スキー保険、スノーボード保険とは?ウィンタースポーツでのトラブルに備える!

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保険の基礎知識
スキー保険、スノーボード保険とは?ウィンタースポーツでのトラブルに備える!

ウィンタースポーツといえばスキーやスノーボードですが、事故やケガが心配で、保険に加入したほうがいいのか迷っている方も多いのではないでしょうか。

この記事では、スキーやスノーボード事故のデータからケガをする確率やケガの程度を見ていくとともに、スキー保険・スノーボード保険について、補償の内容や加入が必要なのかどうか、そして加入する場合の選び方について詳しく解説します。

1.スキー保険・スノーボード保険とは?

スキー保険・スノーボード保険とは、スキーやスノーボードによるケガや事故に備える保険です。しかし、スキー・スノーボード専用の保険があるわけではありません。

スキー・スノーボード保険は、「傷害保険」や「旅行保険」といったケガを補償するための損害保険をベースに、スキーやスノーボードでの事故に対する補償を付加して組み込んだものをいい、「スキー・スノーボードプラン」などの名称で販売されています。

そのため、加入した保険が「傷害保険」であればスキーやスノーボード以外の日常的なケガに、「旅行保険」であれば旅行中期間中のケガに対する補償も受けられます。

昨今のスキー・スノーボード保険は、ケガの補償金額を少額に抑えることで保険料をリーズナブルなものとし、その分、支払いが高額になりやすい個人賠償責任や救援者費用などの補償を手厚くしています。また、保険料によるバリエーションも充実しており、保険料の高いプランほど補償が手厚くなります。

スキー事故

1-1 スキー保険・スノーボード保険の5つの補償内容

スキー・スノーボード保険ではどのような補償が受けられるのでしょうか。主な補償内容は次の5つです。

●傷害の補償
傷害とは「自身のケガ」のことです。スキーやスノーボード中のケガで入院や手術をしたり、通院したりした際に保険金が支払われます。保険金は、実際にかかった医療費ではなく「日額〇千円」といった形で決められています。

日額の相場は、入院で1,000円~3,000円、通院は入院の半分ほどですが、中には5,000円を超える、医療保険のように充実したプランもあります。いずれも入院や通院をした日数分だけ保険金が支払われる仕組みです。

なお、手術をするときに支払われる一時金は、入院日額の5倍や10倍などで設定されています。

●個人賠償責任の補償
個人賠償責任とは「事故相手の身体や物を傷つけたことへの責任」です。スキーやスノーボード中に他のスキーヤー・スノーボーダーにぶつかった際、相手にケガをさせてしまったり、相手のスキー板やボードを壊してしまう可能性があります。このとき、相手に与えた損害の責任を取らなければなりません。

相手のケガの状況破壊した物の価値過失の割合などによって賠償金額が増減します。そのため、スキー・スノーボード保険の個人賠償責任の保険金は数千万円~3億円ほどで設定されています。

なお、こういったトラブルに対する示談交渉サービスが付いている商品もあるので、加入時に確認すると良いでしょう。

●携行品損害の補償
携行品損害とは「自分の持ち物が壊れたことによる損害」です。たとえば、スノーボード中に転倒しボードが折れてしまった、ゲレンデにデジタルカメラを落として壊れた、といった際に保険金が支払われます。

支払われる保険金は壊れた物の「損害額」で、再度同じものを購入するのに必要な金額(再調達価額)が算出されます。しかし、実際に支払われる保険金は免責金額(=自己負担額)を差し引いた金額になります。

免責金額は保険によりますが、スキー・スノーボード保険では「3,000円」もしくは「5,000円か損害額の10%のうち大きい額」などで定められています。また、保険金の上限は10万円ほどで設定されています。

