えっ! 医療保険の見直しが「節約(最適化)」に? 保険料負担を抑える3ポイント

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保険の基礎知識
えっ! 医療保険の見直しが「節約(最適化)」に? 保険料負担を抑える3ポイント
現在ご加入している医療保険は、本当に「今のあなた」のニーズに適切で、保障内容に見合った保険料が設定されているのでしょうか。「昔加入したまま放置している。どのような保障内容だったかよく覚えていない」というような医療保険があったら、ぜひ見直しておくべきです。 医療保険は、医療の進歩や医療制度の改正などによって、いざというときに保障が必要な対象や必要保障額が変化していきます。また、医療保険市場は保険会社間の競争が激しいため、年々魅力的な商品が発売されています。 定期保険であれば更新の際に見直すのが当然ですが、終身保険も数年おきに、あるいはライフステージに大きな変化があったタイミングで見直しすることで、いざというときに必要十分な保障を受けることができるでしょう。また、見直しによって保険料が節約(最適化)できる場合もあります。

1. 医療保険を見直すべき理由

医療保険を見直すべき理由としては、主に次の4項目が考えられます。

1-1 ニーズに的確に備えるため

医療保険を見直すべき理由とは、
  • ・ニーズに的確に備えるため
  • ・保険料を節約(最適化)するため
  • ・ライフステージの変化に対応するため
  • ・医療の進歩や変化に対応するため
の4点です。 まず、「ニーズに的確に備える」についてお話します。 現在あなたが加入している医療保険は、あなたがじっくりと保障内容や保険金額を吟味し、「この保険は自分のニーズに最適だ」と納得して加入したものでしょうか? 「よくわからないが、医療保険なんてどの保険会社でも大差ないだろうと思って、よくテレビでCMをやっている保険にした」 「知人に『この保険はいいよ』と勧められ、なんとなく加入した」 「保険勧誘員に熱心に勧誘され、断り切れずに加入した」 このような理由で加入したのであれば、いざケガや病気で入院となったとき、「自分が本当に不安な部分」「一番保障して欲しい部分」が保険で十分にカバーできていなかったり、あるいは保障額が不足している可能性だってあります。 このような場合、自分がしっかり備えたいと思っている部分(たとえば入院給付金の日額や、手術給付金の額、あるいは入院限度日数の長さなど)が手厚い保険に切り替わることで、自分のニーズに的確に備えることができます。 また、「保険料に対する安心度の高さ」という意味では、保険のコストパフォーマンスも向上するでしょう。

1-2 保険料を節約(最適化)するため

その一方で、「この保険は、自分にとってあまりリスクを感じない部分が不必要に手厚く保障されている」といったムダがあるかもしれません。自分にはほとんど必要のない特約を付加している場合もあるでしょう。 また、「ムダではないかもしれないが、自分にとってこの給付金は多すぎる」と思える部分も見直し検討の対象となります。 こういった「医療保険の最適化」により、結果的に保険料負担を軽くすることも可能です。ただし、この場合は「節約」というよりも「最適化」といったほうがふさわしいかもしれません。

1-3 ライフステージの変化に対応するため

人生には、年齢にともなって家族構成の変化(独立・結婚・出産など)、収入の変化、リタイアなどさまざまな段階のライフステージがあります。 たとえば、結婚してお子さんが生まれれば、自分の心配だけでなく家族の生活にも十分な備えが必要になります。また、加齢によってがんや心疾患、脳血管系疾患などのリスクが高まるため、これに備える必要性も高まるでしょう。 会社をリタイアして年金生活に入ると、医療保険については「収入が限られるなかで、どうやって老後の生活資金を確保したままケガや病気のリスクに備えるか?」を考えなくてはなりません。また、介護を受ける可能性も念頭に置く必要があるでしょう。 こうして、加入した時点では最適だった医療保険も、経年とともに見直しが必要となってくるのです。

1-4 医療の進歩や社会の変化に対応するため

たとえば、近年は全般的に病院への入院期間が短くなる傾向がみられ、がんのような、従来は長い入院が必要だと考えられていた病気でも平均で20日を切っています。 厚生労働省の「平成29年(2017)患者調査の概況(*1)」によれば、平成29年の平均入院(在院)日数は29.3日と、平成2年(44.9日)の65%程度にまで減少しています。 また、同資料の傷病分類別にみた年齢階級別退院患者の平均在院日数に着目すると、がん(悪性新生物)による平均在院日数は17.1日となっており、治療における比重は入院から通院へと大きく移行していることがわかります。
施設の種類別にみた退院患者の平均在院日数の年次推移 年齢階級別退院患者の平均在院日数(悪性新生物)
出典:厚生労働省「平成29年(2017)患者調査の概況」
このような医療状況の変化にともない、近年は短期入院にも対応できる医療保険や、通院保障特約などが注目されるようになってきました。従来の一般的な医療保険は入院給付金と手術給付金が保障の柱となっており、短期入院や通院に対しては保障が少ないもの/ないものが多いためです。 このように、医療の進歩や社会の変化に対応できるよう、定期的に医療保険の見直しを行うことが大切ではないでしょうか。

2. 医療保険を見直すタイミングとは?

