年代別女性保険の選び方! 年代ごとに変わっていく女性特有のリスクに備える

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保険の基礎知識
年代別女性保険の選び方! 年代ごとに変わっていく女性特有のリスクに備える

女性特有のリスクに備えるための保険は、一般的に「女性保険」と言われています。ただその保障内容は商品によって様々ですし、貯蓄性のある商品もあれば掛捨て型の商品もあります。そのため、女性保険への加入を検討しようとしても「どの商品を選べばいいのかわからない」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

この記事では、女性がどのようなリスクを抱えているのかを年代別に検証しつつ、そのリスクをカバーするために必要な女性保険選びのポイントについて詳しくご紹介します。

1.20代での女性保険の選び方

1-1 病気のリスクは低いものの最低限の医療保障は必要

保険選びをする際はまず、自分が抱えている、あるいは想定されるリスクについて、しっかり把握しておく必要があります。では、20代の女性にはどのようなリスクがあるのでしょうか。

20代は、入院を伴うような重い病気にかかるリスクがまだまだ低い年代です。実際、平成29年における女性の入院患者総数に占める20代の入院患者数の割合は、2%程度となっています(第4章の図版参照 *1)。そのため「保険なんてもう少し先でもかまわないのでは?」と考えている方も少なくないでしょう。

しかし、いくら20代といえども病気やケガで入院したり手術を受けたりするリスクはゼロではありませんし、近年は、いわゆるAYA世代(Adolescent and Young Adult…思春期・若年成人のこと)のがん罹患者の増加が話題になっています(*2)。そのため大病のリスクが低い20代であっても、最低限の医療保障は必要と言えるでしょう。

20代であれば比較的安い保険料で加入できる商品が多いため、現在保険に加入していないという方は、まず入院給付金と手術給付金が備わったシンプルな医療保険を検討してみてはいかがでしょうか。20代のうちに安い保険料で終身型の医療保険に加入し、生涯の「ベース」となる医療保障を用意しておくというのも1つの選択肢でしょう。

⇒医療保険とはどういう制度?知っておきたい医療保険の基本のキホン

1-2 結婚する方は妊娠・出産に備えた女性保険も視野に

入院患者数を傷病別に見た場合に、20代中盤から30代にかけて半数近くを占めているのが、「妊娠・分娩および産じょく」にかかわるものです(*3)。女性は妊娠・出産をする機会があるため、男性と比べて入院や手術などのリスクが高くなってしまうのです。

妊娠等にかかわる傷病の推計入院患者数の年代別状況

女性保険には異常妊娠・異常分娩をはじめとする「女性特有の病気」に対して手厚く保障する機能があるため、妊娠・出産に伴うリスクにもしっかり備えられます。現在結婚している方、結婚を考えている方は、女性保険も視野に入れてみてはいかがでしょうか。

⇒女性保険とは? 医療保険とどう違う!? 女性向け保険の仕組み

1-3 生存給付金がある女性保険に加入するのもあり

生命保険の保障部分の保険料は、保険期間中に保険金をどれくらい支払う可能性があるのかを考慮して設定されます。一般に、入院や手術のリスク、あるいは万が一の事態になるリスクは年齢に比例して高くなっていきますので、定期型の場合は保険料も年齢を重ねるとともに高くなってしまうのです。

この点、保険金支払いリスクが低い20代で定期型の女性保険に加入する場合、貯蓄性がある商品でも保険料を安く抑えられる可能性があります。近年は、数年ごとに生存給付金が支払われるなど貯蓄性のある女性保険も販売されていますので、女性保険を検討する際はこの種の商品にも着目してみてはいかがでしょうか。

⇒女性保険の選び方! 貯蓄型と掛け捨て型の2タイプを保障比較!

2.30代での女性保険の選び方

2-1 女性特有の病気のリスクが徐々に高くなっていく年代

30代になると、女性特有の病気のリスクが徐々に高くなっていきます。

実際、30代のがん患者が罹患したがんの種類に着目してみると、1位が「女性乳がん(22%)」、2位が「子宮頸がん(13%)」と、女性特有のがんが上位35%を占めているのです(*4)。また子宮内膜症や子宮筋腫になる心配もあります。

小児期からAYA世代で罹患率が高いがん種

このような女性特有の病気のリスクが少しずつ高くなっていく30代での保険選びは、どのように進めていけばいいのでしょうか。

結婚している方、特に共働き世帯で子供がいらっしゃる方にとって30代は、子供の養育費や教育費、住宅ローンの支払いなど、なにかと支出の多い時期ではないでしょうか。そんな時期に病気で長期療養を余儀なくされると、家計に大きな影響が出てしまう可能性があります。

そこで30代の保険選びでは、そのリスクが徐々に高まる女性特有の病気に対してしっかり備えられる保障を用意しておくことをおすすめします。

⇒女性向けがん保険とは? 基本から“本当に必要性の高い年代”まで徹底解説!

