【調査】がんの治療の平均的な費用は? がんの医療事情を徹底検証!

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お金の知識
【調査】がんの治療の平均的な費用は? がんの医療事情を徹底検証!

もしがんになったら、治療費っていったいどれくらいかかるのかな?

最近良く聞く『先進医療』って、なんだかお金が掛かりそうなイメージだなぁ。

健康保険は先進医療にも使えるのだろうか。

がんは日本人の死因のトップであるとともに、その治療方法が年々進化しています。内視鏡手術、放射線治療、先進医療、化学療法などなど、さまざまな治療方法を耳にすることも多いと思います。そして、多くの人々が「がん治療にはお金がかかる」と考えています。 確かにがんは数週間の入院や高額な治療が必要だったり、高価な薬を使ったりすることがあります。未承認の治療法を自費で受けるケースもありますし、最先端の先進医療には健康保険が使えません。そのため「がん治療=お金がかかる」というイメージが強いのだと思われます。 では実際のところ、がんになったとき、どれほどのお金が必要になるのでしょうか? ここでは、「がんになったときに必要になる費用」について分かりやすく解説していきます。

1. がん治療は方法によって費用が大きく変わる

1-1 がんの治療法は数多くあるが……

がん治療には、いったいどれほど費用がかかるのでしょうか。それは「どんな治療を受けるか」によって大きく変わります。 現在の日本で主流となっているのは、手術・化学療法・放射線治療で、これらをまとめて「がんの三大療法」と呼ぶこともあります。ですが、がんの治療法はこの3つだけというわけではありません。三大療法は「保険診療で認められている(健康保険が適用される)がん治療」というだけのことです。 健康保険が適用されない、つまり自由診療の扱いになる治療には、実に多くの種類があります。たとえば温熱療法、免疫療法、漢方、ビタミンC療法……。まだまだたくさんあります。 さらに、保険診療と自由診療の中間的なものとして、高度の医療技術を用いた「先進医療」と呼ばれるものもあります。 これら多種多様な治療法は、それぞれがんに対するアプローチが違いますから、当然費用もそれぞれです。健康保険が使えない自由診療となると、かなりの額に達するものも少なくありません。
代表的ながん治療法
ここで、「保険診療」と「自由診療」について、少しお話ししておきましょう。ここを理解しておかないと、費用の話が分からなくなってしまうからです。

1-2 保険診療の仕組み

日本では「国民皆保険制度」をとっているため、ほとんどの方が健康保険(あるいは共済)に加入しています。 怪我や病気のため病院で治療を受けると、基本的には治療費の7割までを健康保険が負担してくれます。ですから私たちは残りの3割を、病院の窓口で支払えば良いことになります。これが「自己負担分」ですが、ありとあらゆる治療でも「健康保険が7割を負担します」ということにしたら、健康保険制度そのものが成り立ちません。それに、治療の手順や方法、使う薬品などが病院ごとに違っていたら、均質な医療を提供できなくなってしまいます。 そこで治療内容を規定して、それに沿った治療を行った場合に限り保険診療を認めるという形をとっています。これが保険診療です。 保険診療では、その治療の内容が非常に細かく規定されています。たとえばカレーライスを作るときに「一度に作っていいのは4人前まで」「ニンジンは3本以上使ってはいけない」「タマネギは必ずくし切りにすること」「温め直したご飯は使用禁止、ただしジャーで保温したご飯は使用可」というようなものです。これらのルールをひとつでも外れてしまうと健康保険を使うことができません。 治療の内容が厳格に決められているけれども、健康保険によって費用の負担が大幅に軽くなる。それが保険診療です。

