老後・退職後に必要な保険は? 安心できるセカンドライフのための賢い見直し方法

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保険の基礎知識
老後・退職後に必要な保険は? 安心できるセカンドライフのための賢い見直し方法

老後・退職後は、子育てや仕事が一段落し、自分のために時間を使える人生のステージ。これまで頑張ってきたのですから、やはり老後・退職後は心穏やかに過ごしたいものです。しかし、その一方で老後・退職後になると、お金に関する心配事も尽きません。

「病気やケガをしたときの費用で家族に負担をかけないだろうか……」
「万が一のことがあったときに葬儀費用などで家族は大変な思いをしないだろうか……」

老後・退職を境にして、そのような不安がにわかに大きくなってきた方も多いのではないでしょうか? そこで、ここでは病気やケガ、そして亡くなった時に、ご家族や周りの方に負担をかけないようにするための「老後・退職後に必要な保険」を分かりやすくお伝えします。

しっかりと保険の準備を済ませ、心置きなく穏やかな老後を満喫して頂ければ幸いです。

1.入院や手術に備えるための医療保険

老後・退職後の大きな変化の一つは、どうしても今までより体力が衰えてしまうことです。年齢が上がるにつれて少しずつ体が言うことを聞かなくなり、病気やケガにかかるリスクは大きくなっていくでしょう。

そのときに心配なのが、病気やケガによる入院・手術の費用です。高齢になると、入院が長期化しやすく、治療費も高額になってしまい、かなりの費用負担になることも考えられます。それを自身ではカバーし切れずに家族に負担をかけてしまうのは、できれば避けたいところです。

そこで重要なのが医療保険でしょう。基本的に医療保険は、病気やケガで入院・手術をした際に保障を受けられる保険です。

保障内容としては、入院保障や手術保障が中心になっており、最近のものは先進医療を受けたときや三大疾病(がん(悪性新生物)・急性心筋梗塞・脳卒中)を患ったときに手厚く保障を受け取れる特約が付加できるものがほとんどです。

では老後・退職後にあたって、どのような医療保険が必要なのでしょうか?

1-1 医療保険は“終身型”を!

医療保険を選ぶうえで大切なのが、保険期間の違いです。医療保険の種類は、その保険期間の違いに応じて「定期型」と「終身型」の二種類に分けることができます。

まずはそれぞれの特徴を簡単に見ていきましょう。

●定期型医療保険
保障期間があらかじめ決められているタイプの医療保険です。定期型の場合、1年、3年、5年、10年など、一定期間ごとに更新のタイミングが設けられています。その都度、そのまま保険契約を続けるのか、もしくは解約するのかを選ぶことができます。ですので、更新時に自身の状況に合わせて、柔軟に保障内容を考えなおす機会を持てることが利点の一つと言えます。

更新する場合は、更新前に比べて保障が小さくなったり、あるいは保険料が高くなったりすることが一般的です。

また、定期型医療保険の多くは70歳や80歳を区切りとして満期が設定されており、満期を迎えた段階で保障も終了するので、その点にも注意が必要です。

●終身型医療保険
保障が一生涯続くタイプの医療保険です。終身型の場合、保険料・保障内容ともに加入時のまま変わることはありません。原則として「生涯加入し続ける」ことが前提ですので、定期型のように更新のタイミングで保障内容を見直す機会はありませんが、その一方でしっかりと保障内容を吟味してから加入すれば、そもそも見直しの必要がないという見方も可能です。

また、なるべく健康で若いうちに加入すれば、高齢になってからの加入に比べて手頃な保険料で手厚い保障を持ち続けられることは大きな魅力と言えるでしょう。


定期型医療保険と終身型医療保険それぞれの特徴を簡単に見てきましたが、それでは老後・退職後に加入する医療保険としてはどちらが相応しいのでしょうか。結論から言うと、老後・退職後であれば終身型の医療保険がオススメです。

