イデコ(iDeCo)には税制優遇以外にもさまざまなメリットが!?

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イデコ(iDeCo)には税制優遇以外にもさまざまなメリットが!?

イデコ(iDeCo)は「個人型確定拠出年金」の愛称で、加入者一人ひとりが毎月掛金を出して老後の生活資金を積み立てていく私的年金制度です。国民年金や厚生年金などの公的年金を補完できるように国の主導で導入された経緯もあり、このイデコにはさまざまなメリットが備えられています。

そのなかでも「最大のメリット」と言われているのが、掛金や運用益などが非課税となる強力な税制優遇措置です。でも実は、イデコにはこの税制優遇措置以外にも、他の年金制度には無い特徴がいくつもあることはご存知でしょうか?

ここでは、そんなイデコの特徴のうち、「税制優遇以外のメリット」にあたるものをご紹介していきます。

⇒イデコ(iDeCo)最強のメリット! 3つの税制優遇とは!?

イデコは、自分で加入し、自分で掛金額を決め、自分で運用先を選びます。そのため、基本的に加入者にとって使い勝手が良く、他の資産運用よりも有利になるように設計されています。具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。制度編、運用・受給編と分けて合計12項目をピックアップしましたので、順番に見ていくことにしましょう。

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イデコ(iDeCo)の税制優遇以外のメリット~制度編

1.公的年金が手薄な方や企業年金のない方が有利となる設計

日本の年金制度は「3階建て」と言われます。1階部分は「国民年金(基礎年金)」、2階部分は「厚生年金」、そして3階部分は「働き方によって決まる年金」です。しかし、国民年金や厚生年金といった公的年金を補完するための3階部分は、すべての方に備えられているわけではありません。

3階部分の年金として代表的なものは「企業年金」です。この企業年金は会社に勤めている方などが受け取るものですが、導入しているのは大企業が中心で、すべての企業に備えられているわけではありません。さらに、自営業者の方などの場合は、任意で加入できる国民年金基金はあるものの、3階部分はおろか2階部分もありません。

日本の年金制度
出典:厚生労働省「いっしょに検証!公的年金」~日本の公的年金は「2階建て」
~企業年金、国民年金基金など をもとに作成

このような背景から、イデコは当初、自営業者など(国民年金の第1号被保険者)と企業年金がない会社員(第2号被保険者)、つまり2階部分や3階部分が無い方だけが加入できる制度でした。強力な税制優遇措置のほか、この記事で紹介するような多くのメリットがあるイデコを活用することで、手薄な公的年金を補完できるように設計されたのです。

2017年には法律が改正されて、ほぼすべての方がイデコに加入できるようになりました。しかし、働き方によって掛金の上限額が細かく規定されており、自営業者などの方がいちばん多く(年額81.6万円)、他の企業年金を導入している企業の従業員や公務員の方は少なく(年額14.4万円)なっています。

このことから、2階部分の年金の有無や、公的年金以外の年金制度への加入可否による「社会保障の格差」を小さくするというコンセプトは改正後も維持されていると考えられます。

イデコは掛金の全額が非課税になりますから、2階部分や3階部分が無い方のほうが税制優遇をより多く受けられます。つまり、イデコは公的年金が手薄な方や企業年金のない方にとって有利となる仕組みとなっており、大いにメリットがあると言えるでしょう。

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2.加入者ごとに年金資産が分別管理されている

公的年金や従来型の企業年金は、加入者から保険料や掛金を集めて、それらをまとめた形で管理・運用しているのが通常です。そして、運用がうまくいかずに積立金が足りなくなりそうな場合は、追加でお金を出して受給者に支払う年金原資を確保していかなければなりません。