1-3 自由診療は抜群の自由度の高さ

こと細かにレシピが決められている保険診療に比べて、自由診療は抜群の自由度の高さが特徴です。 自由診療は医師自身の判断と患者さんの同意によって行われるものですから、保険診療のような規定がありません。カレーライスのたとえで言えば、ドライカレーやスープカレーも作ることができますし、使う材料も自由です。 がん治療においても、自由診療に区分される治療法が数多く存在します。実際にがんの診断を受け、これらの自由診療に希望を託す方々も数多くおられるでしょう。 ですが、自由診療ではその費用すべてが自己負担となり、健康保険を使うことができません。そのため、必要な費用はかなり高額になっていきます。治療そのものはもちろんですし、鎮痛剤などの医薬品や入院費など、治療にかかわる費用のすべてを自費でまかなわねばなりません。 費用は高額になるけれども、自由度の高い治療を受けることができる。それが自由診療のメリットでしょう。

1-4 両者をミックスするケースも

このように、保険診療と自由診療にはそれぞれに長所があります。ですから、両方を組み合わせれば、より治療の選択肢が広がっていくのですが、これは「混合診療」といって、一部の例外を除いて今のところ認められていません。そのため、初診から治療の終了までの一連の診療の中にひとつでも自由診療が含まれていると、その一連の治療すべてが自己負担となってしまい、実質的に治療を受けることができないのです。 たとえば、がんが見つかって手術で取り除くと同時に免疫療法によって体内に残ったがん細胞を叩いてしまおう……というような治療ができないのです。ただ、例外的なものとして「先進医療」があります。 先進医療とは、「高度な医療技術を使った治療のうち、保険診療にするべきかどうかを検討するための評価が必要なもの」という定義づけがなされています。つまり、「保険診療に組み込むかどうかを検討する必要があり、そのために安全性や有効性についての評価を行うべき、高度な技術を用いた治療法」というわけです。 先進医療は今のところ自由診療扱いではありますが、通常の治療と共通する部分、つまり診察・検査・投薬・入院料については健康保険の適用対象となります。ですから、その部分については多くを健康保険でまかなうことができますし、高額療養費制度(以下の記事を参照)も使えます。

参考記事:世界最高水準といわれる日本の公的医療保険制度とその意外な落とし穴

たとえば、がん治療費の総額が100万円で、そのうち20万円が先進医療の費用だったとすると、費用負担の扱いは以下のようになります(*1)。
  • ●先進医療部分:20万円(全額自己負担)
  • ●一般治療と共通する部分(保険給付分):24万円(自己負担3割の場合) ※(100万円-20万円)×3割=24万円
  • ●ただし、保険給付分については高額療養費制度が適用されます。
先進医療の費用負担
(厚生労働省「先進医療の概要について~先進医療とは」を基に作成)
このように、ひとくちに「がん治療」といってもその種類はさまざまで、健康保険が使えるかどうかで費用も大きく違ってきます。がんになったとしても、健康保険や高額療養費制度が使える治療のみで済めば、がん治療は高額にならないケースも確かにあるでしょう。しかし、その一方で自由診療の治療を受けた場合、健康保険や高額療養費制度は使えず、その費用は全額自己負担で高額になってしまう、と言えそうです。 では実際はどうなのでしょうか? 詳しく見ていくことにしましょう。

2. がん治療、いくらかかる?

2-1 それぞれの治療にいくら必要なのか

では、実際のがん治療にいくらかかるのでしょうか。その目安を見てみることにしましょう。いずれも治療費の総額ですので、健康保険が適用されると、このうちの3割が自己負担ということになります。

■手術
がんがさほど大きくなくて転移もない初期のうちならば、手術が最も効果的な治療法です。多くの場合、治療の有力な選択肢となるでしょう。以前は切開を伴うことや全身麻酔の使用などにより、患者さんの肉体的な負担が大きかったのですが、近年では内視鏡で行える方法が開発されてきたため、患者さんへの負荷が少なく入院日数も短縮される傾向にあります。 費用は手術部位やその内容、どのような手法で行うかによってかなり開きがあります。たとえば胃がんの手術の例ですと、内視鏡を使った胃粘膜の手術で30万円前後、胃の一部を切除するような大がかりなものでは130万円程度になることもあります。

