おすすめの個人年金は?選び方や個人年金の種類を詳しく解説

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お金の知識
おすすめの個人年金は?選び方や個人年金の種類を詳しく解説

「老後2,000万円問題」が取りざたされてから、老後資金の確保は国民の重大な課題となっています。また、2,000万円という額は1つの目安であり、老後も標準以上の生活水準で安心して過ごすためには、さらなる資金が必要になるでしょう。

現在の準備だけでは不安という方は、若いうちから計画的に老後の生活資金を準備することが大切です。そして、老後の生活資金を増やすための1つの方法として挙げられるのが「個人年金」です。

そこで今回は、個人年金の概要や公的年金との違いから、個人年金の種類、メリット・デメリット、個人年金以外の積み立て方法、個人年金の加入が向いている方まで詳しく解説します。

 

1.個人年金とは?

個人年金とは、老後資金の準備を目的に、一定の年齢を迎えるまで保険料を積み立てる私的年金制度です。毎月保険料を支払い、一定の年齢を迎えた後はそれまで支払った積立金にもとづき年金を受け取れます。

また、私的年金制度は個人年金のほかに「企業年金」という種類もあります。企業年金とは、従業員の退職後の生活を保障することを目的に、企業が任意で加入する私的年金制度です。

公益財団法人 生命保険文化センターが公表した調査結果によると、2021年における個人年金保険の世帯加入率は24.3%でした。2015年以降、加入率は増加傾向にあるものの、依然として認知度が低く、増加率も微々たるものとなっています。

出典:厚生労働省ホームページ
出典:(公財)生命保険文化センター「個人年金保険の加入状況」より

 

1-1.公的年金との違い

個人年金は私的年金制度であり、加入は任意となっています。一方で、20歳以上60歳未満のすべての方が加入する国民年金(基礎年金)と、会社員・公務員の方が加入する厚生年金保険の公的年金制度もあります。

国民年金は就業状況を問わず、20歳以上60歳未満のすべての方が加入するもので、厚生年金保険は会社員・公務員のすべての方が加入します。なお、会社員・公務員の方は、国民年金と厚生年金保険の2つの公的年金に加入することとなります。

「国民年金」「国民年金+厚生年金保険」それぞれの保険料を負担した場合の年金受給例は、下記の通りです。

国民年金 65歳から基礎年金保障として月々約57,000円を受給
国民年金+厚生年金保険 65歳から基礎年金・厚生年金保障として月々約154,000円を受給

上記はあくまでも20歳から保険料を負担したケースの例であるため、途中で転職・退職をしたり保険料の免除制度を適用したりした場合は、老後に受け取れる額も異なることを覚えておきましょう。

出典:日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」
出典:厚生労働省ホームページ

 

2.個人年金は必要?老後にかかる生活費

2019年、金融庁から「老後30年間で2,000万円が必要」という試算が出されてから、世間では瞬く間に老後2,000万円問題として議論が巻き起こりました。

とは言え、60代を迎えた後の30年間に2,000万円の資金が必要であることはあながち間違いではありません。むしろ、標準的な生活水準で老後を過ごすためには、2,000万円以上の資金が必要と言っても過言ではないでしょう。

厚生労働省は、老後に夫婦2人で過ごす上で最低限必要となる生活費が月平均22.1万円であるという見解を調査データとともに述べています。さらに、ゆとりある生活を送るためには、36.1万円が毎月必要とも言われています。

ゆとりある老後を安心して迎えるためには、自助努力として個人年金の備えが重要と言えるでしょう。

出典:厚生労働省ホームページ
出典:厚生労働省ホームページ

 

3.個人年金の種類

個人年金保険は、年金の受給方法や受給額によって、さまざまな種類に分けられます。自身にとって適切な個人年金保険に加入するためには、種類ごとの特徴を理解しておく必要があるでしょう。