企業年金では、会社の業績が悪化したために年金が減額されたり、最悪の場合、会社が倒産してしまったためにもらえなくなったりするケースも考えられます。

これに対してイデコは、積立金が加入者単位で分別管理されていますので、もし誰かが運用に失敗したからといっても、その損失を別の人が補うということはありません。言い方を換えると、イデコは公的年金や従来型の企業年金とは違い、国や企業の年金資産の運用がうまくいかなかったときのような「巻き添え」を食らわなくて済むのです。

なお、イデコは「個人型確定拠出年金」ですが、「企業型確定拠出年金」の場合でも、会社の業績の良し悪しにかかわらず、たとえ会社が倒産してしまっても加入者の口座で積み立てられた年金資産はそのまま残ります。

3.離職・転職しても年金資産を持ち運びできる

昭和時代が終わる頃までの日本では終身雇用が一般的でした。しかし、1つの会社に定年まで勤め続けるという働き方は時代が進むにつれて減少していき、昨今では転職や起業などを経験する方が増えています。一方では、継続的に働き続けることが難しい非正規雇用の拡大も問題となっています。

このような雇用スタイルの変化に対応できるように、退職金や企業年金などの退職給付制度も変化が求められてきました。

前節で、イデコを含む確定拠出年金では加入者ごとに年金資産が分別管理されていることをお伝えしました。これは、年金資産が個人個人に紐付けられているということに他なりません。

したがって、今の会社から他の会社へ転職したり、子育てなどで働いていなかった方が新たに就職したり、逆に働かなくなったりしても、それまでに積み立てた年金資産をそのまま持ち運び(移換)することができます。

この仕組みのことを「ポータビリティ」と言います。働き方が変わってもポータビリティ制度を利用して年金資産を別口座に移すことで、継続的な運用ができるようになっています。確定拠出年金のこの仕組みは、働き方が多様化している現代社会にマッチしているものと言えるでしょう。

イデコに関係するケースを順番に見ていきましょう。

  • 【イデコの加入者が転職(就職)したケース】
  • ●転職(就職)先に企業型確定拠出年金がある場合
  • イデコの資産を企業型の確定拠出年金に移せます。規約でイデコとの同時加入が認められている場合は、企業型に加入するとともに、イデコをそのまま続けられます。
    ※2022年10月からは規約の定めがなくてもイデコに原則加入できるようになります(拠出に条件あり)。
  • ●転職(就職)先に企業型確定拠出年金がない場合
  • イデコをそのまま続けられます。確定給付年金がある場合は、規約で認められていればイデコの資産を移換することもできます。
  • ※転職(就職)先が中小企業退職共済を導入している場合は移換できません。
  • 【転職(就職)してイデコの加入者になるケース】
  • ●前の会社で企業型確定拠出年金に加入していた場合
  • 企業型確定拠出年金の資産をイデコに移せます。
  • ●前の会社で確定給付年金に加入していた場合
  • 確定給付年金の脱退一時金相当額をイデコに移せます(年金資産が分別管理されていないため)。
  • ※前の会社で中小企業退職共済に加入していた場合は移換できません。

なお、企業年金が無い会社間での転職や、自営業者から専業主婦、あるいはその逆などの場合は、今のイデコをそのまま継続できます。

4.加入者が常に「自分の資産状況」を把握できる

退職金や従来型の企業年金の場合、自分が受け取れる金額が現時点でいくらになっているのかを確認しようとしても、ふつうは人事部などに聞く以外わからないでしょう。公的年金であれば「ねんきん定期便」が毎年送られてきますが、1年に1回の誕生月だけの通知のうえ、定期便作成時点からは数か月のタイムラグがあります。

これがイデコや企業型確定拠出年金では、加入者ごとに年金資産が完全に分けて管理されているため、自分の資産状況をネットでいつでも見ることができます。現在、自分の積立金がいくらになっているのかをネットバンキングのように手軽に確認できるのです。また、通常は過去の一定期間に限られますが、これまでの積立額の推移や掛金の支払い状況も知ることができます。