■化学療法
抗がん剤やホルモン剤を使用した治療です。がん組織が全身に転移している場合や、手術後の再発防止のために用いられる全身治療です。抗がん剤というと「副作用が辛い」という話をよく聞きますが、これは抗がん剤が正常な細胞にも作用するために起こるもので、そうした意味での体への負担はあります。 化学療法ではどんな薬剤をどのようなサイクルで用いるか、そのプランニングが重要で、効果を見ながら細かく調整して治療を進めます。そのため1回の治療に6週間ほどかかることが多く、また費用も100万円ほどになります。

■放射線治療
がんに向けて放射線を照射し、がん細胞を破壊しようという治療です。体の外から照射するものと、放射線を放つ物質を体内に入れて狙ったがんを叩くという、2種類の方法があります。放射線治療は小さながん病巣に用いられることが多く、その費用はおおよそ60万程度です。

■先進医療
がん治療の分野は研究開発が活発に行われており、その一部は先進治療として活用されています。未承認の抗がん剤や重粒子線治療・陽子線治療などですが、これらは保険適用外であるため非常に高額で、数百万~1千万円以上にもなることがあります。


がんの治療方法1
このように、標準的な治療法もそれなりの治療費がかかります。もちろん保険適用の治療であれば健康保険が使えますし、高額医療費制度も利用できます。

2-2 公的制度で費用は抑えられるのか

手術・化学療法・放射線治療。これらの保険診療を受けるなら、健康保険に加えて高額療養費制度が活用できますから、実際の負担額はそれほど大きなものではありません。お金がなくて、がん治療を受けられない……という心配は、まずはしなくて済みそうです。 ですが、がんには「転移・再発」という厄介な性質があります。一度切り取ったがんの切れ端が体のどこかにたどりつき、そこで再び増殖を始めるということは、当たり前のように起こることです。すると、そのたびに治療を受けることになります。 しかも、がん治療は「手術のあと、抗がん剤で全身に散らばったがん細胞を叩く」というように、複数の治療を組み合わせることもあります。すると、ますます費用がかさみます。先進医療ともなれば、けた違いの費用が必要です。 こう考えると、保険診療である三大療法に限ってみても、やはりがん治療にはそれなりの費用がかかるのだということがお分かりいただけると思います。

2-3 自由診療は費用も高額

では自由診療はどうでしょうか? こちらは保険診療のような規定がありませんから、病院ごとに必要な費用は違います。 ただし、その中でもおおよその目安はあります。いくつかの例を挙げて見ていくことにしましょう。

■温熱療法
熱に弱いがん病巣を温めることで治療効果を狙うこの治療法は、一部が保険診療として認められています。ただし回数に制限があり、それを超えると自由診療となります。自由診療部分の費用は使用する医療機器などによっても変わりますが、局所的な温熱療法ですと1回2万円ほどというところが多いようです。

■免疫療法
自分の血液に含まれる免疫細胞をパワーアップし、それを体内に戻すことで免疫力を高め、がんを攻撃するという治療法です。その費用は高額で、1回あたりの基本料金は20万円前後です。これを複数回繰り返すことになりますから、トータルでは100万~170万円ほどにもなります。

■漢方
保険診療では病気に対する処方が厳格に規定されているため、患者さんに合わせたオーダーメイドの処方ということができません。それを嫌って自由な配合を行うと、自由診療の扱いになります。費用については、がんの部位や治療の目的(再発予防、抗がん剤の副作用軽減、がんそのものの治療等)によって配合が異なるため、一概には言えませんが、1ヶ月あたり2万~6万円というところのようです。

■ビタミンC療法
この治療に用いるのは一般の安価なビタミンC溶液ではなく、非常に高濃度に精製したものです。そのため、薬剤そのものが高価で、1回の治療費は2万円前後というところです。

いずれも手術のように「1回治療を受ければ終わり」というものではなく、症状に合わせて継続することが前提ですから、合計するとかなりの金額になってしまいます。もちろん健康保険は使えず、すべて自己負担となります。
がんの治療方法2