若いうちは定期型医療保険に加入していた方も多いかもしれませんが、高齢になってから更新をすると、保険料がかなり大きくなってしまうことが懸念されます。また、高齢な方だと、更新や満期を迎えて新たな保険に加入しようと思っても、年齢や健康状態によっては、条件の良い保険に巡りあうことができないかもしれませんし、そもそも次に加入できる保険が見つからないことも考えられます。

その意味では、老後・退職後の保険はしっかりと保障内容を熟慮したうえで、一生涯保険料も保障内容も変わらない終身型医療保険に加入しておくと安心と言えそうです。

⇒ココだけは必ず押さえておきたい! 医療保険を選ぶツボ!

1-2 保障内容は最低限でOK!

次に、もし医療保険を検討するとして、保障内容はどうすれば良いのでしょうか? それを考えるために老後・退職後に入院や手術をした場合に、どのくらい費用がかかるのか見ていきましょう。

日本では病気やケガで治療費が発生した場合、そのほとんどが公的医療保険制度でまかなわれ、個人の負担割合は年齢や収入に応じて2~3割になります。さらに75歳以上になると、その方の収入や世帯収入などにより一部例外があるとはいえ、個人での負担は1割にとどまります。

それに加えて、同じ一か月の間にかかった治療費が一定額を超えた場合、その超過分を国が負担してくれる高額療養費制度も用意されています。年齢や収入によって「一定額」の規定は異なりますが、基本的には70歳以上であれば57,600円が上限となっている方が多いようです(*1)。

言いかえると、入院時や手術時に特別な治療や待遇を受けたりしなければ、月の治療費の負担は57,600円を超えないということになります。そう考えると、老後・退職後を境にして段々と治療費の自己負担額は少なくなっていくと言えそうです。

ただし注意したいのは、公的医療保険制度の対象外になっている費用です。たとえば個室に入院した際にかかる部屋代「差額ベッド代」は、その代表例の一つでしょう。

もちろん個室での入院を希望しないなら、差額ベッド代は発生しないのが一般的です。ですが症状が重いときに相部屋で入院をすると、同じ部屋にいる人の生活音や、お見舞いに訪れた人の話し声など、普段は気にならない些細なこともストレスになりかねません。特に入院が長期化することも多い高齢の方であれば尚更でしょう。そうした理由から、中にはストレスなく治療に専念するために個室を望む方も少なくないようです。

そのほかにも、食費、娯楽費、被服費などの雑費は公的医療保険制度の対象にはならず、全額自己負担になります。また、先進医療など公的医療保険制度の対象外となる治療を受けた場合、その種類によっては高額な治療費を自己負担しなければいけません。

たとえ公的医療保険制度があるとはいえ、特別な治療や待遇を受けることも想定し、最低限の医療保険は備えておいたほうが良いと言えそうです。

⇒医療保険の見直しが節約に!? 医療保険の見直すポイントはココ!

2.万が一に備えるための死亡保険

老後・退職後に気がかりなのが、もし自分に万が一のことがあったとき、家族に負担をかけてしまわないかどうかです。死亡保険は万が一のときに、残された家族がまとまった保険金を受け取れるようにしておく保険。老後・退職後の死亡保険は、どのように備えれば良いのでしょうか?

2-1 死亡保険は“終身”で“葬祭費用の準備”として!

医療保険と同様、死亡保険も保険期間によって定期型と終身型に分かれています。それぞれの特徴を掴んで、老後・退職後の死亡保険としてはどちらが適しているのか、そしてどのくらい保障を用意すればよいのかを見ていきましょう。

●定期型死亡保険
定期型死亡保険は、更新や満期があるタイプの死亡保険です。更新では、保険料が上がったり、もしくは保障金額が下がったりします。満期を迎えると、保障が終了するものが一般的です。定期型死亡保険の特徴は一定期間、手厚い保障を手頃な保険料で用意できるところだと言えます。

●終身型死亡保険
終身型死亡保険は、更新や満期がないタイプの死亡保険です。加入時のまま保険料・保障内容ともに変わることなく、亡くなるまで保障が続きます。終身型死亡保険の特徴としては、一生涯の保障を用意できるところです。


では、老後・退職後の死亡保険としては、定期型と終身型のうち、どちらが適しているのでしょうか?

