三大疾病とはどんな病気?基礎知識から三大疾病保険までを徹底解説!

Column

保険の基礎知識
三大疾病とはどんな病気?基礎知識から三大疾病保険までを徹底解説!

「がん(悪性新生物)」「心疾患(急性心筋梗塞)」「脳卒中」。これら3つの病気を総称して「三大疾病」と呼ばれています。

三大疾病は、通常の病気と比べて死亡率が高かったり治療費が多くかかったりすることが特徴です。それゆえに、保険でも三大疾病の経済的な備えに特化した「三大疾病保険」が登場しています。

生命保険文化センター『令和3年度 生命保険に関する全国実態調査』によれば、三大疾病保険への世帯加入率は48.4%に達しており(*1)、「三大疾病には何かしらの備えをしておかないと……」と考えている方が多い様子がうかがえます。

しかし、何となく三大疾病に対して怖いイメージは持っていても、「そもそも三大疾病ってなんだろう?」「三大疾病によってどういうリスクがあるんだろう?」「三大疾病保険ってなんだろう?」といった疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

そこで、ここでは「三大疾病」と「三大疾病保険」について、以下の基本的な3ポイントを分かりやすくお伝えしていきます。

  • ・そもそも三大疾病とは何か?
  • ・三大疾病のリスクとは何か?
  • ・三大疾病保険とは何か?

1.そもそも三大疾病とは?

三大疾病とは、「がん(悪性新生物)」「心疾患(急性心筋梗塞)」「脳卒中」のことで、これらは日本人の死因のうち上位を占める病気です。

三大疾病の厄介なところは、入院や治療が長期に及ぶことが多く、医療費や介護費が高額になりがちな点が挙げられます。ケースによっては、医療費と介護費を合わせて数百万円にまで膨らむことさえあるようです。

まずは、具体的に三大疾病がどのような病気なのか簡単に見ていきましょう。

1-1 がん(悪性新生物)

がんは、体のなかで発生したがん細胞が増殖していき体に害を与える病気です。私たちの体は約60兆個の細胞からできていると言われていますが、正常な細胞は体の状態に合わせて死滅と増殖を繰り返します。

しかし、がん細胞は体の状態に関係なく無秩序に増殖し続ける異常な細胞です。通常は免疫細胞ががん細胞を駆逐するのですが、時には駆逐しきれないこともあります。その理由は免疫力の低下や遺伝子の制御の異常など様々ですが、生き残ったがん細胞が増殖して体にダメージを与えるのが「がん」と呼ばれる病気なのです。

がんは「がん細胞ができた体の部位」によって名称があり、代表的なものでいえば「胃がん」「大腸がん」「肺がん」「乳がん」「子宮がん」などが挙げられます。

1-2 心疾患(急性心筋梗塞)

分かりやすく例えるなら、私たちの体のなかで心臓は全身に血液(酸素と栄養)をくまなく行き渡らせる「ポンプ」で、その「動力」が心筋(心臓の筋肉)です。そして、心筋自体も血液で動いています。つまり、「動力の燃料」が血液で、「燃料を供給する管」が冠動脈だと言えます。

心疾患は、その冠動脈に動脈硬化などが起こることで心筋に酸素が流れなくなり、心臓の機能が停止してしまう病気の総称です。

心疾患のなかでも深刻なのが「急性心筋梗塞」です。急性心筋梗塞は、その冠動脈が急に閉塞し、血液(酸素と栄養)を失った心筋が徐々に弱っていき、最終的に心臓が壊死してしまう、という病気です。

1-3 脳卒中

脳卒中とは、特定の病気を指す言葉ではありません。正式には「脳血管障害」という名称で、何かしらの脳の血管の障害によって引き起こされる様々な病気の総称です。

脳卒中は、その原因が「血管が詰まったのか?」「血管が破れたのか?」によって、大きく2つに分けることができます。具体的な病名としては、前者は「脳梗塞」、後者は「脳出血」「くも膜下出血」などです。いずれも脳の一部に血液が行きわたらなくなり、その部位が壊死してしまう、という点は一緒です。

しかし、脳は部位によって様々な働きをしていますから、壊死した部位に応じて現れる後遺症は変わってきます。

たとえば、言語機能を司る部位がダメージを受ければ言葉がうまく喋れなくなりますし、運動機能を司る部位がダメージを受ければ手足を自由に動かすことが難しくなります。そして、認知機能を司る部位がダメージを受ければ、認知症のような症状が現れることもあります。

2.データで見る! 三大疾病のリスクとは?