ここからは、「年金の受け取り方による違い」「円建て・外貨建ての違い」「年金の運用方法による違い」を軸に、個人年金の種類をいくつか紹介します。

 

3-1.年金の受け取り方による違い

個人年金は、受給形態によって確定年金・終身年金(保証期間付終身年金)・有期年金(保証期間付有期年金)・長寿年金保険・夫婦年金などの種類に分けられます。種類によって、年金の受取開始年齢や受取方法が異なることを覚えておきましょう。

●確定年金

被保険者の生死を問わず、契約時に定めた一定期間に年金を受け取れる個人年金です。被保険者である年金受給者が万が一亡くなっても、残りの年金は遺族が受け取れます。年金の受給期間が長いほど、受給総額が大きくなる点も特徴です。

●終身年金(保証期間付終身年金)

保証期間中は被保険者の生死に関係なく年金を受給でき、期間終了後は被保険者が生存する限り一生涯年金を受け取れる個人年金です。保証期間中に万が一被保険者が亡くなっても、残りの保証期間に対応した年金・一時金を受け取れます。

●有期年金(保証期間付有期年金)

保証期間中は被保険者の生死に関係なく年金を受給でき、期間終了後は契約時に定めた一定期間に被保険者が生存する限り年金を受け取れる個人年金です。受給期間に定めのある確定型年金と、一生涯年金を受給できる終身型年金の中間的な位置づけと言えるでしょう。

●長寿年金保険

長寿への備えを重視した個人年金保険です。年金の受給開始前は解約返戻金が低く、かつ死亡保障もないため、万が一受給開始前に被保険者が死亡した場合は解約返戻金が死亡払い戻しとなるため、それまでの払込保険料を下回る可能性がある一方で、将来的に受け取れる年金額が比較的高いことが特徴となっています。「長寿生存保険」「長寿支援保険」とも呼ばれています。

●夫婦年金

戸籍上の夫婦いずれかが生存する限り、残された配偶者が年金を受け取れる個人年金です。基本的には保証期間が設けられており、万が一夫婦が亡くなっても、遺族が残りの保証期間に対応した年金・一時金を受け取れます。受給額や変更条件は保険会社によっても異なるため、各会社の商品内容をしっかり確認しておくことがポイントです。

出典:(公財)生命保険文化センター「個人年金保険」より

 

3-2.円建て・外貨建ての違い

個人年金保険には、円建てで運用するもの・外貨建てで運用するものに大きく分けられます。近年、より高い利率での運用を目的に米ドルや豪ドルなどの外資建てで運用する個人年金保険は非常に注目されています。

円建て個人年金は、名前の通り保険料の支払いと受け取りがいずれも日本円となります。為替変動によるリスクがなく、毎月の保険料が一定である程度の受給額をあらかじめ把握できる点がメリットです。

一方の外貨建て個人年金は、保険料の支払いと受け取りが円またはドルとなります。支払いと受け取り時は円とドルを交換することから、為替レートの変動による影響を受け、保険料や受給額も変動することが特徴です。

日本は世界的に見ても低金利となっており、高金利の外貨で運用することで高い貯蓄性が期待できるものの、支払い時・受け取り時の為替レートによって為替差損が発生する可能性がある点にも注意しなければなりません。

円建て個人年金と外貨建て個人年金は、いずれもメリット・デメリットがあります。どちらが自身に合っているか、リスクや注意点も踏まえて慎重に検討することが大切です。

 

3-3.年金の運用方法による違い

個人年金保険は、運用方法によって「定額年金」と「変額年金」の2種類に大きく分けられます。

定額年金とは、将来的に受け取れる年金額が確定している年金保険のことです。年金原資の最低保証が設けられており、安定性の高さが魅力的な商品となっています。老後の生活設計も立てやすい一方で、受給時に大幅な物価上昇が生じていた場合、利率が物価上昇に追いつかず年金額が実質的に目減りしてしまうことがリスクと言えるでしょう。

