「日本は公的な医療保険制度が充実しているから、民間の医療保険に加入する必要はない」という人がいます。
確かに日本はセーフティネットが発達しており、少ない自己負担で医療を受けることが可能です。
しかし、「不要」だと言い切れるほどのものなのでしょうか。今回はデータを基に、民間医療保険の必要性を考えてみます。
公的医療保険制度と高額療養費制度

民間医療保険の必要性を低く感じる理由の1つが「高額療養費制度」の存在です。
収入に応じた上限額以上に、個人の医療費負担が増えない仕組みです。
例えば月給45万円※1の30代の人の場合、月の医療費が100万円かかったとしても、自己負担は87,430円となります。
ただし、高額療養費制度でカバーできるものばかりではありません。入院時の食事代、差額ベッド代、保険適用外の医療費などは対象にならず、追加の自己負担が発生します。
生命保険文化センターの調査によると、「直近の入院時の自己負担費用」は平均19万8,000円※2となっています。実態としては20万円程度の経済的な負担があると考えたほうがよいでしょう。
出典 公益財団法人 生命保険文化センター「2022(令和4)年度 生活保障に関する調査 《速報版》」より
※1 標準報酬月額が44万円
※2 治療費・食事代・差額ベッド代に加え、交通費(見舞いに来る家族の交通費も含む)や衣類、日用品などを含む。
高額療養費制度を利用した場合は利用後の金額
収入の減少に備えよう

さらに注意したいのが、入院によって働けなくなったときの収入の減少です。
生命保険文化センターの調査では、直近の入院時に平均30万2,000円もの収入が失われたことがわかっています。
あくまで平均値ではありますが、医療費による支出増と働けなくなることによる収入減で、合計50万円もの経済的なダメージを受けることになるのです。
民間医療保険の加入・非加入はよく考えよう

「平均50万円の経済的なダメージ」。
これを少ないと感じる人は珍しいのではないでしょうか。
ケガや病気をしたときの経済的な負担を少しでも抑えたいと考えるなら、民間の医療保険への加入を一度は検討してみたほうがよいでしょう。
加えて、収入減への備えとして、「所得補償保険(就業不能保険)」を検討するのもひとつの手です。
いざというときの備えをぜひ見直してみてください。