がん保険なんて不要? がん保険の必要性を徹底検証した結果とは?

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保険の基礎知識
がん保険なんて不要? がん保険の必要性を徹底検証した結果とは?

医療保険の一種であるがん保険。しかし一般の医療保険でも、がんは保障の対象とされています。確かにがんは治療が長引くことが多いですし、再発しやすいという特性のために、一度発症するとその後も油断ができないものです。

ですが何より日本では公的保険制度が充実していますから、そもそも民間保険の出番はあまり多くないはずです。実際に「がん保険は不要」と言い切る人々もいて、その必要性を疑う声は少なくありません。はたしてがん保険は本当に必要なものなのでしょうか?

1. がん保険は、なぜ生まれたのか

1-1 がん専用の保険「がん保険」

がん保険というのはその名の通り、がんに特化した保険です。さまざまな特約やがん保険ならではの保障があり、がんの治療には非常に適した保障を受けることができます。

基本的な契約だけを見ると一般の医療保険と同じく、1日いくらの給付金という形での保障ではありますが、あらゆる病気を保障する医療保険と根本的に違うのは、入院日数や手術の回数に関して、多くの商品について「無制限で給付される」というところでしょう。

こうしたがん保険ならではの特徴は、がんという病気の特徴と見事に一致しています。

がんには転移と再発という特性があり、そのために一度の治療で完全に治癒させることが難しい病気です。ひとたびがんが見つかれば、それを外科手術で除去したとしても、すでに体のどこかにがん細胞が転移しているかもしれません。

また、完全に取り除いたと思える病巣に、ほんのわずかな取り残しがあるかもしれません。それらのがん細胞がその後も増殖を繰り返していけば、やがて再びがんに苦しめられることになってしまいます(*1)。

1-2 がんの特性に合わせた保障内容

転移と再発。これらの特性を持つために、がんには治療後の定期的な検査が欠かせません。そして再びがんが見つかれば、また治療を施すことになります。

がん患者にしてみれば、そのつど医療費や入院費がかさんでしまいます。ですから、がん保険に入院日数や手術の回数の上限を設けていたのでは、がん患者のニーズに応えることができないのです。

そのためにがん保険は、入院日数の上限を取り払ったり、診断された時点で給付金を支払ったり、また治療を終えたあとでも自宅療養のために退院給付金を設定したりと、さまざまな形でサポートを行い、患者とその家族のニーズに応える形へと変貌を遂げてきたのです。

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1-3 増えているがん保険の加入者数

がんという特殊な病気に特化し、患者のニーズにどこまでも応えようとするがん保険。保険商品としては新しい部類に属するものです。

ですが登場以来、さまざまな工夫が加えられ、改良がなされてきました。その結果、がん保険は市場にも受け入れられ、多くの人々に活用されています。今や民間保険に加入している世帯のうちの6割が、がん保険あるいはがん特約に加入しているのです(*2)。

がん保険・がん特約の加入率

これほど多くの加入者がいることの理由のひとつは、やはりがんという病気の難しさ、恐ろしさというものを認識している人々がそれだけいる、ということでしょう。保険という商品は「万一への備え」なのですから、がんを危険視し、その危険に対処しておきたいと考える人々が多ければ、当然ながら契約者数も増えていくことになります。

また、がん治療…特に手術法が進歩し、短期間で効果的な治療が行えるようになってきたことも、影響しているかもしれません。

従来の医療保険の給付金は、入通院の日数によって給付金が支払われます。ですので「入院日数が短く、だが費用は高額」という、近年開発されてきたがん治療に対しては、あまり役に立ってくれないのです。そのため、「診断給付金」や「手術給付金」を中心としたがん保険、がん特約というものに人気が集まっているのでしょう。

がんに対処するために生まれたがん保険は、その後多くの改良を加えられて進化していき、すでに多くの人々から必要とされ、さらにその人気を高めつつあるのです。そして、その人気に後押しをされるようにして、今は各保険会社ともに様々ながん保険を発売しています。

「がん保険には何も加入していないな……」「ずっと前にがん保険に加入したけど、そのままにしているな……」など、少しでも心当たりのある方は一度がん保険を考えてみてはいかがでしょうか。