2-2 特約を上手に活用して手厚い保障を

多くの女性保険は、「入院給付金」と「手術給付金」を基本とする保障内容で構成されていますが、その他に様々な特約を付加することが可能です。具体的な特約の内容は商品によって異なりますが、以下のようなものが挙げられます。

  • ・女性疾病入院特約……女性特有の病気などで入院した場合に入院給付日額が上乗せされる
  • ・三大疾病支払日数無制限特約……三大疾病で入院した場合は支払日数無制限で給付金が給付される
  • ・入院一時金特約……病気やケガで入院した場合に一時金が給付される
  • ・通院特約……入院後の通院治療について、通院1日につき一定額の給付金が給付される
  • ・がん診断給付金特約……がんと診断された場合に一時金が給付される

具体例を挙げて考えてみましょう。30代の女性が乳がんになり、14日間入院して手術を受けたとします。

この場合に「入院給付日額1万円/手術給付金20万円」というシンプルな保険に加入していると、合計で34万円の保険金が給付されることになります。これにより入院費などについてはある程度カバーできるかもしれませんが、しばらく休職したり通院治療をしたりすることを考えると、少し心もとないですよね。

では、この基本保障に「女性疾病入院特約5,000円」「入院一時金特約20万円」「がん診断給付金特約100万円」を付加していると、どうでしょうか。今回のケースでは34万円に127万円がプラスされ、全部で161万円が給付されることになります。さらに通院特約を付加していると、退院後の通院治療にかかる費用についてもしっかりカバーできるでしょう。

基本的な保障は同じでも、付加する特約によって給付される保険金の額が大きく変わってくるのです。もちろん、特約を付けることによる追加の保険料は必要になりますが、このような治療を行ったケースでは、通常は保険料のアップ分よりも給付金の増額分のほうが大きくなります。

20代は最低限の医療保障のみ用意していたという方も、病気のリスクが徐々に高くなる30代からは、様々な特約の付加を検討してみてはいかがでしょうか。

2-3 定期型保険の選択により保険料を抑える

女性特有の病気に備えて手厚い保障を用意する。そうなってくると悩ましいのが、保険料です。生命保険は続けられなければ意味がありませんので、無理のない範囲で支払える保険料を設定することが大切です。

そこでおすすめしたいのが、定期型の女性保険に加入するという方法です。

生命保険は、保障期間で見ると「定期型」と「終身型」に二分されるのですが、終身型保険が一生涯にわたり保障が継続するのに対し、定期型保険は保障期間が限定されています。そして保険料についても、終身型保険の場合は生涯における保険金支払いの可能性を考慮して算出されますが、定期型保険の場合は加入年齢から保険期間満了時までにおいての保険金支払いの可能性が考慮されます。

そのため、入院・手術などのリスクが高齢者ほど高くない30代では、定期型保険を選択することによって保険料を安く抑えられる場合があるのです。なお、保険期間が同じであれば、通常は加入時の年齢が高くなるほど保険料も高くなります。

働き盛りで出費の多い30代は、定期型の女性保険を利用することにより保険料を抑えつつ手厚い保障を用意するというのも1つの選択肢ではないでしょうか。

⇒女性保険の選び方は保障期間、保険金タイプ、保障内容の検証が大事

2-4 独身の方も働けないときの保障について検討を

独身の方や子供がいらっしゃらない方の中には、「保険は最低限の保障でかまわない」と考えている方が少なくないでしょう。しかし、病気やケガのため長期療養を余儀なくされた場合に必要になるのは、医療費だけではありません。

長期間仕事を休まなければならなくなった場合、その間の生活費を保険などにより賄わなければならなくなる可能性があるのです。そのためには、就業不能保険などで収入減を補填する方法を考えておきたいところです。就業不能保険は、所定の就業不能状態に陥ったときに、給与と同じような形式で毎月一定の保険金を受け取ることができる保険です。

保険選びをする際は「自分は結婚していないのだから最低限の保障で大丈夫」と安易に考えるのではなく、病気などで働けなくなった場合にどのくらいのお金が必要か、それを保険でカバーするにはどのくらいの保障を用意しておく必要があるのか、といった点について慎重に考えてみることをおすすめします。

