終身保険のメリット・デメリット!必要な人・いらない人とは?

Column

保険の基礎知識
終身保険のメリット・デメリット!必要な人・いらない人とは?
終身保険は、生命保険の一種で「万が一のときの保障を用意しながら、将来のための貯えも準備できる保険」だと言われています。このように聞くと、「なんか終身保険って良さそうだな」と何となく気にかかる、という方も多いのではないでしょうか。 しかし、たとえば「万が一のときの保障」や「将来のための貯え」といっても、それは本当に終身保険で用意すべきものなのでしょうか。定期保険、銀行預金、財形貯蓄、資産運用など、少し考えただけでも、ほかにもさまざまな方法が思い浮かびます。 このように見ていくと、はたして自分に終身保険が必要なのかどうか、ちょっと心もとなくなってきますね。そういうときに大切なのは、その保険の特徴を踏まえたうえで、自分にこの保険が合っているのかどうかを冷静に吟味することではないでしょうか。そうすれば、その保険が本当に合っているのか否かの答えが見えてくるはずです。 そこで、ここでは終身保険のメリット・デメリットを確認し、そのうえで「終身保険が必要な人・不必要な人」がそれぞれどんな人なのか分かりやすく解説していきたいと思います。 この記事に最後まで目を通して頂ければ、終身保険が必要かどうかを判断する「物差し」が得られるはずです。終身保険って本当に必要なのかな? そう疑問を抱いている方に必見の内容になっています。 この記事が、皆さんの保険選びの参考になれば幸いです。

1.カンタンにおさらい! 終身保険ってどんな保険?

具体的に終身保険のメリットやデメリットについて見ていく前に、そもそも終身保険はどのような保険なのか、簡単にご説明したいと思います。すでに終身保険について十分に知っているという方も、ここで一度おさらいしておきましょう。

1-1 終身保険のあらまし

終身保険は、被保険者が亡くなったり、重い障害を負ったりしたときに保険金を受け取れるタイプの生命保険の一種です。また、途中で解約をした際に、所定の解約返戻金を受け取れるので、貯蓄性も兼ね備えています。 つまり、万が一のときの保障を用意しながら、将来のための貯えも準備できるのです。冒頭でもお伝えしたように、保障性と貯蓄性、この2つの機能を併せ持っていると言えるでしょう。

1-2 終身保険の特徴は?

続いて、もう少し具体的に終身保険の中身を見ていきたいと思います。同じ生命保険である定期保険と適宜比較しながら、「保険期間」「保険料」「解約返戻金」の3つの観点から終身保険の内容をご説明します。

1-2-1 保険期間は一生涯

保険期間とは、保険の保障が続いていく期間のことを指しています。 定期保険の保険期間は、期限を定められているものが一般的です。たとえば、10年や15年といった「年数」で設定されているものから、60歳や65歳までといった「到達年齢」で決められているものまで、商品によってさまざまな区切りが設けられています。保険期間の節目を迎えると、満期で保障が終わるか、更新で保障が続いていくかのどちらかになります。 定期保険のイメージ それに対して、終身保険の保険期間は、生きている限り続いていきます。もちろん自らの意志で解約する場合は別ですが、所定の年数が経過したり、一定の年齢に達したりしたからといって、保障が終わってしまうことはありません。この保険期間が一生涯である点は、終身保険の大きな特徴の一つに数えられるでしょう。 終身保険のイメージ

1-2-2 保険料はずっと変わらない

定期保険の保険料は、更新を経過するたびに上がっていくことが一般的です。それに対して終身保険では、加入してからどんなに時間が経っても保険料は一定で変わりません。 また、もし加入年齢・保障金額ともに同じ条件で終身保険と定期保険を比べた場合、終身保険のほうが保険料は高くなることが一般的です。その理由の一つは、終身保険には解約したときに支払われる解約返戻金がある点。この分が保険料に上乗せされているので、定期保険よりも割高になることが多いのです。

1-2-3 解約返戻金があるので掛け捨てにならない

定期保険の場合、途中で解約をしたら特に受け取れるお金はありません。このタイプの保険が「掛け捨て」と言われるのはそのためです。 その一方で、終身保険を解約したときには、「解約返戻金」と呼ばれるお金を受け取ることができます。商品や加入年数などによっても違いはありますが、中には受け取る解約返戻金が支払った保険料を上回るケースも見られます。終身保険に「貯蓄性がある」と言われるのは、この解約返戻金を備えているからです。

2.終身保険のメリット3つ

さて、前章で終身保険の基本的な内容のおさらいは済みました。ここからは「終身保険が必要な人・不必要な人」について考えてみます。まずは終身保険のメリットから確認していきましょう。