3. 医療費以外にもお金がかかるがん治療

3-1 細かい出費が積もり積もって……

これまで見てきたように、保険診療・自由診療を合わせて、がん治療にはさまざまな種類があります。ですが、その多くに共通して言えるのは「時間がかかる」ということです。 たとえば、手術で入院する場合です。近年では体へのダメージの少ない内視鏡手術が広まっていますが、それでも「二泊三日」というわけにはいきません。一般の手術であれば2~3週間の入院は必要です。化学療法や放射線治療は通院でも受けられますが、これも数回の治療を1セットとして、体の状態を見ながら継続的に治療していく必要があります。 このように、治療そのものにある程度の期間が必要となると、治療費以外のところにかかる出費が積もり積もって、意外と大きな額に達したりするものです。 入院の場合であれば、身の回りの日用品や衣類。パジャマなどは家族がお見舞いに行ったときに持ち帰って、家で洗濯して……というケースが多いと思います。そのたびに交通費がかかりますし、そうした作業にとられる時間も短くありません。そのため生活スタイルが変わり、外食の機会が増えたりなどと、思わぬところで出費がかさみます。 通院の場合も長期に及んでくると、1回あたりの費用は小さくても、積もり積もって大きな金額になってくるものです。

3-2 治療による収入減も大きい

がんの治療には時間がかかる……となると、出ていくお金以上に問題なのは「入ってくるお金が減ってしまう」という点です。 手術であれば、数週間の入院が必要です。抗がん剤や放射線治療は通院でも受けられますが、治療そのものにかなり時間がかかります。ことに抗がん剤は吐き気や貧血といった副作用が起こりやすく、人によってはかなり強く現れます。これではとても仕事どころではないでしょう。仕事ができないとなると、当然、収入も減ることになります。 それがある程度の期間続くのです。手術の場合には2~3週間は入院することになりますし、通院で行える化学療法や放射線治療でも、3~6週間を1クールとしたスケジュールに沿い、状態を見ながら治療が行われます。会社の福利厚生や健康保険の疾病手当を利用できる会社員の方はまだしも、自営業の方にとっては大きな打撃でしょう。 このように「がんの治療にお金がかかる」と言われるのは、高額ながん治療によって出費が大きくなると同時に、仕事などができなくなり収入も削られてしまうからなのです。がんの治療というと、「治療で出ていくお金の増えてしまうこと」に目がいきがちですが、「入ってくるお金の減ってしまうこと」にも注意をしたいところです。 そして、「もしがんになったら今までの生活が立ちいかないかもしれない・・・」と少しでも不安に思われたのなら、がん保険なども含め、何かしらのがんに対する備えを検討したほうが良いかもしれません。

参考記事:がん保険はなぜ必要なのか? 参考記事:保障内容から考える、失敗しないがん保険の選び方 参考記事:入りっぱなしはマズイ? がん保険は医療技術でどう変わった?

まとめ:将来のあなたが後悔しないために

これまで見てきたように、すべてのがん治療が高額だというわけではありません。
  • ・自由診療の中にも、より小さな金額で受けられるものは数多くある
  • ・保険診療であれば自己負担は抑えられ、高額療養費制度も活用できる
そのため「お金がなくて治療が受けられない」という状況はまずありません。 ですが、がん治療は、
  • ・転移や再発を警戒しなくてはならないため、どうしても治療期間が長期に及ぶ
  • ・がんをきれいに取り除けたとしても、治療後の経過に気を配ることが重要になる
というようなことから、治療や検査のための費用に加えて、治療しているあいだの収入が減ってしまう点も心配です。 また先進医療をはじめ、今のところ自由診療となっている各種の治療法にしても、日々進化を遂げています。これらの治療は高額ではありますが、がん治療の選択肢として期待する方々も多いでしょう。ですが、費用の高さがネックになって、ちょっと手が出ない……というケースは多いものと思われます。 だからこそ、がん保険が必要になるのです。がん保険には診断給付金や退院給付金など、がん治療の実情に合わせた保障が用意されていますし、さまざまな特約を組み合わせて自分にフィットしたものに組み立てることもできます。中には自由診療もカバーするものもあるなど、バリエーションに富んでいます。 誰にとっても、がんの宣告はショッキングな出来事です。しかしながら、お金の心配がなくなれば、安心して治療に専念することができます。その時のために、今から準備しておきましょう。

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