一方の変額年金とは、運用期間中に契約者が自ら運用商品を選択・運用し、その実績にもとづいて将来的な年金受給額が増減するという年金保険です。

株価や為替の変動によって、変額年金の運用次第では払込保険料よりも多くの年金・一時金を受け取ることが期待できます。その一方で、定額年金とは違って年金原資の最低保証がないため、場合によっては払込保険料よりも受給額が下回る可能性もあります。

このように、定額年金と変額年金にもそれぞれメリット・デメリットがあるため、どちらが合っているか慎重に検討した上で自身に適した種類を選ぶとよいでしょう。

 

4.個人年金のメリット・デメリット

個人年金保険への加入は任意となっているものの、老後2,000万円問題によって自助努力が重要とされてからは、加入が強く推奨されていることも実情です。

実際に個人年金は、老後の資金をしっかりと確保するのに適した保険ではあるものの、メリットばかりというわけではありません。負担した保険料を運用することとなるため、少なからずリスクやデメリットもあることを覚えておきましょう。

ここからは、個人年金のメリット・デメリットをそれぞれ詳しく説明します。

 

4-1.【メリット1】計画的に貯蓄ができる

個人年金のメリットは、将来や老後に向けて計画的に貯蓄できるという点です。個人年金保険に加入すれば、口座振替やクレジットカード払いで毎月定められた保険料を払い込むこととなります。

一度払い込んだ保険料は、簡単に引き出すことができません。そのため、普段の生活では貯金が難しい方でも、老後資金の計画的な貯蓄が継続しやすくなります。

 

4-2.【メリット2】個人年金保険料控除が受けられる

個人年金の加入によるもう1つのメリットが、個人年金保険料控除を受けられるという点です。個人年金保険で払い込んだ保険料は、確定申告や年末調整の際に個人年金保険料控除が適用され、最大で年間4万円の控除が受けられます。

また、個人年金保険料控除は一般生命保険料控除と別に設定されているため、すでに終身保険に加入していて一般生命保険料控除を受けている方でも、個人年金保険料控除によって所得控除額をさらに増やすことが可能です。

なお、個人年金保険料控除の適用を受けるには、受給者や保険料の払込期間などにおいて一定の条件を満たす必要があります。加えて、個人年金保険料税制適格特約を付帯しなければなりません。個人年金保険料税制適格特約を付帯しないまま個人年金保険に加入すると、個人年金保険料控除としての控除を受けられず、一般生命保険料控除に含まれてしまうことに注意が必要です。

出典:国税庁ホームページ
出典:(公財)生命保険文化センター「税金の負担が軽くなる「生命保険料控除」」より

 

4-3.【デメリット1】インフレのリスクがある

個人年金保険は定額年金タイプが一般的であり、契約した時点で将来的に受け取れる年金額が決まっています。たとえインフレによって物価が上昇しても、受給額は契約時から変わることがありません。

年金の受給開始時点で物価が大幅に上昇してしまった場合、受け取れる年金額は実質的に目減りしてしまいます。つまり年金の価値が相対的に減少するため、想定していた老後のゆとりある生活を送るには、決して十分とは言えない金額となる可能性もあります。

このようなリスクやデメリットを回避するためには、変額個人年金の選択が適切です。変額年金であればインフレに伴い運用している投資商品の価値も変動するため、物価が上昇しても適切な価値の年金額を受け取れるでしょう。

 

4-4.【デメリット2】元本割れのリスクがある

個人年金保険には、元本割れのリスクがあることも忘れてはなりません。元本割れが生じるパターンとしては、「早期解約による元本割れ」「運用実績にもとづく元本割れ」「為替リスクによる元本割れ」の3つが挙げられます。

個人年金の受取開始時期は一般的に60歳や65歳などに設定しますが、設定した時期を迎える前に年金を受け取りたい場合は中途解約しか手段がないケースも珍しくありません。中途解約した場合、解約返戻金は払込保険料総額よりも少なくなってしまいます。

もう1つのパターンである「運用実績にもとづく元本割れ」は、変額タイプの個人年金を選んだ場合に起こり得るリスクです。前述の通り、変額年金は運用実績にもとづいて将来的な年金受給額が増減します。たとえ中途解約をしなかったとしても、運用成果次第では満期保険金が払込保険料総額を下回るケースがあることも覚えておきましょう。

また、外貨建ての個人年金を選んだ場合は、為替の変動によっても元本割れのリスクがあるので注意が必要です。

 

5.個人年金以外での資産形成は?

