生命保険?死亡保険?わかりにくい死亡保険(生命保険)の基本

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保険の基礎知識
生命保険?死亡保険?わかりにくい死亡保険(生命保険)の基本

保険へ加入する際、知人や保険外交員に勧められるまま、どう検討すればいいのかもわからないうちに生命保険へ加入してしまった、という方もいらっしゃることでしょう。いままで生命保険に加入したことのない方や、あまり関心を持っていなかった方が持つ、「そもそも生命保険とはどんな保険なのだろう?」という素朴な疑問は、今さら他人には聞きにくいかもしれません。

もちろん、「生命保険(死亡保険)とは、加入者が死亡した場合に保険金が給付される保険である」ということはご存じの方も多いでしょう。しかし生命保険にはいろいろな種類の商品があり、どれがどんな目的を持った保険なのか、自分にはどんな生命保険がふさわしいのかを少し深く掘り下げてみようとすると、わからないことが山ほど出てきて頭が混乱し、どこから考えればいいのかわからないという方も多いのではないでしょうか。

そこで、まずこの記事では「生命保険とはどのような保険か」についての概要を説明しますので、さらに詳細については別の記事で個別に理解を深めていただければと思います。

1. 死亡保険とは?生命保険とは?

1-1 「生命保険」には2つの意味がある

初心者の方が保険について勉強しようとすると、最初に「生命保険」という言葉の定義があいまいで混乱してしまうことがあります。これは、「生命保険」という言葉の使い方が、保険会社や保険情報を提供しているWebページなどによってまちまちだからです。

まず、最初にそこを整理しましょう。

「生命保険」という言葉には、大きくふたつの意味があります。明確な定義はないのですが、ひとつめの意味としては、「生命保険」と「損害保険」を対比させ、物的な損害に対する備えである損害保険に対し、生命保険は広義に人間の身体的なリスク(死亡・ケガ・疾病・要介護状態など)に備える保険全般を指します。

この場合の生命保険には、死亡保険・医療保険(三大疾病保険、がん保険、女性向け保険などは医療保険の一種)・養老保険・介護保険などが含まれます。言い換えるならば、「生命保険会社が個人向けに販売している保険商品のうち、学資保険を除いたものが広義の生命保険」と考えればいいでしょう。

もうひとつの狭義の意味としては、生命保険を文字どおり「生命の保険」と解釈し、生命のリスク、すなわち死亡や高度障害などに備える死亡保険の同義語とする、という考え方があります。また、「死亡保険」という言葉は死を連想させてしまうため、「生命保険」という言葉を好んで使う人もいるようです。

ここでは2番目の狭義の意味における「生命保険」、つまり「死亡保険」に話を絞って説明を進めます。医療保険やがん保険などについては別のコラムをご用意しておりますので、ぜひそちらをご覧ください。また、混乱を避けるために、以降は用語を「死亡保険」で統一します。

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1-2 死亡保険の基本は「家族のための備え」

死亡保険とは、加入者(被保険者=保険の対象となる人)が死亡または所定の高度障害状態(*1)になったときに、死亡保険金や高度障害保険金が支払われるという保険です。保険金の支払額は加入時に一定範囲内で設定することができ、それに応じて支払保険料額も変化します。

死亡保険の場合、保険金が支払われるのは、本人(被保険者)が死亡した場合か高度障害状態になった場合ですから、本人のためというより、残された(あるいは高度障害状態になった本人を支えなくてはならない)ご家族のための経済的備えとしての保険になります。

たとえば、一家の大黒柱が突然このような状態になったとき、葬儀費用や医療費を用意し、さらに生活を立て直すまでの間の生活費などには、かなりまとまった額のお金が必要となるでしょう。

特に子育て期のご家庭では、お子さんがひとり立ちするまでに多額の学資と生活費が、かなりの長期にわたって必要となります。子育て期は親御さんもまだ若い方が多いでしょうから、貯蓄だけでこれらの支出に備えることは困難な場合が多いのではないでしょうか。

「自分に万一のことがあっても、家族にはお金の苦労をかけず、子どもが安心して学業に専念できることで、立派な大人に育ってもらいたい」

死亡保険は原則的に、このような切実なニーズに応えるための保険です。そして今日では、後述するように、定期保険・終身保険・養老保険・アカウント型保険など、さまざまな種類の死亡保険が登場し、さらにさまざまな特約と組み合わされることにより、加入者のきめ細かいニーズに応えられるようになっています。

また、養老保険は死亡保険の一種ではありますが、死亡保険金と満期保険金が同額となっており、自分の老後資金の貯蓄機能も併せ持っています。

死亡保険はこのように多様化しており、また、各種の特約を付加することでさまざまなリスクに備えられることから、いわゆる「総合型生命保険」の中核となっている商品も数多くみられます。

