人生の転換期と言われる50代に突入すると、子どもの独立や定年退職の準備など、さまざまなライフステージの変化があります。そのため、今まで入っていた保険を見直す方も少なくありません。
そこで本記事では、50代が生命保険にいくら払っているのか、加入状況からライフステージの変化に対して必要となる保険の見直しのポイントを詳しく解説します。
50代からはどんな保険を準備すればよいかお悩みの方は、ぜひ最後までご一読ください。
目次
平均は?50代は生命保険料を毎月いくら払ってる?
生命保険文化センターの調査によると、50代が毎月支払う生命保険料の平均金額は以下のとおりです。
- 男性:月額約2.1万円(年間約25.5万円)
- 女性:月額約1.5万円(年間約19.0万円)
出典:生命保険文化センター(生活保障に関する調査)(https://www.jili.or.jp/files/research/chousa/pdf/r4/2022honshi_all.pdf)より、11.年間払込生命保険料・個人年金保険料(全生保)より、小数点切り捨て、年間の保険料/12か月
50代と言えば多くの世帯で、住宅ローンの返済が終わりに近づいたり、教育費用の負担が減少しはじめたりします。また、万一に備えていた死亡保障の必要性が、徐々に下がり始めるタイミングでもあります。
50代は掛け捨てより貯蓄型志向が強まる
同調査によると50代の生命保険加入者のうち、男性の66.2%、女性の68.9%が貯蓄型の生命保険への加入を希望していることも分かっています。
将来への不安が具体化してくる年代だからこそ、保障と並行して老後の資金を備えたいという願望も高まるからだと考えられます。
また、自身の体調や親の介護など、備えるべき保障の種類も変わりやすいタイミングです。いままで死亡保障をメインにしていた保険の見直しをおこない、医療保障や介護保障、さらには資産形成型の保険への見直しを検討する世帯が増える可能性もあります。
出典:生命保険文化センター(生活保障に関する調査)()より、<図表 VII-3https://www.jili.or.jp/files/research/chousa/pdf/r4/2022honshi_all.pdf3> 掛け捨て型商品志向か貯蓄型商品志向か〔性・年齢別〕
50代からの生命保険は不要?ライフステージで判断しよう
50代の生命保険はライフステージの変化に合わせて『見直す』ことが大切です。一般的に50代は、子どもの独立や定年退職などの変化が訪れるため、保障が適切かどうかを個々のライフステージによって判断する必要があります。
以下では、代表的な4つのライフステージ別に、どのような保険を必要とするのか、何を見るべきなのかを解説します。
子ども(末子)の独立
50代のライフステージの変化が大きいのは、子どもの独立です。独立すれば教育資金を準備する必要性は自然に減り、医療保障の充実や老後の準備に回すことが可能になります。
文部科学省の調査によると、子ども1人の教育費は以下のとおりです。
- 幼稚園から大学まで公立・国公立に通った場合:約770万円
- 幼稚園から大学まで私立に通った場合:約2,200万円
出典:文部科学省(教育費負担)(https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo2/siryou/__icsFiles/afieldfile/2013/01/30/1330218_11.pdf)より、大学卒業までにかかる教育費
例えば、幼稚園が3年、小学校は6年、中学・高校が各3年、大学が4年として、合計19年間の教育期間を経ているとします。この場合、幼稚園から大学まで公立・国公立に通った場合の教育費は、『月に約3.4万円』です。
約3.4万円があれば死亡保障を見直しつつ、医療保険やがん保険の保障を手厚くするなどを検討できます。
一方で、住宅ローンの返済が残っている場合や、配偶者の収入状況によっては、団信(※)に加えて別途生命保険に加入し、家族の生活資金や子どもの教育資金などをカバーすることも考えられます。
家族の状況に合わせて、保障内容へと最適化するとよいでしょう。
※…団体信用生命保険(団信)、加入していれば住宅ローンの残債は死亡時に清算される
定年退職
50代はまだ現役バリバリの働き盛りといえる世代です。厚生労働省によると、早期退職される方は全体の10%未満と低く、多くの方が現役を続けています。言い換えれば、10〜15年後の定年退職に向けた準備を始める世代でもあります。
子どもの独立により教育費の負担が軽減されるため、将来の生活資金作りや医療保障の充実に重点を置くことができます。死亡保障については、家族構成や経済状況に応じて適切な水準を維持しつつ、老後の経済的な不安を少しでも軽減する資金準備のために、保障の見直しを検討してみましょう。