医療保険に限らず、保険商品はときどき見直しが必要です。医療保険の場合、特に見直しが必要となるタイミングとしては、次のようなものが挙げられるでしょう。

2-1 ライフステージの節目

ライフステージは年齢にともなって変化していきます。そのうち、特に大きな節目としては、
  • ・就職
  • ・結婚
  • ・お子さんの誕生
  • ・マイホーム
  • ・お子さんの独立
  • ・リタイア
などが挙げられるでしょう。 これらライフステージの変化は、大きな負債や出費の発生、扶養家族の増減、今後の収入見込みの増減などをともないます。月々の経済的余裕のうち、どれだけを貯蓄に充て、どれだけを保険に充てるかというバランスも見直す必要がありますし、「医療保険で手厚く備えなくてはならない部分」も変わってくるでしょう。 たとえば、お子さんが生まれ、将来の学資への備えが必要となれば、医療保険を見直して、学資保険と医療保険の二本立てで備えるという方法が考えられますし、加齢によって生活習慣病のリスクが増大してきたら、医療保険に三大疾病(特定疾病)保障特約を付けたり、医療保険のほかに、がん保険などに加入するという方法も考えられます。さらにリタイア後には、介護が必要になった時に備えて介護特約の付加なども検討してみたいものです。 ただし、保険を複数化することによって保障が重複する部分に対しては、少し保障額を減らして保険料の節約(最適化)を検討してみるのもいいかもしれません。

2-2 収入・支出に大きな変化があったとき

ライフステージの変化にも収入・支出の変化がともないますが、人によっては「転職」「起業」などによって収入環境が大きく変化することも考えられます。奥様が専業主婦になったり、妊娠を機に休職したり、あるいは、お子さんがある程度成長したので復職・再就職するといったことによる世帯収入の変化も考えられるでしょう。 医療保険は世帯ベースで考えることが多い保険ですが、このように世帯収入が大きく変化する場合には、ケガや病気に対するリスクへの備えをどれくらい見積もるか、あるいは貯蓄と保険のバランスをどう取るかなどの、大幅な見直しが必要となるかもしれません。 なお、医療保険は、不慮の事故や病気で長期入院/長期療養を余儀なくされた場合の出費に備えるものですが、職場や職業によっては、療養が長引いて失職する/収入が途絶えるリスクも念頭に置く必要があります。そうしたリスクに対しては所得補償保険などでも備えられますが、入院給付金額が手厚い医療保険に切り替えることで、いざというときの家族の生活費の支えにもなるかもしれません。

2-3 法律や制度・経済状況に大きな変化があったとき

たとえば、介護保険制度は3年ごとに制度改正が行われます。平成30年には介護保険料の負担割合が3割(一定以上の所得がある人の場合)に引き上げられました。このように、社会保障に関わる法律や制度に大きな変更があった場合、医療費への備えや、老後の備えに関する資金計画を大きく変更しなくてはならない場合があります。 また、21世紀初頭から日本では、いわゆる「ゼロ金利政策」が進められ、2016年2月には日銀がマイナス金利政策を導入しました。 これにより、預金金利や住宅ローン金利が引き下げられるという国民生活への影響が発生しましたが、一部の保険会社では終身保険や年金保険などの商品の一部を販売停止にしています。 また、今後は保険商品の予定利率(保険会社が保険料を計算するときの基礎率のひとつ。保険会社が加入者から受け取った保険料を運用する際の利回り予測)が引き下げられ、一部の保険商品で保険料の値上げや保険金の引き下げが行われる可能性も考えられます。 保険商品もまた金融商品ですから、商品としての価値やリスクはその時代の経済状況に大きな影響を受けます。経済状況が大きく変化したときや、金融政策が大きく変化したときには、そのタイミングにあわせて保険の見直しを行うことも大切でしょう。

