毎年の誕生日に送られてくる「ねんきん定期便」。みなさんがこれまでに納付した保険料や、将来もらえる年金の見込額などが載っています。ようするに、あなたが払ったお金と、もらえるお金を教えてくれているのです。年に1回のことですので、手元にある方は今すぐ、ない方は次回届いたときに、ぜひ確認してみるようにしてください。
でも、「数字がたくさんあって、どこを見ればいいのかわからない」などという声もよく聞かれます。そんな方のために「ねんきん定期便」の見方を解説していきます。あわせて、かならずチェックしておきたいポイントもご説明しています。
「ねんきん定期便」に記載されている内容は、50歳未満の方向けと50歳以上の方向けで大きく異なります。この記事では50歳以上の方に届く「ねんきん定期便」の見方を解説しています。50歳未満の方は「50歳未満編 」をご覧ください。
老後に必要な資金は2,000万円とも3,000万円とも言われています。一方で「そんなに必要ない」という意見もあります。いずれにせよ、毎年届く「ねんきん定期便」の内容を確認することで、将来の資金計画を考えるきっかけにしていただければと思います。
※年度によって様式がやや異なりますが、記載されている内容は基本的に同じです。
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④資格を取得した年月日……年金制度に加入した年月日
⑤資格を失った年月日……年金制度に加入しなくなった年月日(退職した日などの翌日)。現在加入中の場合は空欄
⑥加入月数……「②加入制度」欄の年金制度ごとの加入月数
この表は「2.50歳以上の方(59歳の方を除く)」の2-4にある図4中の⑲の全履歴要約版となり、かならずチェックすべきところです。
まず、「⑤資格を失った年月日」と次の行の「④資格を取得した年月日」の「月」が一致していない場合は、次の加入記録との間の行に(空いている期間があります)と表示されます。
年金は資格喪失日が属する月は加入月数には算入されないため、資格を失った月と同月内に次の資格を取得していないと、その月は未加入扱いとなります。その月は保険料も払っていない、あるいは給与から天引きされていないはずです。つまり、年金未加入期間が存在していることになります。
「消えた年金問題」として記憶にある方もいらっしゃると思いますが、旧社会保険庁で過去の年金加入記録をデータベース化するにあたって、それまでの管理の甘さが露呈し、「年金未加入期間」が存在している方が続出しました。
デジタル化されていない時代の膨大なデータを統合するという気の遠くなるような作業が原因と言えますが、数年かけて個別対応を行った結果、社会保険庁から日本年金機構となった現在では、かなりの部分で記録の正確性が保たれているようです。
しかし、それでも年金記録の「漏れ」や「誤り」でデータが完全な形になっていない可能性もあるため、もし「自分には年金未加入期間はないはずだ」と思っていても(空いている期間があります)と表示されている方は、お近くの年金事務所や「ねんきん定期便・ねんきんネット等専用ダイヤル」などへ問い合わせてみましょう。連絡先は「ねんきん定期便」に書いてあります。
また、最初の加入記録の前にも何らかの年金制度に加入した記憶がある方や、最新の加入記録が「現時点の加入状況」と一致していない方も確認が必要です。
以下は、年金記録の「漏れ」や「誤り」が発生しやすいケースとされている主なものです。心あたりのある方はぜひチェックしてみてください。
1.「ねんきん定期便」は国からの重要なお知らせ
1-1 毎年の誕生日に送られてくる