つまり、イデコは「資産状況が見える化された年金」と言えます。この点は、将来に向けて積み立てを行っていくうえで、大きなメリットだと言えるのではないでしょうか。

5.加入する金融機関を自由に選べる

イデコを含む確定拠出年金では、銀行、証券会社、保険会社などの金融機関に口座を作り、その金融機関が提示する運用商品を加入者が選んで積み立てを行っていきます。この金融機関を「運営管理機関」と呼びます。

企業型確定拠出年金の場合は、会社ごとに特定の運営管理機関と契約して制度の管理・運営を委託します。そして、従業員である加入者は、あらかじめ決められた運営管理機関に口座を作り、そこの商品を選ぶことになります。したがって、会社が選定した運営管理機関から提示されている運用商品の中に自分が買いたいと思う商品が無い、といったケースも考えられます。

これに対してイデコは「個人型」ですので、自分の好きな運営管理機関を選ぶことができます。企業型は加入者に運営管理機関の選択の余地がありませんので、これはイデコの大きなメリットだと言えるでしょう。

2021年12月現在、イデコを取り扱っている運営管理機関登録業者は170社近くあります(他社に委託している会社や受付業務のみを行う会社も含みます)。全国展開している大手金融機関から地域に密着した会社までさまざまですが、いずれも店舗に行かなくてもコールセンターやネットで資料請求できたり、加入者からの問い合わせに応じてくれたりします(実店舗がなく、ネット専業の運営管理機関もあります)。

運営管理機関によって大きく違いが出るのは、取り扱っている運用商品のラインナップです。商品の数が多ければいいというわけではありませんが、少なくとも資産形成に適切とされる分散投資ができるような種類を取りそろえているところのほうが望ましいでしょう。

また、保険商品に興味があるから保険会社がいい、他社には無い商品に投資したい、いざというときに窓口で相談できる運営管理機関にしたい、地元でなじみがある地方銀行がいい、などというような決め方もできます。他に手数料体系やサービス内容も各社各様ですので、いずれにせよ運営管理機関はじっくり検討して選びたいところです。

なお、勤務先で企業型に加入しながら自分でイデコにも加入する場合や、企業型の加入者が退職してイデコを始める場合などは、企業型と同じ運営管理機関を選ぶこともできます。ただし、そもそも企業型とイデコは別の契約になり、口座も新たに作ることになるうえ、商品ラインナップや手数料体系も違います。

あくまで企業型確定拠出年金は企業が導入している退職給付制度の1つで、イデコは口座開設から運用まで、すべてを個人の意志で行っていく私的年金制度という位置づけだと考えてください。

6.掛金を自由に設定できる

国民年金や厚生年金などの公的年金と違って、イデコでは掛金額を自由に設定できます。

自分の好きなように掛金額を設定できるといっても、最低額が決まっており、月額5,000円(年額6万円)となっています。

また、働き方や他の年金制度との兼ね合いによって掛金の上限額も細かく規定されています。第1節でご説明したように、イデコは2階部分や3階部分が無い、つまり公的年金が手薄な方や企業年金の無い方のほうが税制優遇を多く受けられる制度設計になっているからです。

具体的な上限額は、以下のように分かれています。

イデコの掛金拠出限度額
厚生労働省「確定拠出年金の拠出限度額」をもとに作成
  • ・1階部分の年金しかない自営業者などの第1号被保険者……月額6.8万円
  • ・企業年金がない会社員と専業主婦などの第3号被保険者……月額2.3万円
  • ・企業型確定拠出年金だけがある会社員……月額2万円
  • ・企業年金がある会社員と公務員……月額1.2万円

上記を踏まえ、最低額の月額5,000円から上記の各上限額まで、1,000円刻みで掛金を決めることになっています。

掛金額は、毎年4月から翌年3月までの1年間のあいだで1回だけ変更できます。

また、原則的にイデコは途中で脱退して積立金を引き出すことはできないのですが、掛金拠出、つまりイデコの積み立てを中断することはいつでも可能です。この場合は、それまでに積み立てた年金資産の運用だけを行うことになります。そして、積み立ての再開もいつでも可能です。掛金拠出の中断と再開については回数の制限はありません。