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2. がん保険の必要性を考えてみる

2-1 公的保険だけで十分なのか

日本では「国民皆保険制度」が敷かれ、ほぼすべての国民が健康保険・共済に加入しています。その内容はとても充実しており、こと医療に関していえば、公的保険でかなりの部分をまかなうことができます。

たとえば、多くの人々にとって医療費の自己負担は3割です。つまり実際にかかる費用の70%までを、公的保険が負担してくれます。70歳以上のお年寄りや就学前の幼児については基本的に2割負担とされ、さらに自己負担が軽くされています。

ことに子どもに対しては保障が厚く、公的保険に加えて各自治体が独自の助成制度を設けており、多くの地域で小学校就学まで、ところによっては高校生に相当する15歳から18歳までを対象に助成を行い、実質的に医療費を無料としている自治体まであります。

しかも、3割あるいは2割という自己負担分でさえも、積み重なって大きな金額になれば、世帯の所得額ごとに設けられた医療費の上限額以上の支払いが不要となる「高額療養費制度」までが設置されています。これらの制度があるために「公的保険だけで不足はない」「がん保険は不要」という論調が生まれてくるのです。

2-2 がんの治療が受けられない?

一方で、公的保険だけでは十分ではないと考える人々が存在します。がん保険に加入する人々はこのグループに属するわけですが、同じグループの中にあっても、がんとその治療、さらに保険に対する考え方には、かなりの開きがあるようです。

「公的保険だけでは不十分」とする人々の中には「公的保険だけでは、満足な治療が受けられない」「高額ながん治療のために、破産しかねない」などの、少々極端な論調で語る方もいらっしゃるようです。もちろん、実際にはそこまで極端なものではありません。

すでにお話してきたように、国民の健康と生命に直接関わる医療費については、国や行政が率先して制度を整え、保障するしくみを作ってきました。所得に応じた保険料を財源として、均質な保障を提供しながらも保険料負担に差を設け、できるだけ公平な制度として運用してきたのです。

医療費負担が一定以上に大きくなる場合には、高額療養費制度を設置し、経済的負担を抑える用意もできています。

ですから現在の状況から言うならば、民間の医療保険やがん保険に加入していないからといって、「満足な治療を受けられない」「医療費の支払いで破産してしまう」などということは、まずは考えられません。にもかかわらず、やはりがん保険の必要性は高いのです。

それはいったい、なぜでしょうか?

3. それでも、がん保険は必要か?

3-1 公的保険制度はどこまで頼れるか

充実した公的保険制度があるのに、なぜ民間のがん保険が必要なのか。その理由はいろいろです。

その理由の中でも少々特異なものとして「公的保険制度がどこまで頼れるものなのか」という点があります。

公的保険の充実ぶりについては、すでに何度もお話してきました。もうこれ以上、くどくどと説明するまでもないでしょう。決して完全とはいえないまでも、現在の公的医療保険制度は非常に優れたものですし、また充分な保障も用意されています。公的なものとしては申し分ないレベルにあるといえるでしょう。

ですがよくよく考えてみると、この制度がいつまで続くか、それは誰にも分かりません。健康保険にしろ年金にしろ、日本の公的保険制度は手厚い保障を用意し、国民が安心して暮らせるように運用されてきました。

ですがその「手厚さ」は、場合によっては、保険料として徴収する金額と支給する金額との間にアンバランスを生じさせる要因にもなります。

また、所得金額に応じて保険料に差を設けるというやり方は、加入者間の不公平感を薄め、平等性を高めてくれますが、これは、世間の景気によって徴収額が大きく変化するということでもあります。

加入者の所得が常に一定、あるいは右肩上がりで伸びている局面ならば、何も問題はありません。ですがひとたび景気が悪化し、所得が落ちていけば、それとともに保険料収入も減っていきます。しかし支給額を削るわけにはいきません。そうした無理を重ね続けた結果、現在の公的保険制度の財政は、かなり逼迫しています。

保険料を値上げするにも、限界があるでしょう。このような状況下では、法律を改正して何らかの改革が断行される可能性もあります。そうなれば、保険料負担や保障内容についても、大きな変更が加えられることでしょう。