基本的には医療保険と同じく高齢の方の場合、年齢や健康状態によっては、更新時の保険料が高額になったり、満期を迎えた後に新たな保険に加入できなかったりするケースがあるので、終身型がオススメです。

また、死亡保険金の額については、最低限の葬祭費用を用意しておけば十分でしょう。勤労所得が主な収入源だったり、まだ子供が独立していなかった期間は、自分に万が一のことがあったときの残された家族の生活費や教育資金を考えて、高額な死亡保険金を準備されていた方も多かったかと思います。

ですが、老後・退職後になると、すでに仕事での定期的な収入は無くなり、子供は独立していることがほとんどです。その意味で老後・退職後の生命保険では、残された家族の生活費までカバーする必要はなく、あくまでも葬祭費用として200万円~500万円程度を準備しておけば十分だと言えそうです。

子供の独立後も大きい死亡保険を続けているのなら、この老後・退職後に差し掛かるのを機に死亡保険の見直しをしてみると良いでしょう。一般的に死亡保険は医療保険よりも保険料が高額なことから、うまく見直せば大きな家計の節約にもつながるかもしれません。

⇒死亡保険を自分にあったコンパクトなサイズに! 見直しのちょっとしたコツは?

2-2 死亡保険で相続税対策!

原則的に死亡保険で受け取った保険金には、税金がかかります。ですが、もし保険金の受取人が相続人であった場合、死亡保険金が一定の上限額を越えなければ非課税となります。

その非課税となる上限額の計算方法は、次のようになります(*2)。
500万円×相続人の数=死亡保険金に対する相続税が非課税となる上限額

たとえば、相続人が3人いらっしゃる場合は、その死亡保険金に対して相続税がかからない上限は500万円×3人になりますから、相続人は合計1,500万円までの死亡保険を非課税で受け取ることができます。なお、基本的に相続人とは「子」「配偶者」などを指しますが、場合によっては「直系尊属」「兄弟姉妹」になることもあります。

多くの財産を持たれている方は、このような生命保険の節税メリットもしっかりと活用していきたいところです。

3.介護状態に備えるための介護保険

老後・退職後の備えとして忘れてはならないのは、もしも介護が必要になったときの費用です。とくに高齢の方の場合、病気やケガにより介護が必要となる可能性も高くなります。

介護を受けることになったら、経済的にも精神的にも時間的にも家族に大きな負担をかけてしまうかもしれません。そうした“いざというとき”の備えとして、介護保険は老後・退職後に検討すべき保険の一つと言えるでしょう。

ここでは、そもそも介護費用がどのくらいかかるのか、そして民間の介護保険とはどのような保険なのかを見ていきましょう。

3-1 介護費用も全額自己負担ではない

入院や手術の治療費と同じように、介護にかかる費用も全額自己負担ではありません。国から介護が必要な状態だと認められた(=要介護認定)場合、公的介護保険からさまざまな支援を受けることができるのです。

大きく分けると、「介護サービスを利用した際の自己負担が1割~3割」「高額介護サービス費制度」が挙げられます。

●介護サービスを利用した際の自己負担は1~3割
介護状態になった場合、さまざまな介護サービスを利用することになります。代表的な介護サービスとしては、自宅に訪問してもらう「訪問サービス」、日帰りで施設に通う「通所サービス」、短いあいだ施設で過ごす「宿泊サービス」、施設に入所する「入所サービス」などです。

