女性保険とは? 医療保険とどう違う!? 女性向け保険の仕組み

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保険の基礎知識
女性保険とは? 医療保険とどう違う!? 女性向け保険の仕組み

これまで大きな病気や怪我をしたこともなく、特に健康に気を使ってもこなかった。けれど就職や結婚、出産を機にあらためて健康について見直し、「将来のためにも保険に入っておこうかな」と考える女性は多いのではないかと思います。そんな時に真っ先に目に付くのが、テレビや電車のつり革広告でもよく見かける「女性保険」や「女性向け医療保険」ではないでしょうか。

しかし「医療保険」や「がん保険」などと違い、「女性保険」という名前からは「女性用らしい」ということ以外、どんな保険なのかがイマイチ見えてきません。「どんなところが女性向けなの?」「普通の医療保険と何が違うの?」「女性ならこの保険に入った方がいいの?」と疑問に思われている方も、また多いのではないでしょうか。

結論から言ってしまえば、「女性保険」は必ずしもすべての女性に必要だというわけではありません。しかし、通常の医療保険ではカバーしきれない部分まで手厚い保障が受けられたり、妊娠や出産などのライフイベントの準備にも役立ったりと、多くの魅力を持つ商品であることも確かです。

女性保険の内容を知ることは、私たち女性特有のリスクに目を向け、今後の人生設計を考えることにも役立ちます。ここでは、「女性保険とはどんなものなのか」全体的なイメージを持っていただけるように、女性ならではのリスクにも触れながらお話をしていきたいと思います。

1. そもそも女性保険の仕組みとは

1-1 基本は医療契約+女性疾病特約

「女性保険」とは乳がんや子宮頸がんなど、女性特有の病気に手厚い保障をする商品の総称です。

保険の比較サイトなどではよく、「医療保険」や「がん保険」などと並べて紹介されているために、一見まったく別の保険であるかのようにみえますが、その内容は基本的に、医療保険(またはがん保険)に女性特有の病気に手厚い保障をする特約(女性疾病特約)がセットになったもので、分類としては医療保険やがん保険の一種です。ベースの部分で一般の病気や怪我について保障し、その中でも女性特有の病気には特に手厚い保障が付くという商品です。

間違いやすいのは、女性保険だけが女性の病気を扱うものではないということ。「乳がんなど女性特有の病気は、普通の医療保険では保障されないんでしょ?」と思っておられる方もいらっしゃるかもしれませんが、そういうわけではありません。通常の医療保険でも女性特有の病気の多くが、ほかの病気や怪我と同じように保障の対象となります。

例えば、心筋梗塞(一般の病気)と子宮頸がん(女性特有の病気)それぞれで入院した場合には、次のようになります。

一般的な医療保険と女性保険の保障額イメージ
通常の医療保険 女性保険
心筋梗塞の場合 日額10,000円 日額10,000円
乳がんの場合 日額10,000円 日額15,000円

1-2 医療保障に加えてボーナスも

女性保険は医療保険の一種ですから、もちろん基本となる保障は、一般の病気や女性特有の病気で入院や手術をした時に支払われる保険金です。

ここで気になるのは手厚い保障が受けられる「女性特有の病気」の範囲について触れておきます。保険会社により基準の違いはありますが、子宮頸がんや月経不順など女性に限られたものに加え、胆のう炎などのように男女共通で発症するものの、特に女性の方の発症率が高くなるものまでが広く含まれます。

また出産に関しては、帝王切開や重度のつわり、早産などが保障の対象になります。

このほか、商品によっては、

  • ・3年などの規定年数ごとに生存していれば支払われる生存給付金
  • ・一定期間、入院や病気をしなかったときに支払われる健康お祝い金

などのボーナスや、

  • ・退院祝いの一時金
  • ・死亡時の死亡保険金
  • ・先進医療を受けた時の先進医療給付金

などが受け取れるものもあります。

1-3 女性疾病特約とは似たもの同士

さきほど女性保険は、基本の医療保険と女性特有の病気を特に手厚く保障できる女性疾病特約がセットになったものだというお話をしました。

「じゃあ、最初から女性保険に入るのと、医療保険に入って女性疾病特約を付けるのとは何が違うの?」と思われた方もいらっしゃると思いますが、実質的にはその通りでほぼ同じもの。よってほとんど違いはありません。