それを思うと「公的保険制度に、どこまで頼っていいのか?」という疑問が出てくるのです。

3-2 治療費以外の出費が増えていく

がん治療は長期間におよぶことが多く、しかも治療費は高額になりがちです。

公的保険による「高額医療費制度」で上限額以上の支払いは不要ですが、そのラインは多くの世帯でおよそ8万円。逆にいえば、月間8万円の医療費を数ヶ月にわたって払い続けることにもなりかねない、というわけです。この急な支出は、家計にとっては非常に大きな負担でしょう。なんの躊躇もなく支払える世帯のほうが少ないのでははいでしょうか。

しかも入院が長引けば、治療とは直接関係のない…それゆえに公的保険制度では保障されない自己負担による出費が増えていきます(*3)。差額ベッドの費用に始まり、衣料や日用品の購入費。定期的に家族がお見舞いに行けば交通費もかかりますし、着替えを持ち帰って自宅で洗濯したりと、何かと時間をとられることも増えていきます。しかも入院中は、当然ながら仕事などできませんから、収入は激減します。

つまり出費が増える一方で収入が減り、しかも公的保険では保障されない、という結果になるのです。

がん治療にかかる費用

直接的な治療費だけに目を向けて考えれば公的保険制度で十分にまかなうことができるでしょう。それで不足を感じることも、ないかもしれません。

ですがその周辺にまで目を向け、しかもある程度の長いスパンで考えた場合には、やはり公的保険制度だけではすべてをカバーしきれない…そうした結論が導き出されてくるのです。

3-3 高額な先進治療にはがん保険が本領を発揮

がんの治療法は年々進歩しています。

たとえば外科手術においては、治療効果を高めつつ患者さんの肉体的負荷をできるだけ抑える手術法の開発が進められ、すでに内視鏡を駆使した新たな手術法が実用化されています。また放射線治療の分野でもそうした動きは活発で、陽子線治療や重粒子線治療などが、すでにいくつかの病院で行われ、成果を上げています。

ですがこれらの先進医療には、公的保険は適用されません。そのためこれらの治療を受けようとすると、そのすべてを自費で負担せねばならず、しかもそれは非常に高額です。

こうした負担をカバーしてくれるのが、民間のがん保険なのです。

私たちにとって、がんは昔も今も命に関わる恐ろしい病気です。過去には、がんを患った本人に告知をするかどうか、するとしたらどのような方法が良いのかということが、真剣に議論されたものでした。当時は「がんである」と知ることは、余命わずかであることを知らされることでもありました。当時よりもかなり様変わりしたとはいえ、今でもがんに対する人々の恐怖心は強いものです。

だからこそ、がんであることが分かったならば、あらゆる手段を尽くしてでも治療したいと多くの人が考えます。たとえ公的保険が適用されない高額な治療であろうとも、命をお金に換えることはできません。

そのようなニーズに応えるときには、がん保険はまさに本領を発揮してくれます。これは民間のがん保険が持つ、非常に大きなメリットといえるでしょう。

3-4 自由診療もカバーする民間のがん保険

前項の「先進医療」と似通っているのですが、がん保険の中には、自由診療となる治療も保障してくれるものがあります。これも、公的保険では決して実現できない保障のひとつです。

「がん治療」というと、日本ではいわゆる三大治療がメインです。手術、化学療法(抗がん剤)、放射線治療。この3つの治療法のいずれか、あるいは状況に応じて複数の手法を組み合わせてがんを治すというのが主流です。

ですが、がんの治療というのは決してこの3つだけではありません。むしろ、それ以外の手法のほうが多いのです。実際にネットで検索してみると、がんの治療法として実に多くの手法がヒットします。その一例を少しだけ見てみましょう。

■温熱療法
「熱に弱い」というがん細胞の特徴を突いて、病巣に熱を加えることでがん細胞だけを死滅させる治療です。やり方はさまざまですが、大がかりな装置を使ってこの治療を行うクリニックも増えつつあります。一部、公的保険も利用できますが、回数制限があり、それ以上の治療を希望する場合には自由診療となります。