⇒就業不能保険とは? 保障内容や他保険との違いを解説

3.40代での女性保険の選び方

3-1 女性特有の病気のリスクが急激に高まる年代

40代は、女性特有の病気のリスクが急激に高まってくる年代です。

たとえば、がんに罹患した40代女性を対象とした「罹患したがんの種類」に関する調査では、乳がん、子宮がん、卵巣がんという女性特有のがん3種類がその多くを占めていることがわかっているのです(*5)。また40代前半は、乳房や女性生殖器の疾患といった女性特有の病気による入院・外来治療患者数がピークを迎える年代でもあります(*6)。

さらに40代では、女性特有の病気だけでなく、三大疾病などのリスクも徐々に高まってきます。

国立がん研究センターが発表したデータによると、40歳の女性が10年後までにがんと診断される確率は4%となっています。一方で、20歳の女性が0.4%であることを考えると、40歳女性が抱える「がん罹患リスク」は20歳女性の10倍もある、ということになるのです(*7)。

女性の現在年齢別のがん罹患確率(累積罹患リスク)

3-2 三大疾病保障などを組み合わせた充実の保障も

上述のように40代以降は、女性特有の病気のリスクが急激に高まるとともに、三大疾病など他の病気のリスクも徐々に高くなってきます。そのため40代で加入する保険は、これらのリスクにしっかり備えられる保障内容にしておくようにしましょう。

女性保険の中には、基本保障の他に三大疾病を手厚く保障する特約を付加できるものもあります。40代からは、女性保険により女性特有の病気への備えをしっかり用意しつつ、他の病気のリスクもカバーできる「三大疾病保障特約」などの付加を検討してみてはいかがでしょうか。

⇒三大疾病とはどんな病気?基礎知識から三大疾病保険までを徹底解説!

4.50代・60代での女性保険の選び方

4-1 女性特有の病気に限らずあらゆる健康リスクが高まる年代

50代・60代は、女性特有の病気だけでなく、あらゆる健康リスクが高くなる年代です。

40代の頃は女性特有の部位がその大半を占めていたがんの発生部位も、年齢が高くなるにつれ、その割合が小さくなり、胃や大腸、肝臓といった消化器官や肺の割合が増加する傾向にあります(*5)。

また、入通院患者数を傷病別・年代別に見ると、50代・60代では白内障をはじめとする眼の疾患や、糖尿病などの内分泌系の疾患、循環器系の疾患を原因とする医療機関の受診機会が急激に増えることがわかります(*8)。

さらに、20代では2%程度である「女性の入院患者総数に占める年代別入院患者数の割合」も、50代では6.1%、60代では12.2%を占めるようになります(*1)。

女性の入院患者総数に占める年代別入院患者数の割合

このように、50代・60代は女性特有の病気に罹患するリスクが目立たなくなる一方、他の臓器や全身にかかわる疾患など、様々な病気のリスクが急激に高まる年代です。そのため、保険選びをする際は女性特有の病気だけでなく、あらゆる病気のリスクに備えられるような保障内容を検討しなければなりません。

4-2 女性保険よりも一般の医療保険やがん保険を考える

40代までは女性保険に加入していた方も、50代以降は一般の医療保険がん保険への加入を検討してみてはいかがでしょうか。

近年は終身型医療保険の人気が高まっており、掛捨て型の商品であれば50代・60代でも比較的安い保険料での加入が可能です。50代・60代では年金生活になる老後を見据え、あらゆる病気のリスクに対応しつつ保険料を安く抑えられる、掛捨て型の終身医療保険を検討してみてはいかがでしょうか。

また、身内にがんになった人がいるなど、がんに対して不安意識が強い方は、医療保険にがん保障をプラスしてもいいでしょう。そして、40代と同じように、三大疾病特約も付加しておけば、さらに安心できます。ただし、この年代は保険料が年齢とともにどんどん上昇していきますので、加入するのであれば1歳でも若いほうがいいと言えるでしょう。

⇒健康リスクから考える女性保険の必要性

まとめ:今の自分に必要な保障を整理することから始めましょう

女性が抱えるリスクは、加齢に伴い少しずつ変化していきます。そのため保険選びをする際は、今の自分がどのようなリスクを抱えているのか、今後想定されるリスクをカバーするにはどのような保障が必要なのかといった点について慎重に検討することが大切です。

女性保険は女性特有の病気を手厚く保障するとても魅力的な商品ですが、加入する年齢によっては、一般の医療保険やがん保険のほうがニーズに合っている場合もあります。現在、女性保険や医療保険への加入を検討している方は、自分にどのようなリスクがありどのような保障が必要なのか、整理することから始めてみてはいかがでしょうか。