終身保険は、万一の死亡保障に加え、資産形成の手段として利用されることもある保険商品です。現在の収入や支出のバランスに不安を感じている、将来の生活に備えたいけれど何から手をつければよいかわからないと感じている方も多いでしょう。終身保険の特徴や活用のポイントを、専門家の視点からわかりやすくまとめています。
目次
終身保険の基本を理解しよう
終身保険の特徴と定期保険との違い
終身保険の特徴は、被保険者が生存している限り保障が続き、貯蓄性も備えている点です。
途中で解約しない限り、被保険者が亡くなってしまった場合や保険会社所定の高度障害状態となった場合に保険金が支払われます。
契約を途中で解約した場合は、それまでに払い込んだ保険料の総額や期間に応じて、解約返戻金を受け取ることができます。
ただし、解約の時期によっては、払い込んだ保険料の総額を下回ることもあります。契約が続いている限り、たとえ100歳を超えても保障が続く仕組みとなっており、家族に長期的な安心を届けることができます。
一方で、定期保険は保障期間が「10年間」や「65歳まで」など、あらかじめ定められた一定の期間のみ保障が続く、いわゆる掛け捨て型の保険です。契約期間中に、被保険者が亡くなってしまった場合や保険会社所定の高度障害状態になった場合には、保険金が支払われますが、期間が過ぎると保障は終了します。また、途中で解約した場合も、通常は解約返戻金もありません。終身保険との大きな違いはここにあります。
保険料の面でも違いがあります。終身保険は一生涯の保障と貯蓄性を備えているため、一般的に同程度の保障内容の定期保険よりも保険料が割高になります。反対に、定期保険は掛け捨て型であるため、終身保険よりも保険料の負担を抑えることができます。
終身保険の保険料は契約時に決まり、その後も変わらないことが一般的ですが、定期保険の場合は、満期を迎えて更新や新しく加入する際には、年齢や条件に応じて新しい保険料が適用されます。そのため、更新のたびに保険料が上がるのが一般的です。
主な種類と選び方のポイント
終身保険にはいくつかの種類があり、それぞれ特徴が異なります。ご自身の目的やライフプランに合わせて選ぶことが重要です。
まず、「低解約返戻金型終身保険」は、保険料払込期間中の解約返戻金を低く抑えることで、一般的な終身保険よりも保険料を割安に設定しているタイプです。保険料払込期間を終えると解約返戻金が増加するため、貯蓄性を重視しつつ保険料負担を抑えたい方に向いています。
次に、「変額終身保険」は、保険料の一部を特別勘定で運用し、その運用実績に応じて保険金や解約返戻金が変動するタイプです。積極的な資産運用を目指したい方におすすめですが、運用状況によっては元本割れのリスクもあります。
「積立利率変動型終身保険」は、市場金利の動きに連動して積立利率が変動するため、市場金利の上昇に対応しやすい特徴があります。そして、「外貨建終身保険(ドル建て終身保険など)」は、保険料や保険金が外貨で運用されるため、為替変動の影響を受けるリスクがありますが、高金利通貨でのリターンを期待できます。
これらの種類の中からご自身に合った終身保険を選ぶ際には、以下のポイントを考慮してください。
第一に「保障を重視したいのか、貯蓄や資産運用を重視したいのか」という目的を明確にすることです。
第二に、保険料の支払い能力と、無理なく続けられる払込期間を選ぶこと。
最後に、それぞれのタイプの特徴を理解し、ご自身のリスク許容度と照らし合わせることが重要です。
メリット・デメリットをチェック
終身保険は一生涯にわたる保障という大きな安心感をもたらしますが、契約する際にはそのメリットだけでなく、注意すべき点も理解しておくことが大切です。
これらの情報を総合的に見ていくことで、客観的な情報に基づいて、ライフプランに最適な判断ができるようになります。
終身保険のメリットと活用シーン
終身保険の強みは、被保険者が何歳で亡くなっても必ず保険金が支払われる「一生涯の保障」があることです。これにより、遺族は経済的な不安を感じることなく、故人を偲ぶことができます。特に、ご自身の葬儀費用や、遺されたご家族の当面の生活費を確実に確保したいという方にとって、終身保険は心強い支えとなるでしょう。
また、終身保険には貯蓄性があり、契約から一定期間が経過すると解約返戻金が積み上がっていく点も大きな魅力です。この貯蓄機能は、万一の保障だけでなく、計画的な老後資金の準備や、お子様の教育資金、あるいは予期せぬ大きな出費への備えとしても活用できます。
注意すべきリスクとデメリット
終身保険には一生涯の保障や貯蓄性といったメリットがありますが、注意すべき点もあります。
終身保険は定期保険と比べて月々の保険料が割高になる傾向があるため、長期間にわたって支払うことを想定し、家計に無理のない範囲で契約することが望ましいと考えられます。
また、保険料払込期間中に解約した場合、支払った総額より解約返戻金が少なくなる可能性があるため、長期的に継続できるかどうかを事前に検討しておくことが大切です。
さらに、契約時に保険金額が固定されるため、将来的に物価が上昇すると受け取る保険金の実質的な価値が低下する可能性があります。このようなリスクも踏まえ、終身保険を資産形成や老後資金の一助として活用する場合は、他の金融商品とのバランスを考えた上で検討すると安心です。
まとめ
終身保険は、死亡保障にとどまらず、人生のさまざまなフェーズで家族や自身の生活を支える手段の一つです。一生涯にわたる保障に加え、契約内容や状況によっては計画的な貯蓄として活用できる可能性があります。また、契約内容や条件によっては、お子さまの教育資金や相続への準備にも役立つ場合があります。
契約を検討する際は、ご自身のライフプランや資産状況を踏まえ、他の金融商品とのバランスも含めて検討することが大切です。必要に応じて、専門家に相談しながら、自分に合った活用方法を検討してください。