つまり、携行品損害は2,000~3,000円ほどの少額な損失をカバーするものではなく、数万円の損失をカバーするためのものです。

なお、携帯電話やタブレット、ノートパソコン、メガネなどは、基本的には携行品損害補償の対象外になります。これは、故障した原因がスキーやスノーボードにあるのか、機械的なトラブルなのか、それとも日常的に使用するものなので年月が経過したことによる劣化なのか特定することが難しいからでしょう。

なお、グレードの低いプランや旅行保険では携行品損害補償が付いていないこともありますので、この補償が必要なときはプランごとの補償内容を確認しましょう。

  • <レンタル品の補償>
    携行品補償は自身の所有物に限られるため、レンタル品は対象外です。ちなみにレンタルウェアやレンタルボードは貸し出し時に500円ほどの保険に別途加入しますので、破損してしまった際は、その保険から貸主へ補償がされます。

●救援者費用の補償
救援者費用とは「救援に来てくれた人に支払う費用」のことです。悪天候やケガ、コースアウトなどによって自力で下山できなくなったときに、捜索や救助のためにかかった費用を補てんするための補償です。

具体的には、遭難者の捜索や救助活動に要した費用、現地に駆けつけた親族の交通費や宿泊費が対象になります。特に雪山の捜索では、ヘリコプターによる救助隊を動員して捜索・救助にあたることもあるため、莫大な費用がかかる場合があります。

まさにスキーやスノーボードならではのリスクに備えた補償ですが、グレードの低いプランには含まれていないこともあるため注意が必要です。

●死亡・後遺障害
ケガによる死亡や後遺障害の際に支払われる一時金です。100万円~500万円ほどで設定されています。

2.スキー保険・スノーボード保険は必要?

ここまでは、スキー・スノーボード保険の補償内容を解説しました。しかし、そもそもウィンタースポーツを行う際に保険に加入する必要はあるのでしょうか。ここでは、その必要性について解説します。

2-1 保険未加入は全体の2~3割

全国スキー安全対策協議会の「スキー場傷害報告書」では、スキーやスノーボードでのケガに関する調査結果が報告されています。調査は、ウィンタースポーツシーズン中のピークで、おおむねそのシーズンの傾向がつかめるため、毎年2月に行われています。

2020/2021シーズンでは、全国46のスキー場から報告があったデータをもとに集計が行われています。これによると、スキー・スノーボードによりケガをした人は2,075人でした(*1)。この数は、スキーヤーやスノーボーダー全体のどのくらいの割合にあたるのでしょうか。

スキー・スノーボードでの受傷率の推移

上記は、スキー・スノーボードで負傷した人の割合の推移をグラフにしたものです。横軸はシーズン、縦軸はリフト・ゴンドラ等の延べ輸送人員10万人あたりのケガ人の数を表しています。

2020~2021シーズンでは、10万人中スキーが7.5人スノーボードが13.2人でした(*2)。さらに、ケガ人の保険加入率の調査において、「傷害保険に加入していない」と回答した人は、スキーが27.3%スノーボードが40.8%でした(*3)。

ケガ人の割合からすれば、「自分は大丈夫だろう」と考えて保険に入らなかった人が2~3割いたとしても無理のないことです。しかし、本当にスキーやスノーボードの際に保険に入らなくても大丈夫なのでしょうか。

2-2 ケガ人のほとんどは治療が必要!

スキーやスノーボードでの事故は危険性が高いものが多く、ケガ人のほとんどが医療機関での治療を必要とするケガを負っています。

スキー・スノーボードでの傷害の程度

こちらのグラフはケガの程度を表したもので、医療機関による治療が必要かどうかが分かります。つまり、ケガ人のうち、スキーでは約7割スノーボードでは約7.5割の人が、医療機関での治療が必要となる中等傷以上のケガを負っているのです(*4)。

スキーやスノーボードでは、例えるならバイク事故のような、ほぼ生身の状態の人間が事故に遭います。しかも、バイクと違いヘルメットの着用が義務付けられていないため、深刻なケガを招きやすいといえます。