国民年金や厚生年金保険に加入している方は、毎年の誕生日の月に「ねんきん定期便」という名前の郵送物が送られてくるはずです。ただし、毎月の1日生まれの方は、誕生日の前月に届きます。 国民年金は、日本国内に住む20歳以上60歳未満のすべての方が加入するものです。厚生年金保険は、民間企業の会社員や公務員など、どこかに勤務している方が加入するものです。したがって、20歳以上60歳未満のほぼ全員の方に「ねんきん定期便」は届けられていることになります。 なお、60歳以上でも厚生年金保険の加入者には引き続き「ねんきん定期便」は届きますが、ここでは60歳未満の方に届く「ねんきん定期便」の見方をベースに解説していきます。 送り主は日本年金機構。廃止された社会保険庁に代わって2010年から公的年金に関する業務を行っている厚生労働省所管の特殊法人です。つまり、「ねんきん定期便」は国からの通知文書なのです。 ⇒公的年金制度のキホンを知りたい方はこちら!1-2 年齢によって違うタイプのものが送られてくる
この「ねんきん定期便」の形状は2つあり、35歳、45歳、59歳の方へはA4サイズの封書で、それ以外の方へは圧着式ハガキで送られます。 さらに、50歳未満の方と50歳以上の方では、封書・ハガキともに記載内容が違います。つまり、「ねんきん定期便」のタイプは年齢によって以下の4パターンに分けることができ、それぞれ少しずつ見方が異なっているのです。- ■50歳未満の方(35歳、45歳の方を除く)……ハガキ
- ■35歳、45歳の方……封書
- ■50歳以上の方(59歳の方を除く)……ハガキ
- ■59歳の方……封書
2.50歳以上の方(59歳の方を除く)※年金受給者を除く
59歳の方を除いて、50歳以上の方への「ねんきん定期便」は圧着式ハガキで送られてきます。 「ねんきん定期便」にはいろいろな情報が載っていますが、「まずは自分は年金がいくらもらえるのか知りたい!」という方も多いと思います。 50歳未満の方は、あくまで「ねんきん定期便」を集計した時点での加入実績をもとにした金額だけで、「将来もらえる予定の年金の金額」は記載されていません。それに対して50歳以上の方は、2-3の図3中の⑱bで【3.老齢年金の種類と見込額(年額)】内に1年間の受取見込額が表示されます。 この年金額の決まり方や細かな“からくり”については、この「ねんきん定期便」の見方とは別の記事で紹介しています。 ⇒公的年金はいくらもらえる? 知っておきたい年金額の決まり方 それでは実際の書面を見ながら順番にご説明していきます。2-1 「これまでの保険料納付額(累計額)」
■図1 【1.これまでの保険料納付額(累計額)】 ①(1)国民年金保険料(第1号被保険者期間)……これまでに国民年金の第1号被保険者として支払った保険料の合計額 ②(2)厚生年金保険料(被保険者負担額)……これまでに厚生年金の被保険者として支払った保険料の合計額 ※厚生年金の保険料は、被保険者と事業主が半分ずつ負担することになっています。したがって、②の金額は毎月給与から天引きされた自己負担分で、各被保険者分の支払い済み保険料としてはこの倍額となります。 ③(1)と(2)の合計……①と②の合計金額2-2 「これまでの年金加入期間」
■図2 【2.これまでの年金加入期間】 ④第1号被保険者(未納月数を除く)……国民年金の第1号被保険者(自営業者や学生など)であった期間のうち、保険料を納めている期間+保険料が免除された期間の月数 ⑤第3号被保険者……国民年金の第3号被保険者(会社員や公務員など国民年金の第2号被保険者〔夫など〕に扶養される20歳以上60歳未満の配偶者〔専業主婦など〕)であった期間の月数 ⑥国民年金 計(未納月数を除く)……④と⑤の合計月数 ⑦付加保険料納付済月数……付加保険料を納付した月数 ⑧船員保険……船員保険の被保険者であった期間の月数 ⑨一般厚生年金……一般の厚生年金保険の被保険者であった期間の月数 ⑩公務員厚生年金……公務員共済組合の被保険者であった期間の月数 ⑪私学共済厚生年金……私立学校教職員共済組合の被保険者であった期間の月数 ⑫厚生年金保険 計……⑨と⑩と⑪の合計月数 ※2015年10月1日に「被用者年金一元化法」が施行され、これまで厚生年金と共済年金に分かれていた被用者の年金制度が厚生年金に統一されました。