2-4 保険の更新時

定期型保険であれば、契約期間の満了にあわせ、更新するか、別の保険に加入するかを判断しなくてはなりません。一般的な定期型医療保険は年齢の上昇によって保険料が上昇しますから、更新に際しては、保険料の上昇分も織り込んだうえで、従来と同じ保障内容で問題がないのかを検討する必要があるでしょう。 その点、終身型保険であれば、原則として保険料は生涯同じ金額となります。これは今後支払い続ける保険料の金額が計算しやすく、長期的な資金計画が立てやすいというメリットがありますが、たとえばインフレなどで物価が大きく上昇し、貨幣の実質的価値が目減りした場合などには、いざというときの十分な保障が得られないといったリスクもあります。 更新の必要がない保険は、ついこのような見落としをしてしまいがちです。特にライフステージに大きな変化がなくても、数年に一度は保障内容を点検・見直ししてみる必要があるでしょう。

3. 医療保険を見直すポイントとは?

医療保険を見直すとき、特にどのような点に注意して見直しを行うべきでしょうか?

3-1 保障は必要十分か?

医療保険を見直す際、もっとも重要なポイントがこれです。 たとえば、見直しによって「入院給付金は1日あたり○○円で十分だと思っていたが、子どもも生まれ、いろいろと出費も増えている。もう少し手厚くしておかないと不安だな」などということに気付くかもしれません。 また、「最近はいろいろな病気で、入院期間が短くなり、通院による療養が重視されるようになっているそうだ。いま加入している医療保険では通院療養はまるでカバーされていない。通院療養がカバーできる医療保険に変えた方がいいのではないか?」といったことも、保険を見直すことによって発見できるのではないでしょうか。

3-2 保険料の最適化

保険料の支払い方には年払い、一括払い、月払いなどさまざまな方法がありますが、医療保険の場合、月払いにしていらっしゃる方が多いのではないでしょうか。 保障の内容は手厚ければ手厚い方がいいに決まっていますが、保障内容を充実させるにしたがって、保険料の負担も大きくなっていきます。また医療保険だけでなく、生命保険や学資保険などいろいろな保険にご加入されていれば、トータルの保険料は家計にとっても少なからぬ負担を与えることになるでしょう。 リスクへの備えは、貯蓄と保険でバランスよく行いたいものです。いくら保障内容に満足していても、保険料が家計に大きな負担となっていてはバランスが取れているとはいえません。もし負担が大きいと感じるようであれば、必要性が少ないと思われる特約をはずす、入院給付金や手術給付金を減らしてもっと安い保険に入り直す、などの見直しが必要ではないでしょうか。

3-3 新たなニーズへの対応

ライフステージの項目でご説明したように、医療保険に対するニーズは、加入者様の年齢や家族構成などによって年々変化していきます。 たとえば、 「そろそろがんが心配な年齢になってきたが、がん特約や三大疾病保障特約などにも加入しておいたほうがいいのではないか?」 「最近、女性向け保険の人気が高まっているようだが、いま加入している医療保険に女性疾病特約をつけたら保険料はどれくらい変わるのか?」 「いま加入している医療保険は、どうやら先進医療に対応していないようだ。いざというとき、治療費の心配をせずに最先端の医療を受けるためには、先進医療特約を検討するべきか?」 など、従来の医療保険ではカバーできない領域や、特に自分が心配なリスクにしっかり備えられるよう見直しをしましょう。

3-4 特約が付加できる医療保険に

医療保険は保険会社によって商品内容が大きく異なり、付加できる特約にも違いがあります。「そもそもこの保険会社は(自分が付加したい)特約がメニューにない」という場合もありますし、「メニューにはあるが、自分が加入している保険には付加できない」という場合も考えられます。 「いますぐ必要というわけではないが、おそらく将来的にこの特約をつけたくなるだろうな」と思われる特約があれば、ご自分がご加入している医療保険の約款を確認し、特約の付加が可能かどうかを確かめておいたほうが安心でしょう。そのうえで、付加できないとなれば、医療保険そのものを見直しするか、別の保険に追加加入することを検討することが必要でしょう。 なお、保険商品の特約は、主契約と同時に契約しなくてはならないものや、「中途付加」といって保険期間の途中で特約を追加できるものなどさまざまです。こうした点も見直しの際に注意してみてください。