ただ、特約はあくまで「主契約ありき」なので、多少の違いは生まれます。

例えば、夫の医療保険を主契約とする夫婦型(主契約に配偶者の保険を付加する夫婦一体型)の保険で加入していて、特約で妻の女性疾病特約を付けていた場合は、もし夫が先に亡くなってしまうと本契約も消滅してしまうので、特約も無効になってしまうことになります。

⇒女性特有の健康リスクとは!? 女性保険を備えるべき理由はコチラ!!

⇒女性保険を選ぶまえに知っておきたい! 分かりやすい女性保険のタイプ別の解説はココ!!

2. なぜ女性保険が必要なのか?

2-1 女性特有のがん対策

先にお話したように、女性特有の病気の大半は通常の医療保険でも保障の対象になっています。にもかかわらず女性特有の病気を手厚く保障する女性保険が次々と誕生しているのは、女性特有の病気のリスクに備えたいというニーズがあるからにほかなりません。

では、そのリスクとはどれぐらいあるのでしょうか?

厚生労働省の『令和2年(2020)人口動態統計(確定数)の概況』(*1)によると、2020年でがんは日本人女性の死因の23.6%にあたります。これは、約4人に1人ががんで亡くなっていることになります。また、公益財団法人 がん研究振興財団の『がんの統計‘18』(*2)によると、2018年の女性の予測がん死亡数は全国で15万7000人。このうち、乳がんは9%で第5位、子宮がんは4%で第8位です。

一方、「何人がその病気にかかったか」を表す罹患数を同資料から見てみると、2018年における女性の予測がん罹患数は43万8700人。このうち乳がんは8万6500人(20%)で第1位、子宮がんは2万7500人(6%)で第5位です。

女性特有のがんで死亡する可能性はほかのがんと比べて高いとは言えませんが、女性特有のがんになる可能性は高いということが分かります。

また、同データの年齢別・部位別罹患数を見ると、乳がんは14歳まではほとんどかからないものの、15~39歳になって発症が認められるようになり、40代になると急増して50歳前後がピークになります。子宮がんでは最も罹患数が多いのが15~39歳です(*3)。

がんは高齢者がかかる病気だというイメージを持ってしまいそうですが、女性特有のこれらのがんは、若い頃からリスクのある病気でもあるのです。

年齢別・部位別罹患数
出典:公益財団法人 がん研究振興財団『がんの統計’18』

2-2 帝王切開への備えに

また女性特有の病気は、何も「がん」ばかりではありません。

通常の出産は「病気」ではないので、多くの場合は保険の対象とはなりませんが、重度のつわりや流産・早産での入院、帝王切開や吸引分娩などで出産した場合は「異常分娩」となり、これは保険の対象になります。

そして、厚生労働省『平成29年(2017)医療施設(静態・動態)調査・病院報告の概況』の「診療等の状況」によると、2017年現在、帝王切開で出産する人は一般病院では25.8%と、約4人に1人の割合です(*4)。

帝王切開だからといって分娩費用が格段に高くなることはありませんが、母体にも負担がかかりますし、入院期間も3~5日は長くなることは必然です。手厚い保険金を受け取れるようにしておけば、安心感にもつながります。

女性特有の病気のリスクについては、別ページでもう少し詳しく紹介していますので、興味があればそちらもぜひ合わせてお読みください。

⇒帝王切開は女性特有のリスク! しっかり保険で備えるカンタンな方法とは!?

3. 女性保険にはどんなものがあるの?