したがって、⑨⑩⑪の合計である⑫は、単純に「厚生年金保険 計」となっています。 ⑬年金加入期間 合計(未納月数を除く)……⑥と⑧と⑫の合計月数 ⑭合算対象期間等……年金額には反映されないが「受給資格期間」に算入される「合算対象期間」の合計月数 ※「合算対象期間」とは、年金額を計算するための基とはなりませんが、老齢年金を受け取るために必要な「年金加入期間」としてみなされる期間のことをいいます。海外に居住していた期間など、合算対象期間となる期間はいくつかありますが、「ねんきん定期便」では、国民年金に任意加入している期間のうち保険料が未納となっている期間(任意加入未納月数)と、国民年金の切替の届出(3号から1号)が遅れたことにより、時効によって保険料を納めることができなくなった期間のうち、「特定期間該当届」をご提出している期間(特定期間月数)の合計が表示されています。 ⑮受給資格期間……⑬と⑭の合計月数 ここで、あらためて⑬の「年金加入期間(未納月数を除く)」と⑮の「受給資格期間」の違いについてご説明しておきます。 老齢基礎年金を受けるためには、現在は原則として、保険料を納めた期間と免除された期間を合算して10年(120月)の「年金加入期間」が必要です。しかしながら、これまでの年金制度改正の中で、国民年金に任意加入しなかったり、国民年金の被保険者の対象となっていなかったことなどにより「年金加入期間」の10年を満たせない場合があります。 そこで、このような方も年金を受給できるよう、年金額には反映されないものの「年金加入期間」としてみなすことができる「合算対象期間」を設定しています。 つまり、保険料を納付した期間と免除された期間に、この「合算対象期間」を加えた期間を「受給資格期間」とし、これが10年以上あれば老齢基礎年金を受給できるとされているのです。2-3 「老齢年金の種類と見込額(年額)」
■図3 【3.老齢年金の種類と見込額(年額)】 老齢年金の受け取りには、これまで原則として300月(25年)以上の受給資格期間(⑮)が必要でしたが、2017年8月からは、原則として120月(10年)あれば年金を受け取れるようになりました。 ここでの老齢年金の見込額は、現在の加入条件のまま60歳まで継続して加入したものと仮定して計算されたものです。今後、退職による被保険者種別の変更などで収入が減った場合には、老齢年金の見込額が減少していきます。 ⑯老齢基礎年金……65歳から受け取れる老齢基礎年金の年額 ※受給資格期間(⑮)を満たしていればどなたでも受け取ることができます。 ※「特別支給の老齢厚生年金」の定額部分(⑰c)を引き継いだものです。 ⑰a 受給開始年齢……「特別支給の老齢厚生年金」を受け取れるようになる年齢 ⑰b 特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分) ※65歳以降は「老齢厚生年金」として受け取ることになります。 ⑰c 特別支給の老齢厚生年金(定額部分) ※65歳以降は「老齢基礎年金」として受け取ることになります。 ⑰d 特別支給の老齢厚生年金(経過的職域加算額(共済年金))……旧共済年金の加算額に相当する金額 ⑰e 老齢厚生年金(報酬比例部分) ※「特別支給の老齢厚生年金」の報酬比例部分(⑰b)を引き継いだものです。 ⑰f 老齢厚生年金(経過的加算部分) ⑱a……「特別支給の老齢厚生年金」の合計金額 ⑱b……老齢基礎年金と老齢厚生年金の合計金額 老齢厚生年金の本来の受給開始年齢は65歳からですが、厚生年金保険の加入期間が12月(1年)以上あり、かつ受給資格期間が上記の300月あるいは120月以上ある場合は、当分のあいだ、60歳から64歳までの老齢年金を受け取ることができます。この年金を「特別支給の老齢厚生年金」と言います。 「特別支給の老齢厚生年金」を受け取ることができるようになる年齢(⑰a)は生年月日によって違い、順次繰り下がっていきます。