出典:厚生労働省(退職給付(一時金・年金)の支給実態)(https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/jikan/syurou/08/3d.html)より、第24表「退職者のいた企業数割合、退職事由別退職者数割合」を参考
病気
50代になると生活習慣病をはじめ、病気にかかるリスクが高まってきます。実際、厚生労働省の調べでは、男女ともに悪性新生物(腫瘍)の死亡率が高いほか、心疾患・脳血管疾患・肝疾患も共通して死亡数が多い病気です。
年齢 | 50代前半 | 50代後半 |
---|---|---|
第1位 | 悪性新生物〈腫瘍〉 | 悪性新生物〈腫瘍〉 |
第2位 | 心疾患 | 心疾患 |
第3位 | 自殺 | 脳血管疾患 |
第4位 | 脳血管疾患 | 自殺 |
第5位 | 肝疾患 | 肝疾患 |
出典:厚生労働省(令和4年人口動態統計月報年計)(https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai22/dl/gaikyouR4.pdf)より、第7表 死亡数・死亡率の総数から抜粋
医療保険は、一度病気を患うと新規での加入が難しくなったり、保険料も高くなりやすい傾向にあります。そのため、元気なうちに必要な医療保障を準備しておくことが大切です。特に先進医療特約など、高額になりやすい治療に備える保障を検討するにはよいタイミングでしょう。
50代からの生命保険「見直しの3つのポイント」
50代から生命保険を見直す際に、重視したいポイントは以下の3つです。
- 医療保障は適切か
- 死亡保障の保険金額は妥当か
- 貯蓄型保険での備えは必要ないか
それぞれの見直しポイントを詳しく見ていきましょう。
医療保障は適切か
50代は、性別によって異なる健康リスクに直面する年代でもあります。以下の基準で、医療保障が適切に準備できているか確認してみましょう。
- 現在加入している医療保険を継続するか否か
- 新しい医療保険に入り直すか
- 介護保険に加入するか
- 三大疾病や先進医療に備えた特約は付いているか
- 生活習慣病特約は付いているか
- 入院日額が足りているかどうか
実際、厚生労働省の調査によると、60代男性の約半数がメタボリックシンドロームに該当し、女性も半数以上が高血圧薬や糖尿病薬を服用しています。
出典:厚生労働省(年代別・世代別の課題)(https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000528279.pdf)より、メタボリックシンドローム該当者及び予備群について
また、認知症や介護のリスクについては、男女ともに共通して考えておきたいリスクです。実際に病気になる前である50代の健康なうちに医療保障を見直しましょう。
関連記事:50代の保険の選び方は? 生活環境の変化に合わせて賢い見直しを!
出典:厚生労働省(年代別・世代別の課題)(https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000528279.pdf)より、世代ごとの気になる傷病の違い(20歳以上/男女)
死亡保障の保険金額は妥当か
40代までの死亡保障は、残された家族の生活基盤を守るための保障を用意する人が大半です。一方で、50代は子どもが独立しはじめて家計にも余裕が出やすい世代で、住宅ローンの返済についても終わりが見えてくる頃かもしれません。
こうしたお金のかかる要素がなくなれば、死亡保障を含めて以下を見直す余地も生まれます。
- 死亡保障を減額するか
- 医療保障を充実させるか
- 老後の資金形成になる保険に加入するか
配偶者に残す当面の生活費や万が一の葬儀費用など、最低限必要の保障だけを維持するといった考え方もできるでしょう。
貯蓄型保険での備えは必要ないか
貯蓄型保険は、万が一の保障機能に加えて、将来の資金作りにも活用できる保険です。特に老後の医療費用や生活資金の確保を考える50代では、医療保障を手厚くしながら、同時に資産形成も可能な貯蓄型保険も検討する価値があります。
例えば、将来受け取る満期保険金や年金を老後の生活資金として活用できるほか、入院や手術などの医療保障も準備できるなどです。ただし、毎月の保険料負担が掛け捨ての保険より重くなる傾向があるため、家計の状況を考慮しながら検討することが大切です。
貯蓄型保険について知る:貯蓄型保険とは?メリット・デメリット・選び方を分かりやすく解説
保険の選び方をさらに知る:50代にはどのような医療保険がおすすめ?特約や保険の選び方を紹介
生命保険に入っていない50代の割合は?