海外ではヘルメットの着用が義務付けられているスキー場がある一方で、日本では2020~2021シーズンのケガ人のうち、スキーで42.3%スノーボードで16.0%の人しかヘルメットを着用していなかったことが分かっています(*5)。

スキーやスノーボードでは中度や重度なケガを負う確率が高いことから、保険に加入しておくと安心です。

2-3 相手にケガをさせるリスクもある

スキーやスノーボードは、もちろん相手にケガをさせるリスクもあります。例えば、斜め後方から突然人が進路に入ってきてぶつかった、転倒した人を避けたら避けた先にいた人にぶつかったなどのトラブルは、多くの方が一度は経験しているのではないでしょうか。

スキーやスノーボードでは、常に自分の前後左右に複数の人が滑走しており、周囲の人の進路を予測し邪魔しないよう進行する、という暗黙のルールがあります。しかし、前の人が予想外の動きをすると、簡単には避けられなかったり、避けた先に別の人がいたりすることがあるのです。

もちろん上達すれば、方向転換や減速が自在にできるようになり、視野も広がるので、こうしたリスクはかなり減らせます。それでも注意力が散漫になっているときに不幸な状況が重なると、たとえ中・上級者でも相手にケガをさせるリスクがあります。

なお、2020~2021シーズンのケガ人のうち、人との衝突による割合は、スキーヤーが20.1%スノーボーダーが14.1%となっています(*6)。

2-4 スキー・スノーボード保険に入っておくと安心!

スキーやスノーボードでの事故は、ケガをする確率は低くても、重傷に陥りやすいという特徴があります。特に相手のいる事故では、相手に対してかなり高額な個人賠償責任を負うことがあり、これにはすべてのスキーヤー・スノーボーダーが備える必要があるといえます。

これらのリスクにリーズナブルな価格で備えられるのが、スキー・スノーボード保険です。金銭的な負担で苦しみ続けることのないよう、できるならばスキー・スノーボード保険を備えておくと良いでしょう。

3.スキー保険・スノーボード保険はどう選ぶ?

ここまでは、スキー・スノーボード保険の必要性について解説しました。しかし、数多くある保険の中から、どのプランを選べばいいか迷う方も多いのではないでしょうか。ここでは、スキー・スノーボード保険の選び方について解説します。

3-1 まずは加入中の保険をチェック!

スキー・スノーボード保険を選ぶ前に、まずは現在加入している保険をチェックしましょう。すでに加入している保険の補償範囲を知り、それに足りない部分を補える商品を探すことが無駄なく保険に加入するための鉄則です。

チェックする保険は、傷害保険旅行保険はもちろん、医療保険の通院・入院保障生命保険などの死亡保障も確認しましょう。また、個人賠償責任は、自動車保険など損害保険の特約(オプション)として契約している場合もあるため、見落とさないようにしましょう。

3-2 スキー・スノーボード保険選びの4つのポイント

現在加入中の保険を確認し、不足している補償を補える保険商品を選びましょう。スキー・スノーボード保険を選ぶポイントは、下記の4つです。

●入院日額の必要額を決める
医療保険の入院の保障額は、基本的に日額5,000円、あるいは1万円などで設定されます。これは、病院にもよりますが、一般的に日額1万円あれば個室の利用がしやすくなるからです。そのため、現在医療保険に加入していれば入院保障を確認し、足りない額を補えるプランを選びましょう。

すでに十分な入院保障が医療保険にある場合は、入院補償を少額に抑えたスキー・スノーボード保険を選ぶと良いでしょう。

現在医療保険に加入していない、もしくは入院の保障額が十分ではない場合、少額から差額ベッド代に備えることができる保険をご存知でしょうか。詳しくは、以下でご紹介しています。

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●通院費用は必要?
スキー・スノーボード保険には、入院・手術・通院のすべてを補償するタイプと、通院のみ補償しないタイプがあります。通院までカバーしたい場合は、通院補償があるスキー・スノーボード保険を選びましょう。