そして、1961年4月2日以降に生まれた男性の方(女性は1966年)は「特別支給の老齢厚生年金」はなくなり、「老齢厚生年金」を65歳から受け取り始めることになります。したがって、⑰a~dおよび⑱aに記載がない方もいらっしゃいます。 「ねんきん定期便」の様式はたびたび変更されていますが、少なくともこの部分の表の形式は、「特別支給の老齢厚生年金」を受け取る方がいなくなる2031年4月以降は変更されるはずです。 「特別支給の老齢厚生年金」は「定額部分」と「報酬比例部分」に分かれています。「定額部分」は65歳以降の「老齢基礎年金」にあたり(⑰c→⑯)、これまでの厚生年金の加入期間に基づいて計算された金額です。「報酬比例部分」は65歳以降の「老齢厚生年金」にあたり(⑰b→⑰e)、これまでの厚生年金の納付済み保険料に基づいて計算された金額になります。 ただし、当分のあいだは老齢基礎年金の金額(⑯)よりも定額部分の金額(⑰c)のほうが多いため、65歳以降の老齢厚生年金には、この差額(定額部分-老齢基礎年金)が加算されます。この加算額を「経過的加算」(⑰f)と言います。2-4 「最近の月別状況です」
■図4 【最近の月別状況です】 ⑲……直近での月別の保険料の支払い状況 国民年金の保険料は毎年見直されますが、すべての方に同額ですので、ここでは納付金額は表示されずに納付状況が記載されます。具体的には「納付済」「未納」「3号」「全額免除」「合算」などが記載されます。なお、厚生年金の加入者は空欄になります。 厚生年金の保険料は月々の収入額によって決まりますので、ここではそのもととなる「標準報酬月額」(給与の金額)、「標準賞与額」(ボーナスの金額)と、それに応じて徴収された保険料が記載されます。 そして、ここに記載されている内容に漏れや間違いがないか、かならずチェックしておきましょう。もし抜けている月があれば、そのぶん加入期間が短くなり、年金額も減ってしまいます。とくに転職したときには厚生年金保険適用事業所の切り替えがあり、納付漏れが発生しやすいので注意してください。 また、会社員から自営業者になった方や、その逆のケース、あるいは専業主婦(主夫)になった場合などは被保険者区分が変わりますので、国民年金と厚生年金の切り替え時期を含めて、しっかり確認しておきたいところです。 おかしな点があれば、お近くの年金事務所や「ねんきん定期便・ねんきんネット等専用ダイヤル」などへ問い合わせてみましょう。連絡先は「ねんきん定期便」に書いてあります。3.59歳の方
59歳の方にはA4サイズの封書で「ねんきん定期便」が届きます。記載されている内容は基本的に「2.50歳以上の方(59歳の方を除く)」と同じですが、これまでのすべての加入履歴や保険料納付状況が別表で追加されているところに違いがあります。 「ねんきん定期便」にはいろいろな情報が載っていますが、「まずは自分は年金がいくらもらえるのか知りたい!」という方も多いと思います。 50歳未満の方は、あくまで「ねんきん定期便」を集計した時点での加入実績をもとにした金額だけで、「将来もらえる予定の年金の金額」は記載されていません。それに対して50歳以上の方は、3-3の図7中の⑱bで【3.老齢年金の種類と見込額(年額)】内に1年間の受取見込額が表示されます。 この年金額の決まり方や細かな“からくり”については、この「ねんきん定期便」の見方とは別の記事で紹介しています。 ⇒公的年金はいくらもらえる? 知っておきたい年金額の決まり方 それでは実際の書面を見ながら順番にご説明していきます。3-1 「これまでの保険料納付額(累計額)」
■図5 【1.これまでの保険料納付額(累計額)】 ①(1)国民年金保険料(第1号被保険者期間)……これまでに国民年金の第1号被保険者として支払った保険料の合計額 ②(2)厚生年金保険料(被保険者負担額)……これまでに厚生年金の被保険者として支払った保険料の合計額 ※厚生年金の保険料は、被保険者と事業主が半分ずつ負担することになっています。したがって、②の金額は毎月給与から天引きされた自己負担分で、各被保険者分の支払い済み保険料としてはこの倍額となります。 ③(1)と(2)の合計……①と②の合計金額3-2 「これまでの年金加入期間」