三大疾病について気になるのは、そのリスクではないでしょうか。

そこで、ここでは主に厚生労働省の三大疾病のデータに基づいて、「三大疾病による死因はどのくらいの割合なのか?」「どのくらい入院するのか?」「どのくらい費用がかかるのか?」といった点について見ていきましょう。

2-1 日本人の死因のうち半分以上が三大疾病!?

がん、心疾患、脳卒中が、わざわざ「三大疾病」という言葉でマークされている理由の一つに、日本人の死因のうちおよそ半分以上を三大疾病が占めているという点が挙げられます。

厚生労働省の『令和2年(2020)人口動態統計(確定数)の概況』(*2)に、日本人の死因の統計調査があるので、そちらを見てみましょう。

日本人の死因

三大疾病は、がん、急性心筋梗塞、脳卒中の3つだと述べましたが、急性心筋梗塞が「心疾患」、脳卒中が「脳血管疾患」に相当すると考えてください。

このように見ると、死因全体のうち三大疾病によるものは半数に達していることが分かります。特にそのなかでもがん(悪性新生物)は、死因全体のなかで27.6%を占めており、これはかなり高い割合だと言えるでしょう。

具体的な死亡数で見ていくと、令和元年の全体の死亡数137万3,000人のうち、がん(悪性新生物)は37万8,000人、心疾患は20万6,000人、脳血管疾患は10万3,000人となっています。

三大疾病は、私たちを死に至らしめる力を持っている病だと言えそうです。

⇒“万が一”のとき、残された家族への最後の贈り物。死亡保険はどんな保険??

2-2 三大疾病の入院日数と通院率は?

続いて、三大疾病による入院と通院について見ていきましょう。

厚生労働省『平成29年 患者調査』(*3)によれば、三大疾病による在院日数は次のようになっています。

三大疾病の在院日数

病気全体の平均在院日数が29.3日に対して、がん(悪性新生物)は17.1日、心疾患は19.3日、脳血管疾患は78.2日です。これを見ると、がんと心疾患の入院は比較的に短く終わると言えそうですが、脳血管疾患の入院は平均の約2.7倍となっており、群を抜いています。

とはいえ、がんや心疾患の入院が短期間だからといって、必ずしも治療の期間も短いとは限りません。治療は入院だけではなく、通院で行うパターンも考えられるからです。

そこで、同調査を参考にして三大疾病の推計患者数の入院患者数と外来(通院)患者数の比率を見てみましょう(*4)。

三大疾病患者の通院率
※推計患者数:調査日当日に、各疾病で病院や一般診療所などで受療した患者の推計数

入院日数に関しては、それほど長くなかったがんと心疾患ですが、通院率はがんが59.3%、心疾患が67.7%と高い割合を示しています。脳血管疾患についても、通院率は37.0%ですから、決して低い数値とは言えないでしょう。

ここから分かるのは、三大疾病の治療は入院だけではなく、通院によって行われるケースも多いということではないでしょうか。

たとえば、がんの抗がん剤治療、放射線治療や、心疾患の服薬、経過観察などは、通院で行われる治療の代表的な例です。脳血管疾患でも、退院した後も手足の痺れなど運動機能に後遺症が残ったときには、リハビリのために通院が必要になることも十分にありえます。

このように三大疾病については、入院だけではなく、通院や介護のリスクも考えたほうが良さそうです。

⇒エッ! 病気のリスクは治療費だけではない!? 介護費用ってどのくらいかかるの?

2-3 三大疾病の医療費は?