4. 医療保険を見直す際の注意点

医療保険を見直すときに注意していただきたい点をいくつかまとめました。

4-1 いわゆる「お宝保険」について

医療保険に限らず保険商品全般に言える話ですが、昭和末期から平成初期(いわゆるバブル期)に加入した医療保険を見直す際は、その保険商品の予定利率に注目してみてください。 その当時は現在に比べると予定利率がかなり高く、保障内容が同程度の現在の保険商品に比べ、保険料が安く設定されているものが多いためです。 予定利率とは、保険会社が設定する運用利回りのことです。保険会社は、加入者から支払いを受けた保険料を運用して利益を生み、その一部を保険金の支払いに充てます。このため、運用益が高く見込まれるほど、加入者にとって有利な保険商品を提供できるわけです。 下記の表のとおり、昭和末期から平成初期にかけての予定利率は現在に比べ、かなり高く設定されています(*2)。このため、この時期に契約した保険で特に条件が有利なものは、俗に「お宝保険」と呼ばれます。 いったん契約した保険は、契約の内容に沿って保険料の支払いを続ければよく、保障内容も変わりません(一部の保険を除く)。こういう保険を解約して同程度の保障内容の保険に加入しようとすると、現在の予定利率はかなり低くなっているため、かえって保険料が高くなってしまうこともあるのです(もちろんそうならない場合もあり、ケースバイケースです)。 医療保険の見直しの際には、「この保険はお宝保険か?」と確認することが重要で、もしお宝保険であれば、見直しにはいっそうの慎重さが求められます。
生命保険会社の標準的な予定利率の推移(3利源配当タイプ)
出典:消費生活相談員向け「生命保険・相談マニュアル」(2021年9月改訂版)より

4-2 健康状態により加入できない可能性も

医療保険・生命保険は、加入時に「告知書」による保険会社の審査を受けなくてはなりません。現在の健康状態や既往歴によっては加入できない場合もありますし、保険金の保障額が減額されたりする場合も考えられます。 また、告知書に虚偽の記述があり、それが発見された場合、告知義務違反として保険金が給付されず、保険契約そのものも解除されてしまう可能性があります。このため、告知書にウソは厳禁です。 「見直しによって医療保険を乗り換えることに決めて古い保険を解約したが、新しい保険に加入できなかった」といった無保険状態になることを避けるためにも、乗り換えの際には、新しい保険に加入してから古い保険を解約するといった慎重さが求められるでしょう。

4-3 全期型医療保険の注意点

医療保険には、65歳や70歳などで保険期間が終了する「全期型」と呼ばれる商品があります。これは、主にリタイアまでの就労期間に手厚く備えるためのものです。 しかし、近年のように定年制が延長され、年金支給開始年齢が引き上げられていくと、全期型医療保険の保険期間が終了してもまだ現役で、医療費への備えを必要とされる可能性があります。 受療率(入院・通院など医療機関にかかる率)は高齢になればなるほど上昇するわけですから、全期型医療保険にご加入されている方は、保険期間終了後の医療費への備えをどうするか検討し、場合によっては終身型の医療保険への乗り換えなどを検討するべきかもしれません。 なお、全期型保険の満了時年齢から新たな医療保険に加入しようとすると、保険金がかなり割高になる可能性があります。また、その時点で何らかの持病がある場合は、そもそも医療保険に加入できない場合もありえます。 「満期が近づいてから検討しよう」などとは考えず、体が健康で、医療保険に対するさまざまな選択肢が選べるうちに見直しを進めておいたほうが安心でしょう。

まとめ:定期的な見直しで保険のムダを徹底的に排除!

いざというときには十分な保障が受けられ、なおかつ保障の重複などのムダを省いて保険料を節約(最適化)するためには、自分のライフステージや状況の変化を意識し、世の中の変化をみながら、定期的に保険の見直しをすることが必要だということについてご説明してきました。 見直しの際には、いまの(これからの)自分のニーズにふさわしいかどうか、保険料の負担は妥当か、必要な特約が付加できるかなどの点に注意するべきであるということも、ご理解いただけたのではないでしょうか。 また、医療保険は自分が健康なうちでないと加入できない/または契約内容が不利になるということ、年齢を重ねるほど保険料が高くなってしまう、ということなどにもご注意いただければと思います。 医療保険という保険商品自体にもトレンドがあり、時代や経済状況などに大きな影響を受けながら変化しています。 もし「医療保険の見直しをしたいのだが、いま加入している保険をどのように評価していいのかわからない」といったお悩みがありましたら、保険見直し本舗にお気軽にご相談ください。保険のプロとして、コンサルティングアドバイザーがあなたの知りたいことについて、ご納得いただけるまで詳細にご説明させていただきます。 ⇒無料保険相談を上手に活用するための厳選ポイントはこちら