このようにイデコの掛金額は柔軟に変更できますので、今は収入が少ないから5,000円でスタートし、余裕が出てきたら掛金額を増やしていったり、急な事情でお金に余裕がなくなったら掛金額を少なくしたり、場合によっては積み立てを中止したりというように、ライフイベントやふところ事情に合わせて続けて行けるようになっています。

⇒掛金は多ければ多いほど税金が少なくなる! イデコの強力な税メリット!!

イデコ(iDeCo)の税制優遇以外のメリット~運用・受給編

7.加入者個人が運用の方法を決めることができる

厚生年金や国民年金の積立金の管理・運用は、厚生労働省所管の独立行政法人が行っています。また、従来型の企業年金では、会社が委託した外部の金融機関や年金基金で管理・運用を行います。これに対してイデコを含む確定拠出年金では、運用の方法はすべて加入者自身が決めることになっています。

具体的には、自分が加入した運営管理機関が提示する商品に対して、毎月買い付けするための掛金の配分割合を指定します。たとえば掛金が2万円の場合、商品Aは30%で6,000円、商品Bも30%で6,000円、商品Cは40%で8,000円などといった形です。

商品ラインナップは定期預金あるいは保険などの元本確保型と、元本が確保されていないものの値上がりが期待できる投資信託に大きく分けられます。

さらに投資信託は、投資先によってさまざまな商品があります。代表的なものは「国内債券」「国内株式」「外国債券」「外国株式」(これらは「4資産」と言われます)にそれぞれ投資するタイプと、複数の資産に投資する「バランス型」と呼ばれるタイプです。

他にも、不動産を対象にした投資信託や、金などの商品指数を対象にした投資信託、あるいは状況に応じて投資対象資産を組み替えていくタイプなどが用意されていることもあります。

投資信託の種類

掛金の配分割合はいつでも変更できます。経済情勢に合わせて投資先を変更することもできますし、ご自分のライフステージによって「攻めの運用」から「守りの運用」へ変えることなどもできます。

さらに、それまでに積み立てた商品を売って他の商品に買い替えることもできます。これを「スイッチング」または「預替え」と言います。たとえば、商品Aを毎月購入して残高が15万円になったので10万円分を売って商品Dを購入する、といった具合です。この場合、商品Aの残高は5万円となり、新たに商品Dが10万円になります。

このように確定拠出年金では、加入者自身が自分の知識や投資に対する考え方、そして経済状況に合わせて運用方法を決めることができるようになっています。

そして、「運用には自信がない」「商品を選ぶのが難しい」というような方は、定期預金や保険だけで運用することも可能です。この場合は年金資産が大きく増える可能性は低いのですが、運用がうまく行かずに資産を大きく減らしてしまうといったリスクは避けることができます。

8.運用が好調であれば年金額が増える

イデコを含む確定拠出年金では、加入者自身が掛金の額と運用の方法を決めます。したがって、将来受け取れる年金額も、自分で拠出する掛金額と運用の成果によって決まります。

90年代から長く続いていたデフレ傾向も、ここ数年では回復の兆しを見せています。今後は景気が徐々に上向きになり、インフレが進む可能性もあります。そうなると、株価の上昇や不動産価格の急騰も考えられます。こういったケースでは、株式型の投資信託や不動産投資信託といった商品を購入していれば好調な運用が見込まれ、将来受け取れる年金額を大きく増やすことができるかもしれません。

また、確定拠出年金は少なくとも60歳まで長い時間をかけて運用を行っていきますので、長期投資による複利効果が大きくなる傾向にあります。複利効果とは、運用で得た利益(利息)をそのまま再び投資へ回すことで、利益が利益を生みだしながら資産が雪だるま式に大きくなっていく効果のことです。