出典:生命保険文化センター(生活保障に関する調査)(https://www.jili.or.jp/files/research/chousa/pdf/r4/2022honshi_all.pdf)より、<図表 VI-3>生命保険加入率(全生保)〔性・年齢別〕─時系列─
50代で生命保険に入っていない方の割合は、男性で13.1%、女性で12.2%となっています(生命保険文化センターの2022年度生活保障に関する調査より計算)。
民間保険会社、JA、簡易保険、県民共済・生協等のすべての生命保険を含めた数字であり、50代の大多数の方が何らかの生命保険に加入していることを示しています。
配偶者や子どもの有無、健康リスクなど個人を取り巻く環境はそれぞれ違いますが、例えば、
- 十分な貯蓄があり、保険による保障が不要と判断している
- 独身で扶養家族がいないため、死亡保障の必要性を感じていない
- 会社の福利厚生(団体保険など)で十分な保障があると考えている
- 健康上の理由で加入できない
などが未加入の理由として一般的に挙げられるでしょう。
しかし、ここまでお伝えしたように、50代は生活習慣病や介護のリスクが高まる年代です。生命保険に加入していない方は将来のリスクを考慮し、医療保障や介護保障の必要性について、改めて検討してみてはいかがでしょうか。
まとめ
50代が毎月支払っている生命保険料は、平均で男性が2.1万円、女性が1.5万円です。50代は、子どもの独立や定年退職への準備など、人生の転換期を迎える方が多く、保険の見直しに向いた時期でもあります。
特に大切なのは、これまでの死亡保障中心の考え方から見直すことです。50代からは、自身の健康リスクが高まることを意識し、三大疾病や先進医療への備えを充実したり、介護に備えたりするなどで医療保障の充実を考えましょう。
よくある質問(FAQ)
50代専業主婦は生命保険に入る必要がない?
50代の専業主婦で収入がない状況であっても、生命保険は必要となる可能性は高いです。実際、生命保険文化センターの調査によると、50代女性の生命保険加入率は80%以上と高い水準にあります。
専業主婦が亡くなった場合、家事代行サービスの利用で家事を人に任せる可能性があり、予想以上の出費が必要となる可能性があります。健康リスクも高まる年齢のため、通院・入院費や介護費用など、さまざまなリスクに保険で備えることをおすすめします。
関連記事:妻への死亡保険はいくら残す?金額の決め方や見直しのタイミング
出典:生命保険文化センター(生活保障に関する調査)(https://www.jili.or.jp/files/research/chousa/pdf/r4/2022honshi_all.pdf)より、<図表 VI-3>生命保険加入率(全生保)〔性・年齢別〕─時系列─
独身なら50代でも生命保険に入らなくていい?
独身かつ50代の方の場合、考え方によって生命保険の必要性が異なります。主に、個人の資産状況によって生命保険への加入を検討するとよいでしょう。
生命保険は、十分な貯蓄がなくても保障を確保できますが、保険に入らなくてもカバーできる十分な貯蓄がある方は、加入の必要性を感じないかもしれません。
とはいえ、50代は健康面での不安が増える年代です。医療保障を手厚くする、老後の資金準備として貯蓄型の保険を検討する選択肢も考えてみることをおすすめします。
50代は死亡保険に入ったほうがいい?
50代でも必要に応じて死亡保険は準備しておきましょう。50歳と言えば「人生100年時代」の折り返し地点です。子どもの独立やローンの返済などのライフステージの変化もあるため、今後の人生設計を見直し、保障内容を見直すのにはよいタイミングとなります。
死亡保険の必要性は、ご家族の状況や資産状況によって判断が分かれます。より詳しくは、下記ページをぜひご覧ください。