老後に向けての資金を準備する方法には、個人年金以外にも複数あります。

  • iDeCo(個人型確定拠出年金)
  • つみたてNISA
  • 投資信託
  • 終身保険
  • 養老保険
  • 定期預金

ここからは、上記に示した各積み立て方法の詳細を、概要とメリット・デメリットを挙げながら分かりやすく説明します。

 

5-1.iDeCo(個人型確定拠出年金)

iDeCo(個人型確定拠出年金)とは、確定拠出年金法にもとづく私的年金制度です。個人で掛け金を拠出・運用し、将来的に受け取る年金を積み立てるという仕組みであり、積み立てた年金は「老齢給付金」として受け取ることとなります。

iDeCoの加入対象者は、原則として日本に住む20歳以上65歳未満の国民年金や厚生年金の公的年金加入者です。

iDeCoのメリットとデメリットは、下記の通りとなっています。

iDeCoのメリット
  • 掛け金が全額所得控除の対象となる
  • 運用益が全額非課税となる
  • 一時金受け取りで受給すると所得控除を受けられる
iDeCoのデメリット
  • 原則として60歳まで受給できない
  • 元本割れのリスクが伴う

iDeCoにはさまざまな税制優遇措置がとられている一方で、掛け金や運用益は、原則として60歳まで引き出すことが不可能である点や、運用方法によっては元本割れといった投資リスクが伴うことも覚えておきましょう。

出典:iDeCo公式サイト「iDeCo(イデコ)の特徴」

 

5-2.つみたてNISA

つみたてNISAとは、2018年からスタートした「少額からの長期・積立・分散投資に特化した非課税制度」です。非課税投資枠は年間で最大40万円であり、運用益は最長20年間非課税となります。

一度投資商品を選ぶと自動で定期的に買い付けるため自ら購入タイミングを決める必要がありません。日本に住む20歳以上の方であれば誰でも利用でき、投資初心者をはじめとした幅広い層に注目されています。

つみたてNISAのメリットとデメリットは、下記の通りです。

つみたてNISAのメリット
  • 少額から投資できる
  • 運用益が最長20年間非課税となる
  • 購入タイミングを見極める必要がない
つみたてNISAのデメリット
  • 元本割れが生じる可能性がある
  • 損失が生じても損益通算ができない

少額投資ができるつみたてNISAは比較的安全な投資方法ではあるものの、投資商品の価値が下落すれば当然元本割れが生じるほか、万が一元本割れが生じても損益通算ができない点に注意が必要です。

なお、2024年からはNISAの拡充・恒久化によって「新NISA」も導入されます。新NISAでは非課税保有期間が無期限となり、年間投資枠も最大360万円となります。つみたてNISAと新NISAは併用も可能です。

出典:金融庁ウェブサイト
出典:金融庁ウェブサイト

 

5-3.投資信託

投資信託とは、多数の投資家から集めた資金を1つにまとめ、投資のプロである運用会社やファンドマネージャーが国内外の株式・債権に分散投資を行うという金融商品です。投資の運用成果として生じた利益は、各投資家に還元される仕組みとなってます。

投資信託のメリットとデメリットは、下記の通りです。

投資信託のメリット
  • 少額から投資できる
  • 複数の銘柄での分散投資でリスクを軽減できる
  • 運用を投資の専門家に一任できる
投資信託のデメリット
  • 元本割れが生じる可能性がある
  • 分配金や譲渡益に税金がかかる
  • 手数料などのコストがかかる

