと比較すると、加入時は割安ですが、更新をしていくと割高になっていきます。保障内容については、更新ごとに小さくなっていくものが一般的です。

定期タイプのイメージ

一方で終身タイプは、保険期間が限定されておらず、「(保険料を支払っている限り)一生涯保障が続いていくタイプの医療保険」です。保険料は、定期タイプと比較して、加入時は割高ですが、更新などはなく保険料は変わらないままです。保障内容についても、一生涯変わらずに続いていきます。

終身タイプのイメージ

定期タイプと終身タイプのどちらを選ぶかは、「何を医療保険に求めているか?」によって変わってきます。

たとえば、まだ貯金が少なかったり、子供が小さかったり、家のローンの支払いが残っていたりするなど、誰にでも出費が多くて家計的に大変な時期があります。そうした時期に、もしも病気やケガで入院・手術をして治療費までかかってきたら、生活的に大変です。

このように「出費が大きい一定期間だけ、もしものときの治療費の備えが欲しい」ということでしたら、定期タイプの医療保険のほうが適しているでしょう。

それに対して、ライフステージに関わりなく入院・手術をしたときに治療費をある程度カバーできる「ベースとなる医療保険」を備えたい、というニーズもあります。

たとえば、定期タイプの医療保険には満期があり、ある一定の期間で保障そのものが終わってしまいます。そうしたら新たな医療保険を探すのが通例ですが、年齢や健康状態によっては「そもそも加入できる新しい医療保険がない」ということがないとも限りません。病気やケガをしたときに保険から一切なにも受け取れず、すべて自分の貯金などでどうにかしなければならない、という状況は不安が残るでしょう。

その点、先に少し触れたように、終身タイプの医療保険の場合、加入したときから保障も保険料も変わることはないので、保険料を払っている限り「途中で医療保険がなくなった!」という事態に陥ることはありません。そのような長期的に加入することが前提の「とりあえずコレ一本あれば安心」といった医療保険を準備したいのであれば、保険料も保障内容も一定の終身タイプの医療保険が合っていると言えます。

3. 特約はどうしたら良いか?

3-1 先進医療特約は付加すべき?

先進医療とは厚生労働大臣が定めた「高度な技術を用いた治療」のことを指し、先進医療でかかった技術料は健康保険の対象外となっています。

一口に先進医療といっても様々な種類があるので一括りにはできませんが、例えばがんの先進医療の技術料は次の通りです(*2)。

【先進医療にかかる技術料】
・陽子線治療:約265万円
・重粒子線治療:約319万円

「え! 先進医療の技術料ってそんなにかかるの?」と思われたかもしれません。そして、先述したように、先進医療の技術料は健康保険の対象外なので、全額自己負担をしなくてはなりません。これだけの金額を支払うのは家計的に苦しい、という方がほとんどではないでしょうか。

そうした先進医療を受けたときのリスクに備える方法として、医療保険の先進医療特約は適しています。医療保険の先進医療特約は、先進医療を受けたときに、その技術料を1,000万円や2,000万円など一定の範囲内で実費保障する、というものです。特筆すべきは保険料で、先進医療特約は100円前後で付加することができます。

もちろん先進医療を受けられる医療機関は限られていますから、治療を受ける確率は決して高いとは言えませんし、先進医療のなかにも技術料が50万円以下のものも少なくありません。それを理由に先進医療特約は必要ないと言うこともできそうですが、もしも上で挙げたような先進医療を受けたら大きな費用がかかります。

ですので、先進医療特約は、保険料も100円程度ですから、万が一高額な先進医療を受けるときに備えて、お守り代わりに付加しておいた方が無難でしょう。

3-2 女性特約は付加すべき?

医療保険の女性特約は、女性特有の病気により入院や手術をした場合に、ほかの病気に比べて手厚く保障を受けられる特約です。たとえば、女性特有の病気での入院や手術のときには、入院給付金や手術給付金が上乗せで受け取れる、といったイメージです。

「女性特有の病気」という言い方をしましたが、保険会社や保険商品によって若干違いはあるものの、一般的には次のようなものが挙げられます。

■代表的な女性特有の病気
・乳がん
・子宮体がん
・子宮頸がん
・卵巣がん
・子宮平滑筋腫
・卵巣のう腫

医療保険の女性特約は、「必ず付加したほうが良い特約」ではありません。なぜなら、女性特有の病気だからといって、がん関連の病気を除いて、他の病気よりも治療費が大きくなることはないからです。また、女性特有のがんについても、何かしらの形でがんに関する保障を備えているのなら、それで十分にカバーできると言えます。

しかしながら、一部の乳房再建術などをはじめとして、女性特有の病気の治療のなかには健康保険が適用にならないものも存在します。あるいは、女性特有の病気の種類によっては「周りの人の目が気になるから個室で入院したい!」ということもあるかもしれません。

そういった可能性を考え、「やっぱり女性特有の病気のときには手厚い保障がほしい!」という方は、安心を得る意味でも十分に女性特約は検討の価値アリと言えます(保険は安心のために加入する、という側面も大きいですから)。

3-3 三大疾病特約は付加すべき?