3-1 女性保険は大きくは3タイプ

ここまではおおよそ、どの女性保険にも共通の要素についてお話してきました。しかし、女性保険にも保険会社ごとのカラーがあり、また同じ会社の中でも重点を置く要素ごとに、さまざまなタイプの商品が販売されています。

たくさんあると何がどう違うのか分からなくなってしまいますが、大きくは医療保障に重きを置く「医療型」、お金を貯める機能も備えた「貯蓄型」、死亡保障も付いた「死亡保障型」の3つのタイプに分けることができます。そのため、比較する時はまずこれらのタイプについて見てみることをおすすめします。

それぞれのタイプについて、詳しいことは別ページ「女性保険の種類」を見ていただければと思いますが、ここでも簡単にそれぞれの特徴を紹介していきます。

なお、保障が一生続く「終身型」と期間が決まっている「定期型」とがあるのは、一般の医療保険と同じです。

3-2 安心感が魅力の医療型

「医療型」は医療保険の基本ともいえる、入院費や手術費などの保障をメインにした保険です。通常の病気・怪我による入院(商品によっては通院も含む)や手術の保障、女性特有の病気への手厚い保障を標準として備えています。

保障の範囲にすべてのがんや特定の疾患までも含めたものや先進医療を受けた際に一時金が支給されるもの、セカンドオピニオンサービスが受けられるものなど、プラスアルファの保障が充実していますので必要に応じて選択が可能です。

3-3 資産形成にも役立つ貯蓄型

「貯蓄型」は万一のときに備えつつ、貯蓄にも役立つという両面性をもつ商品です。

女性保険の場合、数年ごとに生存給付金がもらえるもの、一定の期間において入院や手術がなかった場合に生存給付金がもらえるものなどがこれに当たります。ボーナスがある代わりに保険料はやや高めであることが多いので、購入の際にはボーナスの出る条件やタイミングと、月々の保険料のバランスを考えてみることが判断基準の一つになるでしょう。

3-4 残された家族を守る死亡保障型

「死亡保障型」は名前の通り、女性特有の病気への厚い保障+死亡保障が付いたタイプです。

金額はまちまちですが、数百万円というところがほとんど。死亡保障が付く分、月々の保険料は少し割高になっていることが多いです。女性保険に死亡保障が必要か否かは個人の事情によって異なりますが、一家を支える収入の担い手にはおすすめできるタイプです。

⇒必ず押さえたい!! 女性保険の代表的な3タイプのより詳しい解説はココ!!

4. 女性保険加入を考えるタイミングは?

4-1 おすすめは就職、結婚、出産の後

女性保険は他の医療保険と同じように、自由意思で入る民間保険。もちろんいつ加入してもいいのですが、女性特有の妊娠・出産などの事情から、あるいは年代別に気をつけたい病気などから、というように、加入を考えるのにおすすめのタイミングというものは存在します。

なかでも、最もおすすめなのは人生における大きなイベントである「就職」「結婚」「出産」の後。詳細は別ページ「女性保険の見直し」をお読みいただければと思いますが、ここでも簡単にその理由を紹介したいと思います。

4-2 就職は保険加入の最初の機会

親から経済的に独立する就職は、将来を見つめて来るべきリスクにも備える最初の機会です。若いうちに終身保険に入れば保険料も安いというのも大きなメリットも活かせます。乳がんや子宮がんは20代からリスクがあることも考えて、医療型または貯蓄型の保険を検討してみてほしいタイミングです。

4-3 生活が大きく変わる結婚後

結婚は女性にとって人生の一大イベント。住む場所や働き方をはじめライフスタイルが大きく変わることになるので、実情に合わせて保険を見直すよい機会でもあります。

帝王切開など異常分娩に手厚い保障がある女性保険は、妊娠がわかった後だと加入できなかったり、保障が限定されていたりすることもあります。将来、子どもを望んでいるのなら、一度出産の費用について保険のことも含めて考えておくとよいでしょう。

4-4 新しい家族ができる出産後

子どもができるとまた生活が大きく変わるので、それに伴う保険の見直しも必要になります。この時期におすすめなのは、万が一のことを考えて、一家の大黒柱には死亡保障を厚くしておくこと。

また約20年続く子育てには多大な養育費用がかかることも考えると、病気などによって学費が削られてしまうのは避けたいところ。多くの人が子育て期間の後半にあたる50歳前後は最も乳がんになりやすい年代でもあるので、長いスパンで将来のことを考えてみるのがおすすめです。

⇒必見! 女性保険の検討はいつすべき?? 厳選4ポイントはコチラ!!