そして、通常の投資では運用益に対して税金が課されますが、確定拠出年金の場合は非課税ですので、税金として差し引かれなかった分も再投資されることで複利効果がより後押しされます。

⇒イデコの税制優遇と複利効果の詳細についてはこちらをご覧ください。

もちろん、運用が想定どおりにいかないこともありますので、その場合は年金資産が減ってしまうことが考えられます。しかし、確定拠出年金の運用商品は分散投資されている投資信託が中心ですので、リスクが比較的抑えられているものが多いと言えるでしょう。

経済情勢が悪化して運用がうまくいかないときは、世の中の他の金融商品の運用も不調になっているはずです。したがって、税制優遇がある分、確定拠出年金で運用するほうが有利な状況を保っていると考えることができるのではないでしょうか。

そして、定期預金などの元本確保型商品を選べば運用リスクを取らずに済むということは先述したとおりです。ただし、現在の超低金利では資産はほとんど増えないうえに、毎月の手数料のほうが運用益よりも多くなってしまう可能性が高いことに留意しておく必要があります(保険商品では解約のタイミングによって元本を下回ることがあります)。

9.運用商品のコストが低く設定されている

確定拠出年金以外で投資信託を買うときには、「ノーロード」と呼ばれる販売手数料が無料のものも用意されていますが、多くの商品では、購入金額に応じた販売手数料がかかります。これが、イデコを含む確定拠出年金では基本的にいっさいかかりません。毎月、積み立てで買っていくので、手数料があるのとないのでは雲泥の差と言えます。

投資信託は、投資の専門家が経済情勢や市況を分析しながら投資銘柄の選定や入れ替えを行い、その運用成果として得た利益を投資家に還元する仕組みです。

これらの運用管理に充てる費用が「信託報酬」と言われるもので、投資信託の運用期間中に積立金から差し引かれます。信託報酬の金額は毎日の時価(基準価額)をもとに計算され、投資信託の保有額(積立残高)に対して一定の割合でかかります。この割合は商品によって違いがあり、低いもので年率0.1%未満、高いもので3%台のようです。

確定拠出年金では、この信託報酬率が通常の投資信託よりも低く設定されています。こちらも商品や運営管理機関によって違いがあるので一概には言えないのですが、同じタイプの商品、たとえば国内株式型の投資信託で比べると、その差は0.1~0.3%程度が多いようです。

この差額は、積立金額が少ないうちはそれほど影響ありませんが、長期間にわたって買い続け積立金額が増えてくると、運用実績に大きなインパクトを与えます。積立額10万円ならば年0.2%で200円の差ですが、300万円貯まっているならば年間6,000円、これを10年間運用すれば6万円ということになります。

信託報酬が安く抑えられていることは、老後資金確保に向けた長期運用が前提の確定拠出年金では大きなメリットと言えるでしょう。

10.公的年金を受給できるまでの「つなぎ年金」になる

国民年金は65歳、厚生年金も男性なら1961年4月2日以降、女性なら1966年4月2日以降に生まれた方は65歳にならないと受給開始になりません。つまり、公的年金以外の年金が無い方は、60歳でリタイアすると公的年金を受け取れる65歳までの5年間は無収入となってしまいます。

イデコは通常60歳から受け取れますので、この5年間の「つなぎ年金」として利用することができます。ただし、加入期間(掛金を拠出しないで運用だけを行っていた期間も含む)が10年以下の場合、つまり50歳の誕生日以降に加入した方は、受給開始年齢が次のようになりますので注意してください。

加入期間が10年未満の方の受給開始年齢
厚生労働省「確定拠出年金制度の概要」をもとに作成

なお、公的年金には希望すれれば60歳から受け取れる「繰上げ受給」がありますが、その場合は受給額が減額されてしまいます。しかも、減額率は一生変わりません。これに対して、加入者ごとの個別資産である確定拠出年金であれば、60歳から受け取っても減額されることはありません。