■免疫療法
もともと体に備わっている免疫力を高めることで、がん細胞を攻撃するとともに再発を抑え込もうとする治療法です。全身に転移したがん組織に対する治療・予防のための手法として、2000年代になってから注目を集めるようになりました。

■漢方
生薬を使ったいわゆる漢方薬は、保険適用の範囲内で使用することができます。ですが保険診療では病名によって使える生薬の組み合わせ等が決められているため、より自由度の高い配合を行おうとすると自由診療の扱いとなります。

■ビタミンC
非常に濃度の高いビタミンCを点滴する治療法で、正常細胞に悪影響を与えず、がん細胞だけを攻撃する治療とされています。

他にも数多くあるのですが、これくらいにしておきましょう。これらの治療はその一部を除き、ほぼすべてが自由診療の扱いとなっています。そのためとても高額で、長く続けることが難しいという側面があります。

ですが民間のがん保険の中には、こうした自由診療についても適用対象としているものがあります。もちろん、どこまでを保障対象とするか、保障の条件はどのようなものかという細部については、保険会社ごと、あるいは商品によって異なります。ですから「民間のがん保険なら、どんな治療でも保障される」というわけではありません。

それでも、がん治療は日進月歩の進歩を遂げており、その流れはこれからも続くものと思われます。

その一方で、どんなに効果的な治療法であるにしても、それが保険適用になるまでには数多くの高いハードルを乗り越えねばならず、それには時間もかかります。そしてほとんどのがん患者さんには、そこまで待つ時間的な余裕はありません。

こうしたことを考えると、自由診療に対応する民間のがん保険は、がんと戦う患者さんにとって非常に有用なものだといえます。

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4. 公的保険を補う民間保険の役割

4-1 公的保険の足りないところを補う

こうして考えてみると、民間のがん保険の役割は「公的保険でカバーできない部分を補足するもの」ととらえることができます。

すでに手厚い保障が用意されている日本の公的保険制度ですが、そのシステムは決して完璧ではありません。また「誰にでも使えるように」と設計されたものなので万人向きである反面、特定の用途に限っていえば少々物足りないものにもなっています。制度の運営や存続を考えればそれは仕方のないことですが、患者さんとしてはやはり「不足感」が残されてしまうことでしょう。

そうした部分を、民間のがん保険で手当てするのです。がん保険にはさまざまな保障が用意されていますし、その多くは特約という形で自由に組み合わせることも可能です。ですから自分自身に合った形、自分自身が必要だと思う形の保険に組み立てることができます。

とはいえ、がん保険で自分に必要な保障は何かを明確にし、それをもとにがん保険を組み立てていくのは大変な作業です。時間も知識も必要になります。そのようなときには、保険のプロからアドバイスをもらうのも一つの方法ではないでしょうか。

保険見直し本舗でも、コンサルティングアドバイザーが保険のプロの無料相談サービスを行っているので、是非お気軽にご活用ください。

まとめ:公的保険+民間保険で、万全の備えを

ここでは、

  • ・がんに対しては、その特性に合わせたがん保険が備えとして必要であること
  • ・がん保険・がん特約の契約者は年々増えていること
  • ・公的医療保険制度にも、制度の改変の可能性があること
  • ・がん治療では公的保険でカバーされない、治療費以外の出費が増えること
  • ・高額な先進医療や自由診療まで保障する保険商品もあること

などについて、お話してきました。

保険というのは「万一のときの備え」です。突然の出費が必要になったとき、慌てずに済むように用意しておくセーフティネットです。

ことにがんについては治療期間が長く、高額になりがちですし、先進医療はこれからもどんどん開発されてくるでしょう。そうした医療を受けたいと思ったら、数百万円という単位での出費が必要です。ですが今のところ、それが公的保険制度でまかなえる望みはありません。だからこそ民間保険が必要なのです。

がんに対する備えは公的保険だけでは完全とはいえません。民間保険と組み合わせて補完するためにも、がん保険の必要性は高いといえるでしょう。

最適な保険を選ぶためにも、保険見直し本舗のコンサルティングアドバイザーまでお気軽に相談をお寄せください。保険の専門家として、みなさまそれぞれに最適な保険をご紹介させていただきます。

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