投資信託は少額から始められるだけでなく、分散投資によるリスク軽減やプロに一任できるといった点にメリットがある一方で、元本保証がない・手数料や税金がかかるというデメリットもあります。余剰資金のある方に適した金融商品と言えるでしょう。

 

5-4.終身保険

終身保険とは、生命保険における死亡保険の一種であり、死亡保障や高度障害保障が一生涯にわたり継続する保険です。解約時には解約返戻金を受け取れることから、貯蓄性のある保険とも言えます。老後の生活資金の確保を目的に加入するケースもあります。

終身保険のメリットとデメリットは、下記の通りです。

終身保険のメリット
  • 保障が一生涯にわたり続く
  • 解約返戻金を老後資金として活用できる
  • 生命保険料控除が適用される
終身保険のデメリット
  • 保険料負担が比較的大きい
  • 元本割れが生じる可能性がある

自身の死亡時には保険金の受取人にお金を遺してあげたいという目的を達成できるほか、解約返戻金を老後資金の備えにすることも可能です。その一方で、解約返戻金の額が払込保険料総額を下回るケースもあるほか、インフレによって保険金や解約返戻金が実質的に目減りしてしまう可能性があることも覚えておきましょう。

 

5-5.養老保険

養老保険とは、死亡保障と貯蓄の両方を併せ持った生命保険です。被保険者が亡くなった場合や重度の障がいが残った場合には死亡保険金を、満期まで生存していた場合には満期保険金を保険金受取人が受け取れます。この死亡保険金と満期保険金は、いずれも同じ金額を受け取れる点が特徴です。

養老保険のメリットとデメリットは、下記の通りです。

養老保険のメリット
  • 期間中に万が一の事態が発生してもしなくても、同額の保険金を受け取れる
  • 目的に応じて保険期間をある程度自由に設定しやすい
養老保険のデメリット
  • 保険料負担が比較的大きい
  • 保険金・解約返戻金が払込保険料総額を下回りやすい

養老保険の保険期間はあらかじめ期間が設定された「年満了」と、年齢で区切られた「歳満了」の2種類が一般的ですが、中には期間を自由に設定できる商品もあり、ライフプランやライフステージに合わせた資産形成も行えます。

しかし、貯蓄性が高いという特性から毎月の保険料負担は比較的大きく、途中解約の場合は払込保険料総額を下回る可能性が高いことにも注意しておきましょう。

 

5-6.定期預金

定期預金とは、1年・10年などの預入期間をあらかじめ指定した上で金融機関にお金を預けるという預金方法です。一度預入期間を指定すると、満期を迎えるまでは中途解約をしない限り銀行預金を引き出すことができません。固定金利型と変動金利型の2タイプがあり、いずれも普通預金と比較して金利がやや高いことも特徴です。

定期預金のメリットとデメリットは、下記の通りです。

定期預金のメリット
  • 普通預金と比較して金利が高い
  • 預金保険制度によって一定額まで元本保証される
  • 目的に応じて期間を自由に選択できる
定期預金のデメリット
  • 投資商品と比較して収益性は低い
  • 満期まで預貯金を引き出せない
  • 年齢によっては「老後資金の確保」には適さない

定期預金の預入期間は、金融機関が提供するラインナップから自由に選択できます。ラインナップは金融機関によって異なるものの、基本的に1か月~10年など選択肢は豊富です。しかし、数十年間毎月積み立てていくというものではないため、始める年齢によっては老後資金の確保に適さないことに注意してください。

 

6.個人年金への加入がおすすめの方は?