三大疾病とは、「がん」「脳卒中(くも膜下出血、脳内出血、脳梗塞)」「急性心筋梗塞」のことを言います。三大疾病は日本人の死因の上位3つであり、これらの病気のリスクに備えるのが三大疾病特約の役割です。

三大疾病特約は、大きく分けて次の三種類に分けられます。

■3つの三大疾病特約
三大疾病一時金特約
・・・三大疾病を原因として「保険会社が決めた所定の状態」になったときに一時金を受け取れる特約
三大疾病入院日数無制限特約・・・三大疾病で入院したら入院給付金の支払い限度日数が無制限になる特約
保険料払込免除特則・・・三大疾病で「保険会社が決めた所定の状態」になったとき以降、保障はそのままに保険料の払い込みが免除される特則

これらの三疾病特約は、三大疾病にかかったときに手厚い保障を受けられるので、あるに越したことはない特約です。

以前の三疾病特約は、給付金の支払い条件が厳しく、受け取りにくいと言われていました。特に脳卒中や急性心筋梗塞の場合、「60日ルール」と呼ばれるような「脳卒中や急性心筋梗塞にかかったうえで60日以上社会復帰できない状態」にならないと保障対象にならないものが多かったので、三大疾病特約の必要性が疑問視されていたほどです。

ですが、今の医療保険のなかには、給付の条件が「脳卒中や急性心筋梗塞になって治療目的の入院を開始したとき」といったものも登場しています。三大疾病特約の付加を検討するときには、しっかりと給付金の支払い条件をチェックしましょう。

また、三大疾病特約の特徴の1つとして、付加したときに保険料がかなり大きくなる、という点が挙げられます。くわえて、がんの一時金については、医療保険のほかにがん保険に加入しているなら、保障が重複している可能性も考えられます。

ですので、三大疾病特約を検討するときには、「保険料が高くなるが支払いに無理がないかどうか」「がん保険の保障などと重複がないかどうか」といった点にも気をつけましょう。

3-4 がん特約は付加すべき?

医療保険のがん特約は大きく分けて次の3種類があります。

■3つのがん特約
がん診断特約
・・・がんと診断された段階で給付金を受け取れる特約
がん入院特約・・・がんで入院した場合、入院給付金日額が上乗せされたり、支払い限度日数が延長されたりする特約
がん通院特約・・・がんで通院したときに保険給付金を受け取れる特約

がんは大きな費用がかかる病気ですから、がんに対しては何かしらの保険で備えをしておきたいところです。問題になるのは、がんに対して医療保険のがん特約で備えるか、もしくは単体のがん保険で備えるのか、というところです。

医療保険にがん特約を付加して備えれば、保障に無駄な重複がなくスマートにがんに対する保障を準備することができます。しかしその一方で、医療保障とがん保障がセットだと、どちらかひとつを見直しするときに、もうひとつも見直しをしなければいけない手間は残ります。

逆に、がんに対して単体のがん保険で備える場合、医療保険とがん保険は別々になるので、将来的にどちらかにより条件の良い保険が登場したときにフットワーク軽く見直しを行うことができます。ですが、医療保険とがん保険で保障が重複し、無駄な保険料を支払うことにもなりかねません。

医療保険のがん特約を付加するかどうかは、将来的な保険の見直しの可能性や、すでに加入しているがん保険との保障の重複などを基準に考えていくと良いでしょう。

まとめ:保険を見直すときは「比較」と「プロの助言」も参考に!

いかがでしたか?

ここでは、医療保険を見直しするときに注目すべきポイントについてお伝えしてきました。この記事を読んでい頂いた方は、もう医療保険を選ぶうえで注目すべきポイントはしっかりご理解いただけたのではないかと思います。

とはいえ、ここでお伝えしたのは医療保険を選ぶうえでの知識に過ぎません。医療保険を見直すためには、お伝えしたポイントに沿って複数の保険会社や保険商品を見比べながら、自分に合っているものを絞り込んでいく必要があります。しかし、医療保険の数は多いですから、その一つ一つをチェックしていくのはかなり骨の折れる作業です。

そのようなときには、保険のランキングや比較を参考にして、自分の希望にそった保険を探してみてはいかがでしょうか。多くの保険を片っ端から見ていくよりも、ランキングで人気のある保険から考えていくほうが、自分に合った保険も見つけやすいはずです。

また保険見直し本舗は、保険のプロが皆様の保険のお悩みについてアドバイスをさせて頂く無料相談サービスも行っています。「もっと詳しく保険の話を聞きたい!」「いくつか気になる保険があるけど、どれが自分に合っているのが知りたい!」「プロの視点から助言がほしい!」といったときは、是非無料相談サービスも併せてご活用ください。

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