団体信用生命保険とは??加入していれば他の保険は要らない?

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保険の基礎知識
団体信用生命保険とは??加入していれば他の保険は要らない?

私たちは念願のマイホームを購入するとき、ほとんどの場合、住宅ローンを借り入れます。そのさいに住宅ローンの借り入れの条件として加入することが多いのが団体信用生命保険です。

団体信用生命保険は、住宅ローンの契約者が返済中に亡くなってしまったり、高度障害状態になってしまったりしたときに、ローンの残額を肩代わりしてもらえる住宅ローン専用の保険のこと。

ローン契約者に万が一のことが起こっても、残された家族が住宅ローンの返済で経済的に困らないようにするための生命保険の一種だと言えます。

しかし、団体信用生命保険には、いくつか注意しないといけないポイントがあることはご存知でしょうか。

そこで、この記事では「団体信用生命保険とはなにか?」という基礎から、「団体信用生命保険で注意しないといけないポイント」まで、分かりやすく解説していきます。この記事を読むことによって、マイホームを購入予定の方や、すでにマイホームをお持ちの方は、家計の節約にもつながるかもしれません。

1.団体信用生命保険はどんな保険??

1-1 そもそも団体信用生命保険ってなに?

団体信用生命保険とは、住宅ローン契約者が死亡・高度障害状態になったときに、残りのローンを肩代わりしてくれる住宅ローン専用の生命保険です。略して「団信」と言われたりしています。

住宅ローンは、10年、20年、30年など長期間にわたって返済していくものですが、その間にローン契約者(主に収入の担い手)に万が一のことが起こってしまったら残された家族はどうなるでしょうか。

家族の手には住宅ローンという大きな借金が残ってしまいます。もしも家族に住宅ローンを払い続けていく経済的な余裕がなければ、せっかく苦労して購入したマイホームを手放し、そのお金をもとに借金を返済していくことになるかもしれません。

そのような事態を避けるための保険が団体信用生命保険です。

団体信用生命保険の仕組み

団体信用生命保険に加入していれば、ローン契約者に万が一のことがあった場合、保険会社から金融機関へ住宅ローンの残額分が支払われるので、残された家族は住宅ローンの返済に困ることはありません。

その意味で団体信用生命保険は、ローン契約者が自分に万が一のことがあったときに家族を住居費の経済的なリスクから守るための保険とも言えるでしょう。

「フラット35」など一部例外はあるとはいえ、団体信用生命保険への加入は住宅ローンの借り入れの条件になっていることが多く、住宅ローンの借り入れと同時に加入していることが一般的です。

団体信用生命保険の支払いは明確な「保険料」という形をとらず金利に上乗せされたりしているケースもあるため、なかなか「保険に加入している」という意識は薄くなりがちで、「え! 私も団信に入っていたの!?」というケースも少なくないようです。

団体信用生命保険の保障イメージ

1-2 団体信用生命保険の種類と保障内容

団体信用生命保険で代表的なものは、通常の団体信用生命保険、三大疾病保障付団体信用生命保険、八大疾病保障付団体信用生命保険などが挙げられます。

通常の団体信用生命保険は「ローン契約者が死亡もしくは高度障害状態のときに住宅ローンを肩代わりしてくれる保険」で、ほかの2つの保険は、そこに特約を付加することによって死亡や高度障害状態以外でも住宅ローンが免除になるタイプの保険だと言えます。

ここでは、それぞれ具体的にどのような保険か簡単に見ていきましょう。

●通常の団体信用生命保険
通常の団体信用生命保険は、ローン契約者が「死亡・高度障害状態」になったときに残された住宅ローンが完済される仕組みです。基本的に死亡・高度障害状態に備える通常の団信保険は無料で、その場合は保険料として金利が上乗せされるようなことはありません。

●三大疾病特約付団体信用生命保険
三大疾病特約付団信信用生命保険は、ローン契約者が死亡・高度障害状態になったときに加えて、「三大疾病(がん、脳卒中、急性心筋梗塞)で所定の状態」になったときにも、残された住宅ローンが完済される仕組みです。

なかには一定期間のうちは毎月住宅ローン分を負担し、それ以上症状が続いたときにはローンの残額を完済する、という保障が2段階になっているタイプも見られます。

金融機関によっても違いはありますが、金利の上乗せとしては、年0.25%程度のものが多いようです。

注意したいのは、支払い条件の三大疾病それぞれで「所定の状態」が異なる点でしょう。商品によっても違いがあるので、その点はあらかじめしっかり確認しておきましょう。

●八大疾病特約付団体信用生命保険
八大疾病特約付団体信用生命保険は、ローン契約者が死亡・高度障害状態になったときに加えて、「八大疾病で所定の状態」になったときにも、残された住宅ローンが完済される仕組みです。