それでは、三大疾病の医療費はどのくらいかかるのでしょうか。

三大疾病の医療費についての正確な統計はありませんが、厚生労働省のデータから“おおよその試算”は可能です。ここでは、厚生労働省の『平成29年 患者調査』(*5)と『平成29年度 国民医療費』(*6)をもとに、三大疾病の医療費を見ていきましょう。

三大疾病の医療費

国民医療費は「1年のうちに保険診療の対象となる病気・ケガの治療にかかった費用の推計」です。総患者数は「継続して治療を受けている患者の数の推計」を意味しています。なので、上記の図では三大疾病のそれぞれの病気について、国民医療費を総患者数で割り、患者一人あたりの年間の医療費を試算しています。

そして、あくまで目安ではありますが、この年間の医療費を12で割った結果、三大疾病にかかる1か月あたりの医療費としては、がんが約17.9万円、心疾患が約9.8万円、脳血管疾患が約13.5万円となりました。

これらは保険診療の対象となる病気・ケガの医療費のため、すべてを個人で負担するわけではありません。高額療養費制度などによって、最終的な自己負担の金額としては月間で約8万円+α程度に留まることがほとんどです。

しかし、これ以外の費用としても、先進医療を受けたり、個室に入院したりした場合、「技術料」や「差額ベッド代」などが大きくかかってくる事には注意が必要です。また、入院や通院が長期化し、毎月8万円+αの医療費を支払い続けることになったら、家計的にかなり厳しいでしょう。

その意味では、三大疾病は通常の病気やケガよりも多くの費用がかかってくる可能性が高く、何かしら方法で経済的な備えはあったほうがよいと言えそうです。

⇒三大疾病保険だけではない! がんに特化したがん保険とは?

⇒三大疾病も含めてカバー! 良い意味で“広くて浅い”医療保険ってどんな保険?

3.三大疾病保険はどんな保険??

三大疾病保険は、三大疾病に特化した保険で、三大疾病の経済的な備えとしても有効です。三大疾病で治療をしたり、亡くなったりしたときに備える保険が三大疾病保険だと言えるでしょう。

一般的に三大疾病保険は、次の2つの保障が中心になっています。

・三大疾病一時金
・死亡・高度障害保険金

保険会社や保険商品によって違いはありますが、三大疾病保険ではこの2つの保障を重複して受け取れないものが多いようです。

また、メインの保障のほかに特約として付加できるものに次のようなものがあります。

・三大疾病入院給付金
・三大疾病通院給付金

それぞれ具体的にどのような保障なのかを見ていきましょう。

3-1 メインは三大疾病一時金と死亡・高度障害保険金

■三大疾病一時金
三大疾病一時金は、三大疾病で“所定の状態”になったときに、100万円、200万円、300万円など一時金としてまとまったお金を受け取れる保障です。

先ほどお伝えしたように、三大疾病は入院や手術だけでなく、場合によってはその後の通院、介護、リハビリなど、長い期間にわたって様々な場面で費用がかかる可能性があります。その点を考えると、早い段階で使い道が自由なまとまったお金を受け取れるこの保障は、三大疾病にかかったときに大きな助けになると言えそうです。

ただし、注意したいのは、保険金の受取条件の「三大疾病による所定の状態」の部分で、この“所定の状態”は、各保険会社や各保険商品によって違いがあり、なかには厳しい条件を設定している場合もあります。

一般的な保険金の条件は次のようになっています。

  • 【三大疾病一時金の受取条件】
  • ・がん(悪性新生物):がん(悪性新生物)と診断確定されたとき(※保険会社によっては、上皮内新生物を除外している場合もあります)
  • ・心疾患(急性心筋梗塞):急性心筋梗塞を発病し、初診日からその日を含めて60日以上にわたり「労働の制限が必要な状態」が続いたとき(※商品によっては、「急性」ではない心筋梗塞全般を保障するものもあります)
  • ・脳卒中:脳卒中を発病し、初診日からその日を含めて60日以上にわたり、言語障害、運動失調、麻痺など「他覚的な神経学的後遺症」が続いたとき

このように「がん(悪性新生物)」については診断確定された段階でまとまった保険金を受け取ることができますが、「心疾患(急性心筋梗塞)」や「脳卒中」の保険金は診断確定のほかに、「労働が制限される」「後遺症が残る」などクリアすべき条件がいくつか見られます。

つまり、三大疾病保険とはいっても、「三大疾病になれば必ず保険金を受け取れるわけではない」という点には注意が必要です。

三大疾病保険を考える際には、「どのような状態になったら保険金を受け取れるのか?」という点は、あらかじめしっかり確認しましょう。

⇒「がん」にのみ鋭く一点特化!? 一体、がん保険はどんな保険なの!?