なお、医療保険は入院後の通院を保障するものはありますが、入院を伴わない通院のみを保障するものは基本的にありません。

●個人賠償責任補償の目安は1億円
個人賠償責任の補償は、ほとんどのスキー・スノーボード保険にあります。よって選ぶポイントは、補償の上限額です。万が一、事故の相手に重度の障害が残るケガをさせてしまった場合、賠償金が数千万円以上になるケースもあります。

そのため、上限額が1億円もあれば補償としてかなり大きく、リーズナブルな保険料で加入できるプランが充実しています。

●携行品損害補償は必要?
プランよっては携行品損害の補償がない、または、旅行保険の中にはそもそも携行品損害の補償がない商品もあります。これらの補償が必要なときは、プランごとに補償内容をよく見て契約しなければなりません。

携行品損害の補償は、すべての人が必ず付ける必要はありません。加入しようとするプランや自身が以下に当てはまる場合は、付帯しないプランを検討しても良いでしょう。

  • ・補償される金額が低い
  • ・携帯電話やタブレットなどが補償対象になっていない
  • ・自身に重大な過失があれば補償されない場合がある
  • ・ゲレンデに高価な物を持ち込まないなど自分でリスクを調整できる

●救援者費用補償は付けておくのが無難
救援者費用補償は、できるだけ付けることをおすすめします。雪山では天候の悪化やケガで、自力で山を下りられなくなることが誰にでも起こり得ます。救援を求めることを費用の面から躊躇することがないようにするためにも、補償を付けておくことは重要です。

救援者費用は、100万円程度の補償金額であればリーズナブルな保険料で加入できるプランが充実していますので、金額はこのラインを目安にすると良いでしょう。プランよっては救援者費用補償がないものもありますので、補償内容をしっかり確認しておきたいところです。

3-3 傷害保険か、国内旅行保険か、どちらを選ぶ?

スキー・スノーボード保険に加入するなら、傷害保険と旅行保険のどちらが良いのでしょうか。

傷害保険は、もともと日常のケガや事故に備えるものなので、スキー・スノーボード以外のケガや事故にも適用されます。他のスポーツでのケガや事故、旅行中など、オールシーズンで補償されます。

一方で旅行保険は、特定の旅行期間中のみケガや事故を補償するものです。保険料は、「◯泊◯日の旅行で◯◯円」のように定められており、傷害保険のように毎月あるいは毎年支払う必要はありません。したがって、スキー・スノーボードの補償だけでよいのなら、国内旅行保険のほうが無駄なく加入できるといえます。

しかし、傷害保険の保険料もリーズナブルに設定されています。普段からスポーツやレジャーを頻繁にされる方、日常のケガにも備えたい方は、傷害保険のスキー・スノーボードプランに加入することをおすすめします。

まとめ:保険に加入し安心してウィンタースポーツを楽しみましょう!

この記事では、スキー・スノーボード保険とは何か、補償の内容や必要性、選び方について解説しました。ぜひ自身の保険加入状況に合った無駄のないスキー・スノーボード保険に加入し、安心して楽しい思い出を作りましょう。

しかし、実際に加入しようとすると、傷害保険がいいのか、旅行保険にしたほうがいいのか、さらには自分がすでに加入している保険で補えるのかなど、自分に合った保険を選ぶのはなかなか大変だったりします。

そんなときは、プロの助言に頼るのも一つの方法です。

保険見直し本舗でも、皆さんの保険選びのお手伝いをさせて頂いています。保険見直し本舗には、知識も経験も豊富なプロとしてコンサルティングアドバイザーが多数在籍しており、皆さんの保険のお悩みに一つ一つ丁寧にご対応いたします。

まずは皆さんの保険についてのお悩みをお気軽にお寄せください。心よりお待ちしております。