「八大疾病」という病気の括りはあまり聞きなれないかもしれませんが、三大疾病(がん、脳卒中、急性心筋梗塞)と五疾患(糖尿病、高血圧性疾患、肝硬変、慢性膵炎、慢性腎臓病)を指しています。

金融機関によって異なるものの、金利の上乗せは年0.3%程度のようです。それぞれの疾病の「所定の状態」に関しては、商品や金融機関によって違いは見られるので、加入前にしっかりチェックしてみましょう。

2.団体信用生命保険で注意すべきポイント

2-1 健康状態が悪いと加入できない!?

団体信用生命保険は、少し通常と違うところはあっても生命保険の一種ですから、契約する際には健康告知が必要になります。

健康告知とは、生命保険への加入を希望する方が、保険会社に自分の健康状態をあらかじめ申告することです。生命保険会社は、その健康告知をもとに「このお客様を保険に加入させて良いかどうか?」を判断します。

基本的に団体信用生命保険の健康告知は、通常の生命保険よりも告知項目が少なく、比較的に加入しやすいと言えるでしょう。

しかしながら、病気の種類や症状、経過によっては、持病や既往症を持たれている方が団信に加入できないケースも見られます。

そして、団体信用生命保険への加入が住宅ローンの借り入れ条件になっている場合、健康状態で団体信用生命保険へ加入できないことを理由に住宅ローンの審査に通らない、ということが起こってしまいます。

だとすれば、健康状態が優れず団信に加入できない方は、念願のマイホームの購入を諦めなければならないのでしょうか。

必ずしもそういうわけではありません。たとえば、住宅金融支援機構の住宅ローン「フラット35」などを活用する手が考えられます。

フラット35では、他の住宅ローンとは違い、団信への加入と住宅ローンの借り入れはワンセットではありません。あくまで団信への加入は任意なので、健康状態に係わりなく住宅ローンの借り入れをできる点がフラット35の特徴の1つだと言えるでしょう。

住宅と人々

しかし、いくらフラット35などを利用して住宅ローンを組めたとしても、団信保険に加入していないのはローン契約者に万が一のことがあったときに不安が残ります。そのような場合の備えとしては、持病があっても加入しやすい民間の生命保険を活用するのがオススメです。

民間の生命保険のなかには、引受基準緩和型や無選択・無告知型といった「持病があっても入りやすい保険」があります。そうした生命保険に住宅ローンの金額や借り入れ期間に合わせて加入すれば、ほとんど団信と同じ役割を果たしてくれるので安心です。

団信保険に加入できなかった方は、フラット35+民間の生命保険といった形で住宅ローンについて検討してみると良いかもしれません。

ただし、注意していただきたいのは、引受基準緩和型や無選択・無告知型の生命保険は、通常の生命保険と比べて、保険料は割増で保障に条件が付いていることが一般的です。「保障に条件」という言い方をしましたが、これは「最初の1年以内に亡くなった場合、保障金額は半額」「最初の1年以内に亡くなった場合、保障金額は払い込んだ保険料分のみ」といったものです。

持病があっても加入しやすい保険を検討するのであれば、「どのような条件がつくのか?」という点に関しては、あらかじめしっかりチェックしておきましょう。

⇒団体信用生命保険の代わりになる!? 賢い死亡保険の選び方とは!?

2-2 団体信用生命保険ではカバーできないリスクが!?

団体信用生命保険で保険金が支払われるのは、基本的に死亡・高度障害状態のときです。特約をつけると、三大疾病や八大疾病で所定の状態に該当したときにも保険金を受け取ることができます。

ですが、それ以外にも住宅ローンを返済できなくなってしまうリスクがあります。それは、病気やケガで長期間にわたって働くことができなくなってしまった場合です。残念ながら、病気やケガにより長期的に働けない状態に陥っても、一部の団体信用生命保険を除いて保険金は支払われません。

もちろん短い期間のみであれば、有給休暇や傷病手当金といった制度を活用しながら、貯金を切り崩して急場は凌げるかもしれません。とはいえ、その働けない期間が長期間に及び、収入が大幅に減少したなかで、毎月の住宅ローンを返済し続けていくことはできるでしょうか。