■死亡・高度障害保険金
死亡・高度障害保険金は、死亡したときや所定の高度障害状態になったときに、100万円、200万円、300万円など、まとまった保険金を受け取れる保障です。

「三大疾病保険」という名称から勘違いしやすいのですが、この保障は三大疾病にならなくても「死亡」「高度障害」のいずれかの状態に該当すれば保険金を受け取れます。

⇒「あとに残された家族が困らないように……」そんな思いに形を与える死亡保険とは?

3-2 三大疾病保険の特約は?

続いて、三大疾病保険の特約として付加できる代表的な保障について見ていきましょう。

■三大疾病入院給付金
三大疾病入院保障は、三大疾病で入院したときに1日につき5,000円~10,000円など入院給付金を受け取れる保障です。

通常の医療保険の入院給付金は、60日、120日など1入院の支払い限度日数を設けているものが一般的ですが、三大疾病入院給付金は1入院の支払い限度日数がなく、「無制限」とされているものが多い点が特徴的だと言えます。

言いかえると、どんなに三大疾病で長く入院したとしても、入院給付金を受け取り続けることができる、ということです。前述したように、三大疾病のうち脳血管疾患の平均入院日数は平均約90日となっていますから、長期的な入院に対応した保障があれば安心できるのではないでしょうか。

■三大疾病通院給付金
三大疾病通院保障は、三大疾病で通院したときに1日につき5,000円~10,000円など通院給付金を受け取れる保障です。

「2-2 三大疾病の入院日数と通院率は?」では、三大疾病の治療は入院だけではなく、通院で行われることも多いとご説明しました。

たとえば、がんの抗がん剤治療や放射線治療は多くの場合、通院で行われます。心疾患でも服薬と経過観察が必要となれば、定期的な通院は欠かせません。脳卒中で体の麻痺などの後遺症が残ったとしたら、およそ3か月~6か月、ケースによっては一生涯の間、リハビリが必要になることも考えられます。

このように三大疾病で通院治療が少なくないことを踏まえると、その費用に備える方法として三大疾病通院保障は十分に検討の余地があると言えそうです。

しかし、基本的に通院保障における「通院」が、「入院をともなう通院」だという点には少し気をつけましょう。通院保障では、入院前後の同じ病気を原因とした通院は保障の対象となりますが、通院のみでは保障の対象にならないことが一般的です。

⇒三大疾病もカバーする!? 病気からケガまで手広い保障を備えた医療保険とは?

まとめ:三大疾病保険を選びはプロの意見も参考に!

いかがでしたか?
ここでは、「そもそも三大疾病とは何か?」「三大疾病のリスクはどのようなものがあるか?」「三大疾病保険とはどんな保険か?」といった点についてご紹介してきました。これで三大疾病と三大疾病保険に関して、おおまかなイメージは掴んで頂けたのではないかと思います。

しかし、実際に三大疾病保険を検討するとなると、年齢、職業、家族構成、現在の保険、ライフプランなど、様々なことを踏まえたうえで総合的に考えていかなければなりません。特に三大疾病保険は、一時金や死亡保障が中心の保険ですから、すでに加入している医療保険や死亡保険との重複していないかどうか丁寧に見ていく必要があります。

「うーん、三大疾病保険には興味があるけど、なかなか自分で選ぶのは大変そうだな……」

少しでもそのように思われた方は、是非保険見直し本舗にご相談をお寄せください。保険見直し本舗には、知識も経験も豊富な保険のプロが多く在籍しています。皆さんの保険に関するお悩みに、小さなことでも一つ一つ丁寧にご対応いたします。

まずはお気軽にご相談ください。心からお待ちしております。

⇒無料保険相談を上手に活用するための厳選ポイントはこちら