個人年金への加入に向いている方は、下記のような特徴をもっています。

●計画的に貯蓄を進めたい人

個人年金に加入すれば、毎月強制的に口座から保険料が引き落とされます。加えて、中途解約をすると解約返戻金が払込保険料総額を下回るケースが一般的であり、解約のハードルも高まります。堅実に貯蓄を続けたいという方にとっては、個人年金が非常におすすめと言えるでしょう。

●資産運用にリスクを感じる人

つみたてNISAや投資信託などの資産運用は高利率で運用できる可能性がある一方で、その分リスクも伴います。大きな利益を得るよりも運用リスクの回避を重視する方にとっては、比較的リスクの小さい個人年金がおすすめと言えるでしょう。

 

7.おすすめの個人年金の選び方

個人年金は種類が多いため、目的や無理のない保険料を明確にした上で、どの個人年金保険に加入するかを決めることが大切です。

最後に、個人年金の選び方について詳しく説明します。老後に備えて最適な個人年金保険に加入したい方は、ぜひ参考にしてください。

 

7-1.加入の目的から選ぶ

個人年金保険を選ぶときは、まず加入目的を明確にしましょう。加入目的を明確にすることで、どのような特徴をもった個人年金がニーズに適しているのかが自ずと見えてきます。

加入目的が漠然としているという場合は、「資金ニーズ」や「老後に求める生活」をイメージしてみましょう。

例えば、「定年後の比較的元気な60~70歳のうちに、趣味にお金をかけたい」という場合は、年金の受給期間が決まっている確定年金がおすすめです。また、「豊かな老後を送るのに公的年金だけでは心許ないため、不足分をしっかり補いたい」という場合は、公的年金と同期間に保険金を受け取れる終身年金が適切と言えるでしょう。

 

7-2.保険料から選ぶ

公益財団法人 生命保険文化センターによると、2021年度における個人年金保険の世帯年間払込保険料は平均20.6万円で、月額にすると約17,167円でした。なお、一時払保険料の世帯合計額は平均571万円であることも分かっています。

そして、2021年度における個人年金保険の基本年金年額(世帯合計額)は平均97.1万円で、月額にすると約80,917円となります。

保険料負担が大きいほど、将来的に受け取れる年金額も当然アップします。上記のデータを参考に、どれほどの受給額が必要なのかを考慮して適切な保険料の個人年金を選ぶとよいでしょう。

出典:(公財)生命保険文化センター「個人年金保険の加入状況」より

 

7-3.返戻率から選ぶ

個人年金保険を選ぶときは、返戻率にも要チェックです。返戻率とは、払込保険料総額に対してどれほどの年金総額を受け取れるかを示す割合です。返戻率が高いほど、払込保険料総額に対して受け取れる年金額が高くなります。

返戻率は、下記の計算式で算出することが可能です。

返戻率(%) = 年金受給総額 ÷ 払込保険料総額 × 100

例えば、360万円の払込保険料総額に対して年金受給総額が600万円だった場合、「600万円÷360万円×100=166.6666…」という計算式となり、返戻率は約166%であることが分かります。

また、個人年金保険を検討する際は「予定利率」という言葉を目にすることもあるでしょう。予定利率は、生命保険会社からあらかじめ約束される運用利回りのことであり、個人年金を検討する際の1つの目安にもなります。返戻率とは大きく異なるものであるため、混同しないように気を付けておきましょう。

 

まとめ

ゆとりある老後を安心して迎えるためには、自助努力として個人年金の備えが重要です。個人年金とは、一定の年齢を迎えるまで保険料を積み立てる私的年金制度であり、2015年以降、加入率は徐々に増加しています。

また、個人年金保険は年金の受給方法や受給額によってさまざまな種類に分けられ、いずれにおいてもメリット・デメリットがあります。契約後に「自分には合っていない」と中途解約しても解約返戻金が払込保険料総額を下回ってしまいます。そのため、あらかじめ加入目的を明確にし、保険料や返戻率などをチェックして適切な個人年金保険に加入することが大切です。

「じっくり比較検討しても、どの個人年金保険に加入すればよいか分からない」という方は、一度保険商品に関して豊富な知識を有するアドバイザーに相談してみるのも一案でしょう。