収入減少のイメージ

具体的に調査の数値も参考にしてみましょう。

総務省『家計調査(家計収支編)調査結果(2020年)』(*1)によれば、2人以上の勤労者世帯のうち住宅ローン返済世帯の毎月の消費支出は平均315,176円住宅ローンの返済額は92,111円となっています。

病気やケガで働けなくなり、収入が減っていくなかで、残された家族の力だけで今までの生活水準を支えることはかなり厳しいと言えそうです。

そのような病気やケガで働けなくなったときの収入減に備えて、就業不能保険に加入しておくのは1つの方法だと言えます。

就業不能保険は、病気やケガで働けない状態に陥ったときに、毎月給料のような形で保険金を受け取れる保険。

就業不能保険を用意しておけば、働けなくなったことによる収入減を保険金でカバーできるので、いざというときに安心です。マイホームの購入を機会に、団体信用生命保険でカバーできない部分を補完する意味で、就業不能保険も検討してみると良いかもしれません。

⇒「そもそも就業不能保険っているのかな……?」就業不能保険の必要性の徹底検証はコチラ!

⇒団体信用保険の“穴”をカバー! 失敗しないための就業不能保険を選ぶ4ポイント!

2-3 団体信用生命保険じゃないほうが「オトク」な場合とは!?

先ほど少し触れたように、団体信用生命保険の保険料は「ローンの金利に上乗せ」という形が一般的です。なので、基本的には年齢や健康状態に関係なく、保険料や保障内容が設定されると言えます。

その一方で、民間の生命保険では年齢や健康状態に応じて、保険料や保障内容は大きく変わってきます。

民間の生命保険の場合、若くて健康な方であれば割安の保険料で手厚い保障を準備することができるのです。最近では、タバコを吸っていない方はより保険料が割安になる「非喫煙割引」などが適用される生命保険も増えてきています。

このような団体信用生命保険と通常の生命保険の違いを踏まえると、特に40代以下の健康な方は団体信用生命保険よりも通常の生命保険で万が一の備えをしたほうが、抑えた保険料で手厚い保障を用意できるケースも少なくないと言えそうです。

マイホームを購入する若くて健康な方は、フラット35をはじめとした団信への加入が任意の住宅ローンを活用し、ローン契約者に万が一のことがあったときの備えは民間の生命保険で用意する、という選択肢も視野に入れたほうが良いでしょう。

⇒グッと保険料が安くなるかも!? 生命保険の厳選見直しポイント!

2-4 保障が重複してムダな保険料を支払っているかも!?

団体信用生命保険は、ローン契約者が死亡・高度障害状態になったときに住宅ローンの残額を肩代わりしてもらえる生命保険の一種です。

ですので、すでに民間の生命保険に加入している場合、その保険と団信で保障内容が重複していることがあります。民間の生命保険の加入時に、被保険者が亡くなったときの住居費も含めて保険金を設定したのであれば、団信と保障内容が重複しており、ムダな保険料を払っている可能性が高いと言えます。

マイホームの購入のために住宅ローンを借り入れ団信保険に加入した時点で、一度ご自分が加入している生命保険を見直すと良いでしょう。もしかしたら保険料の節約につながる良い機会になるかもしれません。

⇒生命保険の見直しが家計を救う!? かしこい見直しの厳選5ポイント!

まとめ:団体信用保険に加入するときは保険を見直す良いタイミング

いかがでしたか?

ここでは、マイホーム購入時に住宅ローンの借り入れの条件として加入することが多い団体信用生命保険について解説してきました。団体信用生命保険の基礎知識と注意点に関しては、ご理解いただけたのではないかと思います。

ある見方をすれば、マイホームを購入して団体信用生命保険に加入するときは、保険の見直しの良いタイミングだと捉えることができます。しかし、団体信用生命保険そのものや、団体信用生命保険の加入にともなう保険の見直しをするとなれば、お客様一人ひとりの生活状況に合わせて、より総合的に考えていかなければなりません。

たとえば、年齢、健康状態、職業、家族構成、将来のライフプランなど、保険の見直しに際して考えるべき要素は多岐にわたります。そのうえで、自分自身のニーズと保障を明確にし、無数の保険商品の中から合ったものを絞りこんでいかなければなりません。このように保険の見直しには、多くの時間と知識が必要になってきます。

「うーん……、自分の手で保険を見直すのはかなり大変そうだな……」

少しでもそのように思われた方は、保険のプロの助言を参考にしてみるのも良いかもしれません。保険のプロはあなたの生活状況や希望を伺ったうえで、保険選びに役立つアドバイスをしてくれるはずです。

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