2-1 ライフスタイルに合わせて柔軟に活用できる

先述したように、終身保険には貯蓄性が備わっていることが一般的です。なので、物入りのタイミングで解約して、解約返戻金を受け取り、それを必要なものの費用に充てる、という使い方ができます。 そして、それだけではなく、さまざまな出来事によって人生が予想していなかった方向へ進んだときにも臨機応変に対応できるところが魅力です。 たとえば、子供の学費を用意するために終身保険へ加入したとします。ところが、何か予想外に幸運な理由で家計の収入が増えて、子供の学費を終身保険の解約返戻金でカバーしなくても大丈夫になった、ということもあるかもしれません。そのようなとき、終身保険であれば、そのまま寝かせておけば良いのです。 加入してから時間が経過すればするほど、解約したときに受け取れる解約返戻金は大きくなっていきます。そして、将来的に老後の生活費や介護費用、あるいは重い病気になったときの費用など、自分の人生でお金のかかるタイミングがやってきたら、解約返戻金を受け取るようにしましょう。 このように自分の人生のイベントやアクシデントに合わせて柔軟に使い時を選べるところが、終身保険の大きなメリットの一つだと言えるでしょう。

2-2 相続対策として使うことができる

終身保険に限らず、生命保険は相続対策として活用できるメリットがあります。というのも、生命保険の保険金には、相続税が非課税となる金額の枠が設けられているからです(*1)。したがって、その範囲内に収まっている生命保険の保険金であれば、残された家族は、相続税を課されることなく、そのまま受け取ることができるのです。 【生命保険の保険金のうち相続税が非課税となる金額】 500万円×法定相続人の数
    ※法定相続人とは、基本的には被相続人の配偶者や子供のことを指しています。子供がいないなどの場合は、孫や親や兄弟が法定相続人になるケースもあります。
そして、もし相続対策を目的として生命保険に加入するのなら、終身保険が適していると言えます。なぜなら、相続対策をするうえで最も重要なのは、亡くなったときの保険金が支払われるかどうかという点だからです。 定期保険や養老保険などは、保険期間が限定されているので、その期間のうちに万が一のことが起こった時にしか保険金を受け取れません。その性質上、少なくとも相続対策にはあまり向いていないでしょう。 それに対して、終身保険は一生涯にわたって保障が続いていくので、いつ“いざというとき”に見舞われても、しっかりと死亡時の保険金を確保することができます。したがって、生命保険の相続対策としてのメリットを最大限に引き出すのなら、終身保険こそが相応しいのです。その意味で、相続対策として活用できるという点は、終身保険の大きなメリットの一つだと言えるでしょう。

2-3 資金計画が立てやすい

そもそも私たちが貯蓄をしようと思い立つのは、将来的に何か大きなお金が必要なライフイベントがやってくる見通しがあるからです。 たとえば、それは子供の大学進学かもしれませんし、マイホームの購入かもしれません。もしくは、老後の生活や介護、亡くなったときでしょうか。いずれにしても、大きな経済的な負担が発生するライフイベントに備えるためには、前もって資金計画を立てたうえで、そこに向けてコツコツと貯蓄をしていくことが大切です。 ですが、長期間におよぶ貯蓄を自分の意志だけでやりきることは決して簡単ではありません。なにか予想外の出費などあったら、「1回だけ……」などと言い訳をしながら貯蓄に手をつけてしまい、その小さなほころびからズブズブと計画が崩れしまう、ということもありうるでしょう。 そのような資金計画を実行していくときに有効活用できるところも、終身保険のメリットの一つです。 少し見方を変えれば、終身保険は「所定の保険料」を支払う対価として「所定の条件」に該当した場合に「所定の保険金」を受け取れる保険契約です。したがって、毎月自動的に保険料は口座から引き落とされていきますし、早くに途中解約をしたら支払った保険料よりも受け取る保険金が少ない「元本割れ」を起こしてしまうこともありえます。 基本的に後者はデメリットとして捉えられますが、貯蓄を長く続けていくという観点に立てば、「損をしてしまうから多少のことがあっても解約はできないな……」という「インセンティブ」になるとも言えます。

3.終身保険のデメリット3つ

前章では終身保険のメリットをみてきましたが、メリットがあれば一方でデメリットも存在します。この章では終身保険の3つのデメリットを解説していきます。

3-1 早くに解約した場合に「損」をする可能性がある

終身保険では解約したときに解約返戻金を受け取ることができます。これは条件次第で支払った保険料の総額よりも大きなお金額となるケースも見られますが、必ずしもそうなるわけではありません。たとえば、加入してから早い段階で解約したときには、解約返戻金は全くないか、あってもごく僅かとなってしまいます。 このように、場合によっては解約返戻金が支払った保険料を下回ることもあるので、あらかじめ注意しておきましょう。