一方で、公的年金には70歳まで受け取りを遅らせる「繰下げ受給」もあり、こちらでは最大で42%も増額されますが、確定拠出年金の場合は最も遅い70歳で受け取っても増額はありません。もっとも、受け取り時期を遅らせることで、より長い期間にわたって非課税で運用できることはメリットとして挙げられるでしょう。

  • ※年金制度の改正により、2022年4月1日以降に70歳に達する方は公的年金の繰下げ受給を最長75歳まで遅らせることができるようになり、その場合の増額率は最大で84%となります。また、確定拠出年金の受給開始上限年齢も75歳に引き上げられます。

⇒公的年金の「繰上げ受給」と「繰下げ受給」についてはこちらをご覧ください。

イデコを60歳からの「つなぎ年金」として利用したい場合は、加入期間が最低で10年必要です。また、非課税による節税効果と複利効果は、運用期間が長いほうがより大きくなります。そういった視点でから考えても、イデコに加入するのは早ければ早いほどいいと言えるのではないでしょうか。

11.マーケット状況を見て受給のタイミングを決められる

これは前節の「つなぎ年金」とは逆の考え方で、60歳以降も収入があったり、資産に余裕があったりする場合のメリットとなります。

イデコは60歳になったら必ず受け取らなければならないわけではなく、積み立てた資産を70歳まで運用し続けることができます。そして、いつのタイミングで受け取りを開始するかを70歳になるまでに決めればいいことになっています。

  • ※年金制度の改正により、2022年4月1日以降は確定拠出年金の受給開始上限年齢が75歳に引き上げられます。

60歳になった時点で、マーケットが低迷していて運用の成果が上がっていない、でも今後は回復が見込まれるなどといった場合は、受け取り開始を遅らせて運用を続けながら資産が増えるのを待つ、ということが可能なのです。

なお、年金形式で受け取る場合は、積み立てた資産を少しずつ取り崩すことになるため、残高については必然的に運用が続けられます。運用がうまくいけば、当初の想定よりも年金資産が増える可能性があります。

12.経済や投資などへの興味・関心が高まる

最後は間接的なメリットです。

イデコは「個人型確定拠出年金」という名称でもお分かりいただけるように「年金」の一種と言えますが、自分で金融機関と商品を選んで60歳までの長い期間にわたって運用していくという、「資産運用」の性格が強いものです。

したがって、本格的ではないにしろ、ある程度は投資に関する知識を身につけたほうが望ましいと言えるでしょう。そうすることで経済や金融への興味・関心が高まり、ふだんの仕事や家計管理などに活かしていくこともできます。

イデコは老後の資産形成と知識習得の両面で自助努力ができる制度と言えるのではないでしょうか。

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まとめ:多くのメリットがあるイデコは早い時期に始めたほうがいい!?

いかがでしたか。お伝えしましたように、イデコには強力な税制優遇以外にも数多くのメリットがあります。

公的年金を補完できる確定拠出年金制度は、老後資産形成という長期にわたる資産運用を後押しするものですので、これらのメリットを存分に活用するためには、早い時期に始めたほうがいいと言えるのではないでしょうか。

しかし、今すぐにイデコを始めるとしても、運営管理機関を決めたり運用商品を選んだりするのは、そうたやすいことではないでしょう。掛金をいくらにするかも、ご自分の家計状況やライフプランによって変わります。

そのようなときはプロに相談してみてはいかがでしょうか。とくに終身保険などの貯蓄性を持った商品に明るい「保険のプロ」であれば資産運用は得意分野ですので、イデコの運用戦略などについてもいろいろ相談にのってもらえるかもしれません。

保険見直し本舗でも、みなさんの老後資産形成のお手伝いができるよう対応しています。イデコや保険を活用した老後資金対策などについて、ぜひ気軽にご相談ください。心よりお待ちしております。

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