■図6 【2.これまでの年金加入期間】 ④第1号被保険者(未納月数を除く)……国民年金の第1号被保険者(自営業者や学生など)であった期間のうち、保険料を納めている期間+保険料が免除された期間の月数 ⑤第3号被保険者……国民年金の第3号被保険者(会社員や公務員など国民年金の第2号被保険者〔夫など〕に扶養される20歳以上60歳未満の配偶者〔専業主婦など〕)であった期間の月数 ⑥国民年金 計(未納月数を除く)……④と⑤の合計月数 ⑦付加保険料納付済月数……付加保険料を納付した月数 ⑧船員保険……船員保険の被保険者であった期間の月数 ⑨一般厚生年金……一般の厚生年金保険の被保険者であった期間の月数 ⑩公務員厚生年金……公務員共済組合の被保険者であった期間の月数 ⑪私学共済厚生年金……私立学校教職員共済組合の被保険者であった期間の月数 ⑫厚生年金保険 計……⑨と⑩と⑪の合計月数 ※2015年10月1日に「被用者年金一元化法」が施行され、これまで厚生年金と共済年金に分かれていた被用者の年金制度が厚生年金に統一されました。したがって、⑨⑩⑪の合計である⑫は、単純に「厚生年金保険 計」となっています。 ⑬年金加入期間 合計(未納月数を除く)……⑥と⑧と⑫の合計月数 ⑭合算対象期間等……年金額には反映されないが「受給資格期間」に算入される「合算対象期間」の合計月数 ※「合算対象期間」とは、年金額を計算するための基とはなりませんが、老齢年金を受け取るために必要な「年金加入期間」としてみなされる期間のことをいいます。海外に居住していた期間など、合算対象期間となる期間はいくつかありますが、「ねんきん定期便」では、国民年金に任意加入している期間のうち保険料が未納となっている期間(任意加入未納月数)と、国民年金の切替の届出(3号から1号)が遅れたことにより、時効によって保険料を納めることができなくなった期間のうち、「特定期間該当届」をご提出している期間(特定期間月数)の合計が表示されています。 ⑮受給資格期間……⑬と⑭の合計月数 ここで、あらためて⑬の「年金加入期間(未納月数を除く)」と⑮の「受給資格期間」の違いについてご説明しておきます。 老齢基礎年金を受けるためには、現在は原則として、保険料を納めた期間と免除された期間を合算して10年(120月)の「年金加入期間」が必要です。しかしながら、これまでの年金制度改正の中で、国民年金に任意加入しなかったり、国民年金の被保険者の対象となっていなかったことなどにより「年金加入期間」の10年を満たせない場合があります。 そこで、このような方も年金を受給できるよう、年金額には反映されないものの「年金加入期間」としてみなすことができる「合算対象期間」を設定しています。 つまり、保険料を納付した期間と免除された期間に、この「合算対象期間」を加えた期間を「受給資格期間」とし、これが10年以上あれば老齢基礎年金を受給できるとされているのです。3-3 「老齢年金の種類と見込額(年額)」
■図7 【3.老齢年金の種類と見込額(年額)】 老齢年金の受け取りには、これまで原則として300月(25年)以上の受給資格期間(⑮)が必要でしたが、2017年8月からは、原則として120月(10年)あれば年金を受け取れるようになりました。 ここでの老齢年金の見込額は、現在の加入条件のまま60歳まで継続して加入したものと仮定して計算されたものです。今後、退職による被保険者種別の変更などで収入が減った場合には、老齢年金の見込額が減少していきます。 ⑯老齢基礎年金……65歳から受け取れる老齢基礎年金の年額 ※受給資格期間(⑮)を満たしていればどなたでも受け取ることができます。 ※「特別支給の老齢厚生年金」の定額部分(⑰c)を引き継いだものです。 ⑰a 受給開始年齢……「特別支給の老齢厚生年金」を受け取れるようになる年齢 ⑰b 特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分) ※65歳以降は「老齢厚生年金」として受け取ることになります。 ⑰c 特別支給の老齢厚生年金(定額部分) ※65歳以降は「老齢基礎年金」として受け取ることになります。 ⑰d 特別支給の老齢厚生年金(経過的職域加算額(共済年金))……旧共済年金の加算額に相当する金額 ⑰e 老齢厚生年金(報酬比例部分) ※「特別支給の老齢厚生年金」の報酬比例部分(⑰b)を引き継いだものです。 ⑰f 老齢厚生年金(経過的加算部分) ⑱a……「特別支給の老齢厚生年金」の合計金額 ⑱b……老齢基礎年金と老齢厚生年金の合計金額 老齢厚生年金の本来の受給開始年齢は65歳からですが、厚生年金保険の加入期間が12月(1年)以上あり、かつ受給資格期間が上記の300月あるいは120月以上ある場合は、当分のあいだ、60歳から64歳までの老齢年金を受け取ることができます。この年金を「特別支給の老齢厚生年金」と言います。 「特別支給の老齢厚生年金」を受け取ることができるようになる年齢(⑰a)は生年月日によって違い、順次繰り下がっていきます。そして、1961年4月2日以降に生まれた男性の方(女性は1966年)は「特別支給の老齢厚生年金」はなくなり、「老齢厚生年金」を65歳から受け取り始めることになります。したがって、⑰a~dおよび⑱aに記載がない方もいらっしゃいます。 「ねんきん定期便」の様式はたびたび変更されていますが、少なくともこの部分の表の形式は、「特別支給の老齢厚生年金」を受け取る方がいなくなる2031年4月以降は変更されるはずです。 「特別支給の老齢厚生年金」は「定額部分」と「報酬比例部分」に分かれています。「定額部分」は65歳以降の「老齢基礎年金」にあたり(⑰c→⑯)、これまでの厚生年金の加入期間に基づいて計算された金額です。「報酬比例部分」は65歳以降の「老齢厚生年金」にあたり(⑰b→⑰e)、これまでの厚生年金の納付済み保険料に基づいて計算された金額になります。 ただし、当分のあいだは老齢基礎年金の金額(⑯)よりも定額部分の金額(⑰c)のほうが多いため、65歳以降の老齢厚生年金には、この差額(定額部分-老齢基礎年金)が加算されます。この加算額を「経過的加算」(⑰f)と言います。3-4 「これまでの『年金加入履歴』」
■図8 【これまでの『年金加入履歴』】 ⑲……これまで加入していた年金制度別の履歴一覧 ②加入制度……加入していた年金制度 ③お勤め先の名称等……②の加入制度ごとに以下を参照してください。②加入制度 | ③お勤め先の名称等 |
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国年 | 被保険者種別(第1号・第3号) |
厚年 | お勤め先の会社名称(事業所名称) ※年金加入記録を管理する国のシステムに会社名称の登録がある場合。ない場合は「厚生年金保険」と表示 ※厚生年金に統合されたた旧三公社(JR・JT・NTT)共済組合や旧農林共済組合は加入当時の共済組合名 ※厚生年金保険の加入期間のうち、厚生年金基金に加入している期間をカッコ書きで表示 |
船保 | 船舶所有者名 ※年金加入記録を管理する国のシステムに船舶所有者名の登録がある場合。ない場合は「船員保険」と表示 |
公共 | 「公務員共済」と表示 |
私学 | 「私学共済」と表示 |
- ・学生であったが国民年金に加入していた
- ・退職後、結婚し姓が変わった
- ・事情があって本名とは異なる名前で勤めた
- ・事情があって本来の生年月日とは異なる生年月日で勤めた
- ・転職のたびに年金手帳が発行された
- ・同じ会社(グループ)内で転勤や出向を繰り返していた
- ・勤務先の会社が、その後、合併、社名変更、倒産した