死亡保険を選ぶうえでは、自分にはどのような保障が必要なのかを明確にし、そのうえで様々な保険会社の死亡保険や各種の特約を比較検討していく必要があると言えそうです。

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2. 死亡保険に対する意識

2-1 死亡保険に対する世間の意識

生命保険文化センターの「2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査〈速報版〉」によれば、生命保険の世帯加入率は89.8%となっており、日本の約9割の世帯が何らかの生命保険に加入しています(*2)。

生命保険の世帯加入状況
全生保 民保
生命保険加入率 89.8% 80.3%
加入件数 3.9件 3.2件
普通死亡保険金額 2,027万円 1,927万円
年間払込保険料 37.1万円 35.9万円
出典:生命保険文化センター「2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査〈速報版〉」より

この表をみると、普通死亡保険金額の平均額は2,027万円、世帯ごとの年間払込保険料の平均額は37.1万円となっています。月額にして約3万900円の保険料を負担し、いざというときに2,027万円の保険金が受け取れるというのが、現在の平均的な生命保険の姿と言えるでしょう。

ただし、これは広義の生命保険に関するデータであり、死亡保険のほか、個人年金保険や医療保険、がん保険、子ども保険などを含むデータですから、死亡保険金額はこの数値を参考にはできるとしても、死亡保険だけに関する保険料はもっと少額になるものと思われます。

近年は、晩婚化・少子化などの影響で、家族のためというよりも、自分の医療費に備えたいという保険ニーズが高まってきたことから、医療保険の加入率が大きく伸びてきています。

しかし一方で、保険加入世帯の生活保障意識としては、やはり「世帯主に万一のことがあった場合の家族の必要生活資金」としての理由が医療保障と並んで高くなっています。

具体的には「世帯主が入院した場合の必要資金(月額)」として必要だと考える金額の平均が24.2万円であるのに対し、「世帯主に万一のことが合った場合の家族の必要生活資金」として必要だと考える金額は、平均して総額5,691万円にものぼっています(*3)。

世帯主が万一の場合の家族の必要生活資金
年間必要額 必要年数 総額 世帯平均年収
(税込)
総額/
世帯平均年収
327万円 17.1年間 5,691万円 628万円 9.1年分
※総額は、サンプル毎の総額(年間必要額 × 必要年数)の平均値として算出
出典:生命保険文化センター「2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査〈速報版〉」より

また、生活保障における公的保障(公的健康保険)と私的保障(民間保険)に対する考え方については、「公的保障と私的保障の両方が必要」と考える人が81.4%にのぼり、「公的保障だけで十分」と考える人の15.9%を大きく上回っています(*2)。

なおこの調査は、無作為に抽出された一般世帯4,000戸近くを対象として行われたとのことですが、生命保険や個人年金保険などに関する知識について、「十分に知識がある」と答えた人の割合が31.2%であるのに対し、「ほとんど知識がない」という世帯の割合は67.2%にものぼっています(*2)。

確かに生命保険に関する情報は膨大で、「よくわからない」「体系的な知識を勉強するのが大変」というお気持ちはよく理解できるのですが、それでも、生命保険はご本人様やご家族様の万一の際の重要な備えですから、何となく適当にしておくことはできません。

「じゃあ、一体どうしたらいいんだ……」と思われるかもしれませんが、そのようなときこそ保険のプロフェッショナルに意見を聞いてみるのも一つの方法ではないでしょうか。保険のプロは、お客様一人ひとりの状況に合わせて、親身になってアドバイスをしてくれるはずです。

保険見直し本舗でも、コンサルティングアドバイザーが、多くの知識と経験を持った保険のプロとして無料保険相談サービスを承っています。まずはお気軽にご相談をお寄せ頂けると幸いです。

3. 死亡保険の種類

死亡保険にはさまざまな種類がありますが、主要なものとしては「定期保険」「終身保険」「養老保険」の3つがあり、さらに無数のバリエーションに枝分かれしていく構図となっています。ご自分のニーズに合った死亡保険を選ぶことで、「心配な部分に手厚く」備えることができ、結果的に保険料を節約することにも役立ちます。

死亡保険の種類については、別に詳細に説明しているコラムがありますから、ここでは、この3つの死亡保険について概要だけを抜粋して説明しましょう。

3-1 定期保険

定期保険とは、10年、20年、あるいは「被保険者が何歳になるまで」など、あらかじめ保険期間が定められている保険です。いわゆる「掛け捨て」のものが多く、保険料が安いかわりに貯蓄性がなく、満期を迎えても満期保険金などはなく、中途解約による解約返戻金も少なく、契約当初や満期間際には解約返戻金がゼロになるという性質を持っています。

契約期間中は保険料の上昇はありませんが、契約満了にともない更新しようとすると、保険料が再計算され、年齢とともに上昇していきます。

また更新のないものや、一定の年齢を過ぎると更新ができなくなるものもあります。たとえば、「子どもがまだ小さく、将来ひとり立ちできるようになるまで、親に何かあっても経済的に困らないように」など、特に保障が必要な期間に、比較的安い保険料で手厚く備えたい場合に向いている死亡保険といえるでしょう。