5. 加入前に気をつけたいことは?

5-1 医療保険との重複に注意

保険の加入・見直しのタイミングについてお話してきましたが、その際に1つ気をつけなければいけないことがあります。なにも女性保険に限ったわけではないのですが、それは保障内容の重複の問題です。

といいますのも、最初の方でお話した通り女性保険は基本的に「医療保険+女性疾病特約」がセットになっている保険。仮に就職した段階で、基本的な病気・怪我での入院や手術をカバーする医療保険に入っていたところに、結婚を機に妊娠・出産などを考えて女性保険にも加入しようという場合、医療保険の部分は同じような保障内容が重複してしまう可能性があるわけです。

もっとも、重複した部分については当然保障が手厚くなるわけで、それはかならずしも悪いことではありません。しかしその分、月々の保険料の負担は増えることになるので、支払う保険料に見合うものなのかを考え、バランスをとることが大切になります。

5-2 妊娠中は加入できないか制限が付くことも

また先ほど少しだけ触れましたが、妊娠中の保険加入には注意が必要です。

保険会社によって多少の違いはありますが、多くの場合に妊娠7カ月目以降は加入不可。妊娠時~7カ月目までは加入はできるものの、「部位不担保」という条件付きでの加入となり、通常の加入なら保障対象となる帝王切開や切迫早産、吸引分娩などの異常分娩が保障の対象外となってしまうからです。

妊娠のごく初期になら通常の条件で加入できることもあるので妊娠中はNGというわけではありませんが、できれば早めに加入しておくのがおすすめだといえます。

5-3 毎月の保険料は高め

最後に、忘れてはいけない保険料の話ですが、女性保険の基本は「医療保険+女性疾病特約」のセットなので、医療保険の本契約だけに比べると毎月の保険料は高めです。

どちらかといえば、安く最低限の保障を付けたいという人よりも、例えば「親族に女性特有の病気にかかっている人が多い」、「これからの出産・子育てに備えたい」など、プラスアルファの保険を望む人に向いている商品です。

ただ、中には女性特有の病気のみに対する女性保険もあるので、そちらは女性疾病特約のように、他の保険と2本立てにして足りない部分を補うというのもよい使い方だといえるでしょう。

⇒失敗しないために押さえたい!! 女性保険の選び方で大切なたった3つのポイント!!

まとめ:女性特有のリスクを広くカバー

ここまで、

  • ・女性保険とは女性特有の病気に手厚い保障がある商品の総称であること
  • ・女性保険の多くは女性特有の疾患・医療保険の両方をカバーするものであること
  • ・手厚い保障の対象には、男女どちらにも当てはまるものもあるが、女性に多いものも含まれること
  • ・4人に1人が行っている帝王切開をはじめ、異常分娩も保障対象であること
  • ・商品によっては、医療保険の機能以外に貯蓄や死亡保障の機能もあること
  • ・加入にはタイミングが大切であること

などについてお話してきました。

繰り返しになりますが、若いうちから気をつけたい乳がんや子宮がんなどの病気から妊娠・出産まで、女性特有のリスクについて幅広くカバーできるところが女性保険の何よりの魅力です。

また各保険会社が力を入れている分野でもあるだけに、特定の疾患や先進医療までカバーしたもの、数年ごとにボーナスがもらえるものなど多種多様なタイプが充実しています。そのため、本当に自分に必要な保障だけがついた商品を選ぶことができることも見逃せない特徴です。さらに興味のある方は、別ページの「女性保険の選び方」などもぜひ参考にしてみてください。

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