それらのサービスを利用する費用のうち、個人で負担するのは収入に応じて1割から3割と定められています。残りは公的介護保険からサービスの提供者に支払われます。

ただし、要介護度の重軽度に応じて、支給の限度額が設けられており、その超過分は全額自己負担になるので注意が必要です。

●高額介護サービス費制度
公的介護保険の利用した介護サービスの費用に対する支給限度額を超えた場合、その部分は全額自己負担になるとお伝えしました。

ですが、もしもその介護サービス費の自己負担額が定められた上限額を超えたとき、さらにその超過分が払い戻しされる制度も用意されています。これを高額介護サービス費制度と呼びますが、その上限額は収入によって15,000円~140,100円の間になっています(*3)。

⇒介護保険って一体なに?? 介護保険の基本の「キ」をカンタン解説!

3-2 介護費用はどのくらいかかる?

前述したように、介護サービスにかかる費用は全額自己負担ではありませんが、その一方で食費、居住費、日常生活費などは全額自己負担になります。では、実際に介護費用はどのくらいかかるのでしょうか?

生命保険文化センターの「2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査(速報版)」によれば、月々にかかる介護費用の平均は約8.3万円、介護期間の平均は61.1か月(約5年1か月)となっています(*4)。単純計算で介護費用には約507万円が必要になってくることが分かります。これだけの出費を何の準備もなく工面するのは非常に難しいのではないでしょうか?

また、厚生労働省の「令和元年度 介護保険事業状況報告(年報)」を見ると、65歳以上の高齢者の場合5.4人に1人、75歳以上の高齢者の場合3.1人に1人が要介護認定を受けており(*5)、介護は決して他人事ではありません。その意味では、公的介護保険に頼るだけでなく、しっかりと民間の介護保険も準備し、家族や身近な人に負担をかけないようにしておきたいところです。

老後・退職後は、民間の介護保険も十分検討に値すると言えそうです。

⇒徹底検証シリーズ! 本当に介護保険なんて必要なの??

3-3 民間の介護保険ってどんな保険?

ここまで介護をめぐるリスクについて見てきましたが、それではそのリスクに備える民間の介護保険とは一体どのような保険なのでしょうか。

民間の介護保険と一口で言っても種類は様々ですが、最大公約数的にいえば「所定の介護状態になったときに年金もしくは一時金の形で保険金を受け取れる保険」ということになります。

先ほどお伝えしたように、生命保険文化センターの調査にある介護費用(月々)と介護期間単純に計算すると、介護費用は約507万円必要になってきます。もちろん、あくまで平均ですからすべての方がこれだけの費用負担をするとは限りません。とはいえ、これが平均=一つの基準だと考えた場合、貯蓄や収入のみで介護費用をまかなうことは一般的に難しいと言えそうです。

そのような背景を踏まえれば、万が一介護状態になってしまったときに、介護保険から年金や一時金として保険金を受け取れたら、心強い助けになるのではないでしょうか。通常、年齢を重ねるにつれて骨折や認知症などで介護が必要になるリスクは高くなっていきますから、いざというときに家族への負担を軽くするためにも、老後・退職後に介護保険を検討してみてはいかがでしょうか。

ただし、介護保険は医療保険などと違い、各保険会社で保険金の給付条件にかなりのバラつきが見られます。それゆえに介護保険を検討するのであれば、しっかりと保険のプロの意見を仰ぎたいところです。

⇒目からウロコ! 介護保険を賢くサクサク選ぶ厳選6ポイントはココ!!

まとめ:老後・退職後の保険はコンパクトに!

いかがでしたか? ここでは、

  • ・医療保険と死亡保険は終身型で最低限の保障を準備すればOK
  • ・死亡保険は相続税対策にも活用できる
  • ・介護費用は平均で約507万円もかかるので、民間の介護保険があるとより安心

などについてお話してきました。

ですが、ここでお話してきたのは老後・退職後の保険選びにおける基本でしかありません。実際に保険を選ぶときには、そのほかにも年齢、健康状態、家族構成、老後のライフプランニングなども併せて考える必要があります。

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