3-2 掛け捨てタイプの保険と比べて保険料が割高

すでに何度かお伝えしているように、基本的に終身保険には解約返戻金が備わっています。注意したいのは、その資金源は何も保険会社からの「ボーナス」ではなく、あくまで契約者が毎月支払っている保険料から捻出されているという点です。つまり、終身保険では、解約返戻金の支払いに充てるお金が保険料に上乗せされている、ということになります。 ですから、たとえば加入年齢や保険金額といった条件を同じにして掛け捨ての定期保険などと保険料を比べてみると、終身保険のほうが保険料は割高になってしまうことがほとんど。家計への負担が大きいと言えそうです。

3-3 保険料の払い込み期間が長い

終身保険の保険料の支払い方法は、すべての保険料を一括で支払う「一時払い」、1年間の保険料をまとめて支払う「年払い」、1ヶ月に1度毎月の保険料を支払う「月払い」などから選ぶことができます。相当の経済的な余裕がある方以外は、年払いや月払いを選び長期間にわたって保険料を支払っていくことになるでしょう。 先ほどお伝えしたように、終身保険の保険料は割高になりがちですから、長期の保険料の支払いは家計的な負担が重くなってしまいます。

4.終身保険が必要な人は?

実際に自分や家族にとって終身保険は必要か、必要ではないのかを考えていきたいと思いますが、必要かの判断は一体どこですれば良いのでしょうか。 先述したメリットとデメリットを踏まえて、よりイメージがつくよう、まずは「終身保険が必要な人」の特徴を紹介します。ぜひ自分と照らし合わせてみて、必要な人の特徴に「当てはまってるな」、もしくは「あまり当てはまらないな」などで判断していただければと思います。どちらに当てはまっているのかをイメージしながら一緒にみていきましょう。

4-1 子供の学費を準備したい人

現在、日本の高校・大学への進学率は高い水準になっており、子どもが大学まで進学することは十分に考えられます。そこで課題になってくるのが、大学まで進学したときに総額1,000万円近くかかるとも言われている学費をどのように工面するかというポイントです。そうした学費の準備方法の一つとして終身保険は適していると言えます。 子供の学費としてまとまった費用が必要なタイミング(多くの場合、高校~大学にかけての期間)を考えて、そのときに十分な解約返戻金を受け取れる形で終身保険に加入しておきましょう。そうすれば、その解約返戻金を子供の学費に充てることができます。 「どうやって子供の学費を用意しようかな……?」と悩んでいる方に、終身保険は向いていると言えるでしょう。

4-2 老後の生活費や介護費を用意したい人

日本人の平均寿命は、すでに男女ともに80歳を超えており、日本は世界有数の長寿国家だと言えます。また、少子高齢化という人口問題も抱えており、たとえばその影響で今の若い世代が将来的に年金を受け取れるのかどうかといった問題も盛んに取りざたされています。それにともない、日本に住まう個人にとって、老後の生活資金や介護費用の準備が大きな課題になりつつあります。 そうした背景のもと、「どうやって老後の資金をカバーしようかな……?」と考えている方にも終身保険は向いていると言えます。自分の老後に必要な資金を試算してみて、それに合わせて老後に入ったときに終身保険から解約返戻金が支払われるようにしておくと良いでしょう。

4-3 亡くなったときの葬祭費用などを用意したい人

近年、家族葬などが増えてきたことで葬祭費用は比較的に安くなっている傾向が見られますが、それでも200万円~300万円はかかると言われています。残された家族にとって、精神的な負担はもちろん、経済的な負担も決して軽くはないでしょう。 「せめて家族に葬祭費用くらいは残しておきたいな……」と悩まれている方にも終身保険は相応しいと言えます。 先述したように、終身保険のメリットの一つに「保険期間が一生涯」という点が挙げられます。つまり、終身保険であれば、保険料を支払い続けている限り確実に葬祭費用を残すことができるのです。この場合、解約返戻金よりも亡くなったときの葬祭費用をカバーできる保険金を受け取れるようにしておくことをベースにして考えていきましょう。

4-4 できるだけ多くの財産を次の世代のために残しておきたい人

遺産相続のときには、基本的に相続税が課税されます。「ちょっとでも課税を少なくして次の世代にしっかり遺産を相続させたい……」というような希望を持つ方に終身保険は向いていると言えます。 終身保険のメリットの一つとして、相続対策にも活用できる点があります。具体的にいうと、生命保険の保険金は、【500万円×法定相続人の数】を上限に相続税が非課税となる枠が設定されています(*1)。ですので、その範囲内の生命保険の保険金であれば、全額非課税で残された家族の手に届けられるのです。 相続対策の目的で生命保険を検討するのなら、「自分に万が一のことが起こったときに相続税の生命保険の非課税枠はどのくらいあるのか?」という観点から保険金額を決めるようにしましょう。