なお定期保険は保険期間中、保険金額も保険料も変更がない定額タイプが一般的ですが、保険料は一定で、保険金額が徐々に減っていく「逓減定期保険」や、逆に保険金額が増えていく「逓増定期保険」といったタイプもあります。

また、死亡時に保険金を一括して受け取るのではなく、保険期間の終了時まで、年金方式で毎年/毎月一定額の保険金が支払われる「収入保障保険」も定期保険の一種です。

3-2 終身保険

終身保険は死亡保障や高度障害保障が生涯続く死亡保険です。

「満期」という概念がないため、満期保険金などはありませんが、「安心が一生続く」というメリットがあります。また、長期にわたって保険料を払い込んでいくことによって貯蓄性が高まっていくという特徴もあります。

生涯保障が続くということは、「最後は確実に保険金が支払われる」ということでもあり、また、途中で保険を解約しても、まとまった額の解約返戻金を受け取ることができます。そういう意味では、掛け捨てタイプが多い定期保険に比べ、終身保険は貯蓄性が高いといえるでしょう。

終身保険の保険料払込期間は、

  • ・有期払い込み(保障は一生続くが、保険料は60歳、65歳など、一定の年齢で一生分の払い込みを終了するタイプ)
  • ・一括払い(契約時に保険料をまとめて払い込んでしまうタイプ)
  • ・終身払い込み(保障も保険料の払い込みも生涯続くタイプ)

などに分かれます。

「リタイア前の、給与所得がある間に一生分の保険料を支払ってしまいたい」という方であれば有期払い込みタイプを、「退職金がもらえるので、終身保険に加入して保険料を一気に支払ってしまいたい」という方なら一括払込みタイプを、定年退職のない自営業の方や不労所得のある方・年金に余裕のある方などの場合は、終身払い込みタイプを検討してみるなどの選択方法が考えられるでしょう。

また、終身保険に医療特約や介護特約などを付加し、高齢になるにつれて増加する、さまざまな健康リスク・生活リスクに総合的に備えるという考え方もあります。

3-3 養老保険

養老保険は一種の定期保険で、加入時に保険期間を設定します。

保険期間中に被保険者が死亡、または高度障害状態になった場合には、死亡保険金/高度障害保険金が受け取れ、無事に満期を迎えた場合には、死亡保険金と同額の満期保険金を受け取ることができます。

貯蓄性と保障が同時に期待できるぶん、やや保険料は割高になります。また、低金利の今日では、払い込んだ保険料を大きく上回る満期保険金は期待できないかもしれませんが、「老後の一定期間の備えになり、何事もなければ満期保険金を受け取れる」という、リスクを回避しつつ資産を維持するためのすぐれた特徴を持っています。

また、高齢になるにつれ受療率(入院・通院など医療機関にかかる率)が上昇しますから、養老保険に医療特約などを付加して、老後の幅広いリスクに備えることも可能です。

養老保険を金融商品として捉えた場合、払込保険料と満期保険金とを比較してみると、運用利回りはそれほど良いとは言えないかもしれません。

しかし、利回りの高い金融商品には元本割れなどのリスクがともないます。養老保険の場合は、預貯金と大差ないローリスク商品だといえますから、検討する際には「一種の積立貯金(月払い・年払いの場合)」のようなものと考えて評価するべきかもしれません。

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まとめ:まず、死亡保険の全貌を俯瞰してみる

ここでは、「死亡保険(生命保険)とは何か?」という基本的な部分や、死亡保険が必要とされる意義について、そして世間の人は、どのくらいの規模の死亡保険に加入し、いくら保険料を支払っているのかといったことについて、参考になるデータなどをご紹介してきました。

また、死亡保険の種類については、加入をご検討する際に参考となるような詳細な紹介は、また別のコラムのところで行いますが、ここでは「ざっとこのように大きく3つに分けることができ、それぞれにどのような特徴があるのか」といった概要をご説明しました。

今後、死亡保険への加入を具体的にご検討される際には、このような体系的な基礎知識を頭に置いておかれることで、各保険商品の特徴や違いをご理解いただきやすくなるのではないかと思います。 また、「なんとなく今までモヤモヤとしていたけれど、『生命保険』というものの全貌がなんとなく俯瞰できて、ハラオチした!」と感じていただければ幸いです。

もちろん、このような基礎知識がわかっただけで、すぐに具体的な保険商品選びができるというわけにはいかないでしょう。そのために、私たちは死亡保険に関する多彩な詳細説明ページをご用意しています(もちろん死亡保険に限らず、さまざまな保険についての説明ページもご用意しています)。

また、「読んだだけではわからない。専門家に詳しい話をわかりやすく説明してほしい」というご要望があれば、保険見直し本舗の専門スタッフが喜んでご説明させていただきます。

特定の保険会社・保険商品などに偏ることなく、客観公平な立場から、お客様のニーズに最適と思われるご提案やアドバイスを差し上げておりますので、安心してどうぞお気軽にご相談ください。