4-5 計画的に貯蓄をするのが苦手な人

子どもの学費や老後の生活費など、将来に向けて大きな貯蓄をしていくうえで大切なのは、長く細く計画的に進めていくことでしょう。しかし、中には「ちょっと計画的にお金を貯めていくのは苦手だな……」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。 そういう方に終身保険は適しています。終身保険は保険契約ですから、一度加入したら、なかば強制的かつ自動的に毎月保険料を積み立てていくイメージになります。この特徴は、貯蓄が苦手な人にとって、将来のための大きな資金を用意するうえで心強い助けになるのではないでしょうか。

5.終身保険が不必要と考えられる人は?

最後に「終身保険が不必要と考えられる人」の特徴を紹介します。こちらも自分と照らし合わせてみて当てはまるか、あまり当てはまらないかで判断していただければと思います。順番にみていきましょう

5-1 すでに十分な貯蓄がある人

すでに十分な経済的余裕がある方には、終身保険は必要ないと言えるでしょう。 終身保険は「万が一のときの保障」と「将来のための貯蓄」という2つの役割を担っています。どちらのリスクにしても、すでに潤沢な貯蓄があるのであれば、そこから賄うことができます。わざわざ改めて終身保険に加入する必要はありません。

5-2 残された家族の生活保障を目的としている人

自分に万が一のことがあったときに残された家族が生活に困らないようにお金を残しておきたい。このような希望には、終身保険はあまり相応しくないと言えます。 多くの場合、残された家族の生活保障は一生涯にわたって必要なものではありません。まだ子供が小さく手のかかる間など、一定期間のみ必要となるものでしょう。そのような家族の生活保障に備えるのであれば、保険料が割安で保険期間が限定されている定期保険や収入保障保険のほうが適しています。保険料が割高で保険期間が一生涯の終身保険ではオーバースペックだと言えるのではないでしょうか。

5-3 長期間の保険料の支払いに自信がない人

終身保険のデメリットの一つに、早くに解約したときに解約返戻金が支払った保険料を下回る懸念があることはすでにお伝えした通りです。したがって、長期的に高額な保険料を支払っていける自信がない人にはあまり向いていない保険だと言えるでしょう。 しっかりと保険料を支払っていける見通しが立たないのであれば、他の保険や方法を含めて検討してみるのもいいかもしれません。

まとめ:終身保険を選ぶときにはプロの話も参考に!

いかがでしたでしょうか。 ここでは終身保険のメリットとデメリットを確認したうえで、「終身保険が必要な人・不必要な人」について見きました。簡単にまとめると、次のようになります。 【終身保険のメリツト】 ・ライフスタイルに合わせて柔軟に活用できる ・相続対策として使うことができる ・資金計画が立てやすい 【終身保険のデメリット】 ・早くに解約した場合に「損」をする可能性がある ・掛け捨てタイプの保険と比べて保険料が割高 ・払い込み期間が長い 【終身保険が必要な人】 ・子供の学費を準備したい人 ・老後の生活費や介護費を用意したい人 ・亡くなったときの葬祭費用などを用意したい人 ・できるだけ多くの財産を次の世代のために残しておきたい人 ・計画的に貯蓄をするのが苦手な人 【終身保険が不必要な人】 ・すでに十分な貯蓄がある人 ・残された家族の生活保障を目的としている人 ・長期間の保険料の支払いに自信がない人 しかし、ここでお伝えしたのは終身保険についての基礎的な知識に過ぎません。実際に終身保険を選ぶとなれば、払込期間や保険金額、あるいは円建て/ドル建てのどちらにするかなど、さまざまなことを考えなければなりません。そして、これらの選択は、お客様一人ひとりの年齢、性別、職業、家族構成、将来のライフプランなどに応じて複雑に分岐していくのです。 「うわ、実際に終身保険を選ぶのって大変そうだな……」 少しでもそう思われた方は保険のプロの話を参考にしてみるのも一つの手かもしれません。 保険見直し本舗では、終身保険はもちろん、生命保険に関しても知識や経験が豊富なプロによる「無料相談サービス」を行っています。終身保険が必要な人や不必要な人、それぞれに適した保険を案内していますので、わからないことがあればぜひ保険のプロに相談してみてください。自分に合う保険探しを精一杯サポートさせていただきます。